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おまけ 後日談
お料理大作戦!
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ーサナー
ユーリの子供を妊娠して安定期に入った頃、わたしはとある事に頭を悩ませていた……。
その頭を悩ませている事というのが、わたしの料理。
わたしは料理を作るのが好きだ。
でもユーリやお姉ちゃんが言うには、わたしの料理は劇物らしく、特にお姉ちゃんからは下手に食べれば命の危険すらあると言われた。
子供が産まれれば離乳食を作る機会は必ず訪れる。
しかし、劇物と言われたわたしの料理を子供に食べさせるわけには行かない……。
「これはいよいよ本気で料理をどうにかしないといけないかな……」
わたしは悩みに悩んだ末、とある人に料理を教えてもらうことにした。
「……という訳でわたしに料理を教えてくださいっ!」
わたしは仕事の合間を縫ってお姉ちゃんとグレンさんに頭を下げてお願いすることにした。
「まあ……、そういう事なら厨房スタッフとして経験を重ねてみるか……?」
「グレンさん、ダメですよっ!紗奈を厨房に立たせたら死者が出かねませんよ!」
「な……っ!?」
お姉ちゃんの言葉を聞き、グレンさんは絶句していた。
「ち……違うもんっ!わたしだって旅をしてた時に何回かは料理したことあるよっ!」
「……紗奈がそこまで言うのなら、あなたの料理見せてもらうわよ」
「いいよ!わたしの料理を見て驚かないでよねっ!」
「はいはい……、どうせ別の意味で驚かされそうだけどね」
お姉ちゃんはため息をつきながらも、腕組みをして冷ややかな目でわたしを見ていた。
くう……!絶対にお姉ちゃんの鼻を明かしてやるんだからっ!!
わたしは持てる技量を全て注ぎ込んで調理を開始した!
そして……。
「出来たよっ!」
「こ……これは……っ!」
「なんてこった……!まさかこんなものが……っ!」
わたしが作った料理にお姉ちゃんもグレンさんも驚愕していた。
ふふん、どうよ……!わたしが本気を出せばこんなもんよっ!
わたしが作ったフルコースの数々……、まず一品目は小手調べ的な感じで作った前菜のプレーンオムレツ!
次に、サラダのドレッシング和え!スープは魚のスープ!デザートはアイスクリームを使ったパフェ!飲み物は野菜や果物を使ったミックスジュース!
そして、メインディッシュはワインでフランベをして焼き上げ、お手製のソースをかけたウサギ肉のステーキっ!
どうよ……、この完璧な料理の数々は……!
「紗奈……、一つ聞きたいんだけど、この黒い塊は何……?」
「お姉ちゃん見てわからないの?プレーンオムレツだよ!」
「それじゃあ……サナちゃん、この野菜と思われるものにかかっている如何にも毒々しいこの紫色のものはなんだ……?なんだか、このかけられているヤツのせいか、みるみるうちに野菜が萎びて行っているんだが……」
「それはわたしのお手製ドレッシングですよグレンさんっ!」
「じゃあ、この魚が毒の沼地みたいなものに浸かったいるのは何よ……?何だか魚の身が溶け落ちてるんだけど……」
「それは魚を使ったスープだよ、お姉ちゃん!」
「じ……じゃあ……、このパフェグラスに入れられたドス黒い物は何だ……?」
「グレンさん、それはパフェです!」
「紗奈、このコップに入っているドロっとした見るからにヤバそうな色をしているのは何……?」
「お姉ちゃん、知らないの?ミックスジュースだよ!」
「な……なら、この炭化したものの上にスライムみたいなものが乗せられているものは……?」
「グレンさんお目が高いですね、それが今回のメインディッシュ、ウサギ肉を使ったステーキです!今回はわたしのオリジナルソースをかけてみましたっ!」
ふふん、どうよ!
これならお姉ちゃんもグレンさんもわたしの腕を認めざるを得ないでしょっ!
「サナちゃん……」
「はい!なんですかグレンさんっ!」
「君は二度とキッチンに立っちゃダメだ……」
「んな……っ!?」
「そりゃそうよね……、こんなもの食べさせられたら死人が出るわ……」
「ゆ……ユーリは食べても死ななかったよっ!」
「ユーリ……罰ゲームか何かで紗奈の手料理を食べさせられたのね……なんて不憫な子……」
お姉ちゃんは右手で口元を押さえながらホロリと涙を滲ませていた。
「ちょっとお姉ちゃん……!そこまで言うの失礼じゃない……っ!?」
「いや……、流石にこれを見せられたらフォローのしようがない……」
グレンさんまで……!
「そこまで言うのならわたしに料理を教えてよっ!」
「……済まない、俺ではサナちゃんの力にはなれそうもない。完全な力不足だ」
「私もよ……。紗奈のこの壊滅的な料理の腕をまともにするのは私では無理よ……」
ガーン……っ!
わたしはショックのあまりその場に崩れ落ちた……。
そして、これから数日後、冒険者ギルドのホールに「離乳食」というメニューが追加されたのだった……。
ユーリの子供を妊娠して安定期に入った頃、わたしはとある事に頭を悩ませていた……。
その頭を悩ませている事というのが、わたしの料理。
わたしは料理を作るのが好きだ。
でもユーリやお姉ちゃんが言うには、わたしの料理は劇物らしく、特にお姉ちゃんからは下手に食べれば命の危険すらあると言われた。
子供が産まれれば離乳食を作る機会は必ず訪れる。
しかし、劇物と言われたわたしの料理を子供に食べさせるわけには行かない……。
「これはいよいよ本気で料理をどうにかしないといけないかな……」
わたしは悩みに悩んだ末、とある人に料理を教えてもらうことにした。
「……という訳でわたしに料理を教えてくださいっ!」
わたしは仕事の合間を縫ってお姉ちゃんとグレンさんに頭を下げてお願いすることにした。
「まあ……、そういう事なら厨房スタッフとして経験を重ねてみるか……?」
「グレンさん、ダメですよっ!紗奈を厨房に立たせたら死者が出かねませんよ!」
「な……っ!?」
お姉ちゃんの言葉を聞き、グレンさんは絶句していた。
「ち……違うもんっ!わたしだって旅をしてた時に何回かは料理したことあるよっ!」
「……紗奈がそこまで言うのなら、あなたの料理見せてもらうわよ」
「いいよ!わたしの料理を見て驚かないでよねっ!」
「はいはい……、どうせ別の意味で驚かされそうだけどね」
お姉ちゃんはため息をつきながらも、腕組みをして冷ややかな目でわたしを見ていた。
くう……!絶対にお姉ちゃんの鼻を明かしてやるんだからっ!!
わたしは持てる技量を全て注ぎ込んで調理を開始した!
そして……。
「出来たよっ!」
「こ……これは……っ!」
「なんてこった……!まさかこんなものが……っ!」
わたしが作った料理にお姉ちゃんもグレンさんも驚愕していた。
ふふん、どうよ……!わたしが本気を出せばこんなもんよっ!
わたしが作ったフルコースの数々……、まず一品目は小手調べ的な感じで作った前菜のプレーンオムレツ!
次に、サラダのドレッシング和え!スープは魚のスープ!デザートはアイスクリームを使ったパフェ!飲み物は野菜や果物を使ったミックスジュース!
そして、メインディッシュはワインでフランベをして焼き上げ、お手製のソースをかけたウサギ肉のステーキっ!
どうよ……、この完璧な料理の数々は……!
「紗奈……、一つ聞きたいんだけど、この黒い塊は何……?」
「お姉ちゃん見てわからないの?プレーンオムレツだよ!」
「それじゃあ……サナちゃん、この野菜と思われるものにかかっている如何にも毒々しいこの紫色のものはなんだ……?なんだか、このかけられているヤツのせいか、みるみるうちに野菜が萎びて行っているんだが……」
「それはわたしのお手製ドレッシングですよグレンさんっ!」
「じゃあ、この魚が毒の沼地みたいなものに浸かったいるのは何よ……?何だか魚の身が溶け落ちてるんだけど……」
「それは魚を使ったスープだよ、お姉ちゃん!」
「じ……じゃあ……、このパフェグラスに入れられたドス黒い物は何だ……?」
「グレンさん、それはパフェです!」
「紗奈、このコップに入っているドロっとした見るからにヤバそうな色をしているのは何……?」
「お姉ちゃん、知らないの?ミックスジュースだよ!」
「な……なら、この炭化したものの上にスライムみたいなものが乗せられているものは……?」
「グレンさんお目が高いですね、それが今回のメインディッシュ、ウサギ肉を使ったステーキです!今回はわたしのオリジナルソースをかけてみましたっ!」
ふふん、どうよ!
これならお姉ちゃんもグレンさんもわたしの腕を認めざるを得ないでしょっ!
「サナちゃん……」
「はい!なんですかグレンさんっ!」
「君は二度とキッチンに立っちゃダメだ……」
「んな……っ!?」
「そりゃそうよね……、こんなもの食べさせられたら死人が出るわ……」
「ゆ……ユーリは食べても死ななかったよっ!」
「ユーリ……罰ゲームか何かで紗奈の手料理を食べさせられたのね……なんて不憫な子……」
お姉ちゃんは右手で口元を押さえながらホロリと涙を滲ませていた。
「ちょっとお姉ちゃん……!そこまで言うの失礼じゃない……っ!?」
「いや……、流石にこれを見せられたらフォローのしようがない……」
グレンさんまで……!
「そこまで言うのならわたしに料理を教えてよっ!」
「……済まない、俺ではサナちゃんの力にはなれそうもない。完全な力不足だ」
「私もよ……。紗奈のこの壊滅的な料理の腕をまともにするのは私では無理よ……」
ガーン……っ!
わたしはショックのあまりその場に崩れ落ちた……。
そして、これから数日後、冒険者ギルドのホールに「離乳食」というメニューが追加されたのだった……。
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