55 / 200
三章 旅立つ少女
オウルベア
しおりを挟む
オウルベア……。
立ち上がるとその身長は2メートルを超える魔物だ。
茶色の毛並みを持つ身体の上には、同じく茶色の頭はフクロウというより、ミミズクに近い。
顔には嘴が付いているものの、その中には鋭い肉食獣の牙が生えていた。
さらに、白い毛の胸部と腹部にはフクロウのような茶色い模様が入っている。
振り上げた丸太のように太い腕の下には短い鳥のような翼が付いていた。
「風よ!彼の者を斬り裂け……!『ウインドブレード』っ!!」
私はオウルベアにウインドブレードを唱えた!
しかし、私の魔法の威力が弱いのか、真空波がオウルベアを切り刻むが、かすり傷程度のダメージと、オウルベアの体毛や腕の下に付いている翼のようなものを切り刻んで散らす程度に終わった。
それでも、ダメージを受けたことに腹がたったのか、オウルベアは怒ったような鳴き声をあげながら私へと目掛けて走り出し、振り上げた右腕が物凄い勢いで振り下ろされる!
「く……っ!?」
その攻撃をどうに避けると、オウルベアの黒く鋭い爪が地面を抉り取る。
右腕での攻撃を外したオウルベアは今度は左腕を振りかざすも、その左腕に魔力の弾が直撃する。
「カナ!一人で飛び出すとかバカかお前は……っ!?」
「バッシュさん……っ!?」
後ろを振り向くと、魔銃を持ったバッシュさんの姿があった。
何の考えもなしに飛び出して来たため、バッシュさんからの援護があった事に内心ホッとする。
「でも、そう言うのボクは嫌いじゃ無いかな……っ!」
いつの間にか走って来ていたミーナがオウルベアの両脚を斬り裂く。
「カナ!今のうちにオウルベアにトドメを……っ!」
「はあっ!!」
脚を斬りつけられ、前のめりに倒れたオウルベアの首を私は渾身の力を込めて斬り落としたっ!
「はあ……!はあ……っ!ふう……」
剣身に付着したオウルベアの血を振り払うと、剣を鞘へと納めた。
「あ……あの……。危ない所を助けていただきありがとうございます……」
先程まで腰を抜かしていた冒険者がおずおずと私の所へとやって来た。
さっきまでは気が付かなかったけど、その冒険者は茶髪のショートヘアーの髪型をした、犬の半獣人の女の子で手には槍が握られていた。
「あ、誰かと思ったらリリアじゃない。大丈夫……?」
「はい、ミーナさんも危ない所をありがとうございます……!そちらの僧侶の方も本当にありがとうございます……っ!」
リリアという、見た目は私よりも少し歳が下だろうか、その女の子は水飲み鳥のように何度も何度も私やミーナ、バッシュさんに頭を下げていた。
「その嬢ちゃんはミーナの知り合いか?」
魔銃を大きな十字架へと仕舞ったバッシュさんがこちらへと近付いてきた。
「あ、うん。この子はリリア。リーツェの新人冒険者だよ。でも何で一人でいたの……?」
「えっと……、それは……、その……」
「どうせ、ニルスと変に張り合ったんでしょ……」
「う……、は……はい……」
リリアさんは、図星を突かれたのかしょんぼりと肩を落としていた。
それにしても、ニルスって誰だろう……?
名前からして男の人だろうか?
リリアさんの彼氏か何かかな……?
まあ、私には関係のない事だけど……。
「そんなことより馬車は俺達を置いてさっさとリーツェに行っちまったみたいだぜ……」
林道を見ると、既に馬車の姿はなく、巻き添えを食らうのを恐れて逃げたのだろう……。
「しょうがない……、なら歩いてリーツェまで行こうか……。ここからならリーツェまでそう遠くはないしね」
馬車に置いていかれた私達はリーツェへと歩いて向かうのだった。
立ち上がるとその身長は2メートルを超える魔物だ。
茶色の毛並みを持つ身体の上には、同じく茶色の頭はフクロウというより、ミミズクに近い。
顔には嘴が付いているものの、その中には鋭い肉食獣の牙が生えていた。
さらに、白い毛の胸部と腹部にはフクロウのような茶色い模様が入っている。
振り上げた丸太のように太い腕の下には短い鳥のような翼が付いていた。
「風よ!彼の者を斬り裂け……!『ウインドブレード』っ!!」
私はオウルベアにウインドブレードを唱えた!
しかし、私の魔法の威力が弱いのか、真空波がオウルベアを切り刻むが、かすり傷程度のダメージと、オウルベアの体毛や腕の下に付いている翼のようなものを切り刻んで散らす程度に終わった。
それでも、ダメージを受けたことに腹がたったのか、オウルベアは怒ったような鳴き声をあげながら私へと目掛けて走り出し、振り上げた右腕が物凄い勢いで振り下ろされる!
「く……っ!?」
その攻撃をどうに避けると、オウルベアの黒く鋭い爪が地面を抉り取る。
右腕での攻撃を外したオウルベアは今度は左腕を振りかざすも、その左腕に魔力の弾が直撃する。
「カナ!一人で飛び出すとかバカかお前は……っ!?」
「バッシュさん……っ!?」
後ろを振り向くと、魔銃を持ったバッシュさんの姿があった。
何の考えもなしに飛び出して来たため、バッシュさんからの援護があった事に内心ホッとする。
「でも、そう言うのボクは嫌いじゃ無いかな……っ!」
いつの間にか走って来ていたミーナがオウルベアの両脚を斬り裂く。
「カナ!今のうちにオウルベアにトドメを……っ!」
「はあっ!!」
脚を斬りつけられ、前のめりに倒れたオウルベアの首を私は渾身の力を込めて斬り落としたっ!
「はあ……!はあ……っ!ふう……」
剣身に付着したオウルベアの血を振り払うと、剣を鞘へと納めた。
「あ……あの……。危ない所を助けていただきありがとうございます……」
先程まで腰を抜かしていた冒険者がおずおずと私の所へとやって来た。
さっきまでは気が付かなかったけど、その冒険者は茶髪のショートヘアーの髪型をした、犬の半獣人の女の子で手には槍が握られていた。
「あ、誰かと思ったらリリアじゃない。大丈夫……?」
「はい、ミーナさんも危ない所をありがとうございます……!そちらの僧侶の方も本当にありがとうございます……っ!」
リリアという、見た目は私よりも少し歳が下だろうか、その女の子は水飲み鳥のように何度も何度も私やミーナ、バッシュさんに頭を下げていた。
「その嬢ちゃんはミーナの知り合いか?」
魔銃を大きな十字架へと仕舞ったバッシュさんがこちらへと近付いてきた。
「あ、うん。この子はリリア。リーツェの新人冒険者だよ。でも何で一人でいたの……?」
「えっと……、それは……、その……」
「どうせ、ニルスと変に張り合ったんでしょ……」
「う……、は……はい……」
リリアさんは、図星を突かれたのかしょんぼりと肩を落としていた。
それにしても、ニルスって誰だろう……?
名前からして男の人だろうか?
リリアさんの彼氏か何かかな……?
まあ、私には関係のない事だけど……。
「そんなことより馬車は俺達を置いてさっさとリーツェに行っちまったみたいだぜ……」
林道を見ると、既に馬車の姿はなく、巻き添えを食らうのを恐れて逃げたのだろう……。
「しょうがない……、なら歩いてリーツェまで行こうか……。ここからならリーツェまでそう遠くはないしね」
馬車に置いていかれた私達はリーツェへと歩いて向かうのだった。
108
お気に入りに追加
601
あなたにおすすめの小説
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる