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ヤル気の無い教師
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憲司は、教員室で、ぼおっとしていた。
海の彼とは全く異なるしまりのない顔。
この春に赴任したこの高校にも慣れた。
教師になって三校目。
彼の年齢を考えると、ほぼ一~二年に一校の割で学校を変えている勘定だ。
その理由は、もちろん生徒との不祥事。
代議士の父親が全てもみ消してくれたが、流石に今度は堪忍袋の緒が切れたようだ。
次に何か起こしたら仕送りを止めると言われている。
高級マンション、外車、休み毎のサーフィン、平日夜の少年とのデート。
今の給料だけでは維持できない。
それに、この学校も、父親の代議士としての力を最大に使った結果、採用された。
結果、父親は、かなりの見返りを要求されたようだが。
これ以上、不祥事を起こしたらまずいのは、憲司でも判る。
赴任したA**高校は、男子校。
まさに、彼にしてみれば餌が無防備に歩いている状態だったが、その餌を指をくわえて見ていなければならない。
普段、教員室で必要以外、彼に話し掛ける者はほぼいない。
同僚教師は、話し掛けても面倒そうに答える彼に早々と愛想をつかした。
健司としても、ジジイ、あるいはオタク丸だしばかりの同僚とは話す気にもならない。
生徒もあまり近寄ってこない。
教科書をダラダラと読むだけで、やる気の欠片も感じられない憲司には、生徒は早々に愛想をつかしている。
彼が教師を目指したのは、夏休みがあるからという、真面目な教職者からすれば、噴飯物の理由からだった。
別に生徒達に慕われようとも思っていない。
だから、生徒達が彼の元を訪れなくても、全く気にならない。
それがその日、珍しく彼の元を訪れた生徒がいた。
それも彼が赴任早々目を付けた、立場上、手を出せないまでも、近い内にお友達レベルまでには持っていきたいと思っていた上玉の生徒が向こうからやってきたのだ。
美影直人。
確か美術部の部長だ。
背は健司の趣味からするとちょっと高い。
が、アイドルグループにいてもおかしくない愛くるしく美しく整った顔立ちの少年だ。
制服の上から見る限り、文芸部に所属しているのが不思議なくらい締まった体をしている。
「高沢先生、三年の美影です。ちょっとお話があるんですが」
突然、ダラけていた顔が締まり、爽やかな笑顔が浮かぶ。
背筋も伸びる。
「ああ、美影君、なんだい?」
低く、艶のある渋い声。
授業中には、出さない声。
「お願いがあるんですが・・・その・・・人に聴かれたくないんで、出来れば外でお願いできませんか?」
憲司は内心、ニヤリとした。
内緒の話か・・・
「よし、じゃぁ、屋上にでも行くか」
生徒のみの屋上への出入りは禁じられている。
人はまず居ないはずだ。
憲司は、生徒が先に階段を上るように誘った。
後ろから昇りながら間近で尻を確認するためだ。
良いケツじゃないか、、、
完璧だ、、、
元からの形もいいが、ちゃんと鍛えている、、、
瞬時に見抜く。
だてにナンパを繰り返していない。
屋上に出た。
青空だ。
微かな風が気持ちいい。
憲司は、柵に近付き言った。
「ちょっと、ネクタイを緩めていいか?堅苦しいだろ」
返事を待たずネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを三つ外す。
焼けた素肌が微かに、だがしっかりと見える程度に。
そして、柵に背でもたれる。両手を広げ、肘を柵にのせる。
しっかり、ポーズを取っている。
「で、話はなんだい?」
「担当でもない先生なのにすいません。でも、どうしても先生じゃないとダメなお願いなんです」
「俺じゃないとダメ?」
「ええ。もうすぐ学園祭ですよね」
「あ、ああ」
唐突に学園祭の話が出てきて驚く。
「僕たちの美術部は、学祭のサークル人気投票で、万年ビリなんです。生物部は動物の解剖、天文部はミニプラネタリウム、文芸部はヤオイ系の創作話で受けている。人気投票で上位になると部費の補助が上がるんでみんな必死なんです。ところが、僕たちの美術部は、代々の先輩たちが固くて芸術作品しか展示しないって方針なんです。ポップアートもダメ。油絵、水彩画、デッサン、石膏像とかいった伝統的なものしか無理。学祭前日にOB代表がやってきて展示物から外すんです」
・・・だから何なんだ?
憲司は思ったが、一応真剣に聞いている振りをしている。
「で、今年、みんなで考えたんです。折角の学祭だから、皆の度肝を抜きたい。でも、代々の不文律は破れない。で、いい案を思いついたんです」
「ほう」
「その実現の為には、先生の協力が必要なんです」
「へ?俺の協力が?」
「はい。芸術品として観賞に耐える美しいもの、そしてセンセーショナルなもの。それを今回の学祭に出したいんです」
「・・・ほう」
「で、先生、僕らの作品のヌードモデルになっていただけませんか?」
海の彼とは全く異なるしまりのない顔。
この春に赴任したこの高校にも慣れた。
教師になって三校目。
彼の年齢を考えると、ほぼ一~二年に一校の割で学校を変えている勘定だ。
その理由は、もちろん生徒との不祥事。
代議士の父親が全てもみ消してくれたが、流石に今度は堪忍袋の緒が切れたようだ。
次に何か起こしたら仕送りを止めると言われている。
高級マンション、外車、休み毎のサーフィン、平日夜の少年とのデート。
今の給料だけでは維持できない。
それに、この学校も、父親の代議士としての力を最大に使った結果、採用された。
結果、父親は、かなりの見返りを要求されたようだが。
これ以上、不祥事を起こしたらまずいのは、憲司でも判る。
赴任したA**高校は、男子校。
まさに、彼にしてみれば餌が無防備に歩いている状態だったが、その餌を指をくわえて見ていなければならない。
普段、教員室で必要以外、彼に話し掛ける者はほぼいない。
同僚教師は、話し掛けても面倒そうに答える彼に早々と愛想をつかした。
健司としても、ジジイ、あるいはオタク丸だしばかりの同僚とは話す気にもならない。
生徒もあまり近寄ってこない。
教科書をダラダラと読むだけで、やる気の欠片も感じられない憲司には、生徒は早々に愛想をつかしている。
彼が教師を目指したのは、夏休みがあるからという、真面目な教職者からすれば、噴飯物の理由からだった。
別に生徒達に慕われようとも思っていない。
だから、生徒達が彼の元を訪れなくても、全く気にならない。
それがその日、珍しく彼の元を訪れた生徒がいた。
それも彼が赴任早々目を付けた、立場上、手を出せないまでも、近い内にお友達レベルまでには持っていきたいと思っていた上玉の生徒が向こうからやってきたのだ。
美影直人。
確か美術部の部長だ。
背は健司の趣味からするとちょっと高い。
が、アイドルグループにいてもおかしくない愛くるしく美しく整った顔立ちの少年だ。
制服の上から見る限り、文芸部に所属しているのが不思議なくらい締まった体をしている。
「高沢先生、三年の美影です。ちょっとお話があるんですが」
突然、ダラけていた顔が締まり、爽やかな笑顔が浮かぶ。
背筋も伸びる。
「ああ、美影君、なんだい?」
低く、艶のある渋い声。
授業中には、出さない声。
「お願いがあるんですが・・・その・・・人に聴かれたくないんで、出来れば外でお願いできませんか?」
憲司は内心、ニヤリとした。
内緒の話か・・・
「よし、じゃぁ、屋上にでも行くか」
生徒のみの屋上への出入りは禁じられている。
人はまず居ないはずだ。
憲司は、生徒が先に階段を上るように誘った。
後ろから昇りながら間近で尻を確認するためだ。
良いケツじゃないか、、、
完璧だ、、、
元からの形もいいが、ちゃんと鍛えている、、、
瞬時に見抜く。
だてにナンパを繰り返していない。
屋上に出た。
青空だ。
微かな風が気持ちいい。
憲司は、柵に近付き言った。
「ちょっと、ネクタイを緩めていいか?堅苦しいだろ」
返事を待たずネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを三つ外す。
焼けた素肌が微かに、だがしっかりと見える程度に。
そして、柵に背でもたれる。両手を広げ、肘を柵にのせる。
しっかり、ポーズを取っている。
「で、話はなんだい?」
「担当でもない先生なのにすいません。でも、どうしても先生じゃないとダメなお願いなんです」
「俺じゃないとダメ?」
「ええ。もうすぐ学園祭ですよね」
「あ、ああ」
唐突に学園祭の話が出てきて驚く。
「僕たちの美術部は、学祭のサークル人気投票で、万年ビリなんです。生物部は動物の解剖、天文部はミニプラネタリウム、文芸部はヤオイ系の創作話で受けている。人気投票で上位になると部費の補助が上がるんでみんな必死なんです。ところが、僕たちの美術部は、代々の先輩たちが固くて芸術作品しか展示しないって方針なんです。ポップアートもダメ。油絵、水彩画、デッサン、石膏像とかいった伝統的なものしか無理。学祭前日にOB代表がやってきて展示物から外すんです」
・・・だから何なんだ?
憲司は思ったが、一応真剣に聞いている振りをしている。
「で、今年、みんなで考えたんです。折角の学祭だから、皆の度肝を抜きたい。でも、代々の不文律は破れない。で、いい案を思いついたんです」
「ほう」
「その実現の為には、先生の協力が必要なんです」
「へ?俺の協力が?」
「はい。芸術品として観賞に耐える美しいもの、そしてセンセーショナルなもの。それを今回の学祭に出したいんです」
「・・・ほう」
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