35 / 42
攻略34
しおりを挟む
1人での食事はこんなにも寂しいものだっただろうか。
もちろん目の前にある料理はどれも美味しくて、栄養バランスもよく考えられている。
しかしここ最近なら楽しく他愛ない話題で盛り上がる時間が今日は静かで、俺の食器と食器の触れる硬い音が部屋に一段と響く。
(陽成が来る前はこんなんだったんだな……)
そう思うと無性に会いたくなった。
きっと年明けには工事も終わるだろうしそうなれば陽成は部屋を出ていく。
また1人のこの孤独な生活に逆戻りだ。
その前に、しっかり好きという言葉だけは伝えなくてはならない。
(何気、お互いに好きって言い合ってないんだよな)
なぜだろう。陽成には言えない。
もちろん好きだ。陽成のことは大好きなのに、今までどうでもいい相手にも軽率に好きという言葉を使ってしまったせいでどうにも躊躇してしまう。
(それに……陽成がもし住む場所の一時的な確保で俺の求愛的な無理な行動に合わせてくれているとしたら……)
そんなつまらないことを考えて打ち消すように頭を振る。
(もしも好きだと言って断られたら俺は……)
いつからこんなに弱くなっただろう。いつから相手にこんなにも言葉を求めるようになったのだろう。
好き、愛してる。この言葉が貰えないだけでどうしてこうも不安なのか。
(まだ帰って来ねぇよな……)
少しだけ期待してただいまの声をしばらく待ってみるが当たり前にそんな声は聞こえない。
(心配だ……飲みすぎて酒に呑まれてねぇといいけど…)
酒は飲んでも呑まれるな。飲酒の基本ルールだ。
1度気にかかると気にしない訳にもいかず窓の外に目を走らせる。
外はもう暗く、夜景が美しかった。
陽成が言っていた会場の名前を検索し住所を調べる。
何故か心配でいても立っても居られず、財布とスマホなど最低限のものを持ってコートを羽織ったところで気づく。
「俺……相当重い…」
もちろん目の前にある料理はどれも美味しくて、栄養バランスもよく考えられている。
しかしここ最近なら楽しく他愛ない話題で盛り上がる時間が今日は静かで、俺の食器と食器の触れる硬い音が部屋に一段と響く。
(陽成が来る前はこんなんだったんだな……)
そう思うと無性に会いたくなった。
きっと年明けには工事も終わるだろうしそうなれば陽成は部屋を出ていく。
また1人のこの孤独な生活に逆戻りだ。
その前に、しっかり好きという言葉だけは伝えなくてはならない。
(何気、お互いに好きって言い合ってないんだよな)
なぜだろう。陽成には言えない。
もちろん好きだ。陽成のことは大好きなのに、今までどうでもいい相手にも軽率に好きという言葉を使ってしまったせいでどうにも躊躇してしまう。
(それに……陽成がもし住む場所の一時的な確保で俺の求愛的な無理な行動に合わせてくれているとしたら……)
そんなつまらないことを考えて打ち消すように頭を振る。
(もしも好きだと言って断られたら俺は……)
いつからこんなに弱くなっただろう。いつから相手にこんなにも言葉を求めるようになったのだろう。
好き、愛してる。この言葉が貰えないだけでどうしてこうも不安なのか。
(まだ帰って来ねぇよな……)
少しだけ期待してただいまの声をしばらく待ってみるが当たり前にそんな声は聞こえない。
(心配だ……飲みすぎて酒に呑まれてねぇといいけど…)
酒は飲んでも呑まれるな。飲酒の基本ルールだ。
1度気にかかると気にしない訳にもいかず窓の外に目を走らせる。
外はもう暗く、夜景が美しかった。
陽成が言っていた会場の名前を検索し住所を調べる。
何故か心配でいても立っても居られず、財布とスマホなど最低限のものを持ってコートを羽織ったところで気づく。
「俺……相当重い…」
0
お気に入りに追加
119
あなたにおすすめの小説
大親友に監禁される話
だいたい石田
BL
孝之が大親友の正人の家にお泊りにいくことになった。
目覚めるとそこは大型犬用の檻だった。
R描写はありません。
トイレでないところで小用をするシーンがあります。
※この作品はピクシブにて別名義にて投稿した小説を手直ししたものです。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
母の再婚で魔王が義父になりまして~淫魔なお兄ちゃんに執着溺愛されてます~
トモモト ヨシユキ
BL
母が魔王と再婚したルルシアは、義兄であるアーキライトが大の苦手。しかもどうやら義兄には、嫌われている。
しかし、ある事件をきっかけに義兄から溺愛されるようになり…エブリスタとフジョッシーにも掲載しています。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ダンス練習中トイレを言い出せなかったアイドル
こじらせた処女
BL
とある2人組アイドルグループの鮎(アユ)(16)には悩みがあった。それは、グループの中のリーダーである玖宮(クミヤ)(19)と2人きりになるとうまく話せないこと。
若干の尿意を抱えてレッスン室に入ってしまったアユは、開始20分で我慢が苦しくなってしまい…?
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる