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第二章

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 影との遠征が終わり騎士の五人は騎士業に励んでいた。最初の一週間程はリリーの笑顔を忘れられず常に思ってしまい大変だった。それも一ヶ月という月日が流れ、多忙という事もあり忘れかけていた時、次の影での訓練日が決まった。

 明日、影での訓練が再開される。
いっそこのまま影の訓練が無くなれば思い出だけで終わるのにと思いながら五人は今日、騎士の模擬戦に参加をしていた。

明らかに強くなった五人に一般騎士達は手も足も出せない。互角に対戦出来るのは隊長各等の上級騎士達だ。

 このジョン・アーノルド団長が率いる騎士団は二十班の部隊に構成されている。ここに五人は含まれていない。彼らは特殊枠としてジョンの部下として所属していた。



 平民出身のリヒャルトが、第七班副隊長を負かした。

貴族出身であり、平民を馬鹿にしていた副隊長は悔しそうに顔を歪め地面に拳をつける。他の平民出身の騎士やリヒャルトに好意を持つ騎士達からの歓声を受けたリヒャルトは笑顔を浮かべ腕を上げた。

「お見事!凄い上達だね俺も鼻が高いよ」

ベンチに戻ったリヒャルトを待ち受けていたのは笑顔が穏やかな団長のジョン。彼の周りにはいつもの四人がいて、彼らはリヒャルトが勝つのが当然だといった顔をしている。

「動きが遅すぎて余裕っすよ・・・影の連中に比べたらまだまだって感じ」

リヒャルトは内心不安だった。
影での訓練が無くなり周りの動きが遅く感じてしまう。先程の模擬戦も相手の動きが読めてこれっぽっちも手応えを感じなかった。
このままでは体が鈍ってしまうのではないか。

「それじゃあ俺と対戦しよっか。折角だから全員相手してあげる」

五人は固唾を呑んだ。
自分達の強さをはかる絶好の機会。

バトルフィールドに上がったジョンの姿に他の騎士達は食い入るように見やった。普段ジョンは模擬戦をしない。常に傍観者。戦場でも後衛にいるため下位の騎士達は団長の強さを知らなかった。だから皆興味津々といった態度で見ている。

そして今日、この場にいる騎士全員がジョンの圧倒的強さを目の当たりにした。

ジョンが可愛がる五人の騎士達は彼に手も足も出せずに吹き飛ばされた。ジョンからの攻撃を防ぐ事が唯一の出来だ。

やっぱり団長は強い。強くてかっこいい。
だから彼らは団長についていく。
五人は対戦してくれた事への礼としてジョンに敬礼をした。

「うん。やっぱり君達強くなったね。嬉しいなー。リリーにご褒美あげなくちゃ」

リリー。
久しぶりに聞いたその名前に体が反応してしまう。もういいや、忘れようと思うのに時々思い出してしまう彼女。

リリーの名前を出すと彼女を考えているのが面白いくらいにわかりやすく顔に出る可愛い部下をニマニマしながら見るジョン。

「それじゃあ明日も頑張ってね」

ジョンが去った後、ベンチに戻った五人。
ウィルフレッドが口を開いた。

「明日俺は早めに行く」

「・・・皆で一緒に行こうよ。バラバラで行くよりいいっしょ」

リヒャルトの言葉に明日全員で早めに影の訓練へ行くことにした騎士達であった。



***

ー翌日ー

 訓練開始時間よりも早く影の訓練場でやって来た騎士達。中へ入ると奥の方で人集りが出来ていた。影達は何かに夢中になっていて久しぶりにやって来た騎士達に気づいていない。

そこへ騎士達の目の前で目を疑うような格好をしたティアラが荷物を持って通過しようとした。

彼女は妖艶な体付きをしている美しい影。そんな彼女が黒いバニーガールのコスプレをしている。

「あら?貴方達早いのね。悪いけどまだリリー借りるわよ。・・・ふふっ、どうかしらこの格好」

溢れそうな膨らみの胸を更に強調させ、その美貌を見せびらかしたティアラ。騎士達は初めて見る卑猥で魅力的な格好をしている彼女から目が離せないでいた。

「初心ねえ・・・ただ見てるだけじゃなくて触ってもいいのよ?ほら、こことか」

ルークの手を取り胸の谷間を触らせようとしたところでシルヴィの大きな声が響いた。

「ティアラ早く!次持ってきて!早く見たい!」

「もう、せっかちなんだから。貴方達も見てちょうだい。一般的な男の意見も聞きたいから」



 ティアラに言われ人集りへ向かった騎士達。
その中心には黒い猫のコスチュームを身につけたリリーが居た。この場にいる全員がリリーを観察している。

今夜はティアラとリリーがある館の地下に捕らわれてる違法奴隷達を解放すべく潜入任務をする。そこの従業員となるべく衣装合わせと潜入練習をしていると説明を受けた騎士達。

「黒猫も良いけどこっちの白猫の方が胸元にケープがあるから胸の小ささカバー出来ると思うのよね。リリー着替えてきて?」

指示通り着替えて戻って来たリリーは白猫のコスプレをしている。白い猫耳を付けオフショルダーで肩を露出し、胸元はケープで覆われるがしなやかなくびれを露にしたへそ出し。ミニスカートからは長くて白い猫のしっぽが出ている。脚は腿のつけ根までの粗めの網タイツを履いていて全身白コーデだ。

なぜそのような格好をしているのか疑問を抱いた騎士達だったがその可愛らしさから目が離せないでいた。

「黒と白どっちがいい?」

ティアラの問いに一斉に影達が騒いだ。
「白!」「黒!」「黒!」「白!」意見が割れる。

「貴方はどっちがいいと思う?」

ティアラがエレンに意見を求めた。
エレンはリリーに視線を向けたまま真面目に答える。

「僕は・・・白かな」

ヒラッとリリーのそばでスカートを捲りあげたシルヴィ。白いレースのショーツが露出された。

「白のレース最高っ!リリーさん後ろ向いて」

言われた通り背中を向けたリリー。
再びスカートを捲ったシルヴィがとった行動に影達は一層興奮した。

((( Tだと~~っ!!? )))

リリーが穿いていたのは白いレース生地のTショーツだった。プリっと上向きの小尻に食い込む生地がその良さを引き立てる。

「白にしよう」「白一択で」
リリーの衣装は白猫に決定した。

「今夜の潜入先は獣人コスプレ大好き変態人間が集まる場所よ。リリーは猫だから会話は猫の鳴き真似なの。はい!練習!」

ティアラから指示を受けたリリーは恥ずかしくなった。

知らない人が相手だと演技で切り替えられるがここに居るのは長年共にした仲間達だ。
そんな彼らに見られながら猫の鳴き真似をするなんて、恥でしかない。

チラッと仲間を見たリリー。
彼らは面白い物を見るかのようにニヤニヤしながら楽しんでいる。そんな彼らを見れなくなったリリーは視線を泳がせ、顔を赤くし呟いた。

「・・・・・・にゃ、にゃあ」

((( リリーが照れた~~っ!!! )))

悶絶し崩れ落ちる者、赤らめた顔を隠す者、固まり動けなくなる者等様々なリアクションを取る影達。

騎士達は瞠目し動けないでいた。

「客は基本お触り禁止よ。頭を撫でることだけ許されている。見て楽しむのがルールなの。ただし女の子はチップを貰う為に客に縋るの。ウィルフレッドが客役ね。貴方は満足したらチップをリリーに渡す。リリーはチップを受け取ったら喜ぶ。わかった?」

突然ティアラに背中を押されたウィルフレッドがリリーの前に立った。彼の手にはティアラに渡された紙幣が握られている。

ウィルフレッドの目の前でリリーがしゃがみこみ、不安そうな眼差しで彼を見上げた。
視線が合うとそれだけでチップを渡そうとしたウィルフレッドをティアラが慌てて止めた。

「それじゃ練習にならないでしょ!真面目にやりなさい」

叱責を受けてしまったウィルフレッドは差し出した腕を戻した。リリーは頑張って彼のズボンを握り引っ張りながら猫の鳴き真似でチップをくれと縋る。

すぐチップをくれると思っていたのにウィルフレッドは見てるだけ。リリーは焦った。こんな恥ずかしいこと早く終わらせたいのに、どうして終わりにしてくれないのだと。

立ち上がったリリーはウィルフレッドの胸元の服をちょんちょんと引っ張った。

「にゃぁっにゃあ、にゃあぁ」

ずっと目が合ってるのにチップをくれない。
困ったリリーはティアラに振り向きしょぼくれた。

「にゃぁ・・・」

ぞくぞくとティアラのS心を刺激したリリー。ティアラはぐっとその気持ちを抑えウィルフレッドの目の前で手の平をヒラヒラと振った。それでも無反応なウィルフレッド。

「あ、これダメだわ。もってかれてる・・・上出来って事で良いかしらね?」

ウィルフレッドはリリーの可愛さに魂を抜かれてしまった。普段必要最低限の言葉しか話さず、無表情な彼女の別の一面にやられてしまったのだ。

「ずるい!僕も一緒に客として潜入する!場所教えてよ」

シルヴィが羨ましいと吠え始めた。

「あんたは別の任務があるでしょ。それに客として入っても意味無いのよ・・・はい!それじゃあこれからが本番ね。客は女の子同士の絡みを見にやって来るの。これから私がリリーにキスをする。リリーは声を我慢せずに受けるだでいいわ。貴方達はよく見てこれで客が満足するか判断するのよ?わかったわね」



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