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20-3:大魔女のキス
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*
「結局誰も来ないのかしらん? ズズズゥ~」
面接会場とした管理人室で、お茶をすすってるカナ。
そもそもここは古いマンション。受付用の窓がきっちり作られていて、その小窓からチラチラ。エントランスホールを見ていたが、部屋の時計を見ると、そろそろタイムオーバーを示していた。
「おかしぃですわ~」
少し前に、パパに連絡してみたが、『そんなはずないよ?』と、言われただけで頭をひねっていた。
「もっかい確認しに行こうっと」
正門に置いた【風祭マンション管理人面接会場→】と、書いた看板はきちんと置かれていて、ここまで来ればすぐにでも管理人室へ来れるはずなのに。と…、辺りを見渡したが、人っ子一人歩いていなかった…。
「しょうがないか…」
看板を片そうと抱え塀の裏側へ隠すと、日暮園アパートから細くて凄まじく背の高い外人が出て来るのが見えた。
『…棒?! マッチ棒!』
カナはプッと吹き出しそうなのを気づかれぬよう、小走りに管理人室へ戻って行き、
「キャハハハハ~ 今の人なんですのぉ~ これは早速報告せねばぁ~」
笑いながら接客用の茶器も片付けようとした。
その時、受付の窓から、
「こっこで吸うか? うけつけ~ ここで吸うか?」
さっきの外人が、体を横に折り曲げ苦しそうに覗き込んでいた。
「ここで吸う? 何か御用ですか?」
ガンッ!
「ギャッ!」
入り口は彼にとって、とても低かったらしく。頭を押さえズカズカと中へ入って来てしまった…。
「管理人面接受付て今吸うか?」
「あぁ~ 面接の方! やっとお目にかかれましたわ~ おいでくださってありがとうございます~ 頭大丈夫ですか?」
「頭へいきへいきねー にっぽん小さい 私大きい。この頭髪タンコブね。ガンガンで、ビッグビッグ~ ハッハッハハ」
自分の頭を指さす外人。
「たんこぶ? その髪型が? あー アハハハハハ」
男の髪型はアフロヘアーだった。でも、実は中身は、たんこぶその物なのだと言う彼に、カナはお腹を抱えて笑った。
「面白い方ですね~ 履歴書はお持ちですか? まずお名前を教えてくださいな」
「はいよ」
いつの間に入り込んだのか、外人の後ろからとても小さなバーサンが出てきて、履歴書を差し出していた。
「(あ。さっきのおばーさんだ)そちらが、面接される方?」
「はぃな♪ こいつはわしのボディガード兼、息子じゃ。名前はアーサー。と言っても血は繋がって無いがの」
元気に答える梅代ばーちゃんと、天井に頭が当たっていて、首をかしがせたまま、小さく手を振るアーサーだった。
「お名前はぁー 深紫…」
貰った履歴書をしげしげ眺め、
『ディープパープル ウメヨ… え?』
経歴にざっと目を通すカナ。
すると、しっかり経験職業欄に
”占い師:ディープパープル梅代”と、書かれていた。
「ま、まさかあの”恋人たちの部屋の”?」
「じゃよ?」
「まさか、あなたに直接逢えるなんて、奇跡みたいですわ~ あ、突然ですが、どーしてもお聞きしたいことがありますの…」
「なにを?」
「言いづらいのですが…
あの部屋に相合傘を書くと、
相手を呪い殺してしまうことも… あり得るのですか?」
「んんん~? ごめんなー大家さん。わし、あんたを占った覚えがないんじゃが~ わしゃ、いまだかつて、客の顔を忘れたことがないんじゃがの~ はてぇ~ もう書いたのか? あそこに」
アーサーが洋館を指さした。
「いぇまだです!」
「そうかそうか、じゃろーじゃろ~ さすがのわしもボケてきたのかと一瞬焦ったわぃ いいかい風祭のお嬢さん。よーくお聞き、その話しは本当じゃ…」
『!!!!!』
身を乗り出してしまったイリ!
『うそ!
人が死ぬ?
えぇえ どどどっどぉ~いぅこと!
あの部屋って、あの部屋だよね?
書いちゃった…
アタシ… 書いちゃったよ?!』
イリはトイレに行こうとして、異様に背の高い外人を見て。こっそり受付窓から覗いていたのだ!
そして、訳の分からない中のやりとりに、ただ”死”という文字が頭を駆け巡っていた…。
20-25
キキキィーーッ
一台の車が、噴煙を上げマンションの駐車場に滑り込んで来て止まった。
バタン!
「パパー!」
「やばぃ~」
ママもアサトも後を追いかけた。
ずかずか前を歩くイリパパはマンションの玄関に今、たどり着いた。
「片思いの誰かを一方的に振り向かせようとするのは。
ある種の呪いなんじゃ」
ウメヨばーさんは静かに話し始めた。
「はい。そのことは経験者から伺っておりますわ…」
「ほぅ? なら、言わずと知れたこと…
宇宙の法則を無視してまで、身勝手な思いを念じると言うことはのぉ
…TAOが違ってくることがあるんじゃ」
「タオ?」
「現世の流れ。
とどのつまり、今のことじゃな。
今の今は、全て定めによって進んでおるのじゃ。
運命とか言われてる類のものじゃよ、
それは短いものもあれば、ながーぃのもある。
定められた道を第三者によって、
捻じ曲げられてしまうことを、
TAOを歪めると、わしは言っておっての。
念じられた相手が、無理に別の道を歩かされ死ぬ!」
「アイリー!」
「えっ!」
話の途中に、聞き覚えのある声に呼ばれ振り向いたイリは、
「パパ!」
真後ろにパパのヒロムが居て唖然としていた。
「いいから来なさい!」
「うわっ! パパダメ 今、肝心な話しの最中~」
「私の話しはもっと大事!」
襟首をつかまれ、玄関口から引きずられるイリを、モエママと弟はただ見てるしかなく、
『ねーちゃん これこれ』
っと、アサトはイリが忘れた携帯をわざと開いて見せた。
「あぁーー 見たの? パパ! 携帯見たの? ひどぉーーぃ 幾らパパでも、それはやっちゃダメー」
イリは抗議したが、抵抗虚しく皆が乗って来た車の後部座席に押し込まれ、パパと仲良く座る破目になった。
ママは遅れて、運転席に乗り、アサトは助手席に乗り込んだ。
20-26
車はアイドリングしたまま静かにうなっていた…。
パパはイリを見ることも無く、怒り心頭に引きずってきたわりにお説教する訳でもなく、じっと腕組みし目を瞑っていた…。
そして、数分が過ぎた頃…。
「黙ってってごめんなさい… でもね。アタシ自身、自分でこれが恋愛なのかどーかも分からなかったの… だっから、隠してた…」
イリから口を開いた。
「相手の男。嫌な奴だったのか! どーして、そんな男と! ママは知ってたんだね?」
今度はさっきと、うってかわり。いきなり怒りのボルテージを上げ、額の血管が切れそうに話すパパだった。
「うん。女同士だから~ 一応ね。でも、パパ! そんなことより!」
ママはパパの目を見て言ったが、
「イリちゃん! やっぱ言っちゃうよ いい、心して聞いてね」
「な、なによぉー あんたまで~」
神妙な顔で身を乗り出すアサトにイリは、何かまた追い討ちをかけられるのかとヒヤヒヤしていた。
「タカにぃーさんが!」
「え?! 名前言わないでぇー ダメぇー」
イリの頭に、また”死”と言う文字が渦巻き頭を抱えてしまった。
「あ。やっぱ、二人の関係は終わってしまったんだね。(なら、いいのか…)そんな嫌な奴なら… どーなっても…」
アサトが口ごもると、パパはわなわな震えはじめていた…。
「どーなってもって何? 何かあったの?!」
イリはアサトの座席に詰め寄った。
「最後まで言いなさいよ!」
「え? だってぇ今、言うなって」
「いいから!」
「タカオミさん? 事故にあったのよ!」
ママが教えてくれた。
「………」
顔面蒼白のイリ。
いきなり車を飛び出し、マンションへ駆けて行った!
「アイリ!」
「ねーちゃん!」
「イリ!」
家族は心配のあまり、後を追った。
ギュンギュン階段を走るイリ。
ドカドカ後に続く家族たち。
イリの必死な形相を受付の窓から見てしまったカナも、部屋を飛び出し、
「緊急事態!」
と、練習真っ最中の稽古場のすみで、台本の読み合わせをしていたアヤンとミサキを連れ出した。
20-27
自分の部屋に戻ったイリは、バッグの中をかき回すと、
「ごめんなさい!」
今、中へ入って来たばかりのパパに頭を下げ”ある物”を突き出した!
「こ、これはー…」
パパが焦ってママを見ると、諦めなさいと言う様な顔で両手を挙げていた。
「病院は、病院はぁどこ!」
取り乱してるイリは必死で聞いた。
「わぁからないよぉー 救急車が来たとこまでしか…」
アサトがやっと口を開くと、
「貸して!」
自分の携帯を奪い、タカオミの元へかけた…。
『お願い誰か出てー!』
そして、一発で繋がった…。
『はぃ 惣領さんの携帯です!』
出てきたのはもう一人のアイリ。
「あの! 病院を教えてください!」
日向アイリに、睦月アイリは言った。
*
「池の前救急病院分かりますか?」
アイリの持つ、タカオミの携帯には、愛するイリと表示されていた。
『ありがとうございます!』
*
「何かあったのですか?」
「どーしちゃの~ 家族総出だぁ~ わーぃママちゃーん♪」
「うわ。おひさしぶりでーっす。どーしたんですか? イリちゃん」
「タカにぃー が事故に… アタシが相合傘書いたから!」
親友たちに、イリはそう言うと、ママの手を取り部屋を出て行った。
「うそぉー! 最大の秘密だったのに!」
吊り上った目のミサキに言われ、首をぶんぶん横にふるアヤンは、
「あたちじゃないよぉー ねぇ! あの部屋ってどこのぉー?」
とっさにイリに聞いた。
「そこにある。恋人たちの部屋よ!」
「え?」
ミサキは仰天し、
「えぇええええ!」
アヤンは、この部屋の窓から少し見えていた日暮園アパートを見た。
「そこにあるんですのー! あぁ!」
カナは、アーサーが面接の時に指さしたのを思い出した。
「ま、待って!」
カナは駆け出すイリの前に回りこみ、
「一分待って!」
「それどころじゃなーぃ!」
振りほどこうとするイリに、カナはすかさず言った。
「あの人、パパになるの! ナナさんとの間に赤ちゃん出来たの! イリちゃん騙されてる!」
緊迫した周りの空気がいっそう重くなった…。
「………知ってる…」
『うっそぉー』
知らないアヤンとミサキは目が点で、パパは滝のような汗を流し、気絶寸前でよろめき、ママとアサトが支えた。
「し、知っていたのですか… 留学の話しも?」
「ぇ? 留学…」
『えぇーーーー』
またまた、知らない話しの連続にアヤンとミサキも、パパに倒れかけ、ママとアサトは、ついに気絶してしまったパパと、二人の友達を必死で支えた…。
「お願い!」
ママをの手を握り廊下を走り出したイリ。
「ぐぇーー!」
支えの無くなった三人は次々に倒れ、アサトに覆い被さっていき、
『イリちゃん!』
カナは、それ以上追うことはできなかった。
20-28
「なんだおめぇーかよ。携帯にかけてくんなって言っただろぉうぉー!!!」
メグミは、自分がテレビの企画で、死ぬかもしれないと神経を張り詰め今まで以上の剣幕でまくしたてていた。
『ちょっとまて! 恋人たちの部屋の場所が分かったんだぜぇ? せっかくだから知らせておこうと思ってなー』
相手は弟のヤッスーだった。
「それならとっくにプライベートで行ったつーの! 同じ事務所の女の子とな! んで、その子が好きな奴書いたら、そいつ今朝死んじまったんだよぉー この企画おりてぇーよー なぁ~なんとかしてくれー おとぅとぉ!!!」
『え? マジかよぉ~ 死んだのってまさか… ニュースになってたあいつのことかー 俺らの合宿してる所にある洋館で書いたのか?』
「ぜんぜんちっがーぅ! 眼鏡橋の真下だったぞ! 落書きで有名な場所だー とにかくだなー」
『うふ♪』
1号は何かを思いついてしまった!
「とにかく怖すぎて仕事に集中できねぇ~ 穴は開けれないしぃー おとうとぉー なんとかしないとお前も道連れだ!」
『そりゃ無理… おっちぬのはあんた一人だけ! ププ~ お前の部屋はありがたく僕が使わせてもらうよ』
「なんだとこら! 誰に向かって口聞いてる! 実の姉が死んでもいいのか? 自慢の美人の姉だろぉー? 頼むよぉーへんたいの先生しゃまー」
「ブース! ブス! ブーッス! ギャハー
お前勘違いしてる! うっはっはは。さすがー僕ちゃん♪ だが、もし、本当にそうだとすると別の意味でやばーぃけども…』
「おぃなんだどうした? 避けて通れる道があるのかー おしえろぉーー」
*
「バカ姉貴… うへへへへへ 良く聞け。助けてやるよ、ありがたく思うんだな~ ただし…」
ゴクリ…
メグミの鳴らす喉の音がした。
「おめーも、あいつ、2号の名前を書くこと…」
『な、なんだそりわーー 心中じゃんかよぉー! ねぇ お願い頼むからぁ~ 生下着でもなんでも上げるからさぁー うぇーん』
「いらねぇー! ゲロゲロゲローだ! ペッペッ」
*
ガチャッ
「メグミさまーん 出番でーす。よろしくおねがいしまーす うっ!」
局のADが楽屋へ呼びに来たが、携帯相手に土下座しながら号泣してるメグミに、ひるんでいた…。
「お願いします。おねがーーぃ
あ! はい! 今、参ります~
ダブルで書くってことだな? それでいいんだな? もしもーし!!」
弟は携帯を切っていて、メグミはながーぃ鼻水を床まで垂らしていた…。
20-29
駅からマンションまでの電柱のあちこちに張り紙がしてあった。
冷たい風にあおられてる一枚をスーツを着たどこかのおじさんが剥がし、
「なんだとー せっかく来たのに中止かー! ったくよ~高校生の大家がやりそうなこった!」
クシャクシャに丸めて捨て、来た道を戻って行くと、
道端には既に破かれたビラの紙片が舞っていた…。
|管理人面接中止のお知らせ。by風祭マンション:高校生の大家より
アーサーはアパートに帰って来た日の朝、深紫ばーさんの命令で、このビラを通り沿いに貼りまくっていたのだ。
ばーさんは、はじめからここの管理人になるための細工をしていたのだった。
*
蒼い顔で顔でママを引っ張るイリたちとすれ違った1号は、2号を引き連れ、
「ボース! ボース! ボッス! 凄い情報仕入れましたよ! あの部屋ってすぐそこにあったんです! フユミたちに先越されっちまいますですよー!」
ミサキボスをやっと見つけたと駆け寄った。
「どーしたんですか? お加減でも?」
「おぅ… ヤッスーか…」
ドキーッ!
「だだだ… だーいじょーぶですかかかかかかー!?」
「結局誰も来ないのかしらん? ズズズゥ~」
面接会場とした管理人室で、お茶をすすってるカナ。
そもそもここは古いマンション。受付用の窓がきっちり作られていて、その小窓からチラチラ。エントランスホールを見ていたが、部屋の時計を見ると、そろそろタイムオーバーを示していた。
「おかしぃですわ~」
少し前に、パパに連絡してみたが、『そんなはずないよ?』と、言われただけで頭をひねっていた。
「もっかい確認しに行こうっと」
正門に置いた【風祭マンション管理人面接会場→】と、書いた看板はきちんと置かれていて、ここまで来ればすぐにでも管理人室へ来れるはずなのに。と…、辺りを見渡したが、人っ子一人歩いていなかった…。
「しょうがないか…」
看板を片そうと抱え塀の裏側へ隠すと、日暮園アパートから細くて凄まじく背の高い外人が出て来るのが見えた。
『…棒?! マッチ棒!』
カナはプッと吹き出しそうなのを気づかれぬよう、小走りに管理人室へ戻って行き、
「キャハハハハ~ 今の人なんですのぉ~ これは早速報告せねばぁ~」
笑いながら接客用の茶器も片付けようとした。
その時、受付の窓から、
「こっこで吸うか? うけつけ~ ここで吸うか?」
さっきの外人が、体を横に折り曲げ苦しそうに覗き込んでいた。
「ここで吸う? 何か御用ですか?」
ガンッ!
「ギャッ!」
入り口は彼にとって、とても低かったらしく。頭を押さえズカズカと中へ入って来てしまった…。
「管理人面接受付て今吸うか?」
「あぁ~ 面接の方! やっとお目にかかれましたわ~ おいでくださってありがとうございます~ 頭大丈夫ですか?」
「頭へいきへいきねー にっぽん小さい 私大きい。この頭髪タンコブね。ガンガンで、ビッグビッグ~ ハッハッハハ」
自分の頭を指さす外人。
「たんこぶ? その髪型が? あー アハハハハハ」
男の髪型はアフロヘアーだった。でも、実は中身は、たんこぶその物なのだと言う彼に、カナはお腹を抱えて笑った。
「面白い方ですね~ 履歴書はお持ちですか? まずお名前を教えてくださいな」
「はいよ」
いつの間に入り込んだのか、外人の後ろからとても小さなバーサンが出てきて、履歴書を差し出していた。
「(あ。さっきのおばーさんだ)そちらが、面接される方?」
「はぃな♪ こいつはわしのボディガード兼、息子じゃ。名前はアーサー。と言っても血は繋がって無いがの」
元気に答える梅代ばーちゃんと、天井に頭が当たっていて、首をかしがせたまま、小さく手を振るアーサーだった。
「お名前はぁー 深紫…」
貰った履歴書をしげしげ眺め、
『ディープパープル ウメヨ… え?』
経歴にざっと目を通すカナ。
すると、しっかり経験職業欄に
”占い師:ディープパープル梅代”と、書かれていた。
「ま、まさかあの”恋人たちの部屋の”?」
「じゃよ?」
「まさか、あなたに直接逢えるなんて、奇跡みたいですわ~ あ、突然ですが、どーしてもお聞きしたいことがありますの…」
「なにを?」
「言いづらいのですが…
あの部屋に相合傘を書くと、
相手を呪い殺してしまうことも… あり得るのですか?」
「んんん~? ごめんなー大家さん。わし、あんたを占った覚えがないんじゃが~ わしゃ、いまだかつて、客の顔を忘れたことがないんじゃがの~ はてぇ~ もう書いたのか? あそこに」
アーサーが洋館を指さした。
「いぇまだです!」
「そうかそうか、じゃろーじゃろ~ さすがのわしもボケてきたのかと一瞬焦ったわぃ いいかい風祭のお嬢さん。よーくお聞き、その話しは本当じゃ…」
『!!!!!』
身を乗り出してしまったイリ!
『うそ!
人が死ぬ?
えぇえ どどどっどぉ~いぅこと!
あの部屋って、あの部屋だよね?
書いちゃった…
アタシ… 書いちゃったよ?!』
イリはトイレに行こうとして、異様に背の高い外人を見て。こっそり受付窓から覗いていたのだ!
そして、訳の分からない中のやりとりに、ただ”死”という文字が頭を駆け巡っていた…。
20-25
キキキィーーッ
一台の車が、噴煙を上げマンションの駐車場に滑り込んで来て止まった。
バタン!
「パパー!」
「やばぃ~」
ママもアサトも後を追いかけた。
ずかずか前を歩くイリパパはマンションの玄関に今、たどり着いた。
「片思いの誰かを一方的に振り向かせようとするのは。
ある種の呪いなんじゃ」
ウメヨばーさんは静かに話し始めた。
「はい。そのことは経験者から伺っておりますわ…」
「ほぅ? なら、言わずと知れたこと…
宇宙の法則を無視してまで、身勝手な思いを念じると言うことはのぉ
…TAOが違ってくることがあるんじゃ」
「タオ?」
「現世の流れ。
とどのつまり、今のことじゃな。
今の今は、全て定めによって進んでおるのじゃ。
運命とか言われてる類のものじゃよ、
それは短いものもあれば、ながーぃのもある。
定められた道を第三者によって、
捻じ曲げられてしまうことを、
TAOを歪めると、わしは言っておっての。
念じられた相手が、無理に別の道を歩かされ死ぬ!」
「アイリー!」
「えっ!」
話の途中に、聞き覚えのある声に呼ばれ振り向いたイリは、
「パパ!」
真後ろにパパのヒロムが居て唖然としていた。
「いいから来なさい!」
「うわっ! パパダメ 今、肝心な話しの最中~」
「私の話しはもっと大事!」
襟首をつかまれ、玄関口から引きずられるイリを、モエママと弟はただ見てるしかなく、
『ねーちゃん これこれ』
っと、アサトはイリが忘れた携帯をわざと開いて見せた。
「あぁーー 見たの? パパ! 携帯見たの? ひどぉーーぃ 幾らパパでも、それはやっちゃダメー」
イリは抗議したが、抵抗虚しく皆が乗って来た車の後部座席に押し込まれ、パパと仲良く座る破目になった。
ママは遅れて、運転席に乗り、アサトは助手席に乗り込んだ。
20-26
車はアイドリングしたまま静かにうなっていた…。
パパはイリを見ることも無く、怒り心頭に引きずってきたわりにお説教する訳でもなく、じっと腕組みし目を瞑っていた…。
そして、数分が過ぎた頃…。
「黙ってってごめんなさい… でもね。アタシ自身、自分でこれが恋愛なのかどーかも分からなかったの… だっから、隠してた…」
イリから口を開いた。
「相手の男。嫌な奴だったのか! どーして、そんな男と! ママは知ってたんだね?」
今度はさっきと、うってかわり。いきなり怒りのボルテージを上げ、額の血管が切れそうに話すパパだった。
「うん。女同士だから~ 一応ね。でも、パパ! そんなことより!」
ママはパパの目を見て言ったが、
「イリちゃん! やっぱ言っちゃうよ いい、心して聞いてね」
「な、なによぉー あんたまで~」
神妙な顔で身を乗り出すアサトにイリは、何かまた追い討ちをかけられるのかとヒヤヒヤしていた。
「タカにぃーさんが!」
「え?! 名前言わないでぇー ダメぇー」
イリの頭に、また”死”と言う文字が渦巻き頭を抱えてしまった。
「あ。やっぱ、二人の関係は終わってしまったんだね。(なら、いいのか…)そんな嫌な奴なら… どーなっても…」
アサトが口ごもると、パパはわなわな震えはじめていた…。
「どーなってもって何? 何かあったの?!」
イリはアサトの座席に詰め寄った。
「最後まで言いなさいよ!」
「え? だってぇ今、言うなって」
「いいから!」
「タカオミさん? 事故にあったのよ!」
ママが教えてくれた。
「………」
顔面蒼白のイリ。
いきなり車を飛び出し、マンションへ駆けて行った!
「アイリ!」
「ねーちゃん!」
「イリ!」
家族は心配のあまり、後を追った。
ギュンギュン階段を走るイリ。
ドカドカ後に続く家族たち。
イリの必死な形相を受付の窓から見てしまったカナも、部屋を飛び出し、
「緊急事態!」
と、練習真っ最中の稽古場のすみで、台本の読み合わせをしていたアヤンとミサキを連れ出した。
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自分の部屋に戻ったイリは、バッグの中をかき回すと、
「ごめんなさい!」
今、中へ入って来たばかりのパパに頭を下げ”ある物”を突き出した!
「こ、これはー…」
パパが焦ってママを見ると、諦めなさいと言う様な顔で両手を挙げていた。
「病院は、病院はぁどこ!」
取り乱してるイリは必死で聞いた。
「わぁからないよぉー 救急車が来たとこまでしか…」
アサトがやっと口を開くと、
「貸して!」
自分の携帯を奪い、タカオミの元へかけた…。
『お願い誰か出てー!』
そして、一発で繋がった…。
『はぃ 惣領さんの携帯です!』
出てきたのはもう一人のアイリ。
「あの! 病院を教えてください!」
日向アイリに、睦月アイリは言った。
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「池の前救急病院分かりますか?」
アイリの持つ、タカオミの携帯には、愛するイリと表示されていた。
『ありがとうございます!』
*
「何かあったのですか?」
「どーしちゃの~ 家族総出だぁ~ わーぃママちゃーん♪」
「うわ。おひさしぶりでーっす。どーしたんですか? イリちゃん」
「タカにぃー が事故に… アタシが相合傘書いたから!」
親友たちに、イリはそう言うと、ママの手を取り部屋を出て行った。
「うそぉー! 最大の秘密だったのに!」
吊り上った目のミサキに言われ、首をぶんぶん横にふるアヤンは、
「あたちじゃないよぉー ねぇ! あの部屋ってどこのぉー?」
とっさにイリに聞いた。
「そこにある。恋人たちの部屋よ!」
「え?」
ミサキは仰天し、
「えぇええええ!」
アヤンは、この部屋の窓から少し見えていた日暮園アパートを見た。
「そこにあるんですのー! あぁ!」
カナは、アーサーが面接の時に指さしたのを思い出した。
「ま、待って!」
カナは駆け出すイリの前に回りこみ、
「一分待って!」
「それどころじゃなーぃ!」
振りほどこうとするイリに、カナはすかさず言った。
「あの人、パパになるの! ナナさんとの間に赤ちゃん出来たの! イリちゃん騙されてる!」
緊迫した周りの空気がいっそう重くなった…。
「………知ってる…」
『うっそぉー』
知らないアヤンとミサキは目が点で、パパは滝のような汗を流し、気絶寸前でよろめき、ママとアサトが支えた。
「し、知っていたのですか… 留学の話しも?」
「ぇ? 留学…」
『えぇーーーー』
またまた、知らない話しの連続にアヤンとミサキも、パパに倒れかけ、ママとアサトは、ついに気絶してしまったパパと、二人の友達を必死で支えた…。
「お願い!」
ママをの手を握り廊下を走り出したイリ。
「ぐぇーー!」
支えの無くなった三人は次々に倒れ、アサトに覆い被さっていき、
『イリちゃん!』
カナは、それ以上追うことはできなかった。
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「なんだおめぇーかよ。携帯にかけてくんなって言っただろぉうぉー!!!」
メグミは、自分がテレビの企画で、死ぬかもしれないと神経を張り詰め今まで以上の剣幕でまくしたてていた。
『ちょっとまて! 恋人たちの部屋の場所が分かったんだぜぇ? せっかくだから知らせておこうと思ってなー』
相手は弟のヤッスーだった。
「それならとっくにプライベートで行ったつーの! 同じ事務所の女の子とな! んで、その子が好きな奴書いたら、そいつ今朝死んじまったんだよぉー この企画おりてぇーよー なぁ~なんとかしてくれー おとぅとぉ!!!」
『え? マジかよぉ~ 死んだのってまさか… ニュースになってたあいつのことかー 俺らの合宿してる所にある洋館で書いたのか?』
「ぜんぜんちっがーぅ! 眼鏡橋の真下だったぞ! 落書きで有名な場所だー とにかくだなー」
『うふ♪』
1号は何かを思いついてしまった!
「とにかく怖すぎて仕事に集中できねぇ~ 穴は開けれないしぃー おとうとぉー なんとかしないとお前も道連れだ!」
『そりゃ無理… おっちぬのはあんた一人だけ! ププ~ お前の部屋はありがたく僕が使わせてもらうよ』
「なんだとこら! 誰に向かって口聞いてる! 実の姉が死んでもいいのか? 自慢の美人の姉だろぉー? 頼むよぉーへんたいの先生しゃまー」
「ブース! ブス! ブーッス! ギャハー
お前勘違いしてる! うっはっはは。さすがー僕ちゃん♪ だが、もし、本当にそうだとすると別の意味でやばーぃけども…』
「おぃなんだどうした? 避けて通れる道があるのかー おしえろぉーー」
*
「バカ姉貴… うへへへへへ 良く聞け。助けてやるよ、ありがたく思うんだな~ ただし…」
ゴクリ…
メグミの鳴らす喉の音がした。
「おめーも、あいつ、2号の名前を書くこと…」
『な、なんだそりわーー 心中じゃんかよぉー! ねぇ お願い頼むからぁ~ 生下着でもなんでも上げるからさぁー うぇーん』
「いらねぇー! ゲロゲロゲローだ! ペッペッ」
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ガチャッ
「メグミさまーん 出番でーす。よろしくおねがいしまーす うっ!」
局のADが楽屋へ呼びに来たが、携帯相手に土下座しながら号泣してるメグミに、ひるんでいた…。
「お願いします。おねがーーぃ
あ! はい! 今、参ります~
ダブルで書くってことだな? それでいいんだな? もしもーし!!」
弟は携帯を切っていて、メグミはながーぃ鼻水を床まで垂らしていた…。
20-29
駅からマンションまでの電柱のあちこちに張り紙がしてあった。
冷たい風にあおられてる一枚をスーツを着たどこかのおじさんが剥がし、
「なんだとー せっかく来たのに中止かー! ったくよ~高校生の大家がやりそうなこった!」
クシャクシャに丸めて捨て、来た道を戻って行くと、
道端には既に破かれたビラの紙片が舞っていた…。
|管理人面接中止のお知らせ。by風祭マンション:高校生の大家より
アーサーはアパートに帰って来た日の朝、深紫ばーさんの命令で、このビラを通り沿いに貼りまくっていたのだ。
ばーさんは、はじめからここの管理人になるための細工をしていたのだった。
*
蒼い顔で顔でママを引っ張るイリたちとすれ違った1号は、2号を引き連れ、
「ボース! ボース! ボッス! 凄い情報仕入れましたよ! あの部屋ってすぐそこにあったんです! フユミたちに先越されっちまいますですよー!」
ミサキボスをやっと見つけたと駆け寄った。
「どーしたんですか? お加減でも?」
「おぅ… ヤッスーか…」
ドキーッ!
「だだだ… だーいじょーぶですかかかかかかー!?」
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●Chic Novels●
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