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五章 探し求める少女
カナ平野
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ラウルを出立した馬車に乗ってからどれくらい経っただろう……、日が高く昇り、時間的にもお昼に差し掛かろうとしたころ、私はラウルで買ったお弁当の包を取り出した。
その包の中は、以前ジェストさんから貰った、バゲットのようなパンを丸々一本を使ったBLTサンドで、中にはベーコン、レタス、チーズが挟まれており、中々のボリュームなサンドイッチだ。
「いただきま~す!」
「……」
街道を進む馬車に揺られながら、サンドイッチへと齧り付いていると、ザクスが何か言いたげな表情で私を見ている……。
「何……?このパンは私のだからあげないよ……?」
「いや……、別にそれが欲しい訳ではないのが……、よく食うなと思ってだな……」
ザクスは呆れたような顔でサンドイッチを食べる私を見ている。
ほっとけ!
まあ……、実際私も最近食欲が少し増してきたかな~、と思わないこともない……。
ほんの少しだけど……!
「いいでしょ?別に……。自分のお金で買ったんだから……」
「ま、別にいいんだが、お前はどちらかと言うと色気よりも食い気だな……」
厶……、何その言い方……?
「それじゃあ、まるで私が女としての魅力が無いみたいじゃない……!」
「無いとは言わんが、お前は食い気のほうがお似合いだ」
色気より食い気って……、そこまで言わなくてもいいのにっ!
それに、そこまで言うのなら私の魅力をコイツに見せつけてあげようじゃないの……っ!!
「これを見てもそんなこといえるかしら……?」
私はザクスにとびきりの笑顔を浮かべて見せる。
ふふん……、これならどうよ……?
自慢ではないが、私は自分の顔には少しは自信がある……!
そんな私の笑顔をみたらきっとこんな男イチコロよ……!
さあ、今までの非礼を詫びるといいわっ!!
「は……っ!」
しかし……ザクスは鼻で笑ってきた……!
ムッキィィーーーー……っ!!
は……鼻で笑ったな……っ!?
いつか私の魅力を分からせてやるんだから……っ!!
私は怒りを込めながらBLTサンドへと食いついたのだった……っ!!
◆◆◆
その日の夜……、街道を進んでいた馬車は中継地であるリムルへと到着した。
私とザクスは一軒の宿屋へと泊まることにした……のだが、それは以前ニーナと共に泊まった宿だった。
それはいいのだが……、私は重要なことを忘れていたのだ……。
それは室内温泉へと入ったときのことだった……。
脱衣所から温泉へと入ると全裸の女性だけでなく全裸の男性までいた……、しかも大事な所は一切隠さずに……。
(そう言えばここは混浴だった……、すっかり忘れていた……)
ザクスに見つかったらまた胸の事をバカにされるから、人目につかない隅っこで身体を洗って温泉で温まったら早めに上がろう……。
でも、こういう時に限って会いたくない人と会ってしまう……。
「カナ……?」
ビク……っ!?
私が隅の方に移動しようとすると後ろから声をかけられた……。
しかもその声の主は今一番会いたくない人物……。
私は後ろへと振り向くと、案の定ザクスの姿があった……。
「あ……ああ……、ザクスも来てたんだね……」
「来てたって……、一緒に脱衣所へと入っただろ……。それにしてもここは混浴か……。中々の絶景だな」
ザクスは周囲を見渡していた。
……特に他の女性の胸などを。
「それに引き換え、こっちは……」
ザクスの視線が私の胸元へと注がれる。
「な……何……?」
私は思わず胸元を両腕で隠した。
「カナ平野だな……。」
ザクスはそれだけをいうと立ち去っていった。
「な……っ!」
む……ムッキー…………っ!!!
か……カナ平野……っ!?
言うに事欠いて平野……っ!?
何……っ!?私の胸はどこまでも果てしなく真っ平らってこと……っ!?
胸か……!私は胸が無いからここまでバカにされないといけないのか……っ!!
私は温泉に入った後、一人食堂でやけ食いをするのであった……っ!
その包の中は、以前ジェストさんから貰った、バゲットのようなパンを丸々一本を使ったBLTサンドで、中にはベーコン、レタス、チーズが挟まれており、中々のボリュームなサンドイッチだ。
「いただきま~す!」
「……」
街道を進む馬車に揺られながら、サンドイッチへと齧り付いていると、ザクスが何か言いたげな表情で私を見ている……。
「何……?このパンは私のだからあげないよ……?」
「いや……、別にそれが欲しい訳ではないのが……、よく食うなと思ってだな……」
ザクスは呆れたような顔でサンドイッチを食べる私を見ている。
ほっとけ!
まあ……、実際私も最近食欲が少し増してきたかな~、と思わないこともない……。
ほんの少しだけど……!
「いいでしょ?別に……。自分のお金で買ったんだから……」
「ま、別にいいんだが、お前はどちらかと言うと色気よりも食い気だな……」
厶……、何その言い方……?
「それじゃあ、まるで私が女としての魅力が無いみたいじゃない……!」
「無いとは言わんが、お前は食い気のほうがお似合いだ」
色気より食い気って……、そこまで言わなくてもいいのにっ!
それに、そこまで言うのなら私の魅力をコイツに見せつけてあげようじゃないの……っ!!
「これを見てもそんなこといえるかしら……?」
私はザクスにとびきりの笑顔を浮かべて見せる。
ふふん……、これならどうよ……?
自慢ではないが、私は自分の顔には少しは自信がある……!
そんな私の笑顔をみたらきっとこんな男イチコロよ……!
さあ、今までの非礼を詫びるといいわっ!!
「は……っ!」
しかし……ザクスは鼻で笑ってきた……!
ムッキィィーーーー……っ!!
は……鼻で笑ったな……っ!?
いつか私の魅力を分からせてやるんだから……っ!!
私は怒りを込めながらBLTサンドへと食いついたのだった……っ!!
◆◆◆
その日の夜……、街道を進んでいた馬車は中継地であるリムルへと到着した。
私とザクスは一軒の宿屋へと泊まることにした……のだが、それは以前ニーナと共に泊まった宿だった。
それはいいのだが……、私は重要なことを忘れていたのだ……。
それは室内温泉へと入ったときのことだった……。
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(そう言えばここは混浴だった……、すっかり忘れていた……)
ザクスに見つかったらまた胸の事をバカにされるから、人目につかない隅っこで身体を洗って温泉で温まったら早めに上がろう……。
でも、こういう時に限って会いたくない人と会ってしまう……。
「カナ……?」
ビク……っ!?
私が隅の方に移動しようとすると後ろから声をかけられた……。
しかもその声の主は今一番会いたくない人物……。
私は後ろへと振り向くと、案の定ザクスの姿があった……。
「あ……ああ……、ザクスも来てたんだね……」
「来てたって……、一緒に脱衣所へと入っただろ……。それにしてもここは混浴か……。中々の絶景だな」
ザクスは周囲を見渡していた。
……特に他の女性の胸などを。
「それに引き換え、こっちは……」
ザクスの視線が私の胸元へと注がれる。
「な……何……?」
私は思わず胸元を両腕で隠した。
「カナ平野だな……。」
ザクスはそれだけをいうと立ち去っていった。
「な……っ!」
む……ムッキー…………っ!!!
か……カナ平野……っ!?
言うに事欠いて平野……っ!?
何……っ!?私の胸はどこまでも果てしなく真っ平らってこと……っ!?
胸か……!私は胸が無いからここまでバカにされないといけないのか……っ!!
私は温泉に入った後、一人食堂でやけ食いをするのであった……っ!
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