106 / 200
五章 探し求める少女
ラウルへの帰省
しおりを挟む
アルアナにサンドワームの肝を渡したあと、私はマーゼの教会の椅子に座って、必要な素材を持つ魔物が書かれている紙を、眉間にシワを寄せながら見ていた……。
魔物の場所をアルアナに教えてもらおうと思ったらダメ出しをされたからだ……!
アルアナ曰く、冒険者なら自分で探すなり調べたりするなりして見つけろという事らしい……。
ケチだ……!
しかし……、他の魔物がどこに住んでいるのか全く検討もつかない……。
分かると言えば、アラクネかジャイアントスライムの核くらい……。
どっちから行くか……。
久しぶりにラウルに行ってみるかな、みんな元気にしてるかな……?
「よし!決めた……っ!!」
私は椅子から立ち上がると、教会の外に出て魔法のポーチからマジックオーブを取り出すと、ラウルの東門をイメージした……。
そして、私の身体は光に包まれた……!
◆◆◆
光が収まり、目を開けると私はラウルの東門の外に立っていた。
この東門を選んだ理由は単純に人が少ないからだ。
人の多いところにいきなり私が現れたら誰しも驚くことだろう……。
私もいきなり目の前に人が立っていたら驚いてしまう……!
その点、東門なら人が少ないだろうと踏んだのだが、案の定周りに人はいない……。
東門から街の中へと入ると、懐かしいラウルの街並みが広がっていた。
ここに来るのも約一ヶ月半振りくらいかな……?それでもまるで数年ぶりに帰ってきたかのように、かなり懐かしく感じる。
私は一先ずラウルの冒険者ギルドへと向かうことにした。
冒険者ギルドへと到着すると、まだ朝だからなのか、ホールは多くの冒険者達でかなり賑わっていた。
そんな中、見知った顔が二つ……、ミリアさんとジェストさんだ。
新しいパーティなのだろうか、楽しげに話をしているようだ。
そして、ホールスタッフにも見知った顔が何人もいる。
一ヶ月ほどだけど、一緒にホールで働いた仲間だ。
その中にはファナさんの姿もある。
私は少し恥ずかしい気持ちを抱きながら冒険者ギルドへと入ることにした……。
「いらっしゃいま……あーーーっ!カナちゃんだーーーっ!!」
ホールに入ると、真っ先にファナさんに気付かれた。
「久しぶりだねカナちゃん……っ!何どうしたの?帰ってきたの……っ!?」
「帰ってきたって訳じゃないんだけど……、ちょっと用があって……」
「その用って何かしら……?フゥ~……」
「ひゃあぁぁぁーーー……っ!?」
急に後ろから誰かに抱きつかれ、耳元に息を吹きかけられる……!
ゾワゾワゾワ~~……っ!!
いきなり耳に息を吹きかけられて鳥肌が立つ……!
こ……この気配……というか、こんな事する人は私は今のところ一人しか知らない……!
「止めてくださいよミリアさん……っ!!」
私は拘束を振り払うと、距離を取り、振り向くと案の定それはミリアさんだった。
「つれないわね、カナちゃん……。久しぶりのカナちゃんの抱き心地を確かめてたのに……」
『いきなり抱きつくミリアが悪いと思うぞ……。カナ、久しぶりだな』
「ジェストさんもお久しぶりです」
『装備を変えたんだな。似合ってるぞ』
「ありがとうございます!サーミラという町でドワーフに作ってもらいました!」
「サーミラ……?カナちゃんランザ大陸まで行ってたの……?」
「おい……!カナちゃんが帰ってきたって本当か……っ!?」
私がミリアさんやジェストさんと話をしていると、グレンさんが受付の奥から飛び出してきた……!
「あ、グレンさんお久しぶりです」
「おお……!久しぶりだなカナちゃん……!少し見ない間に装備も変わって、弓まで持って……、なんだか逞しくなったな……!」
グレンさんはまるで自分の娘の成長を喜ぶかのようにマジマジと私を見ていた。
「あ、そうだ……、グレンさんこれ使いますか……?」
私は魔法のポーチから、サンドワームの肝を取り出すと、グレンさんに手渡した。
「カナちゃん……、このネチョっとするのは何だ……?」
「それはサンドワームの肝です」
「サンドワーム……?あのランザ大陸のサンドラの辺りに生息するという砂蛇竜のサンドワームか……?」
「はい、そのサンドワームです」
「……誰が倒したんだ?」
「私です」
それを言った瞬間、ホールからどよめきが聞こえてくる。
「カナちゃん……、本当にサンドワームを倒したの……?」
「え……?あ、はい……」
『サンドワームは凶暴かつ獰猛な魔物だ……。しかも、その体長は100メートルを下らない……。それを倒したとなると……』
「カナちゃん、すまないが冒険者カードを見せてくれないか……?」
サンドワームの肝をキッチンに置き、手を洗ってきたグレンさんがやって来た。
私は冒険者カードを取り出すと、グレンさんへと手渡した。
「冒険者ランク……A……?最後に更新されたのはサンドラか……。倒したのが……サンドワームにキメラ……、他にもずいぶん倒してるな……」
グレンさんは私の冒険者カードへと手をかざすと、驚きの表情へと変わっていた。
どうやら、冒険者カードは私の戦歴みたいなのが記録されるらしい……。
原理はわからないけど……。
「いやすまない……、疑っていた訳ではないんだが……」
グレンさんは驚きを隠せないと言った表情で冒険者カードを私へと返した。
「ねえ、カナちゃん。折角帰ってきたんだし、冒険の話でも聞かせて貰えないかな?」
ファナさんは私を空いている席へと案内すると、ジュースを差し出してきた。
ミリアさんや、ジェストさん、グレンさんやファナさんだけでなく、他のみんなも私の話を聞きたがっているようだ。
「分かりました……!では、リーツェでの話からしますね……!」
私はこれまでの冒険を順を追って話すのだった……。
魔物の場所をアルアナに教えてもらおうと思ったらダメ出しをされたからだ……!
アルアナ曰く、冒険者なら自分で探すなり調べたりするなりして見つけろという事らしい……。
ケチだ……!
しかし……、他の魔物がどこに住んでいるのか全く検討もつかない……。
分かると言えば、アラクネかジャイアントスライムの核くらい……。
どっちから行くか……。
久しぶりにラウルに行ってみるかな、みんな元気にしてるかな……?
「よし!決めた……っ!!」
私は椅子から立ち上がると、教会の外に出て魔法のポーチからマジックオーブを取り出すと、ラウルの東門をイメージした……。
そして、私の身体は光に包まれた……!
◆◆◆
光が収まり、目を開けると私はラウルの東門の外に立っていた。
この東門を選んだ理由は単純に人が少ないからだ。
人の多いところにいきなり私が現れたら誰しも驚くことだろう……。
私もいきなり目の前に人が立っていたら驚いてしまう……!
その点、東門なら人が少ないだろうと踏んだのだが、案の定周りに人はいない……。
東門から街の中へと入ると、懐かしいラウルの街並みが広がっていた。
ここに来るのも約一ヶ月半振りくらいかな……?それでもまるで数年ぶりに帰ってきたかのように、かなり懐かしく感じる。
私は一先ずラウルの冒険者ギルドへと向かうことにした。
冒険者ギルドへと到着すると、まだ朝だからなのか、ホールは多くの冒険者達でかなり賑わっていた。
そんな中、見知った顔が二つ……、ミリアさんとジェストさんだ。
新しいパーティなのだろうか、楽しげに話をしているようだ。
そして、ホールスタッフにも見知った顔が何人もいる。
一ヶ月ほどだけど、一緒にホールで働いた仲間だ。
その中にはファナさんの姿もある。
私は少し恥ずかしい気持ちを抱きながら冒険者ギルドへと入ることにした……。
「いらっしゃいま……あーーーっ!カナちゃんだーーーっ!!」
ホールに入ると、真っ先にファナさんに気付かれた。
「久しぶりだねカナちゃん……っ!何どうしたの?帰ってきたの……っ!?」
「帰ってきたって訳じゃないんだけど……、ちょっと用があって……」
「その用って何かしら……?フゥ~……」
「ひゃあぁぁぁーーー……っ!?」
急に後ろから誰かに抱きつかれ、耳元に息を吹きかけられる……!
ゾワゾワゾワ~~……っ!!
いきなり耳に息を吹きかけられて鳥肌が立つ……!
こ……この気配……というか、こんな事する人は私は今のところ一人しか知らない……!
「止めてくださいよミリアさん……っ!!」
私は拘束を振り払うと、距離を取り、振り向くと案の定それはミリアさんだった。
「つれないわね、カナちゃん……。久しぶりのカナちゃんの抱き心地を確かめてたのに……」
『いきなり抱きつくミリアが悪いと思うぞ……。カナ、久しぶりだな』
「ジェストさんもお久しぶりです」
『装備を変えたんだな。似合ってるぞ』
「ありがとうございます!サーミラという町でドワーフに作ってもらいました!」
「サーミラ……?カナちゃんランザ大陸まで行ってたの……?」
「おい……!カナちゃんが帰ってきたって本当か……っ!?」
私がミリアさんやジェストさんと話をしていると、グレンさんが受付の奥から飛び出してきた……!
「あ、グレンさんお久しぶりです」
「おお……!久しぶりだなカナちゃん……!少し見ない間に装備も変わって、弓まで持って……、なんだか逞しくなったな……!」
グレンさんはまるで自分の娘の成長を喜ぶかのようにマジマジと私を見ていた。
「あ、そうだ……、グレンさんこれ使いますか……?」
私は魔法のポーチから、サンドワームの肝を取り出すと、グレンさんに手渡した。
「カナちゃん……、このネチョっとするのは何だ……?」
「それはサンドワームの肝です」
「サンドワーム……?あのランザ大陸のサンドラの辺りに生息するという砂蛇竜のサンドワームか……?」
「はい、そのサンドワームです」
「……誰が倒したんだ?」
「私です」
それを言った瞬間、ホールからどよめきが聞こえてくる。
「カナちゃん……、本当にサンドワームを倒したの……?」
「え……?あ、はい……」
『サンドワームは凶暴かつ獰猛な魔物だ……。しかも、その体長は100メートルを下らない……。それを倒したとなると……』
「カナちゃん、すまないが冒険者カードを見せてくれないか……?」
サンドワームの肝をキッチンに置き、手を洗ってきたグレンさんがやって来た。
私は冒険者カードを取り出すと、グレンさんへと手渡した。
「冒険者ランク……A……?最後に更新されたのはサンドラか……。倒したのが……サンドワームにキメラ……、他にもずいぶん倒してるな……」
グレンさんは私の冒険者カードへと手をかざすと、驚きの表情へと変わっていた。
どうやら、冒険者カードは私の戦歴みたいなのが記録されるらしい……。
原理はわからないけど……。
「いやすまない……、疑っていた訳ではないんだが……」
グレンさんは驚きを隠せないと言った表情で冒険者カードを私へと返した。
「ねえ、カナちゃん。折角帰ってきたんだし、冒険の話でも聞かせて貰えないかな?」
ファナさんは私を空いている席へと案内すると、ジュースを差し出してきた。
ミリアさんや、ジェストさん、グレンさんやファナさんだけでなく、他のみんなも私の話を聞きたがっているようだ。
「分かりました……!では、リーツェでの話からしますね……!」
私はこれまでの冒険を順を追って話すのだった……。
46
お気に入りに追加
610
あなたにおすすめの小説
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】
青緑
ファンタジー
聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。
———————————————
物語内のノーラとデイジーは同一人物です。
王都の小話は追記予定。
修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。
前世大賢者のつよかわ幼女、最強ちびっこ冒険者になる!
メルメア
ファンタジー
『大賢者リスターニャの伝記』を読んでいた6歳の孤児幼女ミリアは、自分の前世こそがそのリスターニャだと思い出す。伝記によれば、2000年の時を経てリスターニャの家はダンジョンと化していて、数多くの冒険者が探索に挑んでいるらしい。
そんななか、ミリアの頭をよぎったのは死ぬ前に整理し忘れたパンツのことだった。家を探索されてパンツを発見されていたら……?大賢者様のパンツだー!とレアアイテム扱いされていたら……?
居ても立っても居られなくなったミリアは孤児院を脱出。
6歳の幼女ながら、前世の記憶とスキルを頼りに冒険者生活を始める。
歴戦の冒険者を苦しめるダンジョンでも、その主である最強賢者の生まれ変わりが苦労するはずはなくて……?
パンツから始まったミリアの冒険は、パンツ問題が解決したあともいろんな人、種族を巻き込んで続いていく。
ダンジョンを攻略したり、野外でモンスターを狩ったり、自分の直属の助手だった賢者たちの子孫と出会ったり……。
ミリアは前世でやり残したことを楽しみつつ、最強の幼女としてほのぼの暮らしていく。
1/20 HOTランキング1位ありがとうございます!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
MMOやり込みおっさん、異世界に転移したらハイエルフの美少女になっていたので心機一転、第二の人生を謳歌するようです。
遠野紫
ファンタジー
大人気スマホMMO『ネオ・ワールド・オンライン』、通称ネワオンの廃人プレイヤーであること以外はごく普通の一般的なおっさんであった彼は今日もいつもと変わらない日常を送るはずだった。
しかし無情にもネワオンのサ終が決まってしまう。サービスが終わってしまう最後のその時を見届けようとした彼だが、どういう訳か意識を失ってしまい……気付けば彼のプレイヤーキャラであるハイエルフの姿でネワオンの世界へと転移していたのだった。
ネワオンの無い元の世界へと戻る意味も見いだせなかった彼は、そのままプレイヤーキャラである『ステラ・グリーンローズ』としてネワオンの世界で生きて行くことを決意。
こうして廃人プレイヤーであるおっさんの第二の人生が今始まるのである。
女を肉便器にするのに飽きた男、若返って生意気な女達を落とす悦びを求める【R18】
m t
ファンタジー
どんなに良い女でも肉便器にするとオナホと変わらない。
その真実に気付いた俺は若返って、生意気な女達を食い散らす事にする
イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)
こたろう文庫
ファンタジー
カクヨムにて日間・週間共に総合ランキング1位!
死神が間違えたせいで俺は死んだらしい。俺にそう説明する神は何かと俺をイラつかせる。異世界に転生させるからスキルを選ぶように言われたので、神にイラついていた俺は1回しか使えない強奪スキルを神相手に使ってやった。
閑散とした村に子供として転生した為、強奪したスキルのチート度合いがわからず、学校に入学後も無自覚のまま周りを振り回す僕の話
2作目になります。
まだ読まれてない方はこちらもよろしくおねがいします。
「クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる