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序章 プロローグ
奴隷のユーリ
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ここはゼービル大陸のドラゴスという街にある闘技場……。
ここでは毎日のように奴隷達による死合と言うなの殺し合いが行なわれ、それを見に多くの観客がこの闘技場へとやって来ていた。
僕「ユーリ」も、その死合をさせられる奴隷として一人の女の人と対峙していた。
僕は槍を得意とする犬の半獣人の男で歳は16歳。
対する相手の女性は見た目からして僕よりは年上だと思う人間の剣士だ。
闘技場のアナウンスでは相手の女性の名前はカナと言う女性冒険者のようで、彼女は黒髪のポニーテールを風になびかせながら剣と盾を構えている。
「それでは試合開始!」
審判の合図により闘技場のバトルフィールドと呼ばれる場所に僕とカナは武器を構えながら対面する。
この試合にも勝って僕は闘技場で優勝してやるんだっ!
優勝すればどんな願いも叶えてもらえるのだという。
なら、僕の願いは奴隷から開放してもらいここから出ることっ!
その為に僕は負ける訳には行かないっ!
「やっ!!」
両手に持った槍でカナへと突きを放つ……っ!
しかし、いともあっさりと避けられてしまった……。
その後も何度も攻撃を放つもなぜか全く当たらない……!
まるで僕の攻撃を全て見切っているかのように……。
そもそも、なぜ僕がこの闘技場にいるのかと言うと、偽の護衛依頼に騙され、奴隷商人に売られてしまったからだ……。
最初こそ僕を拐った奴隷商人を恨んだが、今はただ生きてここから出ることだけを考えここまで勝ち進んできたっ!
故郷ではきっと姉さんが心配しながら僕の帰りを待ってくれているに違いない……っ!
そう思うと槍を握る僕の手に自ずと力が込められるっ!!
「はあ……っ!!」
渾身の力を込めて目の前にいるカナという女性へと突きを放つっ!
「甘いっ!」
「うあぁ……っ!?」
しかし、僕の攻撃を彼女は右へと避けると、そのまはま盾で体当たりを当てられ、そのまま押し倒おされてしまい、思わず手放してしまった槍は手の届かない所に落してしまった……!
そして、そのまま彼女は僕のお腹の上へと馬乗りになり喉元に剣先を突きつけてくる……。
その際、僕の両腕は彼女の両足で踏みつけていた。
終わった……、もうダメだ……。
僕はここでこの人に殺されるんだ……。
いや、まだだ……!まだ死ねない……っ!
僕は彼女を押し退けようと身体に力を込める……!
「動かないでっ!あなたを殺したくはないの……」
と、その時彼女から思わぬ言葉を投げかけられた。
「……なんで殺さないの?僕をどうする気?」
「私は目的があってここに来ているの。殺し合いがしたくて来ている訳じゃない。お願い、投降して」
観客から殺せコールが湧き上がる中、僕と彼女は小さな声で対話していた。
彼女は投降しろと言うが、こちらもハイそうですかとそれに従う訳には行かない……!
「それは出来ない。僕にだって目的がある……っ!」
「そう……、なら仕方ない……。はっ!」
「うぐ……っ!?」
彼女の持った剣の柄が僕の鳩尾へとめり込み、僕はそのまま気を失った……。
◆◆◆
あれからどのくらいの時間が経っただろうか……?
さっきまで闘技場にいたはずなのに、僕はいつの間にか奴隷が収容されておる牢へと戻されていた。
「そうか……、僕は負けたのか……」
この時初めて自分が負けたのだと気がついた……。
優勝出来ればここから出られると息巻いていたものの、結局はこのザマだ……。
もしかしたらこのまま死ぬまでここから出ることもできず奴隷として過ごすしかないのだろうか……?
「姉さん……、ごめん……。僕もう二度と帰れないかも……」
僕は絶望に打ちひしがれながら膝を抱えるのだった……。
ここでは毎日のように奴隷達による死合と言うなの殺し合いが行なわれ、それを見に多くの観客がこの闘技場へとやって来ていた。
僕「ユーリ」も、その死合をさせられる奴隷として一人の女の人と対峙していた。
僕は槍を得意とする犬の半獣人の男で歳は16歳。
対する相手の女性は見た目からして僕よりは年上だと思う人間の剣士だ。
闘技場のアナウンスでは相手の女性の名前はカナと言う女性冒険者のようで、彼女は黒髪のポニーテールを風になびかせながら剣と盾を構えている。
「それでは試合開始!」
審判の合図により闘技場のバトルフィールドと呼ばれる場所に僕とカナは武器を構えながら対面する。
この試合にも勝って僕は闘技場で優勝してやるんだっ!
優勝すればどんな願いも叶えてもらえるのだという。
なら、僕の願いは奴隷から開放してもらいここから出ることっ!
その為に僕は負ける訳には行かないっ!
「やっ!!」
両手に持った槍でカナへと突きを放つ……っ!
しかし、いともあっさりと避けられてしまった……。
その後も何度も攻撃を放つもなぜか全く当たらない……!
まるで僕の攻撃を全て見切っているかのように……。
そもそも、なぜ僕がこの闘技場にいるのかと言うと、偽の護衛依頼に騙され、奴隷商人に売られてしまったからだ……。
最初こそ僕を拐った奴隷商人を恨んだが、今はただ生きてここから出ることだけを考えここまで勝ち進んできたっ!
故郷ではきっと姉さんが心配しながら僕の帰りを待ってくれているに違いない……っ!
そう思うと槍を握る僕の手に自ずと力が込められるっ!!
「はあ……っ!!」
渾身の力を込めて目の前にいるカナという女性へと突きを放つっ!
「甘いっ!」
「うあぁ……っ!?」
しかし、僕の攻撃を彼女は右へと避けると、そのまはま盾で体当たりを当てられ、そのまま押し倒おされてしまい、思わず手放してしまった槍は手の届かない所に落してしまった……!
そして、そのまま彼女は僕のお腹の上へと馬乗りになり喉元に剣先を突きつけてくる……。
その際、僕の両腕は彼女の両足で踏みつけていた。
終わった……、もうダメだ……。
僕はここでこの人に殺されるんだ……。
いや、まだだ……!まだ死ねない……っ!
僕は彼女を押し退けようと身体に力を込める……!
「動かないでっ!あなたを殺したくはないの……」
と、その時彼女から思わぬ言葉を投げかけられた。
「……なんで殺さないの?僕をどうする気?」
「私は目的があってここに来ているの。殺し合いがしたくて来ている訳じゃない。お願い、投降して」
観客から殺せコールが湧き上がる中、僕と彼女は小さな声で対話していた。
彼女は投降しろと言うが、こちらもハイそうですかとそれに従う訳には行かない……!
「それは出来ない。僕にだって目的がある……っ!」
「そう……、なら仕方ない……。はっ!」
「うぐ……っ!?」
彼女の持った剣の柄が僕の鳩尾へとめり込み、僕はそのまま気を失った……。
◆◆◆
あれからどのくらいの時間が経っただろうか……?
さっきまで闘技場にいたはずなのに、僕はいつの間にか奴隷が収容されておる牢へと戻されていた。
「そうか……、僕は負けたのか……」
この時初めて自分が負けたのだと気がついた……。
優勝出来ればここから出られると息巻いていたものの、結局はこのザマだ……。
もしかしたらこのまま死ぬまでここから出ることもできず奴隷として過ごすしかないのだろうか……?
「姉さん……、ごめん……。僕もう二度と帰れないかも……」
僕は絶望に打ちひしがれながら膝を抱えるのだった……。
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