「秘密の毒林檎」

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秘密毒26
「自由は楽しめたみたいだな? 
 貞操帯の無い自由は。ふふふふふ」
 貞操帯の無い自由。
それは、この檻に入れられ、
他の幹部からも餌を貰うことを意味していた…。
「なんとか言え!」
「ワンワン ワンワン… クゥ~ン…」
「そうだ、そうだ、お前はメス犬だ。
 賢い女が台無しだな…だが、お前は俺さまの持ち物!」
「シャワーを浴びて綺麗にしたら部屋に来い。
 今日起こった事をきちんと報告しろ…褒美をやるぞ…ふふ」
 檻の扉を開けると、汚れた雌犬は
すごすごと四つん這いのまま主に首を差し出し、
リードを着けられると、傍らに立つメイドに引かれて行った。



 男たちは運転手以外、黒づくめの衣装に着替え目だし帽で、
ただならぬ緊張に包まれていった。
車は加賀谷家の玄関に横付けされ、
リーダーは指で、ゴーサインを出すと、
5人はそれぞれの荷物を取り静かに素早く
鞠絵の家に忍び込んで行った…。
車はそれを確認し走り去って行った…。



 麗子の車は制限速度いっぱいに鞠絵の家を
森林公園をはさんだ所まで来ていて、
昼間なら鞠絵の家が木々の隙間から見える位置を走っていた。
胸騒ぎは治まらず、
夜に浮かぶ光の波に麗子の車を走らせた!

秘密毒27
鞠絵は携帯を手にしたまま、
明かりも点けず、ぼーっとし。
何も考えられず、麗子が早く来てくれることだけ願っていた…。

 庭に回った男たちは、割れた窓ガラスからロックを外し、
いとも簡単に進入してきた。
5人はリビングに入り懐中電灯を点け辺りを見回した。
階段を確認すると内三人はベランダへ
大きな荷物をかかえ上がっていった。
残った二人は一階。
鞠絵がいる書斎へ向かい、
リーダーの手には懐中電灯とは別の
細長い鈍器のような物を持ち、
それは光の加減でぬらり輝いた…。

 鞠絵は額に携帯を当て膝を抱えている…。
その時、どこかでタイヤがパンクするような音が
響き、怖くてシーツを被った。

 ベランダの3人は荷物を取り付け、
その音と同時に、
細長い巻物のような物を
圧搾ガスで膨らませていたのだった。
それは、垣根を越え向こう側の駐車場に勢い良く伸び、
待ち受けていた車の運転手も
それを受け止め地面に固定した。

 伸びたのは飛行機が緊急着陸用時に使われる
滑り台のような物だった。
彼らはこれを使い鞠絵を誘拐するつもりなのだ。
リーダー格の男は書斎を確認しドアノブを押し開いた。
ガチャ ギギィ~ギィ~…

*毒林檎28

 門前の呼び鈴を鳴らしていた麗子も、
破裂音にビビッていた。
明かりの灯っていない家は寂しく、
ましてや中に鞠絵が縮こまっているのかと思うと、
居ても立ってもいられず隙間から手を入れ門を開けた。
ドンドンドン!
玄関のドアを叩いた。
「鞠絵~ 鞠絵~ れいこぉ来たよ~
 開けてぇー まりえちゃ~ん!!」
 ノブをガチャガチャ回し
近所迷惑だろうがお構いなしにドアを叩いた。
ドンドンドン!



 懐中電灯の強い光が書斎を照らす。
丸い光は部屋のあちこちに動き、
ベッドのこんもりした部分で止まった。
男の目が笑うと長い棒でベッドシーツの中に電撃を流した!
バチバチバチ!
電気のショートする音と光が瞬き、
シーツの一部を焦がし嫌な匂いがした…。
細長い棒はスタンガンだった。
「え?! 何、今の光?」
 その光はどこからともなく漏れ
麗子をそちらに振り向かせた。
近所から明かりが点きだし、何事だと窓から覗く人が出始めた。

 男はさっとシーツをめくって蒼ざめた…。
そこに鞠絵の姿が無かったからだ…。



 光の漏れた方の窓へ、
庭からなんとかたどり着いた麗子は
出窓の奥を覗いたが、暗くて何も見えなかった。
やっぱりおかしいと、焦げ臭い匂いも嗅いだ。
これはきっと本当の緊急事態だと、
出窓をぶち割って中へ入ろうかと思案したが
麗子を照らす人物が近づいた。

秘密毒29
ハッとして、そちらを見たが眩しくて顔を覆った。
「おねーちゃん。なにしてるん? 
 深夜だからほどほどにしとかんと~。
 鞠絵ちゃんに、なんかあった?」
 それはあの個人タクシーの古田だった。
「おじさん、それ貸して!」
 麗子は古田から懐中電灯を奪うと、出窓を叩き割った! 
あっけにとられる古田だったが、
一大事だと思い携帯から警察へ通報した。
ガラスを割り、窓を開いたまでは良かったが指を切ってしまった麗子。
「いつっ!」
 思わず指を口に入れ、血を吸い出した。
「今、警察呼んだから。待ちなさい。危険すぎる」
 古田はたしなめようとしたが、すでに庭側に走っている麗子。
「あああ、駄目だって! 素人が手ぇ出しちゃ…」
 麗子はリビングに通じる窓を見て愕然とした。
窓は開け放たれカーテンは風に揺れ、
地面からカーペットに泥の着いた靴跡が点在していたからだ…。
「ん? あ。まずい。こりゃーまずい…」
 付いて来た古田が背中越しに囁いた。
「仕方ない…おねーちゃん 下がって」
 と、先に入ろうとしたが、
麗子はそのままどかどか上がりこんでしまった。
「まりえーーー!!」
 麗子はショルダーバッグに何故か入っている、
鞭を取り出し握りしめていた。

 パトカーのサイレンが遠くに聞こえ、
麗子は懐中電灯で靴跡を追い。
明かりのスイッチを探そうとした古田は、
誰かに弾き飛ばされた。
「うぎゃ!」
 そいつはそのまま、階段を駆け上がって行った。

秘密毒30
その様子に振り向こうとした時、
二人目の男が麗子の電灯の先に現れ、
長いスタンガン振りかざし突進して来た!
ビシシシッシーッン!
麗子の俊敏な鞭裁きは、正確に相手の顔にヒットし、
目出し帽を横一文字に切り、血を滲ませた!
反撃に面食らった男は、
スタンガンのスイッチを入れたまま
床に落としてしまった。
バチバチバチと青い火花が辺りを照らし、
その様子が起き上がる古田の目に飛び込んできた。
それは、まるでスローモーション…
麗子の長い髪が宙に舞い、
しなやかな身体は見事なバディラインを浮き上がらせ、
鞭がしなっていた。
「セ、セーラーなんとかか?!」
 思わず子供アニメのタイトルを口走る古田。
「麗子はやった~♪」
 と、男がそのまま倒れると思ったが、甘かった。
男は怒りに燃えた目で麗子に襲いかかった!
その時、大きな声が響いた!
「旦那さまのばかー!!!」
 グワン、スーッっと空気が移動するよう
重そうな扉の引かれる音と一緒に、
何本ものワイン瓶が宙を飛び、
それは二本その男に命中し
一本は壁で跳ね返った。
ガン! ゴン! ガコンッ キンッ!
「グァ!」
 男はバランスを崩し、
壁に身体を擦りつけ倒れこんだ。
…ズササ…ドスン
「らんなさまの ばかぁ~~~!!!」
「ばかやろ~~~!!!」
「もー帰ってくんにゃ~~~!
 ういひひひひひひひひ」
「うーはっはっはっははあああ
 ハァハァ
 酒が足りーん!
 矢でもてっぽでも持ってこーいぃ~
 おまえなんか、
 どこでもいっちゃぇ~~
 むっきぃーーー」
 …それは鞠絵だった。
彼女は書斎から、気を紛らわそうと
愛の巣であるプレイルームに移っていて、
またワインをがぶ飲みしていたのだ。
だから、彼らには見つけられず、
助かっていたのだ。
そして、彼女は酒乱の気を発揮させていたのだった。

 倒れかけたままの体制で男は、麗子に体当たりし、
古田の上に弾き飛ばした。
「ギャッ!」
「ぐぐぇ~~~~!!!」

*秘密毒31

 パトカーのサイレンがすぐそこで止まり、
二人の警官はリビングに急行し、辺りをライトで照らした。
そこには、真っ白い何者かが立ちはだり、
ギョッとした、若い警官はホルスターに手を回した…。

 中年の警官が話した。
「こんばんは。公園派出所の警官ですがー
 通報がありまして、立ち寄らせてもらったんだけど。
 そこの人何してますぅ?
 良かったら少しお話聞かせて
 もらえませんかね?」
 言葉は親しげだが、独特な冷たさと
威圧的な声に白い人はゆっくりと、
明らかに暴力を受けた顔を晒していった。
「ん?…」
「あぇ? おまわりさ~ん?
 ろーしたんれすかぁ~?
 あ~、てっぽう てっぽう~」
 鞠絵はいきなり若い警官に駆け寄り、
身構えた相手の腰からスルリと拳銃を抜き、
空へ向けた!
「どっぎゅーーん!」
 っと、口で言う鞠絵…。
慌てて彼女を抑えようとする若い警官だったが、
暗闇に目が慣れず、
くるくる回る鞠絵を、取り押さえることが出来なかった。
陸上のスターター・スタイルで発砲しようと、
何度も試みる鞠絵は、
拳銃にある、安全装置のことを知らなかった。
「ドギューン!
 バビュ~ン!
 逮捕だ逮捕~あんな奴!
 おまわりさ~ん、私の旦那さま捕まえてぇ~ん。
 うひゃははははは」

秘密毒32
「こら、止めなさい。
 止めろ、危ないだろ! やめなさ~い」
 若い警官は無邪気にはしゃぐ彼女に翻弄され、
表まで踊るように格闘し続けた。
鞠絵の被っていたシーツは引き離そうとした
もう1人の中年警官の頭に絡まってしまい、
取り払おうとしてつまづき垣根に突っ込んだ。
「ルルル~♪ ラララ~♪
 さぁ踊りましょう、
 あなたっ。あの頃のように~」
 完璧に自己を無くしている鞠絵。
メイド服をひるがえし、
ドレスの裾も丸く踊り子気分でご満悦。



 その光景に息を潜めて見ていた、
向かいに住む幼い三兄弟が、二階の窓から呟いた。
「わぁ~ 素敵~王子様とお姫様だぁ~♪」
 と、長女が言った。
「鞠絵ちゃんってお姫様だったのぉ?」
 と、次女が言った。
「かわいいなぁ~!
 俺もあんな服着て踊りたいぜ、かーちゃん。
 とりあえず髪を鞠絵と同じお下げにしてくれ」
 と、末っ子で長男がクリクリ頭を指さして言った。
その言葉に眉をひそめた母は、
シャッとカーテンを閉め
長男の頭を平手でバンバン叩いた。
「いて~! なんで俺だけぇ~!!」
「何度言ったら判るの! お前は男の子なのぉ~!!」
 っと親子喧嘩が始まった。



 若い警官は腫れた顔からは想像のできない
美しい瞳に見つめられ、
密着してくる体が、ノーパン、ノーブラだと知った。

秘密毒33
たわわな膨らみが大きく開いた胸元から覗き、
それはぴったりと彼の身体に
押し当てられ、目がハートマークになりかけたが、
白い肌に赤黒い縄の痕にしドキっとし、
ふいに嗅いだ匂いに”ある女性”のことを
思い出してしまった。
『あ…』
 その時、空に一発の銃声が響いた! 
 鞠絵は安全装置を外してしまい、
引き金を引いたが、
一発目は空だった。
「あれ~?」
 そして、また引き金を引くと、
パーン!!
 弾は空に放たれた!
「わは~♪」
 指先がしびれたくらいで、思ったほどの衝撃が無いことを知ると、
「おもちゃなのこれ~?」
 思わず銃口を覗いた。
「うわぁーーーー馬鹿やろーー!」
 若い警官は、メイド服の女を足払いで押さえ込んだ。
「いい加減にしろ~っ!!!!」
 辺りに硝煙の匂いがたちこめ、やっと我に帰った鞠絵だった…。
「あわわわわわあ~~~ うわぁ~~」
「うわぁーーーーーーーん
 おまわりさ~~ん
 あーんあんあんあん
 ごめんなさーい、
 旦那さまぁ~~ 鞠絵は悪い子です~
 逮捕してぇ~」
 足元にすがって泣きじゃくる彼女に、
どーすることもできない切なさを覚た若い警官は、
心臓を鷲づかみにされたような感覚に陥っていると、
もう一の中年警官が、息を切らし駆け寄って来た。

秘密毒34
「大丈夫か! 木村!
 すまん、俺としたことが…。
応援と救急車を呼んだ。怪我は無いな?!」
「あ~しかし、俺たちやっちまったか~
 くぅ~…。だが、怪我人はいない。大丈夫だ。
 始末書。謹慎…減給…だなぁ
 心配するな私も同罪だから、ははは」
 彼は冗談めかしに言い。
 木村の肩をポンッと叩いた。
「…ええ、はい、あ。
 大丈夫です。大丈夫です…」
 やっと返事を返したが、
街中で発砲騒ぎを起こしてしまうという
初めての経験に戸惑い、
肩が上下するほどの息を
なんとか静めようとしていた。
足元にはいつのまにか
眠りこけてしまった鞠絵がいて、
若い警官は
記憶の中の”彼女”とだぶらせ
優しい目で見つめた。



 加賀谷家にやっと明りがついた時、
鞠絵は真っ先に救急車に運ばれ、
恐怖のあまり失神してしまっていた麗子は
警官に起こされハッとし、ふらつく身体で叫んだ。
「あぁぁ、あいつは。目出し帽の男は!!」
麗子は奥の廊下を指さした。

秘密毒35
古田は打った頭を押さえ壁にもたれ
痛みに耐えていたが、警官たちと一緒に麗子が
指さす方を見た…。
がらんとして明かりの届かない廊下に、
床に転がるワイン瓶の数本と、
スタンガンが転がり…
倒したと思った男は
消え…
男はドサクサに紛れ逃げ出していた。

 事件のことなどお構いなしで、
何も知らない鞠絵は眠ったままだったが、
突如として起き上がり
ムニャムニャ寝言を言い始めた。
と、思ったら、
「ドキュ~~~~ン!!!!!!」
 っと言い放ち再び眠りこけた。
治療中の救急隊員たちは驚き、
酒の匂いを顔の前で追い払った。



 猛烈な勢いで走り去ったボックスカー。
今は法定速度を守り静かに走っていた。
広告は
【宅配ピザ・グリーンペッパー】
 に変えられていて、
男たちは黒服から一気にピザ屋のような
軽装に着替えていた…。

 リーダー格の男は携帯で話し込んでいた。
『…庄崎…まさか、お前が失敗するとは…』
「申し訳ありません…
 予測不能な事態に陥りました……はい…
 次の指示は…次は?」
ツーツーツー

 庄崎と呼ばれる男は、
罵声と携帯をが破壊されたような衝撃音に
耳を離した…。
そして、麗子に付けられた顔の傷を指でえぐった。
「ウグゥ… おい! アジトに向かえ…」
 運転手に言うと、
「クソォ! あの牝豚!」
ドンッ!
 怒りが収まらない男は、
雄叫びを上げドアを叩きつけた。
運転手も、たじろぐ事もなかったが
他の男同様、疲れ果てた様子だった。
車は空いてきた道路にスピードを上げていき
夜の闇に消えた。



 はだけたガウン姿の溝口は
激しい動きで腰を突き上げ
女を揺らし、握りつぶさんばかりの勢いで
乳房を鷲づかみした。
潰されそうな胸の持ち主は、
眉に皺を寄せ痛みに耐えていた。
「この大馬鹿者! まぬけーー!! 何やってる!!!」
 携帯を壁に叩き付け破壊した。
がッシャン! ブツッ!
『俺としたことが焦りすぎたか、
 くっそーーーー!!!』

 今日起こった事を上手く話せずにいる聡美は
ビクッと身を硬くしたが、
首のリードを短く持たれ、
ディープキスを強要され呻いた。
「あぅぐぅう」

秘密毒37
「おぉ! そうだ! そうだ!
 もっと締め付けてお前の肉のヒダで
 俺様のここをもっと刺激しろ!
 もっと俺を気持ちよくしろ!」
 主さまは不本意な連絡で、
怒りと欲望の捌け口を目の前のメスで
解消しようとしていた…。
聡美は滅多にもらえないご褒美に
貪欲な腰使いで応え、
溝口のそれをしっかりとそこに沈め命令に従った。
「もっと締めろ! そうだ!
 もっと、リズミカルに締めろ、
 俺の挿入に合わせろ!
 また餌を注いでやるぞ!」
 男のあれは更に硬くなり、
聡美の股間を突き上げ続けた。
「どうした? 果てそうか?
 くふふ、俺より先に行けば
 どうなるか分かっているなぁ?」
「あぁ、あぁああああ 主さま!
 私はあなた様の物です。
 なんなりとご命令を!!!」
「計画αを実行するぞ!
 お前に頑張ってもらおう…期待している…」
「あぁあ…は、はい、おおせのままにぃ~」
「念には念を入れないとな」
 溝口は聡美の身体をふいにねじ伏せ、
四つん這いにした。
『あっ! あああああああああああああ』
 聡美は歓喜し、全身から力が抜けた…。
膣から抜かれたそれは、
すでにヌルヌルで
尻穴に一気に挿し込まれた。

秘密毒38
「行くぞ行くぞ行くぞ!
 出すぞ出すぞ、聡美。
 俺の褒美を受け取れ!」
『鞠絵! 鞠絵! 鞠絵!
 お前は禁断の果実!
 早く俺に食べさせろ!』
「尻叩き!」
 傍らに居るメイドはボンデージ姿に着替えていて、
主の指示に、スパンキングラケットを渡した。
尻叩き用のラケットは容赦なく聡美の尻を打ち、
見る見る真っ赤に腫れ上がっていった。
「あうぐぐぐ ああああ あああ
 もっと、もっとぉ~
 私を主さまの玩具にしてください!
 幸せです。幸せですぅ~ 主さま~」
 聡美は尻穴の快感と
大好きな尻叩きに涎を垂らしはじめた。
そこに深々と挿入される肉棒は、
メイドにローションを垂らされ
卑猥な音を奏でた。
溝口は果てる瞬間、
聡美の肉豆に挿されたピアスを探し、
きつくねじった!
ギャーーーー!!!
強烈な痛みで聡美はその場から逃げようとしたが、
許されない動きは
溝口の強い力に押さえつけられ…
そして悶絶した。
溝口も餌を聡美の尻穴放出し
満足げな笑みを浮かべ、
ぐったりする女の顔に、唾を吐きかけ舐めあげた…。

*秘密毒39

 鞠絵は救急病院に搬送され、
巡査の監視付きで麗子に付き添われていた。
彼女は充分な手当てを受け
相変わらずスヤスヤ眠っていたが、
その顔は目と口を開けられた包帯で
ミイラのようにに変貌していた…。

 担当医は彼女の身体に
無数の傷跡があることを知り、
治療を終えると外で待つ麗子に経過を話した。
「打撲、打ち身、裂傷、
 …縄痕などありましたけど、
 命に別状はありません…。
 アルコールも明日には抜けるでしょう…
 ですがー…
 もし何かのプレイなら?
 お遊びはほどほどに では…」
 去り際の医師の顔がにやけたように見え、
麗子はムッとしたが、
ありがとうございましたと一礼し、
移動ベッド上の鞠絵の手を握り個室へ連れ添った。
『鞠絵ちゃん…あなた、
 いったいどーしたの?
 あいつらは何者なのよぉ~
 旦那は何してる!』
 友人の寝顔を見ながら、
事の真相を問わずにはいられない麗子だった。



「あ、木村大丈夫なのか?
 とんでもないことになっちまったな…
処分はどーなった? 軽いと良いな」
 表に座る巡査は交代にやって来た木村に話しかけた。

秘密毒40
「あ~ まいったよ。
 マスコミがうじゃうじゃいてさ…まったく…。
 処分内容は追って知らせるとさ…じゃ代わるよ。
 中の様子はどうだ?」
「いや、何もない、至って平穏無事。
 安心してくれ。じゃーお疲れ。
 元気出せよ、あと宜しくな」
「あぁ、お疲れさま」
 先に居た警官はその場を離れ、
閉まりかけたエレベーターに飛び乗って行った。
木村はその後姿を見つめ、
ふぅ~っとため息を吐いた…。
『…匂い …あの香り』
 鞠絵から香った匂いがとても気になった木村は
ゆっくり目を閉じた。
その香りは、化粧水や香水のようにきつくはなかった。
簡単に言えば体臭…
『フェロモン! 陽華の香りだ…』
 木村は思い出した。
「ねぇ、おまわりさん?
 あら、さっきの人と違う…
 加賀谷鞠絵の旦那とはまだ連絡取れない?」
 病室の外で椅子に座る木村を
ドアから覗きこむように麗子は尋ねた。

秘密毒41
「あ。はい、自分は交代要員でして、
 まだ何も聞かされておりません。
 もうしばらくお待ちいただく以外なさそうです」
 その言葉を最後まで聞かず、
苛立ちを覚えた麗子はドアをピシャッと閉め、
ベッドの脇に置かれた
鞠絵の所持品、
丁寧な作りのセクシーなメイド服から
携帯を探し、固い物体に触った。
これだと思い引き出すと…
一本のバナナだった…。
「んぁ…」
 目が点になったが、
うな垂れつつバナナを棚に置き、
携帯はきっと自宅だろうと思った。
だが諦めきれず、服をひっくり返しばたつかせると、
折りたたまれた紙切れが一枚床に落ちた。
『あら?…………』
 それを開き読み終わると、
 静かに目を閉じ涙ぐんだ…。
それは旦那の、あの書き置きだった…。
「…こんな時に…
 こんな紙切れ一枚の仲なのかよぉ!
 ふにゃちん野郎の馬鹿亭主め!」
 怒りを覚えた彼女の顔は、
女王さまのそれになっていた…。
『…鞠絵ちゃん…可愛そう…可愛そう…』
 鞠絵の代わりにメイド服を抱きしめ
彼女のミイラ顔を見つめた…。
鞠絵はその時呻きだし、麗子を慌てさせた。
「う~ん う~ん」
「幹広旦那さま~ こわいよぉ~こわいよぉ~
 …また産んじゃうよぉ~
 ムニャムニャ…林檎
 林檎ぉ~ 私は林檎を産む女…」

秘密毒42
「ど、どうしたの鞠絵! ねぇ しっかりして」
 妙な夢でも見てるのだろうと思ったが、
うなされて、膝を抱え薄いかけ布団を
盛り上げていく様子が異様で、
ナースコールしようとした時、
急に元に戻りスヤスヤ眠ってしまった…。
椅子から飛び上がった麗子はペタンと座り直し、
頭をボリボリ掻いた…。
前髪が少し垂れ色っぽくも見えた。
『あ~もぉ…あんたは寝てるときまで
 天真爛漫なのね…トホホ…』
 そして、麗子は鞠絵の足の間に、
こんもりと丸く浮き上がる部分を見つけた。
「ん?」
 何気に布団をめくると、
痛々しいそうな包帯に巻かれた足の間に、
”真っ赤な林檎”が転がっていた。
『んんん~どっから出てきた? こいつ…
 鞠絵…おなか空いてた?』
 その林檎をころころ転がしてつかみ、
バナナの隣に置いてあげた。
黄色と赤のコントラストで
少し病室が華やかになったように思えたが、
麗子のおなかがグーと鳴った。
『あ。あはは、おなか空いてきたのは私か、あは』
 そして、麗子は林檎とバナナに指を定め
どっちを食べようか迷い始めた…。
「~神様の言うとーりぃ~」
 手は林檎を掴んでいた。
と、その時今度は鞠絵が立ち上がったのだ!
布団を被ったままの様子に、
人間ではない何かを想像してしまっていた。
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