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御家騒動
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湯の中で慌てる男二人と女に向かって
「馬鹿めらが…」
小さく呟くと三人を一瞥して駒の遊ぶ水場に向かう。
その光景を一部始終見ていた湯治客から三人の男女に失笑の声が起こった。
「くそっ 色小姓っ待ちやがれっ」
面目を潰された男が魚丸を追いかけ背後から襲い掛かる。
「煩い蝿どもだなぁ…」
屈強な男の腕が魚丸の肩に届くか届かぬか、一瞬 目にも止まらぬ速さで大きな男の躯が宙を反転し魚丸の眼前に仰向けに倒れた。
白目を剥いて呆然と天を向く男を見下げた魚丸が
「兄さん、自慢の太い魔羅から子種を蒔く前に小便が漏れていますよ」
‥あはははは‥
魚丸は大の字にひっくり返った男を見下し、何もなかったかのように振る舞うと、楽しげに遊ぶ駒の元に向かう。
「よ―――っ千両役者ぁっ」
にわか‘大向う’が現れ掛け声が飛んだ。
華奢な色男が屈強な入れ墨のやくざ者を懲らしめる。
まるで歌舞伎でも見物しているような場面に出くわした湯治客が興奮しておお声を張り上げたのだ。
浴場全体から万雷の拍手喝采が沸き上がった。
「お駒さん」
魚丸の姿を見つけた駒は水場で遊んでいた童に「さようなら」と、別れを告げ魚丸の傍に駆け寄る。
「お駒さん、すっかり躯が冷えてしまったようだから囲い湯にでも入って温まり直しましょうか」
差し出す魚丸の手を握ると借りた部屋専用の内風呂に向かう。
「魚丸(とと丸)さんお侍さんですか…おらぁ、女みてぇだと言ってごめんなさい。」
駒は魚丸が小山ほどもあるやくざ者を投げ飛ばす光景を目の当たりにした。
「そう…男なのですよ―」
魚丸は一瞬複雑な表情を浮かべる。
片岡魚丸頼矩(ととまるよりかね)御家騒動で江戸上屋敷に蟄居謹慎中の神鶴藩藩主安藤直胤(なおざね)の小姓頭(こしょうがしら)を勤めていた。
小姓とは常日頃より藩主の側近くに使え藩主の身の回りの世話から危険が迫れば命にかえて藩主を守る役目を与えられた役職だった。
望まれればその躯を藩主に捧げ衆道(しゅうどう)と呼ばれる男色の肛門姦の相手も務めなければならない定めだった。
江戸時代前期では
主従の関係として身も心もささげ主人に仕える事こそが武家男子の美徳とされ衆道はその最たるものに数えられた。
小姓の条件として眉目秀麗、文武に秀でた15歳までの少年から選び、選ばれた一部の者だけが城の中で藩主に使える。
そのまま青年になっても藩主の寵愛を受け国の政の重役に抜擢される事も少なくない。
魚丸はその中でもずば抜けて文武に秀でまた藩主がその躯に溺れ、正室於勢の方を寝所に近寄らせなかった。
藩主が奥向きを顧みず 衆道に明け暮れ、政を疎かにしているとの悪評が悪評をよび、
その事が御家騒動の原因とまことしやかに囁かれていた。
片岡魚丸は、騒動の原因を作った張本人と汚名を被り、片岡家は所領召し上げの上所払いの裁量が下る。
当主魚丸の父親は自ら自刃して果て後を追うように母親が病でこの世を去った。
藩主に仕えながら その躯に刻まれた主君安藤直胤への深い憎悪
と執着………
12歳でその美貌を城主に見初められ、城に上がった夜…寝所の作法も何も知らぬ少年。
宵の口に湯屋で小姓頭から言われた一言は…
「何があっても拒む可からず。そなたの立ち居振る舞いが、今後の片岡家を安泰にも窮地にも出来るのだぞ。」…と
湯屋の中で魚丸は小姓頭によって念入りに躯を洗われた。
特に菊座と呼ばれる肛門からまだ包を被った小さな陰茎は念入りに洗われる。
陰茎は揉み解しながら包皮が容易く剥けるように何度も扱かれた。その痛みに耐えかねて声を発してしまう。
「頼矩(よりかね)…今は痛みで声を上げてもよいが殿の前では禁慰である事承知。解ったな!」
「はい…」
幼い魚丸は不安からさっと血の気が引いていく。
その顔を見て察した小姓頭は…
「心配は要らぬ。殿はお優しいお方ゆえお前のようなわっぱを取って喰おうなどとはされぬ。その逆じゃ」
小姓頭は糠袋で入念に魚丸の菊座を撫でつけた。
「頼矩 尻を私に向けよ」
「えっ…」
戸惑う頼矩の膝をパンと軽く後ろから叩くとがくっと膝が折れ前につんのめった。
「よしっ、そのまま動くでないぞ」
「あっ…」
小姓頭は頼矩の尻を割り開きその中心の柔らかい桃色の菊座に高価な南蛮渡来の香湯を塗り込め始めた。
ヒヤッ…
冷たい油が湯屋で温まりった菊座を驚かす。
キュッとその花びらをすぼますが、やがてゆっくりと小姓頭の指先の動きで血行が促されぱくぱくとわずかに動き始めた。
「どうだ頼矩…痛くは無いであろう」
小姓頭は頼矩の緊張をほぐすように語りかけながら更に行為を進める。
「は…い…妙な気分でございます。小便が漏れそうな…」
頼矩は小姓頭の手先の動きで下半身に力が入り前の陰茎が放尿前のように硬直しだした事を伝えた。
「そうか…だがそれは放尿では無い。その答えは殿が今晩教えてくれようぞ…それより今暫く辛抱しておれ、今より少し痛みがあるやも知れぬから」
「あっ…くぅっ」
小姓頭は右手先で尻の割れ目を開くと、左の中指を頼矩の菊座の中心にヌプっと差し入れてみた。
入念に揉み込んだ香油が湯屋全体に立ち込める。
柔らかく解れた幼い魚丸の肛門が初めて糞便以外出した事の無い入り口から節太い男子の指を飲み込んだ。
「あぁ…」
神鶴藩主安藤直胤は、近頃は全く奥向きに近寄らず中奥で御伽役と専ら夜を過ごす。
直胤が中奥の寝所に入ると小姓頭と御伽役が平伏し出迎えていた。
「但元っ、今宵はお前が御伽役ではなかったのか」
安藤直胤は床の間に敷かれた夜具の上で但元の横の幼い男子を見ていた。
「殿、今宵の御伽役は此処に控えし片岡頼矩が申しつかまつります。」
「ほう…頼矩か…元服の登城のおりの其方の事は覚えておるぞ、苦しゅうない頼矩っ面をあげよ」
「‥っ‥は、はい」
藩主直胤が表向に出る時は 常に面頬(めんぽう)を着けていた為、頼矩は藩主の素顔を初めて真近で見ることになった。
「歳はいくつになった?」
「13になりました。」
直胤の顔面は、
幼い頼矩の目には、まるで地獄から蘇った鬼そのものだった。顔面の左頬下半分が赤黒く爛れ皮膚は、引き攣り唇の三分の一程が削りとられ中の歯茎がまる見えだった。
無傷の両眼と右半分の顔面は、その形相になる前はさぞかし麗しい顔立ちであっただろうと想像がつくほど鼻筋が通り涼しげな目元。真一文字に結ばれた赤い唇、何より肌が白くきめ細やかだった。
かねて小姓頭から、
『殿の御前では、決して声あげず、顔色変えず無の境地であり続けねばならん。そして常に殿の影となって殿を御守りする事こそが小姓の本分と肝に命じ、心して伽を務め上げよっ』と、
教えられていた頼矩は、その通りに対応して見せた。
「但元よ…中々に麗しい稚児よのう……解った。但元其方は下がってよいぞ、」
「ははっ」
宵から世話になった小姓頭が寝所を出ていく。
頼矩は急に心細くなってくる。
「頼矩っ苦しゅうない。もそっと近こう…近こう寄るがいい」
「はっ‥」
※面頬:鎧甲冑に付属した顔面を守る防具。鼻から下を覆う仮面様の
防具。
その夜頼矩は、藩主直胤から寝所での御伽役の仕事を教えられた。
声を殺してひたすら直胤のなすがままになった。
藩主は軽い頼矩を膝の上に載せると絹の寝巻きの裾をめくりあげた。
悪戯をした童の尻を親が叩いて懲らしめるように…
現れた頼矩の尻は藩主のごわついた手の平を優しく癒した。
真っ白できめ細やかな肌はしっとりと吸い付くように藩主の手指に纏わり付いてくる。
「よき塩梅の触り心地よの」
右手に抱き抱えられた頼矩の視界には、麗しい方の直胤の顔が映っていた。
‥とっ殿‥ そっそこは‥あっ あゝ‥
頼矩は声に出さない声で 直胤の愛撫に身悶えした。
藩主は頼矩の尻から股間の間を何度も行き来し撫で回す。
その度に指先にあたる小さな陰嚢を弱い力で揉みながら付け根の陰茎を指の間で挟み玩ぶ。
…ゥ…ゥ…ゥゥ…ァッァァ…
頼矩の顔が紅く火照る。
「頼矩…そちの菊門はまだ与の魔羅を喰らうには小さすぎるが…中々によきすぼみ具合よ…」
頼矩の耳には藩主の淫な褒め事葉も入ってこなかった。
藩主の手指が下半身の菊座や陰茎をはい回る度にぞわっと悪寒が走る。
ただひたすらこの忌まわしい時間が過ぎ去る事を願うばかりのはずだったが、
嫌悪する気持ちに反して頼矩の躰は、熱を帯びドクドクと波が押し寄せるように血がたぎり始めていた。
宵の口小姓頭から小便ではない、その答えは殿が教えてくれるだろうと言われた。その答えは直ぐにわかった。
「どうじゃ、ちいとお前の未熟な魔羅を味合わせてみせい…」
藩主は軽々と頼矩の躰抱き、夜具に仰向けに寝かせると 細い足首を掴み、両足を膝折り拡げた。
頼矩には見えない景色が直胤に見えた。
藩主は頼矩の勃起始めた小さな陰茎を口に含み、軽く扱いたかと思えば、次は 舌を使って菊門から陰嚢 陰茎の裏までを丁寧にゆっくり舐め付けていく。
「あっ‥‥」
たまらず 頼矩は声に出してしまった。
菊門から会陰 陰嚢 陰茎の裏まで 唾液と汗、わずかな淫液が塗り込められていく。
蝋燭の揺れる焔に照らされた 頼矩の幼い陰茎が痛々し程に硬く棒状に天を指していた。
小姓頭から湯屋で何度も包皮を剥かれ痛みに耐えて指南を受けていたため 藩主の愛撫で 難無く亀頭を被う薄皮はめくれた。
藩主は自分の股間に自ら手を忍ばせながら、頼矩の下半身を凌辱していく。
直胤は、頼矩の小さくひ弱な亀頭を吸っては舌を使って唾液を絡ませた。
削げ落ちた頬の下の唇の欠落した口元から涎が漏れる。
華奢な両膝は拡げられ、ごつごつと節くれだつ太い指は頼矩の菊座の周りを円を描くように這い纏わる。
やがて、じわりと菊門口は淫らな汁を吐き出し始めた。
直胤は指先の湿り具合を見計らい、菊門に指を深く突っ込み中をぐりぐりとほぐし始めた。
…ク…ゥ…ァッ…ァ…
頼矩は腹を掻き混ぜられたような鈍痛に涙しながら、お家の為と声を押し殺し、直胤の好きなように任せていく。
……ァッ…ァ
裏門の中は湧き出る汁に満たされ直胤の長い指は執拗に頼矩の裏筒を掻き回す。
男なら誰にでもある裏門の急所を探り当てそこを突く
…ァッ…クゥクク…ク
頼矩の躯が何度も細かく痙攣を起こし、腹の底から沸き上がるような痺れと小便をぎりぎりまで我慢した時に似た焦れた膨満感が下腹に押し寄せて来た。
藩主は、紅く充血しがちがちに硬直した頼矩の陰茎から口を離すと、
「頼矩…そちの急所は幼き癖に随分と熟しておるではないか…ん…どうじゃ…気はやれそうか」
ぶるぶると震える小さな躯から冷や汗が吹き出す。
…クゥ…ファァ……
がくがくんと魚丸の躯が跳ね上がる。
痙攣を起こし頭が背後に傾いて躯が硬直しだした。
その表情は白目を向き既に気を飛ばす寸前とみえた。
「ほれっ吐き出すがいいぞっ我慢するでない。与が全て飲み干してくれるわっ」
藩主は再び勃起した頼矩の陰茎を口に含み、ちゅうと吸い付き扱いた。
…ゥゥ…ハァァ
頼矩の細い胴体が前後に波打ちだし直胤の口一杯に大量の薄い精汁を吐き出してしまった。
…………ク…ゥ…
小さな躯がビクビクと引き攣りいつの間にか頼矩の菊座は藩主の指二本を根本まで飲み込んでいた。
藩主は頼矩の精汁を全て飲み干した。
菊門に突き刺さった二本の指は絞り上げるように締め付けてきた。
「いいぞぅ…頼矩っ、お前の菊はよき締め付け具合じゃ…」
藩主は寝巻きの裾を割り開き巨大化した赤い亀頭の太い陰茎を握り出した。
頼矩の目にそれは恐ろしげにうつる。
たらりと亀頭の鈴割れ口から透明な雫が垂れている。
「頼矩…今度は与を甘露の境地へ導いてくれ」
一瞬余りの恐怖に目を閉じた。
次の瞬間、
藩主は頼矩の小さな口一杯に太い陰茎を押し込んできた。
ゲッホッ‥
この夜の契りは、いたく藩主の覚えめでたく、わざわざ通称を藩主より拝領された。
藩主は片岡某頼矩に魚丸の通称名を付けよと申し付けた。
その謂れは寝屋での振る舞いが若鮎が急流を昇る勢いであったからとの事だった。
片岡(魚丸)頼矩
「片岡頼矩…昨晩は首尾よく勤め上げた。 祝着であった。殿より通称を御配慮つかまつった。謹んで賜るように」
頼矩は、この日から藩主安藤直胤の寵愛を一身に受け出世の道を昇り始めた。
御小姓頭だった水埜彦四郎但元はこの後、若年にもかかわらず江戸詰め家老御側用人の異例の出世を遂げるのだが‥‥
この数年後、神鶴藩は後継ぎ問題の内紛が幕府の知るところとなり、お家存亡の危機に直面する。
幕府は信濃、越中、木曽方面の天領を拡大したいとの思惑から、周辺の各藩を手当たり次第に取り潰しに掛かっていた。
少しでも不穏な噂が洩れ聞こえればすぐに詮議にかけ、幕府に利をもたらすと判断すれば 汚名を被せて 取り潰し 改易 転封による領地没収策を勧めていた。
泰平の世が続く 徳川治世で 諸大名が幕府に叛旗を振り上げる事は考えにくい事であったが、元禄の世の好景気 赤穂藩のお家騒動の顛末など民心を快楽享楽へ先導し、闇雲に正義を詠い、正道批判の版物も密かに出回るなど世情は乱れきっていた。
幕府財政も好景気が陰りを見せ始めると、たちまち逼迫し、増税では賄いきれないところを 諸藩に監視の目を向け天領を増やしていく方針を見せ始めていた。
最近では奥越藩の天狗の神隠し事件に端を発した後継ぎ問題で奥越藩はお取り潰し、所領は幕府お召し上げのうえ藩主は転封の沙汰に従い、奥州の草木も生えぬ小国に国変えの憂き目に遇っていた。
奥越藩と言えば、小国ながら天然の資源を活用し領民は皆潤い、財政も安定していた優良な国であった。
元奥越藩主結城勝兼には、神隠しにあった姫しかおらず、このまま世継ぎ問題が解決無く 結城勝兼が亡くなればこの小藩とて取り潰しは免れない。
幕府は大名の数を減らす為の徹底的な諸藩粛清政策を進めていた。
後継ぎ内紛問題が勃発している神鶴藩は幕府にとっては、お取り潰の恰好の材料だった。
幕府の動きは早かった。参勤交代で江戸滞在中の藩主安藤直胤(なおざね)に江戸上屋敷にて詮議済むまで謹慎を申しつけていた。
吟味は半年にも及んだが、その間側用人水埜(みずの)や江戸詰め家老、猿渡頼母之正(さるわたりたのものしょう)は、なんとかお家断絶だけは免れるように各方面に奔走した。
そのかいもあって、幕府の沙汰は嫌疑不十分のままお家の断絶は留置となっていた。沙汰留置のまま直胤は病の為江戸上屋敷内にて隠居し
家督を嫡男千代松に譲り、筆頭国家老国部伊織が幼い千代松の後見として藩政を執行するよう幕府好都合な筋書きのお達しが下された。
「これでは、国元の下前田と内通しておる国部やその取り巻きの思う壺っ」
江戸詰め筆頭家老 猿渡頼母之正は 国元に残した奥方に取り入り国元の重役達を藩主交代後もその地位安泰を約束して配下に加えた国家老国部伊織の抜け目のない陰謀に怒りを露わにした。
国元の世継ぎ騒動は 藩主直胤を凋落させたとして小姓組以下 直胤の側近は所領没収の上所払いの沙汰が下った。
お世継ぎの千代松君はすでに15の元服近いが、暗愚との噂がまことしやかに流れていたが、 幕府はこの先、神鶴藩を取り潰し、所領を召し上げる事を目論でいたため新しい藩主千代松を据える事で、世間体を保ちつつも 藩政は筆頭国家老に取らすかたわら隣接する下前田藩に所領管理を任せる事で今までの下前田藩の悪行を露見させ、 行く末は下前田藩までも召し上げようと企んでいた。
お側用人間部詮房は 下前田藩の国家老岩井と内通し、岩井の悪行を知って知らぬふりをしながら 一気に両藩のお取り潰し、所領召し上げを狙っていた。
これこそが下前田藩国家老岩井弾膳(いわいだんぜん)と幕府の思う壺だった。
今後は騒動の鎮静化を見計らって、神鶴藩を天領にしようとの幕府の思惑は現実味を帯びきた。
弾膳は幕府も知らぬとたかを括る神鶴藩境の秘境、鬼怒ヶ沢の砂金の金脈を我が物にしようと企んでいた。
この騒動で藩主に近い重臣達は国部を介して下前田藩国家老岩井弾膳に下前田藩に忠義を尽くすとの密書に血判を押す事で職を解かれる事は無かった。
しかし、一部の神鶴藩忠義の者は一族郎党暮らしに迷っても書状に血判押すこと無く禄をうしなった。
片岡魚丸始め、小姓組、江戸詰め藩士猿渡も禄無しの浪人となってしまう。
水埜は元々捨て子であった。
下級武士水埜彦右衛門に拾われ養子として水埜家の家督を継いだ。
今でこそ神鶴藩重役江戸詰め家老の職につき水埜家も藩内の名家の仲間入りを果たしてはいたが、
既に彦右衛門はお役御免の隠居の身であり、数年前に他界していた。
天涯孤独の水埜は、騒動で身動きが取れなくなるまえに家老猿渡にだけ伝えて国を出奔した。
数年後
猟師の弥比古に姿を変え、下前田に現れるまで水埜の行方は誰一人知る事無く過ぎていた。
「馬鹿めらが…」
小さく呟くと三人を一瞥して駒の遊ぶ水場に向かう。
その光景を一部始終見ていた湯治客から三人の男女に失笑の声が起こった。
「くそっ 色小姓っ待ちやがれっ」
面目を潰された男が魚丸を追いかけ背後から襲い掛かる。
「煩い蝿どもだなぁ…」
屈強な男の腕が魚丸の肩に届くか届かぬか、一瞬 目にも止まらぬ速さで大きな男の躯が宙を反転し魚丸の眼前に仰向けに倒れた。
白目を剥いて呆然と天を向く男を見下げた魚丸が
「兄さん、自慢の太い魔羅から子種を蒔く前に小便が漏れていますよ」
‥あはははは‥
魚丸は大の字にひっくり返った男を見下し、何もなかったかのように振る舞うと、楽しげに遊ぶ駒の元に向かう。
「よ―――っ千両役者ぁっ」
にわか‘大向う’が現れ掛け声が飛んだ。
華奢な色男が屈強な入れ墨のやくざ者を懲らしめる。
まるで歌舞伎でも見物しているような場面に出くわした湯治客が興奮しておお声を張り上げたのだ。
浴場全体から万雷の拍手喝采が沸き上がった。
「お駒さん」
魚丸の姿を見つけた駒は水場で遊んでいた童に「さようなら」と、別れを告げ魚丸の傍に駆け寄る。
「お駒さん、すっかり躯が冷えてしまったようだから囲い湯にでも入って温まり直しましょうか」
差し出す魚丸の手を握ると借りた部屋専用の内風呂に向かう。
「魚丸(とと丸)さんお侍さんですか…おらぁ、女みてぇだと言ってごめんなさい。」
駒は魚丸が小山ほどもあるやくざ者を投げ飛ばす光景を目の当たりにした。
「そう…男なのですよ―」
魚丸は一瞬複雑な表情を浮かべる。
片岡魚丸頼矩(ととまるよりかね)御家騒動で江戸上屋敷に蟄居謹慎中の神鶴藩藩主安藤直胤(なおざね)の小姓頭(こしょうがしら)を勤めていた。
小姓とは常日頃より藩主の側近くに使え藩主の身の回りの世話から危険が迫れば命にかえて藩主を守る役目を与えられた役職だった。
望まれればその躯を藩主に捧げ衆道(しゅうどう)と呼ばれる男色の肛門姦の相手も務めなければならない定めだった。
江戸時代前期では
主従の関係として身も心もささげ主人に仕える事こそが武家男子の美徳とされ衆道はその最たるものに数えられた。
小姓の条件として眉目秀麗、文武に秀でた15歳までの少年から選び、選ばれた一部の者だけが城の中で藩主に使える。
そのまま青年になっても藩主の寵愛を受け国の政の重役に抜擢される事も少なくない。
魚丸はその中でもずば抜けて文武に秀でまた藩主がその躯に溺れ、正室於勢の方を寝所に近寄らせなかった。
藩主が奥向きを顧みず 衆道に明け暮れ、政を疎かにしているとの悪評が悪評をよび、
その事が御家騒動の原因とまことしやかに囁かれていた。
片岡魚丸は、騒動の原因を作った張本人と汚名を被り、片岡家は所領召し上げの上所払いの裁量が下る。
当主魚丸の父親は自ら自刃して果て後を追うように母親が病でこの世を去った。
藩主に仕えながら その躯に刻まれた主君安藤直胤への深い憎悪
と執着………
12歳でその美貌を城主に見初められ、城に上がった夜…寝所の作法も何も知らぬ少年。
宵の口に湯屋で小姓頭から言われた一言は…
「何があっても拒む可からず。そなたの立ち居振る舞いが、今後の片岡家を安泰にも窮地にも出来るのだぞ。」…と
湯屋の中で魚丸は小姓頭によって念入りに躯を洗われた。
特に菊座と呼ばれる肛門からまだ包を被った小さな陰茎は念入りに洗われる。
陰茎は揉み解しながら包皮が容易く剥けるように何度も扱かれた。その痛みに耐えかねて声を発してしまう。
「頼矩(よりかね)…今は痛みで声を上げてもよいが殿の前では禁慰である事承知。解ったな!」
「はい…」
幼い魚丸は不安からさっと血の気が引いていく。
その顔を見て察した小姓頭は…
「心配は要らぬ。殿はお優しいお方ゆえお前のようなわっぱを取って喰おうなどとはされぬ。その逆じゃ」
小姓頭は糠袋で入念に魚丸の菊座を撫でつけた。
「頼矩 尻を私に向けよ」
「えっ…」
戸惑う頼矩の膝をパンと軽く後ろから叩くとがくっと膝が折れ前につんのめった。
「よしっ、そのまま動くでないぞ」
「あっ…」
小姓頭は頼矩の尻を割り開きその中心の柔らかい桃色の菊座に高価な南蛮渡来の香湯を塗り込め始めた。
ヒヤッ…
冷たい油が湯屋で温まりった菊座を驚かす。
キュッとその花びらをすぼますが、やがてゆっくりと小姓頭の指先の動きで血行が促されぱくぱくとわずかに動き始めた。
「どうだ頼矩…痛くは無いであろう」
小姓頭は頼矩の緊張をほぐすように語りかけながら更に行為を進める。
「は…い…妙な気分でございます。小便が漏れそうな…」
頼矩は小姓頭の手先の動きで下半身に力が入り前の陰茎が放尿前のように硬直しだした事を伝えた。
「そうか…だがそれは放尿では無い。その答えは殿が今晩教えてくれようぞ…それより今暫く辛抱しておれ、今より少し痛みがあるやも知れぬから」
「あっ…くぅっ」
小姓頭は右手先で尻の割れ目を開くと、左の中指を頼矩の菊座の中心にヌプっと差し入れてみた。
入念に揉み込んだ香油が湯屋全体に立ち込める。
柔らかく解れた幼い魚丸の肛門が初めて糞便以外出した事の無い入り口から節太い男子の指を飲み込んだ。
「あぁ…」
神鶴藩主安藤直胤は、近頃は全く奥向きに近寄らず中奥で御伽役と専ら夜を過ごす。
直胤が中奥の寝所に入ると小姓頭と御伽役が平伏し出迎えていた。
「但元っ、今宵はお前が御伽役ではなかったのか」
安藤直胤は床の間に敷かれた夜具の上で但元の横の幼い男子を見ていた。
「殿、今宵の御伽役は此処に控えし片岡頼矩が申しつかまつります。」
「ほう…頼矩か…元服の登城のおりの其方の事は覚えておるぞ、苦しゅうない頼矩っ面をあげよ」
「‥っ‥は、はい」
藩主直胤が表向に出る時は 常に面頬(めんぽう)を着けていた為、頼矩は藩主の素顔を初めて真近で見ることになった。
「歳はいくつになった?」
「13になりました。」
直胤の顔面は、
幼い頼矩の目には、まるで地獄から蘇った鬼そのものだった。顔面の左頬下半分が赤黒く爛れ皮膚は、引き攣り唇の三分の一程が削りとられ中の歯茎がまる見えだった。
無傷の両眼と右半分の顔面は、その形相になる前はさぞかし麗しい顔立ちであっただろうと想像がつくほど鼻筋が通り涼しげな目元。真一文字に結ばれた赤い唇、何より肌が白くきめ細やかだった。
かねて小姓頭から、
『殿の御前では、決して声あげず、顔色変えず無の境地であり続けねばならん。そして常に殿の影となって殿を御守りする事こそが小姓の本分と肝に命じ、心して伽を務め上げよっ』と、
教えられていた頼矩は、その通りに対応して見せた。
「但元よ…中々に麗しい稚児よのう……解った。但元其方は下がってよいぞ、」
「ははっ」
宵から世話になった小姓頭が寝所を出ていく。
頼矩は急に心細くなってくる。
「頼矩っ苦しゅうない。もそっと近こう…近こう寄るがいい」
「はっ‥」
※面頬:鎧甲冑に付属した顔面を守る防具。鼻から下を覆う仮面様の
防具。
その夜頼矩は、藩主直胤から寝所での御伽役の仕事を教えられた。
声を殺してひたすら直胤のなすがままになった。
藩主は軽い頼矩を膝の上に載せると絹の寝巻きの裾をめくりあげた。
悪戯をした童の尻を親が叩いて懲らしめるように…
現れた頼矩の尻は藩主のごわついた手の平を優しく癒した。
真っ白できめ細やかな肌はしっとりと吸い付くように藩主の手指に纏わり付いてくる。
「よき塩梅の触り心地よの」
右手に抱き抱えられた頼矩の視界には、麗しい方の直胤の顔が映っていた。
‥とっ殿‥ そっそこは‥あっ あゝ‥
頼矩は声に出さない声で 直胤の愛撫に身悶えした。
藩主は頼矩の尻から股間の間を何度も行き来し撫で回す。
その度に指先にあたる小さな陰嚢を弱い力で揉みながら付け根の陰茎を指の間で挟み玩ぶ。
…ゥ…ゥ…ゥゥ…ァッァァ…
頼矩の顔が紅く火照る。
「頼矩…そちの菊門はまだ与の魔羅を喰らうには小さすぎるが…中々によきすぼみ具合よ…」
頼矩の耳には藩主の淫な褒め事葉も入ってこなかった。
藩主の手指が下半身の菊座や陰茎をはい回る度にぞわっと悪寒が走る。
ただひたすらこの忌まわしい時間が過ぎ去る事を願うばかりのはずだったが、
嫌悪する気持ちに反して頼矩の躰は、熱を帯びドクドクと波が押し寄せるように血がたぎり始めていた。
宵の口小姓頭から小便ではない、その答えは殿が教えてくれるだろうと言われた。その答えは直ぐにわかった。
「どうじゃ、ちいとお前の未熟な魔羅を味合わせてみせい…」
藩主は軽々と頼矩の躰抱き、夜具に仰向けに寝かせると 細い足首を掴み、両足を膝折り拡げた。
頼矩には見えない景色が直胤に見えた。
藩主は頼矩の勃起始めた小さな陰茎を口に含み、軽く扱いたかと思えば、次は 舌を使って菊門から陰嚢 陰茎の裏までを丁寧にゆっくり舐め付けていく。
「あっ‥‥」
たまらず 頼矩は声に出してしまった。
菊門から会陰 陰嚢 陰茎の裏まで 唾液と汗、わずかな淫液が塗り込められていく。
蝋燭の揺れる焔に照らされた 頼矩の幼い陰茎が痛々し程に硬く棒状に天を指していた。
小姓頭から湯屋で何度も包皮を剥かれ痛みに耐えて指南を受けていたため 藩主の愛撫で 難無く亀頭を被う薄皮はめくれた。
藩主は自分の股間に自ら手を忍ばせながら、頼矩の下半身を凌辱していく。
直胤は、頼矩の小さくひ弱な亀頭を吸っては舌を使って唾液を絡ませた。
削げ落ちた頬の下の唇の欠落した口元から涎が漏れる。
華奢な両膝は拡げられ、ごつごつと節くれだつ太い指は頼矩の菊座の周りを円を描くように這い纏わる。
やがて、じわりと菊門口は淫らな汁を吐き出し始めた。
直胤は指先の湿り具合を見計らい、菊門に指を深く突っ込み中をぐりぐりとほぐし始めた。
…ク…ゥ…ァッ…ァ…
頼矩は腹を掻き混ぜられたような鈍痛に涙しながら、お家の為と声を押し殺し、直胤の好きなように任せていく。
……ァッ…ァ
裏門の中は湧き出る汁に満たされ直胤の長い指は執拗に頼矩の裏筒を掻き回す。
男なら誰にでもある裏門の急所を探り当てそこを突く
…ァッ…クゥクク…ク
頼矩の躯が何度も細かく痙攣を起こし、腹の底から沸き上がるような痺れと小便をぎりぎりまで我慢した時に似た焦れた膨満感が下腹に押し寄せて来た。
藩主は、紅く充血しがちがちに硬直した頼矩の陰茎から口を離すと、
「頼矩…そちの急所は幼き癖に随分と熟しておるではないか…ん…どうじゃ…気はやれそうか」
ぶるぶると震える小さな躯から冷や汗が吹き出す。
…クゥ…ファァ……
がくがくんと魚丸の躯が跳ね上がる。
痙攣を起こし頭が背後に傾いて躯が硬直しだした。
その表情は白目を向き既に気を飛ばす寸前とみえた。
「ほれっ吐き出すがいいぞっ我慢するでない。与が全て飲み干してくれるわっ」
藩主は再び勃起した頼矩の陰茎を口に含み、ちゅうと吸い付き扱いた。
…ゥゥ…ハァァ
頼矩の細い胴体が前後に波打ちだし直胤の口一杯に大量の薄い精汁を吐き出してしまった。
…………ク…ゥ…
小さな躯がビクビクと引き攣りいつの間にか頼矩の菊座は藩主の指二本を根本まで飲み込んでいた。
藩主は頼矩の精汁を全て飲み干した。
菊門に突き刺さった二本の指は絞り上げるように締め付けてきた。
「いいぞぅ…頼矩っ、お前の菊はよき締め付け具合じゃ…」
藩主は寝巻きの裾を割り開き巨大化した赤い亀頭の太い陰茎を握り出した。
頼矩の目にそれは恐ろしげにうつる。
たらりと亀頭の鈴割れ口から透明な雫が垂れている。
「頼矩…今度は与を甘露の境地へ導いてくれ」
一瞬余りの恐怖に目を閉じた。
次の瞬間、
藩主は頼矩の小さな口一杯に太い陰茎を押し込んできた。
ゲッホッ‥
この夜の契りは、いたく藩主の覚えめでたく、わざわざ通称を藩主より拝領された。
藩主は片岡某頼矩に魚丸の通称名を付けよと申し付けた。
その謂れは寝屋での振る舞いが若鮎が急流を昇る勢いであったからとの事だった。
片岡(魚丸)頼矩
「片岡頼矩…昨晩は首尾よく勤め上げた。 祝着であった。殿より通称を御配慮つかまつった。謹んで賜るように」
頼矩は、この日から藩主安藤直胤の寵愛を一身に受け出世の道を昇り始めた。
御小姓頭だった水埜彦四郎但元はこの後、若年にもかかわらず江戸詰め家老御側用人の異例の出世を遂げるのだが‥‥
この数年後、神鶴藩は後継ぎ問題の内紛が幕府の知るところとなり、お家存亡の危機に直面する。
幕府は信濃、越中、木曽方面の天領を拡大したいとの思惑から、周辺の各藩を手当たり次第に取り潰しに掛かっていた。
少しでも不穏な噂が洩れ聞こえればすぐに詮議にかけ、幕府に利をもたらすと判断すれば 汚名を被せて 取り潰し 改易 転封による領地没収策を勧めていた。
泰平の世が続く 徳川治世で 諸大名が幕府に叛旗を振り上げる事は考えにくい事であったが、元禄の世の好景気 赤穂藩のお家騒動の顛末など民心を快楽享楽へ先導し、闇雲に正義を詠い、正道批判の版物も密かに出回るなど世情は乱れきっていた。
幕府財政も好景気が陰りを見せ始めると、たちまち逼迫し、増税では賄いきれないところを 諸藩に監視の目を向け天領を増やしていく方針を見せ始めていた。
最近では奥越藩の天狗の神隠し事件に端を発した後継ぎ問題で奥越藩はお取り潰し、所領は幕府お召し上げのうえ藩主は転封の沙汰に従い、奥州の草木も生えぬ小国に国変えの憂き目に遇っていた。
奥越藩と言えば、小国ながら天然の資源を活用し領民は皆潤い、財政も安定していた優良な国であった。
元奥越藩主結城勝兼には、神隠しにあった姫しかおらず、このまま世継ぎ問題が解決無く 結城勝兼が亡くなればこの小藩とて取り潰しは免れない。
幕府は大名の数を減らす為の徹底的な諸藩粛清政策を進めていた。
後継ぎ内紛問題が勃発している神鶴藩は幕府にとっては、お取り潰の恰好の材料だった。
幕府の動きは早かった。参勤交代で江戸滞在中の藩主安藤直胤(なおざね)に江戸上屋敷にて詮議済むまで謹慎を申しつけていた。
吟味は半年にも及んだが、その間側用人水埜(みずの)や江戸詰め家老、猿渡頼母之正(さるわたりたのものしょう)は、なんとかお家断絶だけは免れるように各方面に奔走した。
そのかいもあって、幕府の沙汰は嫌疑不十分のままお家の断絶は留置となっていた。沙汰留置のまま直胤は病の為江戸上屋敷内にて隠居し
家督を嫡男千代松に譲り、筆頭国家老国部伊織が幼い千代松の後見として藩政を執行するよう幕府好都合な筋書きのお達しが下された。
「これでは、国元の下前田と内通しておる国部やその取り巻きの思う壺っ」
江戸詰め筆頭家老 猿渡頼母之正は 国元に残した奥方に取り入り国元の重役達を藩主交代後もその地位安泰を約束して配下に加えた国家老国部伊織の抜け目のない陰謀に怒りを露わにした。
国元の世継ぎ騒動は 藩主直胤を凋落させたとして小姓組以下 直胤の側近は所領没収の上所払いの沙汰が下った。
お世継ぎの千代松君はすでに15の元服近いが、暗愚との噂がまことしやかに流れていたが、 幕府はこの先、神鶴藩を取り潰し、所領を召し上げる事を目論でいたため新しい藩主千代松を据える事で、世間体を保ちつつも 藩政は筆頭国家老に取らすかたわら隣接する下前田藩に所領管理を任せる事で今までの下前田藩の悪行を露見させ、 行く末は下前田藩までも召し上げようと企んでいた。
お側用人間部詮房は 下前田藩の国家老岩井と内通し、岩井の悪行を知って知らぬふりをしながら 一気に両藩のお取り潰し、所領召し上げを狙っていた。
これこそが下前田藩国家老岩井弾膳(いわいだんぜん)と幕府の思う壺だった。
今後は騒動の鎮静化を見計らって、神鶴藩を天領にしようとの幕府の思惑は現実味を帯びきた。
弾膳は幕府も知らぬとたかを括る神鶴藩境の秘境、鬼怒ヶ沢の砂金の金脈を我が物にしようと企んでいた。
この騒動で藩主に近い重臣達は国部を介して下前田藩国家老岩井弾膳に下前田藩に忠義を尽くすとの密書に血判を押す事で職を解かれる事は無かった。
しかし、一部の神鶴藩忠義の者は一族郎党暮らしに迷っても書状に血判押すこと無く禄をうしなった。
片岡魚丸始め、小姓組、江戸詰め藩士猿渡も禄無しの浪人となってしまう。
水埜は元々捨て子であった。
下級武士水埜彦右衛門に拾われ養子として水埜家の家督を継いだ。
今でこそ神鶴藩重役江戸詰め家老の職につき水埜家も藩内の名家の仲間入りを果たしてはいたが、
既に彦右衛門はお役御免の隠居の身であり、数年前に他界していた。
天涯孤独の水埜は、騒動で身動きが取れなくなるまえに家老猿渡にだけ伝えて国を出奔した。
数年後
猟師の弥比古に姿を変え、下前田に現れるまで水埜の行方は誰一人知る事無く過ぎていた。
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