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お話

ロイド

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 コハルはロイドとのデートを楽しんでいた。正式に婚姻届を提出して以来はじめてのデートだ。ロイドは手を繋ぐ事には慣れてくれたのかすごく自然な流れで恋人繋ぎをしながら街中を歩いている。

 今日のコハルの服装はアイボリーのワンピースだ。髪の毛はおろしていて帽子もかぶっていない。なぜ姿を隠していないかと言うと、その理由はダビレアが発行させた新聞だ。記事一面にコハルと夫達の結婚を発表したのだ。しかも顔つきで。コハルの顔は大分美化されていると本人は悲しくなっていたのだが周りはありのままだと励ましてくれた。夫達の名は国民なら誰もが知っている面子の為下手に手は出せないだろうと良い虫除けになっている。一部の国民では推しが結婚してしまったと暫く立ち上がれない者達で溢れていたのだ。だがあの新聞のおかげで顔や髪を隠さなくても街に出られるようになったのはとても有難いことだ。

 ロイドの服装は濃いめのグレーパンツに白いシャツを着ていてとってもかっこいい。身長差がある彼の横顔を見上げると綺麗な銀髪が風に揺れて靡いてとてもかっこいい。

コハルの視線に気づいたのか目が合うとロイドは愛おしい者を見るかの様に優しく笑ったのだ。その破壊的な笑顔に顔を赤らめ思わず繋がっている手に力が入ってしまう。

背後にいた何人かの男女がロイドの笑顔を見てしまい「はうっ!」と言いながら鼻血を出しながら倒れているのを見て、気持ちは分かりますと心の中で合掌をした。

「待て!止まるんだ!!」

 突然場に似合わない怒号が響いた。急な大声に体で驚き慌てて聞こえてきた背後を振り返ると二人の男が騎士達に追いかけられていた。

ロイドはすかさずコハルの肩を抱き寄せ守るように警戒している。突然頬にロイドの逞しい胸板があたり大きな腕に抱きしめられ、非常事態だというのにときめいてしまった。ちらっと目線だけロイドに向けると、男達の行動を真剣に見ている。その顔がかっこよくて胸の締め付けが辛い。本当に大事にしてくれているんだと実感し顔が赤くなってしまう。

 逃げている男達が急に方向転換をしてコハル達に迫って来た。ぎょっとしたコハル。「すまない」と上から言葉が降ってきたと思ったらロイドが離れ、まるで映画のワンシーンのように男二人を殴り蹴散らした。抵抗して殴りかかって来た男達の攻撃を優雅にかまし一人を気絶させもう一人を地面に押さえつけている。

か、かっこいい!

本当にアクション映画を見ているようだった。ポップコーンとコーラがあったら最高だなと思ってしまう程に。興奮冷め止まぬコハルは手を合わせて瞳をキラキラさせていた。よく見たらそれはコハルだけではなく周囲の人達も同じようで皆目をハートにしてロイドを見ている。

 追っていた騎士達が駆け寄り逃げていた男達を拘束した。どうやら窃盗犯だったようでポケットからネックレス等の金品を取り出している。犯人を騎士達に引き渡したロイドは何やら慌てた様子で戻って来た。

「コハル!ぶじか!?」

え?なんで私?
私はただ映画を客席で見ていただけなのにどうして?

自分を心配する意味が全く分からないコハルはロイドの問に首を傾げた。

「そばに居なくてすまなかった。誰かに攫われないか心配で気が気じゃなかった」

ああ、そうか。以前攫われた事をまだ引きずっているのか。

コハルは背伸びをしてロイドの頭を撫でた。

「大丈夫です。ロイドさんすっごくかっこよかったですよ!かっこいい自慢の旦那さんです」

「旦那さん・・・」

「あ、怪我してませんか?手がちょっと赤くなってる」

 彼の右手の拳が赤くなってしまっている。拳を手で撫で痛くないですか?と彼を見上げた。彼の瞳はとっても優しかった。

「あの時の呪いをしてくれないか」

あの時?どの時だろう。あ、あれかな。森で初めて会った時に言ったあれ。でもちょっとここだと恥ずかしい。

 コハルは小声で唱えた。

「痛いの痛いの飛んでいけー」

聞こえるか聞こえないか分からない位の小声で言った。その言葉は合っていたようでロイドは満足そうに、嬉しそうに微笑みながらコハルの頬を両手で包み込む。

「ありがとう。俺のかわいい奥さん」

はううぅっ!!!

ズキューンとハートを矢で射抜かれ身体中真っ赤になったコハル。その笑顔でその言葉は反則過ぎる。

二人の雰囲気に周囲の人達も、彼の部下の騎士達も、犯人も顔を染めて立ち止まっている。

嬉しさ、恥ずかしさ、照れに悶えているとロイドも恥ずかしくなって来たのか徐々にその顔が赤くなり手を離された。

「す、すまない。こんな公共の場で」

耳まで真っ赤になったロイドは口を腕で隠し恥ずかしそうに目を泳がせていた。その姿が可愛い。

「ロイドさん!デートの続きしましょう!」

差し出した手を絡め取られ繋がる手と手が愛おしい。二人は笑顔でデートを再開させた。

日が暮れ、すっかり暗くなってしまった二人はホテルの一階にあるレストランで食事を楽しんでいた。同性カップルや女性一人を数人の男性が囲っている組み合わせは多い。逆に男女一体一のペアは珍しいのか、ロイドが有名人だからなのか視線が向けられて少し気になる。

デザートが三種類テーブルへ運ばれた。二人で真剣に悩み選んだデザートだ。デザートを選ぶ時のロイドの真剣な顔はとってもかっこいい。なのに悩んでいるのがデザートだからとっても可愛らしい。運ばれたデザートは流石ホテルレストランだけあってとても洗礼されていて美しい。まるでキラキラと輝く宝石みたいだ。

「コハル、あーん」

ドキッとした。こんな大人数いる中先程から視線を感じているのにラブラブあーんなんて恥ずかしすぎる。リア充くたばれと思われてしまう。しかも普段クールなくせに可愛くあーんだなんて悶え死にさせる気か。

だが何の下心もなさそうな爽やかなロイドの笑顔を見てコハルは顔を真っ赤に染めながら差し出されたデザートを口に入れた。

甘酸っぱいラズベリーとチョコの組み合わせが絶妙でとっても美味しかった。

コハルも目の前にあったデザートをスプーンで掬いロイドへ差し出した。

「ロイドさん、あーん」
「俺はいい。恥ずかしいから」

な、なんでやねーん。

ロイドは耳を染め顔を逸らしてしまった。コハルは恥ずかし思いをしながらやったのに自分は逃れられると思うなよと心の中で文句を言い座っている椅子をロイドに寄せた。肩と肩が当たるくらいに近づいたコハルはテーブルの下でロイドの脚にそっと手を置いた。ビクッと反応したロイドは慌ててコハルを見た。

「ロイドさんお願いします。はい、あーん」

顔を赤くし慌てているロイドは口だけ開ける。その口にゆっくりとデザートを入れた。もぐもぐと可愛く咀嚼している。

「美味い。これはなんだ?」
「んー、色的にはピスタチオだと思います。こっちはラズベリーでこっちはキャラメルかな?」

美味しい、美味しいと幸せそうに咀嚼しているロイドが可愛くて与えるのがとっても楽しくなった。二人はデザートの美味しさに恥ずかしいと思う気持ちが負け楽しそうに食べさせ合っていたとさ。

「これからどうしますか?」

デザートを食べ終え、食後の紅茶も飲み終えた。お腹はいっぱい。最高のデートだと喜んでいる。このまま帰るんだろうなと思い聞いてみたがロイドの様子がおかしい。あからさまにそわそわしていると言うか、緊張しているというか・・・。

テーブルに置いたコハルの手にそっとロイドの大きな手が重なった。

「ここのホテルに部屋をとってある。嫌なら断ってもいい。コハルが良ければ行きたい」

それって、そういう事ですよね。

ロイドの真剣な表情を見て顔に熱が集中するのを実感しながらコクコクと頷いた。

実はロイドとは婚姻届を提出してからまだそれ程日数は経っていないが、キスもした事がなかったのだ。もちろん体関係もない。

フロントから鍵を受け取り長い廊下を恋人繋ぎをしながら、お互い緊張しているからか無言で歩く。チラッと横目で隣を歩くロイドを見ると、特に強ばったりはせず普段通りの表情をしているのだが、耳が真っ赤になっていた。これはポーカーフェイスをしているのだが耳は誤魔化せていないのだろうと思わず口角が上がりそうになるのを堪えた。

とってくれた部屋にたどり着き鍵を開け扉が開く。

「すごい!きれい!」

部屋の中はシンプルながらとても豪華でテンションが上がった。何よりも綺麗だと喜んだのが大きな窓から見える街の夜景だ。キラキラとオレンジの街灯が町中を照らしとても絶景だ。コハルは窓に手を当て張り付くように窓から景色を楽しんでいた。そんなコハルを愛おしそうに見つめるロイド。

「気に入った?」

「はい!すごく綺麗です」

「そうか、よかった」

っーー!

いつの間にか隣に来ていたのかロイドは喜ぶコハルの頭にキスを落とし、抱きしめた。今迄にない愛のこもったハグに心臓の音がうるさい。

そう、今から大好きなロイドとするんだ。
女は度胸!

コハルはつま先立ちをして自分からロイドの唇にキスをした。唇同士が触れただけのとっても軽い口付けを。

ロイドは目を見開き固まってしまった。コハルは恥ずかしさが込み上げ慌てて体を離した。

「あの、お風呂!お風呂の準備してきます!」

コハルが離れた事により我に返ったロイドは慌ててコハルを追いかけた。

「俺がやるからコハルは座って待っていてくれ」

浴室へ向かったコハルの手を掴み椅子に座るよう促す。

「ロイドさんやった事あるんですか?」

たしか寮はシャワーだけだったはずだけど。

「・・・ない。でもこれくらい出来る」

ちょっとそっぽを向きながらボソッと言ったロイドが可愛くて、コハルは浴室へ行こうとするロイドの手を握った。

「一緒に行きましょ!私ホテルのアメニティ見るの好きなんです」

ロイドが頷きコハルと一緒に浴室へ向かった。浴室もとても綺麗で白くて大きめの猫足バスタブがあった。ロイドが真剣にお湯の温度の調整をしていてちょっと微笑ましくなる。

「温度はこれくらいで大丈夫だろうか」

「はい!完璧です。さすがロイドさんですね」

笑顔で褒めると見えない尻尾が揺れているかのように嬉しそうに微笑むロイドにときめいてしまう。

「一緒に入りますか?」

コハルの発言に驚いたロイドは目を泳がせた。

「あ、後で終わった後一緒に入る」

「わかりました!お湯溜まるまで待ちます?それとも先にシャワーで済ませて終わった後二人でゆっくり入ります?」

「さ、先にシャワーする」

「そしたらバスタオルとバスローブここに置いておきますね。私待ってますのでお先にどーぞ!」

笑顔でバスタオルとバスローブを取りやすい位置に置いて部屋に戻って行ってしまったコハルをロイドは真っ赤な顔をしながら見つめていた。

部屋の椅子へ座り、夜の街を眺めながらコハルはふと思った。

ロイドさん、もしかして初めてだったりしないかな・・・いやまさかね!あんだけかっこいい人なんだしまさかそんな・・・んんー。

だがロイドの緊張の仕方や今迄の行動は明らかに女慣れした人の行動ではない気がしてしまった。単に緊張しているだけなのだろうか考えてしまう。

ガチャ

浴室の扉が開いた。出てきた白色のバスローブを身にまとったロイドに思わず釘付けになる。胸元から覗く引き締まった体が男の魅力を引き立てている。

っーー!か、かっこいい。

あまりのカッコ良さに動けないでいるコハルにロイドは首を傾げながら近づいた。

「コハル?大丈夫か?」

「あ、ごめんなさい。ロイドさんがかっこよすぎて、お風呂入ってきます!」

逃げるように小走りで浴室に駆け込んだ。

なんだってあんなにかっこいいんだ!緊張するー!

落ち着け、深呼吸だと自分に言い聞かせながらロイドを待たせ過ぎてはダメだと思い急いでシャワーを浴びた。

下着は着けずにバスローブだけを羽織り前をとめる。

部屋へ戻るとロイドは窓際に立っていて外の景色を見ていた。その姿でさえ凄く絵になる。

「お待たせしました」

ロイドはコハルと目を合わせると何故か固まってしまった。

「ロイドさん?」

近づいて見上げると彼は真っ赤になりながら少し焦っているように見えた。

やっぱりこの反応って・・・。

「ロイドさんもしかして、初めてですか?」

失礼かもしれないが聞いてしまった。ロイドは先程よりももっと顔を赤らめバツが悪そうに頷いた。

「すまない。こんな、情けない」

彼は目を合わせないままコハルに謝罪した。コハルは口を開け驚いた。

まさか超モテてかっこいいロイドが初めてだったなんて思いもよらなかったからだ。

ロイドさんが初めて・・・
え?え!うれしい!

以前友達から童貞は下手で痛くて面倒だと聞いた事がある。たしかに自分が気持ちよくなるのは難しいかもしれないが、それよりも、何よりも大好きな人が自分以外の女性を知らないという事が嬉しい。むしろ初めての相手が自分で良いのかと思ってしまう。

今も恥ずかしそうにしている姿がとっても可愛い。

「あの、ロイドさんは私が初めての相手で大丈夫ですか?」

「・・・コハルがいい。コハルじゃないと嫌だ」

きゅっと手を握られ見つめられて胸がぎゅんと握り潰された。コハルは決意した。ロイドに気持ちよくなってもらって、自分色に染めて他の女性に靡かないように頑張ろうと。

コハルはロイドの手を握りベッドへ誘導した。彼は無言でついてきてくれ、大人しくベッドへ座った。コハルは元気よく電気のスイッチへ手を伸ばす。

「最初は恥ずかしいですよね、電気消しましょうか」

暗い方がこちらの情けない体型や表情が隠せて都合が良いので笑顔で言ったのだがロイドは首を傾げてしまった。

「明るいままでがいい。コハルをよく見たい」
「あ、そ、そうですね」

自分色に染めるのは中々ハードルが高いようだ。コハルは大人しく伸ばしていた手を引っ込めロイドへ向き合った。

「自分が情けない」
「大丈夫ですよ!大丈夫。私に任せて下さい」

俯いてしまったロイドの頭を胸に抱き寄せ優しく撫でる。ロイドは頭を上げると甘えるように優しく笑った。その笑顔に胸を鷲掴みにされキュン死しそうになるのを堪える。

「注意事項はあるか?」

ちゅ、注意事項だと・・・?
思わず噴き出しそうになる笑いを堪えた。
えっちの時の注意事項を聞かれたのが初めてだったもので、危ない。彼は真剣なのだから笑ってはいけない。

「痛い時はちゃんと言うのでやめてほしいです」

「わかった」

「あ、あとは、私気持ちいい時とかにやめてとか、もういいとか言っちゃうんですけど、そのまま続けてほしい、です」

「わかった」

ぎゃー!何言っちゃってるんだ私!今絶対顔真っ赤だ。私がリードしなくちゃっしっかりするんだ自分!よし!コハル、いきます!

太鼓を連打しているようにうるさい心臓の音を無視してロイドの頬に手を添えてキスをした。徐々に身体を密着させていき、今は座っている彼の膝に乗りながらキスをしている。舌を絡めたキスはした事がないのだろうかロイドからのディープキスはない。ならば自分からしようとコハルはちろっとキスをしながらロイドの舌を探した。

ビクッと彼の体が反応したのがわかった。嫌だったかなと不安になり閉じていた目を少しだけ開けると目を閉じながら一生懸命受け入れようとしてくれるロイドがいて慌てて顔を離した。

「コハル?」
「ロイドさん嫌な時は言ってくださいね?嫌だったりしてほしい事は遠慮なく言ってください」

怖がらないように笑って言ったらロイドは顔を染め瞳を合わせてきた。

「さっきのキス、たくさんしてほしい」

よかった。キスは嫌じゃなかったんだとほっとした。

優しく微笑み、再びキスをする。今度は深く舌を絡めて顔の角度を変えて。コハルはロイドの首筋を舐め上げその流れで耳朶を加えた。耳の形に合わせ舐め、耳の中を優しく攻める。ビクッと反応した彼は声は出さないもののプルプルと震えて耐えていた。その姿がとても可愛くて母性本能を擽られる。

「ロイドさん横になってください」

ロイドは言われた通りに横になった。その上にコハルが跨りロイドのバスローブの前止めをゆっくりと緩めはだけさせる。息を飲むほどに綺麗で引き締まった体にときめいてしまった。色白なのに厚くて割れた腹筋は男らしすぎてどうにかなってしまいそう。綺麗な薄ピンク色の乳頭がコハルを誘う。

コハルはそっとロイドの乳頭へ顔を近づけ、チロチロと舐めた。普段からしてもらっている側だった為、今自分がしているこれが気持ちいいのか分からないけど、気持ちよくなってほしいから一生懸命両方の乳頭を舐めた。

徐々に体を下へずらしロイドの肉棒の近くで顔を止めた。まだバスローブで隠れているが膨らみが大きい。意を決してバスローブをどかすと、ボロンと大きい肉棒が反り勃った。

すごい、おっきい。色もきれい。

さすがは使っていない肉棒といったところか、ピンク感が強く出ていてとても綺麗だと思った。

徐に先走りが出ている肉棒の先っぽを舌でちろっと舐め、パクッと口に入れた。

「っダメだ汚いだろう!」

ガバッと起き上がり止めようとしているロイドの言葉を無視して口いっぱいに肉棒を咥え舌でむにゅむにゅと舐めた。だが所詮コハルの口は小さいので全部咥える事が出来ず、肉棒の根元を手で握り上下に動かす。

「くっ・・・・・・」

くぐもった声が聞こえ嬉しくなったコハルは一生懸命動きを続けた。

もしかしたら初めて口でイかせられるかもしれない!

元彼にはもどかしいと言われクルトとアルトにもイかせてあげられなかったのだがロイドとなら出来るかもしれないと意気込んでいたが、ロイドがコハルの肩を持ち上げちゅぽんという音と共に顔が離れてしまった。

な、なぜ!?

「気持ちよくなかったですか?」

不安になりながら顔を上げると顔を赤らめ我慢しているように肩で呼吸をしているロイドと目が合った。決して軽いはずがないのにロイドはコハルを軽々と抱き寄せ身体を反転させコハルをベッドに縫い付ける。

ロイドはコハルに跨り、未だバスローブでしっかり隠れているコハルの裸体をむき出しにした。突然裸を見られ恥ずかしくなり手で隠そうとするがその手をロイドに押さえられ隠すことが出来ない。羞恥の情が込み上げ目を合わすことが出来ず顔を逸らしてしまった。

「綺麗だ・・・すごく、きれいだ」

お世辞でもうれしい。嘘でも嬉しい。
ゆっくりと目を合わせると本当に柔らかく微笑むロイドがいて胸のドキドキが煩い。

ロイドはコハルの首筋を舐め上げその流れで耳朶を加えた。耳の形に合わせ舐め、耳の中を優しく攻める。先程コハルがロイドにした事をそのままされた。先程と違うのはコハルが敏感な為声が漏れてしまっていること。

「耳は、いやか?」

耳元で囁かれ息が当たる。それだけでも感じてしまう。

ここで嫌だと言ったらやめてしまうかもしれない。それは嫌だ。ロイドは何も知らないから意地悪もしない。彼には素直でいなくちゃと思ってしまった。

「ん・・・いや、じゃないです」

「首は?」

「んあ・・・きもちいい、です」

首筋を舐められビクビク反応するとロイドは満足そうに「そうか」と呟いた。

胸をゆっくりと揉まれ胸の頂きを優しく舐められる。どの位の加減か分からないのだろう痛くないように、傷つかないように優しく舐めて吸われて強くない甘い刺激がもどかしい。それでも彼は一生懸命だから可愛くて仕方がない。

ロイドはコハルの両足を広げて蜜壷に顔を近づけた。まじまじと見ているのだろう何もない刺激に見られている羞恥心が込み上げ足を閉じようと力を入れた。

「これじゃ見えない」

「み、見なくていいです!」

ロイドはあからさまにムッとした顔でコハルの足を再び広げた。つんと陰核を指で軽く突く。

「ここは?」

え!?な、名前?名前を言えばいいのかな?

そんな事聞かれたことがなかったので焦ってしまう。フルネームは業務的だしどうする!?

「く、クリちゃんです!」

「くり・・・ちゃん?」

恥ずかしくて手で顔を隠しながら名前を言ったのだが質問を間違えてしまったのだろうかロイドがクスッと笑ったのがわかった。

「クリちゃん」

ロイドは愛おしそうに呟き陰核にキスをした。ビクッと体が反応してしまう。

陰核を優しく舐め転がされ、柔らかくて熱い舌全体でねっとりと隘路を舐めしゃぶられる衝撃に、目の前が真っ白になるほど暴力的な快感が全感覚を支配する。
じゅるじゅると溢れる蜜を啜られ、蜜穴の浅いところを抉られればビクビクと腰が跳ねた。

え、うそ!?気持ちいい
今までこもった喘ぎ声だったのに本気の喘ぎ声が止まらない。甘い優しい刺激だけ味わうのだと思っていた。油断していたのか心の準備が出来ていなかったのか何故か裏切られた気持ちになる。こんなに気持ちいいと思わなかったから。

「も、もう大丈夫です!大丈夫だからっんぁん、んんーーーーー!」

もう大丈夫と言った後の刺激が強かった。激しく陰核を吸われて中に指を入れられているわけでもないのに達してしまった。

ぐだっとだらしなくなった脚の間でロイドは未だ舐め続けている。ウォルトといいロイドといいどうして舐め続けられるのか不思議だ。

コハルは上半身を起こし、ロイドの頬を手で支えいつまでも舐め続ける彼を下半身から離した。不思議そうに首を傾げる彼が愛おしい。テカテカに光ってしまった彼の口周りを指で拭きキスをした。

ロイドにあぐらをかいてもらい上に跨る。彼の肉棒の先を蜜壷に当て入れる準備をした。

「っーコハル」

彼の言葉を無視してゆっくりと蜜壷の中に入れる。あんなに濡れていたからすんなり入るかと思っていたのに、中が解れていなかったからミチミチと肉壁が邪魔をする。けっして痛くはないのだがロイドの質量に驚く。

ゆっくりと腰を動かしながら、ゆっくりと中に入れている。ただそれだけの事なのに凄く感じてしまう。多分それは彼のどうしようもなく崩れた表情を見ているから。彼の初めてを手に入れた喜びから。

やっと最後まで入った。それが凄く嬉しくて自然と笑顔になってしまう。

「ロイドさん、愛してます」

ロイドは破顔しコハルを抱きしめた。

「愛してる」

愛している人とひとつになれるってこんなにも幸せなんだと実感し抱きしめ返す。ゆっくりと腰を動かすとロイドが反応するのが面白くて徐々に動きを激しくした。

「待ってくれ!コハルっ」

余裕がなくなるロイドが面白くて可愛くて虐めたくなる。コハルがやっている激しいは一般的な激しい枠には全然収まらない動きなのだが、初めてのロイドにとってこの刺激は堪らなかった。

「っーーー」

ロイドが呼吸を止め静止した。中に熱いものが流れているのに気がつき、コハルも動かしていた腰を止める。

「ロイドさん、イっちゃいました?」

かああと顔を真っ赤に染め悔しそうにしながらコハルの肩に顔を埋めた。一分いや、二分位は経ったのだろうか。早かったなと思いながらも彼の姿が可愛くて、母性本能で心が埋まっているコハルは優しくロイドを抱きしめて、子供をあやす様に頭を撫で続けた。

「大丈夫ですよ。私も凄く気持ちよかったです。一緒にお風呂入りましょ?」

ぽんぽんと背中を叩いて体を離そうとしたらガシッと腰を掴まれた。首を傾げて覗き込む。

「まだだ」
「え?でも出ちゃって」
「もっと」
「あっやぁっん、ん、んー!」

腰を持ち上げられベッドに寝かせられたと思ったら腰を打ち付けられた。一回出したばかりだと言うのにロイドの肉棒は大きくて硬いまま。気持ちのいいところに当たり腰が逃げる。逃げ腰をしっかりと掴まれ気持ちのいい角度で固定されどうしようもない快楽が襲い、閉じた目の中でチカチカと星が飛んだ。

「んやぁっまって!いっちゃうっいぐ、んあー!」
「っーー!・・・もっと」

それからバック、背面座位、駅弁、様々な体位をした。教えていないのに出来てしまう。彼の本能がそうさせたのだろう。コハルは何度も達していまいぐったりしている。ロイドも二回程達したはずなのに彼はまだいけそうだ。さすが第一騎士団団長。体力おばけにも程がある。今もちゅっちゅとコハルの機嫌を伺うように頬にキスをして甘えてくる。

「コハルもう一回。ダメ?」

ダメ?なんて可愛く首を傾げても無理なものは無理だ。でも可愛すぎて強く言えない。

コハルは本当に勘弁して下さいと縋るようにロイドの首に腕を回した。

「ロイドさんまた今度にしましょ?次もあるって思えばお楽しみが増えますよ」

「次もあるのは当たり前だ」

ムッとしてしまったロイドが可愛い。

「私すごく気持ちよかったから、これ以上気持ちよくなると壊れちゃいます」

「・・・壊れてもいい。そうしたら俺だけ見てくれるか?」

「もう!歪んでますよ!」

絶倫童貞め!
顔を離して真剣に怒れば、彼はきょとんとした後破顔してキスをして来た。

「お風呂入ろう」

彼に言われた通りにお風呂場へ行こうとしたらお姫様抱っこをされた。こういうかっこいい事をさらっとしちゃうんだとときめく。

お風呂場に入りショックを受けた。お湯を出しっぱなしにしてしまったのだ。ホテルや水に困っている人に申し訳ない事をしてしまったと反省する。溢れた浴槽に二人で入り寛いだ。ロイドの上に座り背中を預けている。一人で反対側に座ると言ったのにこれがいいと言われてしまった。

ロイドはコハルのお腹を優しく撫でている。
感触が気持ちいいのだろうがやめてほしい。最近たるんでいると自覚しているんだ。恥ずかしい。

「幸せだ」

そっとつぶやいたロイドの言葉が嬉しい。ロイドは二人っきりだと甘えん坊さんになる事がわかった。たしかに幸せだなとコハルも穏やかな顔をして目を閉じた。





***


コハルの寝室にてロイド以外の夫達は各自寛いでいた。そんな中、ウォルトは大きい窓から月を眺めて大きくため息を吐いた。

ウ「団長大丈夫かな」

その言葉はしっかりと他の夫達の耳に届いていた。実は彼等はロイドが童貞なのを知っている。そして今日卒業する事も知っていて心配なのだ。

ア「“男の嗜み”受けたこともないって言ってたよね?」

ラ「あの顔と肩書きだったらいくらでも相手いただろう?」

ル「ロイド様・・・ロイドは仕事一筋でしたから興味なかったんですよ」

ジ「・・・・・・(コハルが心配)」

ア「明日酒でも飲みながら話聞いてあげよーよ」

ウ「いいですね!そうしましょ!」

ク「俺が酒用意するよ(何かアドヴァイスしてあげられればいいんだけど)」

何だかんだでコハルの夫達は仲良しです。

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