【R18】騎士たちの監視対象になりました

ぴぃ

文字の大きさ
上 下
53 / 67

50

しおりを挟む


 コハル達一行はピクニックをする草原へやって来た。だだっ広い草原は青々しくとても綺麗な空気が流れている。何でもこの草原には人が来ず、一人になれるとラウルが仕事を抜け出してやって来る場所だと教えてもらった。公爵家の馬車をおりたコハルはまず最初に御者にお昼ご飯を渡した。事前に彼の分も用意してもらっていたのだ。御者はまさか自分の分があるとは思わず、渡された袋を受け取り感動をしている。その行為を見ていた三人は微笑みながら彼女を待っていた。

 コハルと双子がピクニックの準備をした。いよいよ始まるピクニックにコハルはずっとニコニコしている。

広げたピクニックシートの上を裸足で歩く。下の芝生が少しチクチクする感覚が何故だか懐かしく思えた。

楽しい会話をしながら食事を終え休憩をする。コハルはシートの上ではなく直接芝生の上で寝転んだ。爺やが見たら怒られてしまうかも。焦る爺やを想像すると面白い。コハルがニヤニヤしていると双子が彼女を挟む様にして寝そべった。普段の仕事で疲れているだろう二人は芝生の感触とそよ風を感じ、気持ち良さそうに目を閉じている。

「コハル号発車します!」

双子はコハルの突然の発言に驚き目を開けた。するとコハルがごろごろと転がりながら双子の上を行き来し始めた。最初は何事かと思った双子だがコハルが笑いながら転がって来るものだから、自分の上を転がる時にわざと重たそうに「ぐえっ」と声を出したりして反応をした。それがコハルには嬉しい様で彼女は声を出して笑っている。双子も自然と笑顔になる。

 目が回ったコハルは疲れたのか地面にうつ伏せになり呼吸を整えた。すると、ラウルが彼女の隣で寝そべる。コハルにはこの行為がとても意外だった。てっきりラウルはこういうこと好きじゃないと思っていたので。そっと手を伸ばし、彼の前髪を横に流す。

「かっこいい」

あまりにも綺麗な横顔に思わず呟いてしまった。ラウルは満足そうに笑いながら目を閉じている。

「コハル俺は?俺もかっこいい?」
「俺も、どうかな?」

いつの間に横に来ていたのか、双子がコハルのそばに座っていて彼女を覗き込む様に前かがみになっていた。その姿が可愛くてコハルはクスクスと笑った。

「アルトもクルトも凄くかっこいい!」

本当に三人はかっこいい。改めてこの三人の妻で良かったと思う。有難い事だなーと思いながら仰向けになる。綺麗な空気、空には神獣がいて・・・

「あれって神獣?」

上空には二頭の神獣が輪を作って回っていた。神獣については爺やから学んだことがある。あれは馬の姿に似ているペルディクルと、ライオンの姿に似ているライオニオンだ。でもその名前に違和感がある。それに初めて見るのにそれ程感動していない。それどころか何処か懐かしさを感じ首を傾げた。


「・・・初めて見た」

寝そべりながら神獣を見つめているラウルの瞳はとてもキラキラしていた。あのラウルが瞳を輝かせている。その姿がとっても可愛くて、やっぱり男の子だなとコハルは微笑んだ。双子も輝いているのかな?と思い彼等を見ると、全くの真逆で驚く。全然嬉しそうではないのだ。どこか焦っている様にも見えた。

「クルト?アルト?」

どうしたのだと身体を起こし、彼等に向ける。二人は怯える様にコハルの手を握ってきた。

「コハル約束覚えてるよね」
「俺アンタの事ずっと好きだから」

双子は神獣がコハルを迎えに来たのだと思い込み焦っていた。握っている手をコハルが握り返してくれても不安が募る。このまま連れてかれてしまうのでは無いかと神獣の位置を確かめるべく徐に顔を上げると、神獣はいなくなっていた。緊張が途切れた二人は脱力し、深い安堵の溜め息を吐いた。

愛情表現がまだ足りないのだと勘違いをしたコハルはこほんと咳払いをし二人の手に自分の指を絡ませる。

「ずっと一緒だよ」

コハルの言葉が嬉しくて双子はコハルの手にキスを落とした。



ウォッホン!

正座に座り直し盛大な咳払いをしたコハル。なんだどうしたと三人も座り直した。

「私の夫達は勃起不全でしょうか」
「「「・・・・・・」」」

コハルの言葉に三人は固まり沈黙が続く。綺麗な顔をした三人の夫達はきょとんとしている。

・・・しまった!もっとオブラートに包む筈だったのに!

ストレートに言ってしまい、この空気に耐えきれず慌てるコハル。

「あの、その、皆してくれないからそうなのかなって・・・もっもしそうなら自己処理するしっ教えてくれたら色々と割り切れるかなって」
「「「・・・・・・」」」


何を言ってるんだ私は!
場の空気に耐えきれず余計な事まで言ってしまった。

コハルは合わせる顔がなくなり、赤面を隠そうと両手で顔を隠し伏せた。すると、三人が盛大に笑い出す。笑えるものなら笑うがいいとコハルは心の中で叫ぶが顔は上げる事が出来ない。

「どうやら俺達の妻は欲求不満らしいな」
「ごめんねコハル。我慢させちゃってたね」
「自己処理ってどうやってするの?俺、見たいなー」

三者三様どんな表情をしているのか想像出来る。ラウルはニヤニヤしていて、クルトは穏やかな顔をして、アルトはニマニマしているだろう。

顔は隠れているが、隠れていない耳が真っ赤に染まっているのを見て三人はとても楽しそうに笑っている。

「自己処理しようなんて思えない程可愛がってやる」

いつの間にそばへ来たのか、至近距離からラウルの声が聞こえた。本当に?と言いながら指と指の隙間を広げて伺う。ラウルはヤンキー座りをしながらコハルの頭に手を置いた。

「ああ。覚悟しておけよ」


しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

処理中です...