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二章 冒険者の少女
訓練 二日目
しおりを挟む理沙ちゃんは、珈琲を一口飲んでカップを置いたと同時に言う。
「優太が、凛ちゃんの旦那さんと連絡取り合ってるみたいなの」
「そうなの…」
「理沙も知らなかったんだけど…。あの日、連絡先交換したみたい」
「そうだったんだ」
私は、心臓が早くなるのを感じながら、珈琲を飲んだ。
「理沙ちゃん所に泊めてもらってるみたいでごめんねってきたみたいだよ!優太は、気にしないで下さいって送ったみたいなんだけどね」
「何か、ごめんね。巻き込んじゃって」
「全然。理沙は、いいよ!凛ちゃんとたくむんの事、応援してるから…。でも、正直、凛ちゃんの旦那さんがもっと悪い人なら良かったってのはあるよ」
そう言って、理沙ちゃんはチーズケーキを食べてる。
「好い人過ぎたでしょ?」
私の言葉に理沙ちゃんは、うんうんと頷いている。
「龍ちゃんは、優しすぎるんだよね。だから、甘えすぎちゃう」
「凛ちゃんを愛しているから優しいんだと思うよ。そうじゃなかったら、優しくなんてなれないよ」
理沙ちゃんは、私の目を見つめる。
「愛してるから幸せでいて欲しいんだと思う。理沙ね、大昔に優太に思った事あるんだ。理沙が拭えない傷を抱えてるなら…。優太が別の誰かを選んでも仕方ないって…」
「まっつんさんは、浮気してたの?」
私の言葉に理沙ちゃんは、ニコッと笑った。
「実際は、理沙の勘違いだったんだけどね。でも、浮気してると思ってたんだ」
そう言って、懐かしそうに目を細めている。
「勘違いでよかったね」
私は、そう言って笑って珈琲を飲む。
「うん!凛ちゃんも違うよ。絶対、違う。それに、凛ちゃんの旦那さんも理沙と同じような気持ちかもでしょ?」
私、ずっと理沙ちゃんは誰かに似てる気がしていたけど…。今、わかった。龍ちゃんに似てるんだ。
「龍ちゃんなら、そう思うかもね」
私は、理沙ちゃんに笑いかける。
「凛ちゃんは?」
「私は、許せなかった……」
涙が溜まっていくのを感じる。私は、理沙ちゃんを見れなくて俯いて珈琲を飲む。
「それも愛だよ」
理沙ちゃんの言葉に胸に引っ掛かっていた何かが珈琲と共に胃袋に落ちたのを感じた。
「重たい愛でしょ?」
私は、笑ってみせた。
「凛ちゃんにとって、旦那さんは、いつでもそこにある場所でしょ?」
「わかるの?」
「わかるよー。優太が、昔、理沙にそう言った事があるから!理沙は、絶対揺るがない存在だって!だからね、理沙。絶対、優太を裏切らないって頑張るって思ってきた。でもね、凛ちゃん」
理沙ちゃんは、珈琲カップを置いた私の手を握りしめる。
「理沙ね、凛ちゃん達みたいに何の約束もされてないでしょ?」
「そんな事ないよ」
「優太を信じられなくなってきちゃってる」
その言葉に、私は理沙ちゃんの苦しみを知った。その場所を守るからこそ、相手にも何かを捧げて欲しいと思う感情(きもち)を感じた。
「優太が、凛ちゃんの旦那さんと連絡取り合ってるみたいなの」
「そうなの…」
「理沙も知らなかったんだけど…。あの日、連絡先交換したみたい」
「そうだったんだ」
私は、心臓が早くなるのを感じながら、珈琲を飲んだ。
「理沙ちゃん所に泊めてもらってるみたいでごめんねってきたみたいだよ!優太は、気にしないで下さいって送ったみたいなんだけどね」
「何か、ごめんね。巻き込んじゃって」
「全然。理沙は、いいよ!凛ちゃんとたくむんの事、応援してるから…。でも、正直、凛ちゃんの旦那さんがもっと悪い人なら良かったってのはあるよ」
そう言って、理沙ちゃんはチーズケーキを食べてる。
「好い人過ぎたでしょ?」
私の言葉に理沙ちゃんは、うんうんと頷いている。
「龍ちゃんは、優しすぎるんだよね。だから、甘えすぎちゃう」
「凛ちゃんを愛しているから優しいんだと思うよ。そうじゃなかったら、優しくなんてなれないよ」
理沙ちゃんは、私の目を見つめる。
「愛してるから幸せでいて欲しいんだと思う。理沙ね、大昔に優太に思った事あるんだ。理沙が拭えない傷を抱えてるなら…。優太が別の誰かを選んでも仕方ないって…」
「まっつんさんは、浮気してたの?」
私の言葉に理沙ちゃんは、ニコッと笑った。
「実際は、理沙の勘違いだったんだけどね。でも、浮気してると思ってたんだ」
そう言って、懐かしそうに目を細めている。
「勘違いでよかったね」
私は、そう言って笑って珈琲を飲む。
「うん!凛ちゃんも違うよ。絶対、違う。それに、凛ちゃんの旦那さんも理沙と同じような気持ちかもでしょ?」
私、ずっと理沙ちゃんは誰かに似てる気がしていたけど…。今、わかった。龍ちゃんに似てるんだ。
「龍ちゃんなら、そう思うかもね」
私は、理沙ちゃんに笑いかける。
「凛ちゃんは?」
「私は、許せなかった……」
涙が溜まっていくのを感じる。私は、理沙ちゃんを見れなくて俯いて珈琲を飲む。
「それも愛だよ」
理沙ちゃんの言葉に胸に引っ掛かっていた何かが珈琲と共に胃袋に落ちたのを感じた。
「重たい愛でしょ?」
私は、笑ってみせた。
「凛ちゃんにとって、旦那さんは、いつでもそこにある場所でしょ?」
「わかるの?」
「わかるよー。優太が、昔、理沙にそう言った事があるから!理沙は、絶対揺るがない存在だって!だからね、理沙。絶対、優太を裏切らないって頑張るって思ってきた。でもね、凛ちゃん」
理沙ちゃんは、珈琲カップを置いた私の手を握りしめる。
「理沙ね、凛ちゃん達みたいに何の約束もされてないでしょ?」
「そんな事ないよ」
「優太を信じられなくなってきちゃってる」
その言葉に、私は理沙ちゃんの苦しみを知った。その場所を守るからこそ、相手にも何かを捧げて欲しいと思う感情(きもち)を感じた。
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