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神界転生

新婚旅行〜南斗星君

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‥‥仕事はサボって良いのか?‥星君

  

    ‥アハハハ 今宵は雨になるゆえ‥店仕舞いかな♪



‥星君がさがると 亡者が増えるやもしれんな‥

   ‥この雨は長引きそうだよ、北斗さんが張り切っていたからね‥


南斗星君 は 南斗六星を統べる生命を司る美しい男神だったが、女子には全く興味なく、すでに30万歳は超えているが未だ独り身だった。

方や北斗星君は 全ての生き物の死を自由に操る事を許された老神(見た目)でその容姿は南斗星君と真逆だった。北斗星君は天空を統べる北極大帝に仕え南斗星君のような自由も無く大帝のご機嫌を伺いながら同じく30数万年を生きてきた。

いわば天国と地獄ほどの違いに
常日頃から 才色兼備の南斗星君と比較され相当ひがんでいた。

『また 何処かで洪水など起こさねばよいが‥』
北斗星君は時々酔っ払って理性を失い大量に人を殺傷したりする。

蒼霊は普段は 人間界に起こる災害など全く興味無くヒトが死のうが生きようが 所詮数十年の違いぐらいにしか捉えていなかった。
しかし、イトが福の神に等しい猫を粗雑に扱った事から 司命星君に次から次へと災難が降りかかるような筋書きを運命簿に書き換えられてしまった。


神とは 元来気まぐれに何でも決めれる存在だった



『まぁ‥ねぇ‥今さ 北極大帝が体調不良でさ、天宮の紫微殿に引きこもり中だからぁ‥案外伸び伸び殺しちゃうかも‥よ』

南斗星君はその美しい顔に似合わず恐ろし事を口走り、思わず鈴兎は ブルッと身震いした。



『おいおい 物騒な事を妻に聞かせないでくれよ‥』
蒼霊は 鈴兎の腰に回した腕をグッと引き寄せた。



『ごめん、ごめん‥でもさ‥大丈夫なんだよ、僕が居ればね~』

南斗星君は満面の笑みで 手のひらを煽いで鈴兎の顔を覗き込んだ。

 
『おや‥この子‥何処かで見たような‥』


帯びから畳んだ扇を取り出すと ぽんぽんと扇で手のひらを叩いた。


思い出さなくてもいいよ‥お前の取り巻き女じゃない事だけは確かだから‥


蒼霊は仕方なく南斗星君が思い出すかもしれないと黙ってその場でまってみた。

『まっ、いいか♪ なぜだか 女子の顔‥忘れちゃうんだよねぇ~』

    

   ‥人間界ならチャラ男で通るな‥


鈴兎は蒼霊の着物の袂を引っ張り 蒼霊が 何だ と鈴兎の方に顔を向けると 何だか言いたげに唇をモゴモゴ動かした。



   『あー そう言う事ね!』



蒼霊が鈴兎の言おうとしている事を丁寧に聴いてやろうとする前に 先に南斗星君が鈴兎の考えを先読みしてしまった。

 

    ‥っ!勝手に妻の考えている事を読むんじゃねえよっ


蒼霊は南斗星君の無神経さにイラッとした。



『つまりさ、僕と北斗星君とは表裏一体の存在なわけさ‥僕は誕生や年齢を司り 北斗さんは死を決めちゃうわけ‥』


    ‥わかるかなぁ~?

南斗星君は鈴兎が理解したか気になった。



『あのぉ‥南斗星君様が百年生きていなさいと決めたらそのヒトは百年生きて、北斗星君様が ‥‥その‥死になさい‥と決めれば死んじゃうって事‥ですか?』




『そう!その通りぃっ ただし その力は神仙には通じない‥わかるでしょ?』




『あの‥神様方はほとんどの方々が何十万年も生きられて死なれても 元神が散らばらない限りまた復活するから‥ですね』

鈴兎はモジモジしながら 南斗星君に答えた。



    『はーい 正解っですぅ』

ニコニコと鈴兎に笑顔で答えてくれる星君を見ながら頬を染めて恥ずかしがる鈴兎にも 



   ‥ったくぅ 他の男と話すんじゃねぇよ!



『さぁ もういいだろっ 早く師匠の何処に行くぞ小糸っ』




『蒼霊君 待って! 思い出したよ!彼女 海渡山の地仙の所にいた小仙‥たしかぁ‥うさぎちゃん?じゃなかったっけ?』



 ‥ゲッ うさぎちゃんだって‥馴れ馴れしく他人の妻をちゃんずけするんじゃねぇよ💢



『あ、はい 私の名前は鈴兎です』


『な~んだぁ じゃあ 僕とめっちゃ近い関係じゃん!』


‥なっ何が近い関係だっ 女神はべらせて顔も覚えてないくせに!


『わかった わかった 南斗君! 俺達 新婚旅行中だから!』



『え~っ まだ天君だって知らないだろぅ?
じゃあ 〝婚前旅行〟じゃね? 』



夜空は厚い雨雲に覆われて 南斗六星の輝きも失せ 星君は暇で仕方がない。


『ねぇ 僕も久々に海渡山へ行きたいな~ 付き合わせてくれたら、白澤(ハクタク)か畢方(ヒツホウ)のどっちか貸すけど‥な 楽ちんだよ』


 
ちぇっ!きったねえなぁ‥


結局 蒼霊は南斗星君も一緒に海渡山の地仙に会いに行く事に同意して白澤を借りた。南斗星君は、畢方は座り心地が悪いと文句を言いながらその巨大な一本足のダチョウのような鳥の背中に立ったままヒョイッと飛び乗り蒼霊は鈴兎を抱き寄せ白澤の背中に跨ると 海渡山目指して神獣が飛び上がった。
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