55 / 80
第055話(近隣野獣?!)
しおりを挟む
市場を後にした僕達は、クーフェさんと約束していた通りに冒険者ギルドに顔を出す事にした。まだ回りきっていない色々な店舗を眺めながら市場を後にして、冒険者ギルドに向かう。
大通りに面している冒険者ギルドは看板も出てるのもあり、すぐに分かった。僕達が冒険者ギルドの扉をくぐると、昼過ぎということもあり、他の冒険者はいないようだった。
ギルドに入って右手の壁には依頼掲示板があり、僕はそこの前に立って丁度よい依頼がないかを確認していると、背後から見知った声が掛けられる。
「シン君。来てたのね」
振り向くとギルドの受付嬢の制服を来たクーフェさんがニコニコしながら手を振り、こちらにやってくる。相変わらず胸のところがパンパンになっていて、すごく自己主張をしている。恥ずかしくて直視できない……
「なぁに?」
僕が俯いていると、覗き込むように前屈みになるクーフェさん。より胸の谷間が強調されてしまい、僕は横に目を逸らす。
「そこまでにするのです。おっぱいお化け」
ポメがビシッとクーフェさんを指差しながら断言する。またそんなこと言ったら……
「なにか、言ったかしらぁ?ポメちゃぁん?」
周りの温度を氷点下に変えながら、壮絶な笑みを浮かべたクーフェさんがポメに詰め寄る。全くポメも懲りないなぁ……
「クーフェさん。僕にでもできそうな仕事はありましたか?」
ジリジリとポメに詰め寄るクーフェさんに声を掛けると、雰囲気を一転させて明るい表情になり、嬉しそうに僕の隣にやってきて、掲示板の一角を指差す。
「やるんだったら、ここいらのが良いんじゃないかな?」
クーフェさんが指差した一角は低ランクの冒険者たち向けの依頼が貼ってあるブロックだった。
「水路の掃除、堆肥の運搬、廃棄物処理……」
上下水道が完備されていない所を見ると、こういう仕事も当然あるんだろうなという汚れ仕事が並んでいた。町中の作業なので危険は少ないけど、手当はそれなりだ。そりゃ、みんなやりたがらない仕事だろうからなぁ。
「こいうのは専門の業者がやっているんだけど、手が足りないのよね。だから定期的に貼り出して、増員募集を掛けてるの。確かに人の嫌がる仕事だけど、町の維持には必須で賃金もそれなりな仕事よ。まぁとはいっても怪我して外に出れない冒険者が偶に受けるような仕事だけどね」
クーフェさんが丁寧に説明してくれる。なるほど確かに専門でやる人がいなければ町は維持できないよなぁ。
「こういう仕事には身寄りがない孤児の人が多く就くの。身寄りがなければ仕事の選択の自由も大幅に制限がかかってしまう。これらの仕事は特に必要なスキルもなく、賃金も安定して入ってくるので後ろ盾がなくても生きていける仕事よ」
世知辛い世の中だなと思いながらも、そういう人がいることで町が町として機能しているんだと言う事を理解する。とは言え、僕がその仕事をしたいわけじゃないけど。
「これは?」
「あぁ、これは町の外に出るからちょっとだけ危険だけど、町からほど近い草原に多く生えている素材の採取ね。町から近いとはいえ、一角兎や走り蜥蜴、毒蛇など危険な獣が多くいて、運が悪いと死傷したりするから、冒険者に依頼するの」
「なるほど、他に危険な獣はいるんですか?」
「うーん、この町の外すぐだと、他には雑食モグラ、大型の百舌鳥くらいかしらね。どれも積極的には人を襲わないんだけど、何かの拍子に攻撃してくることはあるわ」
「それらの敵の特徴を教えてもらえますか?」
「一角兎は、強力な後ろ足の跳躍からの角での一突きが脅威よ。当たりどころが悪ければ重傷になるわ。毒蛇は毒を持っていて、噛まれてから手当をしなければ死んでしまう可能性があるけど、ここで売っている毒消しで治療できるわね。走り蜥蜴は脚が速いわ」
「足が速いだけ?」
「ええ、足が早くて捕まえにくいけど、噛み付いたりしてくるわけでもないし、草食だから基本的には安全よ。ただし突進をまともに受けると骨が折れるくらいの威力があるから、たまに怪我人が出てしまうの」
「はぁ、突進には気をつけます」
「雑食モグラは地中から飛び出してきて噛み付いたり、穴に足を取られて動けなくなった所を噛み付いたりしてくるわね。大型の百舌鳥は上空から急降下で急所を狙った攻撃をしてきて、獲物が弱ると上空に持ち上げて、鋭利な木の枝に急降下しながら刺し殺してくる。まぁ人間相手だと持ち上がらないから、急降下からの急所攻撃に気をつければ大丈夫よ」
「説明ありがとうございます。ファングとビークがいればなんとかなりそうな気がしますので、この素材収集をやってみたいと思います」
クーフェさんの丁寧な説明を受けて、僕はそう判断する。
「確かに風狼と火燕がいれば問題なさそうね。でもね、くれぐれも無理はしないこと。シン君はまだまだ小さい子供なんだからね」
「はい。わかりました。無理はしません」
立てた指を振りながら、片目をつぶって、お姉さんのように説明するクーフェさんに答える僕。
そして採取する素材の詳しい説明を聞いて、僕達は初めての依頼を開始するのだった。
大通りに面している冒険者ギルドは看板も出てるのもあり、すぐに分かった。僕達が冒険者ギルドの扉をくぐると、昼過ぎということもあり、他の冒険者はいないようだった。
ギルドに入って右手の壁には依頼掲示板があり、僕はそこの前に立って丁度よい依頼がないかを確認していると、背後から見知った声が掛けられる。
「シン君。来てたのね」
振り向くとギルドの受付嬢の制服を来たクーフェさんがニコニコしながら手を振り、こちらにやってくる。相変わらず胸のところがパンパンになっていて、すごく自己主張をしている。恥ずかしくて直視できない……
「なぁに?」
僕が俯いていると、覗き込むように前屈みになるクーフェさん。より胸の谷間が強調されてしまい、僕は横に目を逸らす。
「そこまでにするのです。おっぱいお化け」
ポメがビシッとクーフェさんを指差しながら断言する。またそんなこと言ったら……
「なにか、言ったかしらぁ?ポメちゃぁん?」
周りの温度を氷点下に変えながら、壮絶な笑みを浮かべたクーフェさんがポメに詰め寄る。全くポメも懲りないなぁ……
「クーフェさん。僕にでもできそうな仕事はありましたか?」
ジリジリとポメに詰め寄るクーフェさんに声を掛けると、雰囲気を一転させて明るい表情になり、嬉しそうに僕の隣にやってきて、掲示板の一角を指差す。
「やるんだったら、ここいらのが良いんじゃないかな?」
クーフェさんが指差した一角は低ランクの冒険者たち向けの依頼が貼ってあるブロックだった。
「水路の掃除、堆肥の運搬、廃棄物処理……」
上下水道が完備されていない所を見ると、こういう仕事も当然あるんだろうなという汚れ仕事が並んでいた。町中の作業なので危険は少ないけど、手当はそれなりだ。そりゃ、みんなやりたがらない仕事だろうからなぁ。
「こいうのは専門の業者がやっているんだけど、手が足りないのよね。だから定期的に貼り出して、増員募集を掛けてるの。確かに人の嫌がる仕事だけど、町の維持には必須で賃金もそれなりな仕事よ。まぁとはいっても怪我して外に出れない冒険者が偶に受けるような仕事だけどね」
クーフェさんが丁寧に説明してくれる。なるほど確かに専門でやる人がいなければ町は維持できないよなぁ。
「こういう仕事には身寄りがない孤児の人が多く就くの。身寄りがなければ仕事の選択の自由も大幅に制限がかかってしまう。これらの仕事は特に必要なスキルもなく、賃金も安定して入ってくるので後ろ盾がなくても生きていける仕事よ」
世知辛い世の中だなと思いながらも、そういう人がいることで町が町として機能しているんだと言う事を理解する。とは言え、僕がその仕事をしたいわけじゃないけど。
「これは?」
「あぁ、これは町の外に出るからちょっとだけ危険だけど、町からほど近い草原に多く生えている素材の採取ね。町から近いとはいえ、一角兎や走り蜥蜴、毒蛇など危険な獣が多くいて、運が悪いと死傷したりするから、冒険者に依頼するの」
「なるほど、他に危険な獣はいるんですか?」
「うーん、この町の外すぐだと、他には雑食モグラ、大型の百舌鳥くらいかしらね。どれも積極的には人を襲わないんだけど、何かの拍子に攻撃してくることはあるわ」
「それらの敵の特徴を教えてもらえますか?」
「一角兎は、強力な後ろ足の跳躍からの角での一突きが脅威よ。当たりどころが悪ければ重傷になるわ。毒蛇は毒を持っていて、噛まれてから手当をしなければ死んでしまう可能性があるけど、ここで売っている毒消しで治療できるわね。走り蜥蜴は脚が速いわ」
「足が速いだけ?」
「ええ、足が早くて捕まえにくいけど、噛み付いたりしてくるわけでもないし、草食だから基本的には安全よ。ただし突進をまともに受けると骨が折れるくらいの威力があるから、たまに怪我人が出てしまうの」
「はぁ、突進には気をつけます」
「雑食モグラは地中から飛び出してきて噛み付いたり、穴に足を取られて動けなくなった所を噛み付いたりしてくるわね。大型の百舌鳥は上空から急降下で急所を狙った攻撃をしてきて、獲物が弱ると上空に持ち上げて、鋭利な木の枝に急降下しながら刺し殺してくる。まぁ人間相手だと持ち上がらないから、急降下からの急所攻撃に気をつければ大丈夫よ」
「説明ありがとうございます。ファングとビークがいればなんとかなりそうな気がしますので、この素材収集をやってみたいと思います」
クーフェさんの丁寧な説明を受けて、僕はそう判断する。
「確かに風狼と火燕がいれば問題なさそうね。でもね、くれぐれも無理はしないこと。シン君はまだまだ小さい子供なんだからね」
「はい。わかりました。無理はしません」
立てた指を振りながら、片目をつぶって、お姉さんのように説明するクーフェさんに答える僕。
そして採取する素材の詳しい説明を聞いて、僕達は初めての依頼を開始するのだった。
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
恋人の父親に「嫁にはやれん!」と云われたオレは・・・
もっちり道明寺♪
ファンタジー
恋人の父親に呼び出されたオレ!
長女が音信不通で、跡取りの可能性が高くなった彼女!
周りからは「結婚をして跡継ぎを!」と云われているのを知っていた。
そろそろ潮時だと思っていた・・・
マジ初投稿の、チョー初心者です!
一人称というか、独白(モノローグ)風にしか書けないので、少々判りにくいかもしれません。
お手柔らかにお願い致します! 2018/9/16
m(__)m
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
異世界召喚されたのは、『元』勇者です
ユモア
ファンタジー
突如異世界『ルーファス』に召喚された一ノ瀬凍夜ーは、5年と言う年月を経て異世界を救った。そして、平和まで後一歩かと思ったその時、信頼していた仲間たちに裏切られ、深手を負いながらも異世界から強制的に送還された。
それから3年後、凍夜はクラスメイトから虐めを受けていた。しかし、そんな時、再度異世界に召喚された世界は、凍夜が送還されてから10年が経過した異世界『ルーファス』だった。自分を裏切った世界、裏切った仲間たちがいる世界で凍夜はどのように生きて行くのか、それは誰にも分からない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる