【R18】騎士たちの監視対象になりました

ぴぃ

文字の大きさ
上 下
37 / 67

34

しおりを挟む


 早朝

「あんた、その格好恥ずかしくないの?」
「ん?全然恥ずかしくないですよ!私が暮らしていた所では当たり前の格好ですから」

 コハルは昨日ユリウスから頂いたデニムパンツと白シャツを着用して作業をこなしていた。デニムパンツは少しキツめではあったが、デニムは伸びるので気にならない程度だ。デイジーはおそらく脚の形が分かってしまうのが恥ずかしくないかと思っているのだろう。だがコハルにとっては全くもって気になることではない。

 現在、朝の食堂ではコハルとデイジーが朝食の準備をしている。ただいつもと違うのは、ここにユリウスがいることだ。
 彼は護衛を連れて食堂の席に着き、スケッチブックに絵を描いている。意外な事に彼の趣味は絵を描くことで、白シャツとデニムパンツ姿で働くコハルを描きたいと申し出た。コハルは断る理由がなく許可をしたが、許可をした後で後悔をした。ずっと見られているのは何だか居心地が悪い。

 前かがみになりながらテーブルを拭いていると背後から視線を感じた。上半身だけ後ろを振り返ると食堂の入口には朝の鍛錬を終えた騎士達が固まってこちらを凝視している。クスクスとユリウスの笑い声が聞こえ何事かと彼を見るとニンマリ顔をしながら手を動かしていた。

 コハルは気にもとめていないのだが騎士達はズボンを女性が履いているのを見たことがなかった。脚のラインが分かり、前かがみになっている為お尻の形もはっきりと分かってしまう。気のせいかもしれないが女性に免疫のない男達は一番大切な所がくい込んでいる様にも見えてしまう。あまりにも刺激的な視界に思わず見続けてしまい、中には鼻血が出てしまっている者もいた。

「なんだ、やっぱり痴女じゃないか」

 聞きなれない声の言葉に思考が固まった。

 痴女?今、痴女って言われたの?

 何が起きているのか考えられず声のする方向に視線を向けると、そこには見慣れた騎士達より頭ひとつ分背が高く、淡い栗色ロングヘアに瞳の下にホクロがある色っぽいお姉さんがいた。いや、喉仏が見えているので限りなく女性的な顔をした男の人がいた。
 前方にいた騎士達はその存在に気づくと一斉に道をあけた。

 もしかしたら偉い人かもしれない。でもこの人が私の事を痴女って言ったんだよね?え。どこが痴女?というか誰ですか?

 混乱しているとその人は真顔のまま近づき下から上へ、上から下へとコハルを見た。その行動に不愉快を感じたコハルだが大人な対応をとるために軽く挨拶をした。相手の返事を聞く間もなく厨房へ向かおうと方向転換をしたが、その人に手を掴まれてしまった。

「ちょっと待ちなよ。挨拶してそれだけ?俺の事気にならないの?」

「とくには。仕事の途中ですので用がないなら失礼します」

 内心びびりまくりのコハルだが表に出さないよう淡々と話す。そんなコハルの態度に彼は肩を震わせながら大笑いをし始めた。

 なにこの人、すごく恐いイケメンなんだけど。

本能で関わってはいけないと思い腕を振りほどこうと手を動かすが全然離してくれない。

「てっきり男好きの痴女だと思ってたのに俺を見て素っ気なくするのって作戦?いいねぇ。物語が湧いてきた!」

 笑顔で掴んでいる手に力を込めてくる男が本気でやばい人だと思い、反対の手で思いっきりチョップをかましてやろうと思ったら変態男の手をいつの間に居たのかジークバルトが離してくれた。彼はその人よりも背が高く、背後に隠れた変態男の姿が見えなくなりほっとした。

「ジークバルトさん?」

 彼は無言のままこちらを向くと手のひらを体の中心で立て、ごめんねとジェスチャーしてくれる。

「助かりました。ありがとうございます」

 ジークバルトに笑顔を向けるとひょこっと変態男が顔を出して態とらしく唇を尖らし文句を言った。

「邪魔するなよジークバルト。もう少し話させろよなー」

 ぶーぶーと文句を言っている変態男をどうどうとおさえているジークバルト。この状況誰かどうにかしてください。

「ジュフェリー団長!?どうしてここにいるんですか!」

 ウォルトの声が食堂に響き渡った。
 団長?ロイドさん以外にも団長がいるんだ。え、この変態さんが団長?

 混乱しているとウォルトが近づいてきて大丈夫かと気にかけてくれる。大丈夫だよと伝えると彼は安堵のため息を吐いた後コハルを背後に隠し少し険しい表情で変態を睨みつけた。

「第二騎士団団長のジュフェリー様と副団長のジークバルト様がなぜここにいるのですか?」

「いやー、一目見たくてね。そしたら格好がもう痴女だし、なのに俺の事見ても興味なさそうだし、すごくいい執筆のモデルになりそうなんだよ!」

 変態は第二騎士団の団長さんでジュフェリーと言うらしい。彼は興奮しながら意味の分からない事を言っている。

 痴女ってなによ!痴女って!

 コハルはぷりぷり怒りながらも仕事中の為早く作業しなくてはと変態をほおっておいて食堂に行こうと足を進めたその時、お尻に違和感を感じた。驚いて後ろを振り向くと先程の変態が両手でコハルの尻を揉んでいるのだ。しかもその手はどんどん中心へ近づき最終的には一番大事なところを撫でられてしまった。

 !?!?!?!?!?

 声にならない悲鳴とはこの事である。あまりにも突然の事で固まってしまったコハルをジュフェリーは首を傾げて不思議そうに見ている。

「あれ?何も感じない?それにしても小さい尻だな。もう少し大きい方が俺好みなんだけど」

 もみもみもみ なでなでなで さわさわさわ

 周りも状況がつかめない中、触り続けるジュフェリーに対しやっと自分がなにをされているのか理解したコハルは後のことを考えずに彼の股間を思い切り蹴りあげた。

 「ってーー!!!!!」

 ジュフェリーは自身の股間を手で押えながら床に転がりのたうち回っている。そのあまりの痛さを想像した他の騎士達も自身の股間をおさえた。

ジークバルトは無表情で拍手をしていて、ユリウスは大笑いをしていて、ウォルトは顔面蒼白である。

コハルも自分の行動にやってしまったと焦り慌てて床に転がっているジュフェリーに謝罪をした。

「ご、ごめんなさい!やりすぎました」

 ジュフェリーはあまりの痛さに悶絶していて返事をする事が出来ない。ウォルトは焦っているコハルの肩に手を置いて慰めようとしているが、彼の方が泣きそうな顔をしている。

「コハル大丈夫ですか!?気持ち悪かったですよね。守ることが出来ず申し訳ございませんっ」
「ウォルト君泣かないで?私も突然の事で理解する事が遅くなっちゃって」

 でも正直のたうち回っている変態を見てすっきりしている事は内緒だ。

「何事だ?」

 とんだ修羅場にロイドとルイスが現れてその場はおさまった。

しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

処理中です...