チート無しっ！？黒髪の少女の異世界冒険記

八章 決意する少女

闘技場での戦い その２

　死合を終えた私は部屋へと戻り、周囲を見渡すとベッドの近くに置いてある収納ボックスを確認すると魔法のポーチは確かにそこに置かれたままだった。

　いない間に盗まれるのではという危惧もあったが、そこはきちんとしてくれているようだ。

　シャワーを浴びようと服を脱ごうとしていると、部屋のドアがノックされた。
　誰だろう……？

「誰ですか……？」

「食事だ。ドアを開けろ」

　ドア越しに問うと、兵士の声が聞こえてきた。
　どうやら食事を持ってきてくれたようだ。

　私はドアを開け食事を受け取るとパンとスープ、肉にサラダといった当たり前の食事が提供された。

　昨日出された食事もそうだったが、奴隷だった時にはこのようなまともな食事は提供されなかった。
　例え死合に勝ったとしてもだ。

　出された食事を口にするときちんと調理された美味しい料理。
　この部屋もそうだが、私は奴隷のトーナメントに出場しているとは言え、"ゲスト"として扱われているようだ。

　その反面、負けたときがどうなるのかが恐ろしく感じてしまう。

　負けた途端に奴隷として扱われる可能性も否定できない。

　その時は剣闘奴隷グラディエーターとして戦わされる日々か、性奴隷として犯される日々となるのか、それともその両方か……。
　私はこの待遇が少し恐ろしく感じたのだった。


　◆◆◆


　翌日、私はまた闘技場に立っていた。

　今度の相手は人間の男のようで、手にはハンドアクスを持ち、私を興奮した目つきで見つめている。

　相手は冒険者と言うより何処かのごろつきのようにも見える。

　多分私を倒した後に犯したいのだろう。
　その様子に私は悪寒を感じていた。

「相手が女とは俺も運が良い。嬢ちゃん降伏するなら今のうちだぜ。服を脱いで股を開けば犯すだけで許してやらあ」

　男は値踏みするかのようにイヤらしい目つきで私の身体を舐めるように見てくる。

　何この男……、マジキモいんですけど……っ！

　ていうか、こういうヤツは殺したほうが世のため人のためと言うものだろう。

「出来るものならやってみなさいっ！！」

私は剣を抜いて男へと向かって走り出すっ！

「この俺様に向かってくるとはバカな女だっ！なら痛めつけて身の程を思い知らせてからたっぷりと犯してやらあっ！！」

　男はそう言いハンドアクスを振り下ろすっ！

「はあっ！！」

　私は身体を左へと捻り男の攻撃を避けると、そのまま身体を回転させ男の首を一撃で斬り落としたっ！

　身体を失った首と、首を失った身体はほぼ同時に石畳へと倒れ男は絶命した。

『勝者！カナぁぁぁぁーーーーーっ！！！』

　相手が死んだからか、今回は観客からブーイングが来ることもなく割れんばかりの歓声が響き渡る。
　私は剣に付着した血を振り払うと、鞘へと収め闘技場を後にした。