4 / 9
美術室
しおりを挟む
重い鉄の扉が閉った。
学校の外れの古びた堅牢な二階建ての建物。
取り壊しを免れた旧校舎の一部だ。
一階は美術室、二階は物置として使われている。
それも、本当の不用品ばかりが置かれている物置だ。
特に美術室に用がある人間以外、渡り廊下を通り、この建物を訪れない。
「先生、来てくださったんですね。バカげたお願いだから、ドタキャンされるんじゃないかと思って、心配しましたよ」
生徒達の中心に立つ美影が言った。
その顔を憲司は惚れ惚れと見る。
そこに居る生徒達はいずれも、標準以上の容姿をしていた。
いずれも体格が良い。
一人だけ、皆の陰に隠れるようにして下を向いている少年に目がとまる。
細身で小柄のおとなしそうな少年。
頬がうっすら染まっているように見える。
これから俺の裸を見るってことに緊張してるのか、、、初心なヤツだな、、、
彼独特のポジティブシンキング。
憲司の心は浮き立つ。
が、やはり美影が群を抜いて目立っている。
甘さと凛々しさの混った顔といい、肩幅のある上半身といい、すらりと伸びた脚といい、他の少年達とは、やはりレベルが違う。
上玉だ、、、
憲司は、ゲスな考えに、笑みを押さえることが出来なかった。
「先生、飲み物はいかがですか?自家製の栄養ドリンクしかないですけど」
美影はプラスティックのコップに薄い黄緑色の液体を注ぎ憲司に差し出した。
「部員のほとんどが体動かした後だから、精力つけなきゃなんないでしょ。
ちょっと酸っぱくて苦いけど、元気がでますよ」
涼しげな雰囲気を崩さず美影は言った。
コップを握る指は、長く形よい。
対峙する男っぽい教師と爽やかな少年。
一枚の絵としても成り立つ光景。
「ありがとう。いただくよ」
憲司は渋い声で応え、一気に飲み干した。
確かにほろ苦い。
生徒達はその間に、それぞれイーゼルの前に腰掛けた。
半円形に広がるイーゼルの前には高め木製の台が据えられている。
モデルの立つ台。
これから、この少年達の前で脱ぐのか・・・
ドクンッ!
健司は柄にもなく少し緊張仕掛けていた。
そして同時に、体の芯からのゾクッとする奮えも。
その体の中心部をじわじわと昇ってくる痺れるような奮えが何なのか・・・
憲司はまだ気付いていない。
身の内の不思議な動揺を押さえようと彼は辺りを見回した。
美術室の窓は厚いカーテンで閉ざされている。
デッサン用だろう、いくつかの石膏像が並んでいる。
?
憲司は怪訝そうな表情を浮かべた。
その横には、美術部に似つかわしくない物が置かれていた。
畳まれた白いビニール地の布はまだ分かる。
しかし、その上に載っている頑丈な手枷、縄等は理解の範囲を超えていた。
「ああ、あれですか?」
憲司の不審に気付いてか、美影が言った。
「小道具ですよ。単にお互いをモデルにデッサンし合うのもつまらないじゃないですか。だから、時々、モデルになった奴がコスプレしたりするんですよ、、、どうせ描くなら楽しく描きたいじゃないですか、、、ロープレやヒロイックファンタジーに出てくる囚われたヒーローとか、拷問を受ける戦士とか、生け贄にされる英雄とか、、、ジャンケンで負けたヤツがそういう格好をするんです。美術部員ってガタイのいいヤツが多いから良い絵が描けるんです」
囚われ・・・拷問・・・生贄・・・!?
ガタイのいいヤツ?
てことはモデルは肌を露出しているのか・・・
良いぞ、、、これは良い、、、
憲司は能天気に舌舐りする。
やっぱりこいつら、素質があるのか、、、
細身が好きな憲司としては、大人しそうな一人を除きちょっとガタイが良すぎたが、相手にする分には不足のないレベルの少年達だ。
小躍りしたい気分だった。
「良かったら先生もコスプレをやってみる?」
「そうだな、どんな格好をしようか・・・」
青年と少年の視線が絡む。
訪れた沈黙。
その場にいる生徒達の目は憲司に集中している。
下を向いていた少年も上目使いで見ている。
ゾクリッ!
また、憲司の体の芯、大きな震えが体の芯を走り脳天で痺れとなって弾ける。
憲司は初めての感覚に朦朧となりそうだった。
そろそろ生徒達の前で脱いで素肌を晒す時が来たようだ。
学校の外れの古びた堅牢な二階建ての建物。
取り壊しを免れた旧校舎の一部だ。
一階は美術室、二階は物置として使われている。
それも、本当の不用品ばかりが置かれている物置だ。
特に美術室に用がある人間以外、渡り廊下を通り、この建物を訪れない。
「先生、来てくださったんですね。バカげたお願いだから、ドタキャンされるんじゃないかと思って、心配しましたよ」
生徒達の中心に立つ美影が言った。
その顔を憲司は惚れ惚れと見る。
そこに居る生徒達はいずれも、標準以上の容姿をしていた。
いずれも体格が良い。
一人だけ、皆の陰に隠れるようにして下を向いている少年に目がとまる。
細身で小柄のおとなしそうな少年。
頬がうっすら染まっているように見える。
これから俺の裸を見るってことに緊張してるのか、、、初心なヤツだな、、、
彼独特のポジティブシンキング。
憲司の心は浮き立つ。
が、やはり美影が群を抜いて目立っている。
甘さと凛々しさの混った顔といい、肩幅のある上半身といい、すらりと伸びた脚といい、他の少年達とは、やはりレベルが違う。
上玉だ、、、
憲司は、ゲスな考えに、笑みを押さえることが出来なかった。
「先生、飲み物はいかがですか?自家製の栄養ドリンクしかないですけど」
美影はプラスティックのコップに薄い黄緑色の液体を注ぎ憲司に差し出した。
「部員のほとんどが体動かした後だから、精力つけなきゃなんないでしょ。
ちょっと酸っぱくて苦いけど、元気がでますよ」
涼しげな雰囲気を崩さず美影は言った。
コップを握る指は、長く形よい。
対峙する男っぽい教師と爽やかな少年。
一枚の絵としても成り立つ光景。
「ありがとう。いただくよ」
憲司は渋い声で応え、一気に飲み干した。
確かにほろ苦い。
生徒達はその間に、それぞれイーゼルの前に腰掛けた。
半円形に広がるイーゼルの前には高め木製の台が据えられている。
モデルの立つ台。
これから、この少年達の前で脱ぐのか・・・
ドクンッ!
健司は柄にもなく少し緊張仕掛けていた。
そして同時に、体の芯からのゾクッとする奮えも。
その体の中心部をじわじわと昇ってくる痺れるような奮えが何なのか・・・
憲司はまだ気付いていない。
身の内の不思議な動揺を押さえようと彼は辺りを見回した。
美術室の窓は厚いカーテンで閉ざされている。
デッサン用だろう、いくつかの石膏像が並んでいる。
?
憲司は怪訝そうな表情を浮かべた。
その横には、美術部に似つかわしくない物が置かれていた。
畳まれた白いビニール地の布はまだ分かる。
しかし、その上に載っている頑丈な手枷、縄等は理解の範囲を超えていた。
「ああ、あれですか?」
憲司の不審に気付いてか、美影が言った。
「小道具ですよ。単にお互いをモデルにデッサンし合うのもつまらないじゃないですか。だから、時々、モデルになった奴がコスプレしたりするんですよ、、、どうせ描くなら楽しく描きたいじゃないですか、、、ロープレやヒロイックファンタジーに出てくる囚われたヒーローとか、拷問を受ける戦士とか、生け贄にされる英雄とか、、、ジャンケンで負けたヤツがそういう格好をするんです。美術部員ってガタイのいいヤツが多いから良い絵が描けるんです」
囚われ・・・拷問・・・生贄・・・!?
ガタイのいいヤツ?
てことはモデルは肌を露出しているのか・・・
良いぞ、、、これは良い、、、
憲司は能天気に舌舐りする。
やっぱりこいつら、素質があるのか、、、
細身が好きな憲司としては、大人しそうな一人を除きちょっとガタイが良すぎたが、相手にする分には不足のないレベルの少年達だ。
小躍りしたい気分だった。
「良かったら先生もコスプレをやってみる?」
「そうだな、どんな格好をしようか・・・」
青年と少年の視線が絡む。
訪れた沈黙。
その場にいる生徒達の目は憲司に集中している。
下を向いていた少年も上目使いで見ている。
ゾクリッ!
また、憲司の体の芯、大きな震えが体の芯を走り脳天で痺れとなって弾ける。
憲司は初めての感覚に朦朧となりそうだった。
そろそろ生徒達の前で脱いで素肌を晒す時が来たようだ。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説

かわいい息子がバリタチだった
湯豆腐
BL
主人公は、中田 秀雄(なかた ひでお)36歳サラリーマン。16歳の息子と2人暮らし。
残業で深夜に帰宅したとき、息子・真央(まお)が男と性行為をしている姿を目撃してしまう!
【注意】BL表現、性描写がかなりあります。


男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。


悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる