「秘密の毒林檎」

C.B

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秘密毒43
「うわぁぁぁぁぁぁぁあああああ」
 麗子は驚きのあまり、
椅子から転げ落ち林檎にかぶりついてしまった!
シャクリ…
 立つすくむ鞠絵から布団がズルッと落ち、
「あは~ん♪」
 色っぽい声と、
太極拳のような不思議なポーズで、
ボトッ!
真っ赤な林檎を産み落とした。
それは、たしかに親友の股からポトリと落ちたのだ!
にわかには信じられない、
非現実的な出来事に麗子は面食らい、
鞠絵の林檎に釘付けのまま、
バリバリムシャムシャ!
林檎を食べてしまった!
『あああああああああああああ
 今のなにーーー!!!!!!!
 林檎りんごりんごーーー!!
 出たーー!!!』
 声にならない麗子。
するといきなり、音も無く、どこからともなく
麗子の前に突然。
真っ赤なスーツ一姿の男が現れた!
「ヘィ! ベイベェ~ 
 やっと逢えたな。
 待ちわびていたよ~ん。
 なんて美しい子なんだ。
 惚れてしまいそうだぜ! イェ~」
『おわわわわわわぁぁぁ! だ、だれ?!』
 口から泡を吹きそうに動揺している彼女に
お構いなしに話し続ける謎の男。

秘密毒44
「そんなに感動してくれているのか~ぃ~?
 嬉しいぜ。
 さぁーおまえのご主人様のキスを受けろ」
 唇を尖らせる端正な顔立ち。
彫りの深い外国人のような男は、
麗子の肩を抱き覆い被さっていった。
そして、麗子は自分のあそこに奇妙な、
モリッとした圧迫感を感じ。
何かがそこに”ある”と思った!
『な、何?! 股の下のこれは~
 今度はなに~!! まさか、まさか
 私も… 産んだノォー!』
でも、それは林檎のように丸い物では無かった…。
しいて言えば、もう少し細長かった…。
「ウヒョッヒョッヒョヒョーーー」
 病室から聞こえる謎の笑い声に、
何事だと駆けつけた木村は
ベッドに立つミイラ女を見て驚き、
謎の男の出現に大声を張り上げた!

 ここは地上5階。
もしドア以外からの進入があるとすれば、
それは犯罪を意味しているはずだ!
「君! どこから入った?!
 そこで何してる!
 その人から離れなさい!」
「あ”… なんだお前?
 いいところなんだぞ~」
 そう言うと、
麗子の股ぐらから、
熟れて真っ赤な、
”マンゴー”を取り出した!
『え? なななななな何ぃ~~それ~~!!!』
 麗子は失神寸前だった。

秘密毒45
「わ、私は警官だ。
 君! その人から離れなさい!
 無駄な抵抗はしないほうが懸命だ」
 木村は警棒を握りしめ、
応援を呼ぼうと携帯無線に手をかけた。
「あ~ 誰かと思えば、お前か…
 クスス
 お前の恋人のは美味しかったぞぉ~
 なんとも言えない酸味があって、
 青々しくてな。クスス」
「あ!!! なんだと!!!」
「名前なんていったっけ?
 あ、そうそう、
 よう… 東洋系ハーフの陽華(ようか)ちゃんだったか」
「なんだ、貴様何を言っている!!」
「しかしー何も消えるこたぁーねーのになぁ
 がっかりだよ…
 …可愛い子だったのになぁー
 …お前がしっかり見ていなかったからだぞ?
 もうちょっとすれば完熟したのにぃ~
 分かってんのかお前 あぁ~ん?」
『あぁぁぁぁぁぁぁぁ』
 木村はパニックになりかけていた。
「あ。そうそう、お前のことも思い出したよ…
 お前さ、中坊の頃オナニーして
 拭いたティッシュ毎日毎日、
 山本山さんちの屋根に捨てて、
 排水溝詰まらせただろ?
 ウワッハッハッハハ
 ぎゃははははは
 面白かったぞ、
 お前の怒られるときの顔ときたら。
 プクククク~」

秘密毒46
長い髪をなびかせた女性が、
断崖絶壁に立ち、こちらに振り向こうとしている…。
そして、そして…
彼女は、巨大な波しぶきが立つ荒れた海に
飛んだ…。
その瞬間を今まさに、
見せつけられてる木村。
訳が分からないまま叫んだ!
「陽華! 俺を置いて行くな!
 行かないでくれ 陽華ぁーー」
 とめどなく涙が溢れこぼれ落ちた。

 ”陽華”という名の恋人が木村にはいた。
しかし、目の前の何者かが言うとおり
数年前、短い遺書を残し旅立っていた…。
木村はまだその彼女を忘れられずにいた…。
「き、貴様ァ~~! 何者だ!!
 今のはなんだ! なんなんだ! 俺に何を見せた!!!」
「ん? 何者? 俺が誰かなんて
 知ってるはずだぞぉ~
 答えはもう出てるだろう?
 素直じゃないな~木村巧く~ん!」
「あの娘が消えたのはぁー
 お前のせいだよーん。
 この鼻垂れ小僧!」
「うぉ~~~~!!!」
 発砲事件ですっかり憔悴してる木村は、
奇妙な白昼夢のようなものを見せられ、
山本山さんちの件も大当たりで!
顔は真っ赤に逆上し、
男に掴みかかった。
「にょほほほほほっほ」
「そのせせら笑を止めろ!
 俺がどんな気持ちでいるのか分かっているのか!
 陽華は俺の! 俺の!
 最愛の宝物だったんだ!」

秘密毒47
「宝物? あ~だからか、
 物なら箱に押し込めたままにして、
 おきたかったってことか?
 愚か者~! ニヤニヤ」
 男は木村のなすがままに身体を揺らされ
ゴムのようにグニョグニョ振れ、
せせら笑いを止めようとはしなかった。
「こ、このやろーーーー!」
 木村は警棒を男めがけて振り下ろした!
謎の男は、すっと身をかわし木村の口に、
「これでも喰らえ~ ニョホホホーーッ♪」
 っと、麗子のマンゴーをねじ込んだ!
「うわっぺ! きききさまぁー
 公務執行妨害でたたたた逮捕だ!」
 木村は警棒を捨て、
ホルスターから、
今度は自ら拳銃を引き抜いた!
その時だった。
突っ立ったままの鞠絵が
前かがみになったかと思うと、
シュポーン! シュポポポポーーン! ポーン!
あらぬ所から大量の林檎を産み落とした!
ボトボトボトボトボトトトトトト!
木村も麗子も開いた口が塞がらず、
その様子に、釘付けになってしまった!
ポーン ポーン シュポーン!
 シュポポポポーーン! ポーン!
   ポトン コロコロ ゴロロロロロー
病室にあふれ出す林檎たち!
ボテボテ ゴロリン! コロコロコロ
信じられない光景に凍りつく二人!

ガララッ!
 病室のドアが開いた。
「おかげんいかがです~加賀谷さーん?」
 検温に来たピンク色した制服のナースが病室に入って来て、
コロン…
「?」
 足元に転がってきた物を拾ってあげた。
「おいしそー♪」
ゴロゴロゴロゴロゴロ
しかし、足元には二個、三個、もっとたくさんの果実が転がってくるのに目を奪われ、
「ななななななななな!」
 口をぽかんと開けたまま、愕然としていた。

秘密毒48
驚くままに顔を上げると、
『警官がうなだれた若い女性に拳銃を突きつけ。襲い掛かかっている!』
 そう思わざるを得ないシーンを見ていた。
「わわわわあああああ!」
 ナースの声は震えていた。
「え? あ、あいつは? き、消えた?!」
 謎の男は消えていた…。
その事に木村も気付いた。
「あ? え? 違うんだ。違う、違う、
 さっき不審な男が居たんだ! だから俺は!」
 拳銃をかざしナースを説得しようと、
木村はにじり寄った。
「きゃぁーーーーーーーーー」
 ナースは悲鳴を上げ、果実を握りしめたまま
大慌てで走り去っていった。



 個人タクシーの運転手。古田は、
市の警察署に連れて来られていて、
事情聴取を受けていた。

 深夜の緊急事態に、
慌てて駆けつけた警察署長は、
玄関口のマスコミに揉まれ正式な記者会見を開くからと、
署内に入って来た。
刑事課の前を通ろうとしたとき、
その見覚えのある後姿に近づいていった。
「あっ。古田さん。
 やっぱりそうだ、こりゃー懐かしい。
 どうされたんですか? ここで何を?
 あ、もしかして、まさかー発砲事件?」
 古田はくるりと振り向き、
その懐かしい顔に手をあげ
「よぅ!」と、笑った。
周りの刑事たちは二人の仲の良さに、
誰なのだろうとざわついた…。

秘密毒49
「調書済んだらあとで、一杯どうです?」
「お前あいつら早く何とかしないと面倒だろう?」
「いや~、マスコミなんか適当にほって置けば
 いいですから、がはははは。
 すぐ終わらせますから、
 良い酒があるんです」
「おいおい、署内に酒はまずいだろう?
 相変わらずだな。あっはっは」
 署長は膝をポンと膝を叩き事情を聞くため、
署長室まで関係者を呼び出してくれと、
寄ってきた副署長に言った。
「古田さんって、うちの署長と仲いいんですねー。
 どーいうご関係?」
 二人のやり取りを見て、調書を取る刑事が尋ねた。
「ああ、いやね、実は私も元警察関係者でねぇ
 署長とはね付き合い長いのよ。
ここだけの話し、あいつ育てたの俺よ。プププ」
 古田は照れながら笑った。

 電話をかけまくっていた傍らの背の高い刑事が、
古田の前にいる刑事に話しかけた。
「あっちゃ~、加賀谷幹広さんって、
 会社退職してますねぇ。
 やっと、話のできる人探せました」
 背の高い刑事は腰をかがめ、刑事の耳元で話した。
『加賀谷の旦那ついこないだ不祥事を起こし
 会社首になってるそうです』
『ふーん…』
 彼らの耳打ちする会話は古谷には分からなかったが、口を挟んだ。
「旦那さん? 旦那さんなら昨日の朝、
 空港まで連れて行きましたよ!
 出張だとか言ってましたけど?」

秘密毒50
「え~そーいうことは早く言ってくださいよ、で?
 どこ行ったのか分かりますぅ?」
「そうそう、行き先は香港とか言ってましたね」
「ほほぉー海外?
 引っかかるなぁ どっちにしろ」
 若い刑事が言うと、
「おいぃー 恵美ちゃん。やっこさんの出立記録。空港に問い合わせてくれないかな」
 中年刑事が、そこにいた若い婦警に指示した。
「あ。はい。でも、調べられるのは朝一番になりますよ~」
 彼女はお茶を入れながら振り向いた。
「んでー、古田さん。
 その黒尽くめの男たちは何者だと思います?」
「ブッ。そーいうこと、もう一般人の私に
 聞くかね? ブハハ」
「いやー、一番初めに現場に出くわした
 先輩の初動捜査の勘をちらり、
 お聞かせ願えたらなっと」
 中年刑事が尋ねた。
「元、刑事(でか)としてはだけどもね…やつらは、
 訓練された兵隊。
 でもな、まるでお遊びだよ~
 あの合わせた様な靴跡見る限り…。
 しかし、大掛かりな装置…
 何かの組織…
 理由は分からんが、
 鞠絵ちゃを誘拐目的とした犯行!
 …なのは間違い無さそうだ…」
『旦那…あんたいったいどーしちまったんだ?
 あんたが”鍵”なのか??…』
 老齢な元刑事は腕組みしたまま考え込んでしまった…。
目の前の中年刑事は、若い刑事に指示をした。
「稲葉。とりあえず病院行くぞ」
「あ、古田さんもうお帰りになって構わないです。
 ご苦労様でした。
 後日現場にご足労願いますが、
 宜しくお願いします。
 また連絡します」
 背の高い刑事、稲葉が丁寧にお辞儀をすると、
「あ。いえいえ、これでも元刑事。
 いや、市民の務めだからね。
 そんでね、面倒かな?
 私も病院一緒していいですかね?
 彼女らが心配で…」
 刑事たちは顔を見合わせ、
三人は連れ立って病院へ向かった。

*秘密毒51

 鞠絵がとんでもない事件に巻き込まれている頃、
どうにもこうにも眠れない男がここにいた…。
ゴロゴロ寝返りをうっては呻いている彼の名は、
”加賀谷 幹広”…そう、
鞠絵の愛しい旦那、ドSのご主人さま…だ。
 ホテルの窓からは湾岸沿いに大きなビルが乱立し、
ライトアップされた街並みが輝き、
美しい景観を誇る不夜城。
ここは香港…。

 旦那さまの寝返りは早くなり、
額から油汗が滲み、悪夢にうなされ跳ね起きた。
ハァハァと息も荒く力の出ない手で、
いい歳した大人がお漏らしをした痕跡を探す子供のように、
そっとシーツの中をまさぐりはじめた…。
「あ~神さま頼む!
 もしあんたが居るのならこれ以上俺を、
 苦しめないでくれぇ!!」
 そして、 苦悶の表情を浮かべ…
転がっていたそれをつかみ上げていた…。
それは、一本のバナナ。だった!



「さっきの男はどこ行った!
 あなたも見ましたよね!?」
 木村は訴えるように訊いたが、
「あぅあぅあぅー」
 非現実的な出来事の連続に、
ショック症状の麗子は、
ただ呻くだけで、相手にならず、
木村は、尻を突き出したまま突っ伏して眠るミイラ女に話しかけていた…。
「き、君は… 君… 加賀屋さん。あなたもなのか?!」
 そして、力をなくした様にうずくまると、肩を震わせはじめた。
「ほ、本当だった…。
 ほんとうだったんだ…。
 まさか、現実に起こっていたことだったんだ!
 陽華ーーー!!!
 うわぁあああああああーー」
 悔やんでも悔やみきれない男は、涙を溢れさせ泣きじゃくり
転がる果実の甘い香りに包まれていった。

*秘密毒52

「おまわりさん! 110番! 誰か~ だれかぁ~!
 501号室にエマージェンシー!!」
さっきの看護婦が、
エレベーターが開くや否や、
林檎を捧げ持つような格好で、
二階の看護士詰め所に近いエレベーターから、
飛び出して来た!
そこへ、上に行こうと待っていた女医が、
林檎に目をつけ、
「いただき♪」
 っと、取り上げてしまった。
「あぁーー 御厨先生! 京香せんせぃ~
 賊です! ゾクがー
 501号室に拳銃持った警官が~~!」
シャリシャリガブリ
「どうしたの? そんなに慌てて、
 拳銃持ってる警官?
 それ、普通ーでしょ。
 おいしぃーこの青林檎。
 ダメじゃな~い。
 患者さんから物貰ったりしちゃ~
 証拠隠滅♪」
ガブリ シャクリ ガジガジ ゴリ…
「え? それ無花果ですよ?
 そっそんな場合じゃない!」
「昨今の医療勤務事情は、確かに辛い…
 千代ちゃんが、青林檎を!
 無花果と見間違えるのも
 無理は無いかと…
 いえ、あなた眼科検診ていうか
 頭見てもらった方が良くない?
 じゃね~♪」
 後手に手を振り、エレベーターに乗り込む京香先生。
小腹が空いていたらしく、
林檎に噛り付いていた。
「ムッキーッ~それは絶対に無花果!
 だから! 501号室の患者に警官が!
 拳銃持って襲い掛かってるんです!」
 千代と呼ばれる看護婦は、
閉じかかるドアに指で鉄砲を真似、
御厨京香の頭に向かって弾いた。

秘密毒53
ドアは閉まった。
「え~~~~! な、な、な、何してるの!
 これは誰がなんて言おうと絶対青林檎… 
 イチイチマルしなさーぃ!!!」
京香は一人乗るエレベータの中で、
じだんだを踏み叫んでいた。
そして…
そして、誰かに!
肩を叩かれてしまった!
『ギャッ!』

 彼女は外科医で、百戦錬磨の救急医療スタッフ。
どんなに悲惨な患者が担ぎこまれても、
慌てたりなどしない…。
冷静に命を繋ぐことだけを使命としていた。
だが、彼女は
自分が
逆の立場になったことは
一度も無かった…。
ここは、病院…
生と死の影がちらつつく最たる場所…。
京香は本気で怯え、
「誰!」
 振り向いた。
左の頬に固い物が触った…。
「ギャァアアアアア!」
 驚いた彼女が顔を離すと、
ヌルッとした大量の液が跡を引いていた…。
半狂乱でエレベーターのすみ。
逃げ場の無い個室から逃げようともがき、
緊急通話ボタンを連打していた。

秘密毒54
 通話フォンから一切、応答はなく、
ノイズ交じりの音が聞こえていた。
『何よ! 何してるのよ。
 どーして誰も出ないの~!』
ツンツン
「!!!」
 白衣の裾を引っ張られ、
恐る恐る振り向いた京香。
『え?』
 だが、誰も居ない…。
 ストレスで疲れすぎてるのは自分かもと、
頬を触るとやっぱり、
粘つく何かが付着していた。
「クサッ!」
 匂いを嗅ぐと、強烈な甘い香りがした。
「ここだってば…」
 足元を見ると子供のような、
そうでないような、
はだかんぼの小さな男が立っていた!
「お待たせ~
 一応言っておくけど、
 助けを呼んでも誰も来ないよ?」
『キューピ~?!』
 京香は古典絵画に出てきそうな
天使だと思ったが、
すぐに悪魔かもしれないと考え直した。
何故なら、羽はどこにも見当たらず、
その代わり?
すごく大きな”あれ”が垂れ下がり、
ヌルヌルした液を滴らせていたからだ!
「誰! このエレベーター
 スタッフ以外の利用は禁じられてるの!
 すぐ警察が来るわ。次の階で降りなさい!」
 京香は培ってきた人格の全て。
医師の威厳と、人の尊厳を保とうと、
謎の相手に迫った!
『早く出てー エレベータースタッフ~!!!』
「なんてこと言うのさ…
 やっと会えたと言うのに。
 キョンが呼んだんだよ? 僕を。 ムフン♪
 ほら、僕の凄いでしょ? ね? ホラー
 今から君が望んでることをさせてあげるね~
 夕べ、久しぶりに会えた進ちゃんとの密会!
 物足りなかったよね~。
 続きしよっか? ね♪」
「なななな!」
『なんで院長とのこと知ってる!』
 夕べの行為は彼女に…
やり場のない、ストレスを与えていた…。
そのことを思ったとたん。
口に太い”あれ”が、ねじ込まれてしまった!

秘密毒55
『モグァ いや! やめて!』
 抵抗することもできなかった。
甘すぎる香りに頭が麻痺したのか、
目を潤ませた…。
ペロペロ チュパチュパ れろれろ
「あぁ 凄い。凄いよ。キョン 
 医者としての腕も素晴らしいが、
 お前の口はもっと…」
 囁く天使か悪魔の声は、
そのまま、
夕べの院長の声と重なっていった…。
京香はキョンと言われているらしく、
『おぃしぃ おいぃしい たまらなく好き
 キョンは、男のこれが最高に好き
 あぁぁあーん』
 彼女は、夕べのままの自分。
快楽の肉棒を舐めまわすただの、
女になっていた…。
「乱れろもっと! 好き者め…
 もっと、淫らにしゃぶりなさい。
 お前は今、医者なんかじゃない。
 メスだ!
 私にずーっと飼われてる
 淫乱のメス豚!
 くふふふふふふ」
 進ちゃんは、バラ鞭で彼女の背をバシバシ叩いた。
 飢えていた京香。
咥えたまま、
たわわな胸を揉み、
タイトスカートの中に指を滑らせた。
黒いパンストの縫合された、
奇妙にいやらしい筋をなぞる…
ノーパンだった彼女のあそこ…
ヌプヌプヌプ
既にベチョベチョ…。
「うふふふふふ さぁ、キョン。
 もっと、素敵な所へ連れて行ってあげる♪」
 小さな男ガ言うと、
エレベーターの扉が5階で開いた…。



『大原さん! 緊急です!
 誘拐未遂事件の加賀屋鞠絵の病室501で、
 緊急事態発生ー』
 覆面パトカーに乗った、
大原の携帯に署から連絡が入った。
「え? 何が起こった?」
『木村巡査と思われる警官が、
 被害者に拳銃を突きつけ
 暴行を加えてると、
 110通報がありました!』
「な、なんだそりゃ… 了解しました。
 こちらは病院に到着しました。
 応援をお願いします!」
「今度は、何があったんです」
 運転してる稲葉が、病院の駐車スペースに
車を入れながら言った。
「信じられないことが起こってる。
 発砲事件の新人巡査が
 何をとち狂ったのか、被害者を襲ってるとよ…
 急げ!」
「えぇーーー!」
 稲葉は、脇下のホルスターの止め具を外し、車を降りた。
『えぇーー 鞠絵ちゃん! 君は!』
 後部座席の古谷は顔をこわばらせた。

*秘密毒56

「ハッ うぁああああ! 血!!!!」
 麗子が我に返り見たものは、真っ赤に染まった床だった…。
誰か危険な目にあったのかと、恐る恐る凝視すると、そこにはおびただしい数の、真っ赤に熟れたマンゴーが転がっていた。それを、血と勘違いしていた。
「ゲゲゲゲゲー そ、そうか、鞠絵ちゃんが魔法みたいにドカドカ出したんだった…。ちょ。ちょっとそこの警官! 何うずくまってるのよ。バカー」
 麗子は頭が混乱していてイラつき、目の前の男を揺すった。
「ぁ。気づいたんですね。良かった。ほんと良かった…」
「え? まさか…泣いてた? あぁーーもぅ 全然頼りにならないわね~ 誰よこんな使えないのよこしたの! 早くさっきの女! 逮捕しに行ってこーい!」
 木村の目は真っ赤に充血し、腫れていた。
「オンナ?」
「あたしの股ぐらから、マンゴーひねり出したマジシャンみたいな、黄緑色のメスよぉー あんたも見てたでしょ!!」
「そ、そうですか…。
 俺が見たのは、真っ赤なスーツの男…」
「俺? 俺さんは、何訳の分からないこと言っているの。ハラタツー!」
 木村の持ってる無線機の通話ライトがチカチカ光っていたが、イヤホンは耳から外れていた…。
「おねーさん。あなたにはこれが、何に見えますか?」
「なに~! 何を呑気にクイズタイムな訳~! ナースコールはどこよ。どこー!」
 前かがみのミニスカートから下着が見えかかったその時、木村は彼女の肩を力ずくで掴み振り向かせた!
「うわっ!」
「答えてください。大事なことなんだ! 俺にはこれがあなたとは違うものに見えてるんです!」
 疲れ果て、ボロボロに見える木村の真剣な眼差し。一個のブラックチェリーを持ち麗子の鼻先に吊るしていた…。
「な… 何言ってるのよぉ。それはマンゴー! 買えばきっと何万もする高級品…」
 木村の異様な迫力に圧倒され、声がかすかに上ずっていた。
「襲っていたのは女だって言いましたよね? 俺には外国人のような男に見えていたんだ」

秘密毒56-1
「…それに、それに…。奴は、俺しか知らない個人情報を知っていた! とにかく誰かが居たのは間違い無いですよね? それは認めますよね! 俺の頭がおかしくなってないか、知りたいだけなんだ!」
 不安な気持ちを隠せない二人は見つめあった…。
「ぅ、うん… 居た。それは認める… でも、何がなんだか分からない…」
 少し落ち着きを取り戻したような麗子。
「答えはきっと… この人が…握ってる」
 木村は鞠絵を見た。
『ぅ…』
 麗子もそうに違いないと確信していた。
そうだと思っていても、親友の鞠絵が別の何か…人間ではない、化け物のように見えてしまうのが恐ろしく、口には出せなかった…。もしかして… 自分もと、考えてしまい顔を蒼ざめさせた。
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