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五章 探し求める少女

ラウルへの帰省

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 アルアナにサンドワームの肝を渡したあと、私はマーゼの教会の椅子に座って、必要な素材を持つ魔物が書かれている紙を、眉間にシワを寄せながら見ていた……。

 魔物の場所をアルアナに教えてもらおうと思ったらダメ出しをされたからだ……!

 アルアナ曰く、冒険者なら自分で探すなり調べたりするなりして見つけろという事らしい……。
 ケチだ……!

 しかし……、他の魔物がどこに住んでいるのか全く検討もつかない……。
 分かると言えば、アラクネかジャイアントスライムの核くらい……。


 どっちから行くか……。
 久しぶりにラウルに行ってみるかな、みんな元気にしてるかな……?

「よし!決めた……っ!!」

 私は椅子から立ち上がると、教会の外に出て魔法のポーチからマジックオーブを取り出すと、ラウルの東門をイメージした……。
 そして、私の身体は光に包まれた……!


 ◆◆◆


 光が収まり、目を開けると私はラウルの東門の外に立っていた。

 この東門を選んだ理由は単純に人が少ないからだ。
 人の多いところにいきなり私が現れたら誰しも驚くことだろう……。

 私もいきなり目の前に人が立っていたら驚いてしまう……!

 その点、東門なら人が少ないだろうと踏んだのだが、案の定周りに人はいない……。
 東門から街の中へと入ると、懐かしいラウルの街並みが広がっていた。

 ここに来るのも約一ヶ月半振りくらいかな……?それでもまるで数年ぶりに帰ってきたかのように、かなり懐かしく感じる。
 私は一先ずラウルの冒険者ギルドへと向かうことにした。


 冒険者ギルドへと到着すると、まだ朝だからなのか、ホールは多くの冒険者達でかなり賑わっていた。
 そんな中、見知った顔が二つ……、ミリアさんとジェストさんだ。

 新しいパーティなのだろうか、楽しげに話をしているようだ。
 そして、ホールスタッフにも見知った顔が何人もいる。

 一ヶ月ほどだけど、一緒にホールで働いた仲間だ。
 その中にはファナさんの姿もある。

 私は少し恥ずかしい気持ちを抱きながら冒険者ギルドへと入ることにした……。

「いらっしゃいま……あーーーっ!カナちゃんだーーーっ!!」

 ホールに入ると、真っ先にファナさんに気付かれた。

「久しぶりだねカナちゃん……っ!何どうしたの?帰ってきたの……っ!?」

「帰ってきたって訳じゃないんだけど……、ちょっと用があって……」

「その用って何かしら……?フゥ~……」

「ひゃあぁぁぁーーー……っ!?」

 急に後ろから誰かに抱きつかれ、耳元に息を吹きかけられる……!

 ゾワゾワゾワ~~……っ!!

 いきなり耳に息を吹きかけられて鳥肌が立つ……!
 こ……この気配……というか、こんな事する人は私は今のところ一人しか知らない……!

「止めてくださいよミリアさん……っ!!」

 私は拘束を振り払うと、距離を取り、振り向くと案の定それはミリアさんだった。

「つれないわね、カナちゃん……。久しぶりのカナちゃんの抱き心地を確かめてたのに……」

『いきなり抱きつくミリアが悪いと思うぞ……。カナ、久しぶりだな』

「ジェストさんもお久しぶりです」

『装備を変えたんだな。似合ってるぞ』

「ありがとうございます!サーミラという町でドワーフに作ってもらいました!」

「サーミラ……?カナちゃんランザ大陸まで行ってたの……?」

「おい……!カナちゃんが帰ってきたって本当か……っ!?」

 私がミリアさんやジェストさんと話をしていると、グレンさんが受付の奥から飛び出してきた……!

「あ、グレンさんお久しぶりです」

「おお……!久しぶりだなカナちゃん……!少し見ない間に装備も変わって、弓まで持って……、なんだか逞しくなったな……!」

 グレンさんはまるで自分の娘の成長を喜ぶかのようにマジマジと私を見ていた。

「あ、そうだ……、グレンさんこれ使いますか……?」

 私は魔法のポーチから、サンドワームの肝を取り出すと、グレンさんに手渡した。

「カナちゃん……、このネチョっとするのは何だ……?」

「それはサンドワームの肝です」

「サンドワーム……?あのランザ大陸のサンドラの辺りに生息するという砂蛇竜のサンドワームか……?」

「はい、そのサンドワームです」

「……誰が倒したんだ?」

「私です」

 それを言った瞬間、ホールからどよめきが聞こえてくる。

「カナちゃん……、本当にサンドワームを倒したの……?」

「え……?あ、はい……」

『サンドワームは凶暴かつ獰猛な魔物だ……。しかも、その体長は100メートルを下らない……。それを倒したとなると……』

「カナちゃん、すまないが冒険者カードを見せてくれないか……?」

 サンドワームの肝をキッチンに置き、手を洗ってきたグレンさんがやって来た。
 私は冒険者カードを取り出すと、グレンさんへと手渡した。

「冒険者ランク……A……?最後に更新されたのはサンドラか……。倒したのが……サンドワームにキメラ……、他にもずいぶん倒してるな……」

 グレンさんは私の冒険者カードへと手をかざすと、驚きの表情へと変わっていた。

 どうやら、冒険者カードは私の戦歴みたいなのが記録されるらしい……。
 原理はわからないけど……。

「いやすまない……、疑っていた訳ではないんだが……」

 グレンさんは驚きを隠せないと言った表情で冒険者カードを私へと返した。

「ねえ、カナちゃん。折角帰ってきたんだし、冒険の話でも聞かせて貰えないかな?」

 ファナさんは私を空いている席へと案内すると、ジュースを差し出してきた。

 ミリアさんや、ジェストさん、グレンさんやファナさんだけでなく、他のみんなも私の話を聞きたがっているようだ。

「分かりました……!では、リーツェでの話からしますね……!」

 私はこれまでの冒険を順を追って話すのだった……。
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