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14:痛い!キス
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14:痛い!キス
「大丈夫そう。これといって外傷はないし」
冷静な声でカナが言った。
「まぁー ”当分”寝てるだろ。それに、もうこりたと思うし~」
ミサキは手をパンパン叩いた。
二人は気絶したナナを、彼女の部屋まで運び、ベッドで介抱していた。
「つ、次行こか~… ふぅ~ ハァぁああ…」
「私一人でも構いませんことよ?
さーっ おねーさん。もう悪さしないでね~」
っと、カナはマジックで走り書きしたメモを、ナナの顔に置いた。
「行きますかー あ。これ使えそう♪ ヨイショッと」
カナは目についた、背もたれの付いた椅子を抱え、ミサキはドアを閉めた。
「何するん??」
「保険~♪」
カナはそう言い、ナナの部屋のドアノブ下に、椅子をはめ込みはじめた。
「わは~ さすがカナ! こりゃいい♪」
ミサキはニヤニヤしながら椅子の足を、
ゴン! ゴン蹴って押し込んだ。
傾かせた椅子はきつく固定され、扉を押さえる役目を果たし、
中から、ほんとに”当分”の間、開けることはできないだろうと思われた…。
「これって、監禁?」
「んー まぁー仕方ないですわ~ ァハ♪」
「イリはアヤンに任せてあるから、俺らも行くか…ハァーー」
さっきからミサキは何かを思い出しては、うなだれていた。
「そんなにイヤなら~」
「ん~~ 一人で行かせられっかーー!」
「はぃはぃ♪」
「ウリャーー!」
ミサキはエレベーターのボタンを押した。
*
アヤンはイリを家まで送ろうと、川原の土手沿いに歩いていた。
「もう、この辺で平気だよ~
アヤンもお引越しの準備もあるしー」
「ほんとに。ほんとに! だいじょうぶぅ!?」
「へーき。へーき。どこも怪我してないし。
あいつは、超怖かったけど…
犬はじゃれたかっただけだったし。 アハ」
皆の心配をよそに、イリはごく普通に振舞っているようだった。
「そりぇなら、いいんだけど~…」
「アタシさ、もっと頑張ろうって思うの♪」
「何を頑張るにょ?」
「色々だよ~~ あはは」
イリは川の流れを見ていた。
「そうだね~♪ あたちはまず、汚い部屋を片付けつつがんばろっかにゃ…」
「片付け苦手だもんね~あはははは」
「じゃー あたちここでー」
「うん!」
手を振り合って二人は別れ、イリはまっすぐ歩いて行った。
アヤンハを後姿を見送り、彼女が遠くになると携帯をかけた。
「もしも~っし。
うん、今別れた~ うん。
にゃんかねイリちゃんとーってもフツーだった。
突然強くなったみたいな感じ?
色々がんばるーって言ってたし、顔も明るかった。
きっと平気だよ。
うんうん。
ミサキもがんばれよぉ~
あたちも行ければ、行きたかったけどぉ~
えぇーーー!
そのとーり! 嘘にゃー!
あははははははははは
部屋で吐いちゃだめよ~
カナにもまたねーって じゃーにぇ~」
そして、アヤンは商店街への角を曲がった。
14-1 痛い!キス
グーーー ググググゥ~
グーグググゥ ギュルルルルルルル ギギュウ
ポッポー。とでも鳴けば、鳩に違いなかった。
でも、犬でも猫でも無かった…。
ゆっくり立ち上がったが目まいがし、ゆらりユラユラと、水草のように壁を伝い、
丸みのある冷蔵庫にたどり着いた…。
「!!!!」
中はガラーンとしていた。
空に近いマヨネーズが転がっていた…。
ひざまずいたまま、震える手でそれを一瞬ですすり切ると、放り投げた。
ガッコーンと、跳ね上がりグルグル揺れたが、
空のビニール容器は見事にゴミ箱へ収まった!
…が、どうでも良かった。
今度はキッチンの下を開けた。
「!!」
棚という棚を開けた。
「………」
減りすぎたお腹は痛いくらいに唸り、フラフラと部屋を出た。
洋館の玄関にたどりつくと、階段から誰かが声をかけてきた。
が、どーでも良かった。
が、シカトする気も無かった。
だだ、彼は生き続けたいという、本能だけで動いていた。
声をかけた男が、立ちはだかって何か言っていた。
辺りのすべてが残像の様に揺らいでいた。
「おぃ~!! ぉ~俺だって~ばぁ~オミーだよぅぉおお~~!!
どーしたんどわぁ~~~! タカクワァアアア~~!」
グワングワワ~ン~ 耳鳴りもしていた。
「………」
「えぇぇえ? ななななななんだってぇぇええ?
ななな何、言ってるぅうううう~?」
「ラ・ヘ・ッ・ー・タ…」
「え? あぁ あっはっはっは ふぁっはふぉふはっはっは~
まかせろぅぉううううぉおおおお」
辺りの全てが揺らぎ尾を引いて流れ、そしてフェードアウトした!
*
イリはテクテク歩いていたが、立ち止まり振り返った。
そして、まっすぐに前の道を見つめ、
ミサキがいつか発見したと大騒ぎしてたおバカな事を思い出していた。
”ねぇ地球を一周する超簡単な方法思いついたぜ!
ジャンプするだけで、なんと! 俺天才? わはははは”
その時は呆れていたが、
気合を入れスカートをひるがえし、ジャンプして振り向くと、
「私だって地球を一周できるんだっ よしっ!」
来た道にある風景、大地を見つめ、
来た道すごい早さで駆けて行った。
*
「ウリャーー!」
ミサキはまた、ボタンを押した。
ピンポーン♪
ポロロンピンポロ~ン♪ パピンポロ~ン♪
ピンポロパンチョルルル~~ン♪ プル~ン♪ ポムッ♪
「………うぅーー な、なんかさ、
チャイムまで変態音に聞こえないか…」
「…気のせいです…」
*
「~…5・6・7・8・9・~99・ひゃくーーせーーーん!
さ、帰ろう~ 留守! 留守だよ!
カエロウョ~ カナーん~ ねーってばー
俺すでに吐きそう… おぇっぷ」
ミサキは口を押さえた。
「三秒で1000まで数えない… 吐くならその下水!」
「うっく… でも、出てこないよ~
あいつらのこった。嫌がらせで、
居留守つかってんじゃね~のぉ?
二回は鳴らしましたよぉ~
カナー おまえはほんと我慢強いなぁ~」
「大和撫子ですから~♪」
「自分で言うな! じゃー俺は戦艦大和!
あ、やばい! すぐ沈むぅ~! しょうがない。
ここまで来た電車賃もったいないし、
大砲ぶっぱなすか!
それー! ド~~~ン!」
ミサキは三回目のチャイムボタンを押すとすぐに、
変態音を聞かないよう、耳をふさぎ、
「あぁぁぁぁあぁぁぁーあ~あぁあああ~」
と、自分の声でかき消した。
『ウゼェ~~~ 眠ってるつーの!
分かった出るよ! でりゃいいんだろぉ~ バカ母~』
「うわ~~~ 変なの出たーー!」
ミサキが撃った主砲は、眠い誰かを起こしたようだった。
「ぁあ。あの、わたくし、ヤスヒロさんの学友で、
風祭カナと申します。 ヤスヒロさんは、ご在宅でしょうか?」
『あいつらなら死にました。 じゃ』
「まさかーーーあぁああ! あの、切らないでー
今しがた約束したばかりなんです!
会わせてもらえませんかぁ~
大事な用なんですぅ~
あ、あの~~!」
『今度死ぬのは~ア・タ・シ…眠い… じゃ』
「(うわぁ~~ こいつ超感じわりぃ~~) ごめーん、あんた誰?」
ミサキがスピーカーフォンに割り込んだ。
14-2 痛い!キス
「あ! こら!」
カナはぶしつけなミサキを、引き離した。
『だめ! 眠くて オヤシュ…
コラ! 開けなさいお客様に失礼でしょ!
ふわぁ~~ オトミさん居ないのぉ~
お手伝いのくせして、応対もしないとは怠けてるな~!
オトミさんは買い物に出てるだけーー!
あたし手が離せないって言ってるでしょ!
この馬鹿娘!
おかーさん。あたし眠いの…人気者は辛いの。 じゃ
コラコラコラーー はやくでんかーぃ!』
母親の声はとーくに聞こえていた。
「…」
カナは壁に手を付きうなだれた。
「ー子が子なら この娘も娘だ! ねーちゃんかな?
早くあけろよ~ どーでもいから!! ムカムカムカ!」
『ん? ていうか、女の子だった!
うわぁ! 君、顔上げて~』
眠い女はモニターを見てなかったようだ。
「はぃ?」
カナは顔を上げた。
『うわぁああああああああああ!
オタクライク・ブッスーを想像してた~
あんた誰!
エイリアンか何かが変装して、
うちの馬鹿誘拐しに来た?
いつでも連れてっていいよぉ~~♪
あー分かった、これあたしへのドッキリ?
ディレクターがさっきの子?
あーんな訳ないかーー あはははは
あ! 誰だった!?』
「風祭 カナ…です…」
カナの額から変な汗が垂れていた。
『おかーさん! おかーさん!
なんか信じらんないんだけどー』
「私は スクネ ミサキーですわ~ おほほほ~
(聞いちゃねーな フン!)」
『超美形女子来てる! 馬鹿に会いたいて~ 風祭カナちゃんだって!
ホントに会いたいの?
ほんとにいいの?
近づくだけで体腐るよ!
そのかわいいぃーお顔もドローって!
女の子? 可愛い? どらどら… わわわわわ!!!
あら、ほんと! おとーさん おとーさんーー
家に金星人! じゃなくって、
かわいぃらしぃービィーーナッス、オジョウサンガーーー!!
どどどっどーしましょ~♪
家にヤスヒロの女の子のお友達! 何年ぶりかしらぁ~
あぁ! あれはあの子が拾ってきた、メスの子犬か!
あ! おとうさんは会社だった~
おぉおおおおじーちゃん!
おばーーーさまぁーーー!
ヒィーーー
二人はもうとっくにあの世だった~
報告だわーーー
そう、ご報告しなきゃ。ヤスヒロに女の子の友達がぁー
ナマンダブー ナマンダブー
トレビーァーン♪
仏壇! 仏壇!
オトミさん! オトミさん! 仏壇どこ~
あ、オトミさん買い物!
キャーーーー
お化粧みだしなみ! あーお寿司特上超特急!
あと、ブツダーン!』
カナとミサキが入れてもらえるのに、37分かかっていた…。
目の前の母親はバリバリに化粧し、和服に着替えたであろう姿で出迎えてくれた。
「いらっしゃいませー カナさん
ようこそおいでくだちゃぃ~~ましたぁーわ~ おほおほおぉ~
あたくし、ヤスヒロの母でございます。
本日はお日柄もぉーーじゃなくて、
こんな可愛いカナさんと、ヤスヒロがお友達だなんて!
一言も! 聞いておりませんでしたわぁーよ」
『はいはい、どーせ俺は二の次ですよ~だ』
しかも、母親の隣には超特急で握られたであろう、
特上寿司の鉢が、ざっと数えて十段積み上がっていた!
『うわ! いいli~! なんでもいい 許そう!
久々の特上だぜぇ~ ジュルルル』
そして、玄関奥のリビングで、死んだように突っ伏して眠る女も見えていた。
「~ごめんなさいねぇ~ 自分の家なのに。
はい。階段上がってすぐが、
息子のへやでございますわよぉー うほうほぉー
今すぐお茶とお菓子と、コーヒーと、紅茶~麦茶!
ただいま!
お持ちぃ~しーまするぅ~わぁ~」
気挙動不審な母親に間違って仏間に通され、
その間じゅうミサキは十段もある寿司を持たされ、
必死で倒さないよう死守していた。
「あ~ おばさーーん。お構いなく~~ ハァ…」
ミサキはそーっとそーっと、階段を上がり、
カナは落ちそうなそれを見守るよう、後に続いた。
階段の踊り場で、この部屋だなとカナはドアを開けた。
バタン!
そして、閉めた!
「え? また間違い? カンベンしろよぉー」
「あーうん。違うみたい。ここじゃ無いなー 奥かも~」
「カナー半部もってよぉー おもいよーこれさすがに。怖いし」
「この部屋かなぁー?」
ノブに手をかけようとしたが、もの凄い鍵の数で手を引っ込めた。
14-3 痛い!キス
「あぁー じゃあ、あっちだ。あっち… うんうん」
「ほぃほぃ」
ミサキは寿司鉢のせいで前が見えていなかった。
やっと降ろせて腰を叩いたが、
「あ? ここ部屋じゃね~~! ベランダじゃん」
「ハハハ
ごめん。ごめん。ちょっと外の空気が吸いたくて… ハァ…」
力なく笑うカナの額に、変な汗がにじんでいた…。
「だよなぁー こんな歓待されちゃったらさー
俺も疲れてるよ。 ふぅ~ ここで喰っちゃう?
喰ったら、部屋行こう!」
ミサキは一番上の鉢を取り、ラップを破りかけた。
「あ! ミサキ! あ、あたしー お腹痛い!
イタタタタタ かえろーー やっぱりかえろー お家ー」
カナは急にうずくまった!
「えぇ~~
肩かしてあげっから聞きに行こう」
「あ、だめ、マンションに薬がぁーー 持病の特効薬がぁー!」
カナはさらにうずくまり、ベランダから戻ろうとした。
「ううううう お寿司~~~
分かった 分かったよ おぶってくよ~
さっきナナとの対決で助けてもらったし、
食い気よりカナだぜ♪」
涎をボトボト垂らし、ミサキは言った。
「ありがと~~♪」
ミサキはカナをおんぶし廊下を歩くと、階段すぐの踊り場から、
茶器を乗せたお盆がスッと現れ。
母親も出てきた。
「あらまぁ!
どーされたんどぇすかかかか!? お~具合でも?」
「あー あたくしたち こ、これでぇー 失礼します~」
カナが慌てて言った。
「おばちゃーん。ごめんな~
なんか、こいつ腹痛いって~ 連れて帰るよ~」
「え? そそれは一大事!
確か息子もしょっちゅうお腹壊すから、
良薬がございますはず!
ヤスヒロー やっちゃ~ん
女! 女! 女! 女!
あ! 女の子のお客さんょぉー
入るわよぉ~!」
ガチャッ!
「あぁーー ダメーーー!!」
カナはミサキの上でバタつき、開けないでともがいた。
ピッキーン!
ドアを開けた瞬間、母親は凍った…。
『見ないで! 見ないで! 見ないで!
人間核弾頭が爆発しちゃうーーー!!!』
ミサキにきつくしがみつき、カナは目を閉じ神に祈った!
「おぃ ちょっ! 動くなぁ~カナ! 危ない!」
ミサキはよろめき、壁に手を付きやっと立ち止まれたと、顔を上げたとき、
ヤッスーは頭に、ブラジャーを被り!
ヨッシーは、顔にパンティーを被って!
寝てる、二人の姿を見てしまった。
14-4 痛い!キス
「ん~?
しょうがない奴らだなぁー 降ろすよカナいい?」
「う、うん…」
カナは、ハラハラして、つま先を床に着けた。
「ん~ うちの兄貴たちも似たようなことしてたよ~
ハハハハハ
男子って馬鹿だなーっと思うけど。
おかーさん!
こーいうの普通です!
泣くくこたーないですって~
逆に叱らないであげてくださいね~♪
すぐへこむから あはははは」
ミサキは固まったまま、さめざめと泣く母親をなだめ、
リビングに連れて行くと、ソファに座らせた。
ミサキはそばで寝てる娘をまじまじと見た。
女は半ケツで、鼻ちょうちんを膨らませていた。
スピー スピー
*
『うそぉーー! 見てない?
良かったぁー ほんっと ハァ~』
カナは、折れるように床にへたり込んだ。
冷静なミサキを、にわかには信じられなかったが、
とりあえずホッと胸を撫で下ろした。
カナがミサキを部屋に入れたくなかった理由…
それは、二人の変態姿ではなかった…。
それは、プリンターの上にも、その近くにもあった。
それは、ヤスヒロが出力されるのを、心待ちにしていたもの…。
それは、イリが大きく写った写真! だったが、…そのことより、何より。
”ミサキ”が、もっとも大きく、メインで写っていたのだ!!
トントントン トトントーン
ミサキが戻って来た。
「なんだぁー お腹痛いの嘘だー 何慌ててるのかと思えば。
俺。六人兄弟で上全部男だよ?
パンツとブラなんかで驚く訳ないじゃーん
アハハハ じゃー話し聞こうかね」
『え?! もしかして、まだ… あれに… 気づいてない?
あの写真って隠し撮りだ!…
ヤスヒロさんはミサキに恋してる!!
そー言えば、いつだったか、この方ボーッとして遠くから、
ミサキを見ていたこともありましたわ
すぐに、ミサキに言ったら…
吐いてたけど…!
この人たちのこと、考えるだけで、気分を害すミサキ!!
もし、あの写真を見たら~
この人本気で何するかワカラナァイ!!
これは叶わぬ恋です~! ヤスヒロさーーん!!
早く逃げてぇ~』
カナは恐れおののき、本当の恐怖はこれからだと知った!
「ダ、ダメよ~ミサキちゃーん! もう今日はかえろょ~ ね♪
お寿司なら、お土産にもらえるかもぉ~」
カナはいつになく甘えた声で説得した。
「うん♪」
ミサキは満面の笑みを浮かべた。
「ほ、ほんとっ? 良かっ~ぁー 」
よかったーと言おうとしたカナだったが、さえぎられた!
「あいつらの話し聞いたら♪」
っと、ミサキはズカズカ部屋に入って行き、
まず手前にいた、ヨッシーの胸ぐらを掴んだ!
「この~ 変態どもめぇ~~
気持ちわりぃーーんだよぉ~! さっさと起きろ~」
バンバシッ! ビシッ ドカドンドン バシーーーン!!
「キャーーー おとこ女が いるぅーー!」
そして、ヤスヒロに向かった。
「てめーも起きろ! ゴォラ~! 俺にさわらせんじゃねぇ~!」
バンバシッ! ビシッ ドカドンドン バシーーーン!!
「イタタタタタターーィ なにすんだー (ゲゲェ!女神様だ!!)」
「カナー 起きたよこいつら。 おいでぇ~」
ミサキが顔を見せて言った…。
いや。正確には一回目の往復ビンタで、二人とも目が覚めていたが、
怖くてきつくつむっていただけだった…。
『ウギャーー こいつって、メグミさまんっと同じくらいドSだぁ~!
オソロシヤァーーぁああ^~~
あ! もしや! まさか!!
そーか、そーだったのかぁああー
どーして、実姉と、
こんなにキャラ被りのミサキを好きになるんだ~?
って不思議に思ってたんだ!
癒しを求めてるなら、カナ様しかいない~!
うぅううううう… そうだったんだ…。
友よぉー!
正直スマンかったぁ~~!!!
お宝は超欲しいけど、
次回から自粛しますぅ~
痛い!
痛いよ~ 心も…』
ヨッシーは、また滝のような涙を流した。
「大丈夫そう。これといって外傷はないし」
冷静な声でカナが言った。
「まぁー ”当分”寝てるだろ。それに、もうこりたと思うし~」
ミサキは手をパンパン叩いた。
二人は気絶したナナを、彼女の部屋まで運び、ベッドで介抱していた。
「つ、次行こか~… ふぅ~ ハァぁああ…」
「私一人でも構いませんことよ?
さーっ おねーさん。もう悪さしないでね~」
っと、カナはマジックで走り書きしたメモを、ナナの顔に置いた。
「行きますかー あ。これ使えそう♪ ヨイショッと」
カナは目についた、背もたれの付いた椅子を抱え、ミサキはドアを閉めた。
「何するん??」
「保険~♪」
カナはそう言い、ナナの部屋のドアノブ下に、椅子をはめ込みはじめた。
「わは~ さすがカナ! こりゃいい♪」
ミサキはニヤニヤしながら椅子の足を、
ゴン! ゴン蹴って押し込んだ。
傾かせた椅子はきつく固定され、扉を押さえる役目を果たし、
中から、ほんとに”当分”の間、開けることはできないだろうと思われた…。
「これって、監禁?」
「んー まぁー仕方ないですわ~ ァハ♪」
「イリはアヤンに任せてあるから、俺らも行くか…ハァーー」
さっきからミサキは何かを思い出しては、うなだれていた。
「そんなにイヤなら~」
「ん~~ 一人で行かせられっかーー!」
「はぃはぃ♪」
「ウリャーー!」
ミサキはエレベーターのボタンを押した。
*
アヤンはイリを家まで送ろうと、川原の土手沿いに歩いていた。
「もう、この辺で平気だよ~
アヤンもお引越しの準備もあるしー」
「ほんとに。ほんとに! だいじょうぶぅ!?」
「へーき。へーき。どこも怪我してないし。
あいつは、超怖かったけど…
犬はじゃれたかっただけだったし。 アハ」
皆の心配をよそに、イリはごく普通に振舞っているようだった。
「そりぇなら、いいんだけど~…」
「アタシさ、もっと頑張ろうって思うの♪」
「何を頑張るにょ?」
「色々だよ~~ あはは」
イリは川の流れを見ていた。
「そうだね~♪ あたちはまず、汚い部屋を片付けつつがんばろっかにゃ…」
「片付け苦手だもんね~あはははは」
「じゃー あたちここでー」
「うん!」
手を振り合って二人は別れ、イリはまっすぐ歩いて行った。
アヤンハを後姿を見送り、彼女が遠くになると携帯をかけた。
「もしも~っし。
うん、今別れた~ うん。
にゃんかねイリちゃんとーってもフツーだった。
突然強くなったみたいな感じ?
色々がんばるーって言ってたし、顔も明るかった。
きっと平気だよ。
うんうん。
ミサキもがんばれよぉ~
あたちも行ければ、行きたかったけどぉ~
えぇーーー!
そのとーり! 嘘にゃー!
あははははははははは
部屋で吐いちゃだめよ~
カナにもまたねーって じゃーにぇ~」
そして、アヤンは商店街への角を曲がった。
14-1 痛い!キス
グーーー ググググゥ~
グーグググゥ ギュルルルルルルル ギギュウ
ポッポー。とでも鳴けば、鳩に違いなかった。
でも、犬でも猫でも無かった…。
ゆっくり立ち上がったが目まいがし、ゆらりユラユラと、水草のように壁を伝い、
丸みのある冷蔵庫にたどり着いた…。
「!!!!」
中はガラーンとしていた。
空に近いマヨネーズが転がっていた…。
ひざまずいたまま、震える手でそれを一瞬ですすり切ると、放り投げた。
ガッコーンと、跳ね上がりグルグル揺れたが、
空のビニール容器は見事にゴミ箱へ収まった!
…が、どうでも良かった。
今度はキッチンの下を開けた。
「!!」
棚という棚を開けた。
「………」
減りすぎたお腹は痛いくらいに唸り、フラフラと部屋を出た。
洋館の玄関にたどりつくと、階段から誰かが声をかけてきた。
が、どーでも良かった。
が、シカトする気も無かった。
だだ、彼は生き続けたいという、本能だけで動いていた。
声をかけた男が、立ちはだかって何か言っていた。
辺りのすべてが残像の様に揺らいでいた。
「おぃ~!! ぉ~俺だって~ばぁ~オミーだよぅぉおお~~!!
どーしたんどわぁ~~~! タカクワァアアア~~!」
グワングワワ~ン~ 耳鳴りもしていた。
「………」
「えぇぇえ? ななななななんだってぇぇええ?
ななな何、言ってるぅうううう~?」
「ラ・ヘ・ッ・ー・タ…」
「え? あぁ あっはっはっは ふぁっはふぉふはっはっは~
まかせろぅぉううううぉおおおお」
辺りの全てが揺らぎ尾を引いて流れ、そしてフェードアウトした!
*
イリはテクテク歩いていたが、立ち止まり振り返った。
そして、まっすぐに前の道を見つめ、
ミサキがいつか発見したと大騒ぎしてたおバカな事を思い出していた。
”ねぇ地球を一周する超簡単な方法思いついたぜ!
ジャンプするだけで、なんと! 俺天才? わはははは”
その時は呆れていたが、
気合を入れスカートをひるがえし、ジャンプして振り向くと、
「私だって地球を一周できるんだっ よしっ!」
来た道にある風景、大地を見つめ、
来た道すごい早さで駆けて行った。
*
「ウリャーー!」
ミサキはまた、ボタンを押した。
ピンポーン♪
ポロロンピンポロ~ン♪ パピンポロ~ン♪
ピンポロパンチョルルル~~ン♪ プル~ン♪ ポムッ♪
「………うぅーー な、なんかさ、
チャイムまで変態音に聞こえないか…」
「…気のせいです…」
*
「~…5・6・7・8・9・~99・ひゃくーーせーーーん!
さ、帰ろう~ 留守! 留守だよ!
カエロウョ~ カナーん~ ねーってばー
俺すでに吐きそう… おぇっぷ」
ミサキは口を押さえた。
「三秒で1000まで数えない… 吐くならその下水!」
「うっく… でも、出てこないよ~
あいつらのこった。嫌がらせで、
居留守つかってんじゃね~のぉ?
二回は鳴らしましたよぉ~
カナー おまえはほんと我慢強いなぁ~」
「大和撫子ですから~♪」
「自分で言うな! じゃー俺は戦艦大和!
あ、やばい! すぐ沈むぅ~! しょうがない。
ここまで来た電車賃もったいないし、
大砲ぶっぱなすか!
それー! ド~~~ン!」
ミサキは三回目のチャイムボタンを押すとすぐに、
変態音を聞かないよう、耳をふさぎ、
「あぁぁぁぁあぁぁぁーあ~あぁあああ~」
と、自分の声でかき消した。
『ウゼェ~~~ 眠ってるつーの!
分かった出るよ! でりゃいいんだろぉ~ バカ母~』
「うわ~~~ 変なの出たーー!」
ミサキが撃った主砲は、眠い誰かを起こしたようだった。
「ぁあ。あの、わたくし、ヤスヒロさんの学友で、
風祭カナと申します。 ヤスヒロさんは、ご在宅でしょうか?」
『あいつらなら死にました。 じゃ』
「まさかーーーあぁああ! あの、切らないでー
今しがた約束したばかりなんです!
会わせてもらえませんかぁ~
大事な用なんですぅ~
あ、あの~~!」
『今度死ぬのは~ア・タ・シ…眠い… じゃ』
「(うわぁ~~ こいつ超感じわりぃ~~) ごめーん、あんた誰?」
ミサキがスピーカーフォンに割り込んだ。
14-2 痛い!キス
「あ! こら!」
カナはぶしつけなミサキを、引き離した。
『だめ! 眠くて オヤシュ…
コラ! 開けなさいお客様に失礼でしょ!
ふわぁ~~ オトミさん居ないのぉ~
お手伝いのくせして、応対もしないとは怠けてるな~!
オトミさんは買い物に出てるだけーー!
あたし手が離せないって言ってるでしょ!
この馬鹿娘!
おかーさん。あたし眠いの…人気者は辛いの。 じゃ
コラコラコラーー はやくでんかーぃ!』
母親の声はとーくに聞こえていた。
「…」
カナは壁に手を付きうなだれた。
「ー子が子なら この娘も娘だ! ねーちゃんかな?
早くあけろよ~ どーでもいから!! ムカムカムカ!」
『ん? ていうか、女の子だった!
うわぁ! 君、顔上げて~』
眠い女はモニターを見てなかったようだ。
「はぃ?」
カナは顔を上げた。
『うわぁああああああああああ!
オタクライク・ブッスーを想像してた~
あんた誰!
エイリアンか何かが変装して、
うちの馬鹿誘拐しに来た?
いつでも連れてっていいよぉ~~♪
あー分かった、これあたしへのドッキリ?
ディレクターがさっきの子?
あーんな訳ないかーー あはははは
あ! 誰だった!?』
「風祭 カナ…です…」
カナの額から変な汗が垂れていた。
『おかーさん! おかーさん!
なんか信じらんないんだけどー』
「私は スクネ ミサキーですわ~ おほほほ~
(聞いちゃねーな フン!)」
『超美形女子来てる! 馬鹿に会いたいて~ 風祭カナちゃんだって!
ホントに会いたいの?
ほんとにいいの?
近づくだけで体腐るよ!
そのかわいいぃーお顔もドローって!
女の子? 可愛い? どらどら… わわわわわ!!!
あら、ほんと! おとーさん おとーさんーー
家に金星人! じゃなくって、
かわいぃらしぃービィーーナッス、オジョウサンガーーー!!
どどどっどーしましょ~♪
家にヤスヒロの女の子のお友達! 何年ぶりかしらぁ~
あぁ! あれはあの子が拾ってきた、メスの子犬か!
あ! おとうさんは会社だった~
おぉおおおおじーちゃん!
おばーーーさまぁーーー!
ヒィーーー
二人はもうとっくにあの世だった~
報告だわーーー
そう、ご報告しなきゃ。ヤスヒロに女の子の友達がぁー
ナマンダブー ナマンダブー
トレビーァーン♪
仏壇! 仏壇!
オトミさん! オトミさん! 仏壇どこ~
あ、オトミさん買い物!
キャーーーー
お化粧みだしなみ! あーお寿司特上超特急!
あと、ブツダーン!』
カナとミサキが入れてもらえるのに、37分かかっていた…。
目の前の母親はバリバリに化粧し、和服に着替えたであろう姿で出迎えてくれた。
「いらっしゃいませー カナさん
ようこそおいでくだちゃぃ~~ましたぁーわ~ おほおほおぉ~
あたくし、ヤスヒロの母でございます。
本日はお日柄もぉーーじゃなくて、
こんな可愛いカナさんと、ヤスヒロがお友達だなんて!
一言も! 聞いておりませんでしたわぁーよ」
『はいはい、どーせ俺は二の次ですよ~だ』
しかも、母親の隣には超特急で握られたであろう、
特上寿司の鉢が、ざっと数えて十段積み上がっていた!
『うわ! いいli~! なんでもいい 許そう!
久々の特上だぜぇ~ ジュルルル』
そして、玄関奥のリビングで、死んだように突っ伏して眠る女も見えていた。
「~ごめんなさいねぇ~ 自分の家なのに。
はい。階段上がってすぐが、
息子のへやでございますわよぉー うほうほぉー
今すぐお茶とお菓子と、コーヒーと、紅茶~麦茶!
ただいま!
お持ちぃ~しーまするぅ~わぁ~」
気挙動不審な母親に間違って仏間に通され、
その間じゅうミサキは十段もある寿司を持たされ、
必死で倒さないよう死守していた。
「あ~ おばさーーん。お構いなく~~ ハァ…」
ミサキはそーっとそーっと、階段を上がり、
カナは落ちそうなそれを見守るよう、後に続いた。
階段の踊り場で、この部屋だなとカナはドアを開けた。
バタン!
そして、閉めた!
「え? また間違い? カンベンしろよぉー」
「あーうん。違うみたい。ここじゃ無いなー 奥かも~」
「カナー半部もってよぉー おもいよーこれさすがに。怖いし」
「この部屋かなぁー?」
ノブに手をかけようとしたが、もの凄い鍵の数で手を引っ込めた。
14-3 痛い!キス
「あぁー じゃあ、あっちだ。あっち… うんうん」
「ほぃほぃ」
ミサキは寿司鉢のせいで前が見えていなかった。
やっと降ろせて腰を叩いたが、
「あ? ここ部屋じゃね~~! ベランダじゃん」
「ハハハ
ごめん。ごめん。ちょっと外の空気が吸いたくて… ハァ…」
力なく笑うカナの額に、変な汗がにじんでいた…。
「だよなぁー こんな歓待されちゃったらさー
俺も疲れてるよ。 ふぅ~ ここで喰っちゃう?
喰ったら、部屋行こう!」
ミサキは一番上の鉢を取り、ラップを破りかけた。
「あ! ミサキ! あ、あたしー お腹痛い!
イタタタタタ かえろーー やっぱりかえろー お家ー」
カナは急にうずくまった!
「えぇ~~
肩かしてあげっから聞きに行こう」
「あ、だめ、マンションに薬がぁーー 持病の特効薬がぁー!」
カナはさらにうずくまり、ベランダから戻ろうとした。
「ううううう お寿司~~~
分かった 分かったよ おぶってくよ~
さっきナナとの対決で助けてもらったし、
食い気よりカナだぜ♪」
涎をボトボト垂らし、ミサキは言った。
「ありがと~~♪」
ミサキはカナをおんぶし廊下を歩くと、階段すぐの踊り場から、
茶器を乗せたお盆がスッと現れ。
母親も出てきた。
「あらまぁ!
どーされたんどぇすかかかか!? お~具合でも?」
「あー あたくしたち こ、これでぇー 失礼します~」
カナが慌てて言った。
「おばちゃーん。ごめんな~
なんか、こいつ腹痛いって~ 連れて帰るよ~」
「え? そそれは一大事!
確か息子もしょっちゅうお腹壊すから、
良薬がございますはず!
ヤスヒロー やっちゃ~ん
女! 女! 女! 女!
あ! 女の子のお客さんょぉー
入るわよぉ~!」
ガチャッ!
「あぁーー ダメーーー!!」
カナはミサキの上でバタつき、開けないでともがいた。
ピッキーン!
ドアを開けた瞬間、母親は凍った…。
『見ないで! 見ないで! 見ないで!
人間核弾頭が爆発しちゃうーーー!!!』
ミサキにきつくしがみつき、カナは目を閉じ神に祈った!
「おぃ ちょっ! 動くなぁ~カナ! 危ない!」
ミサキはよろめき、壁に手を付きやっと立ち止まれたと、顔を上げたとき、
ヤッスーは頭に、ブラジャーを被り!
ヨッシーは、顔にパンティーを被って!
寝てる、二人の姿を見てしまった。
14-4 痛い!キス
「ん~?
しょうがない奴らだなぁー 降ろすよカナいい?」
「う、うん…」
カナは、ハラハラして、つま先を床に着けた。
「ん~ うちの兄貴たちも似たようなことしてたよ~
ハハハハハ
男子って馬鹿だなーっと思うけど。
おかーさん!
こーいうの普通です!
泣くくこたーないですって~
逆に叱らないであげてくださいね~♪
すぐへこむから あはははは」
ミサキは固まったまま、さめざめと泣く母親をなだめ、
リビングに連れて行くと、ソファに座らせた。
ミサキはそばで寝てる娘をまじまじと見た。
女は半ケツで、鼻ちょうちんを膨らませていた。
スピー スピー
*
『うそぉーー! 見てない?
良かったぁー ほんっと ハァ~』
カナは、折れるように床にへたり込んだ。
冷静なミサキを、にわかには信じられなかったが、
とりあえずホッと胸を撫で下ろした。
カナがミサキを部屋に入れたくなかった理由…
それは、二人の変態姿ではなかった…。
それは、プリンターの上にも、その近くにもあった。
それは、ヤスヒロが出力されるのを、心待ちにしていたもの…。
それは、イリが大きく写った写真! だったが、…そのことより、何より。
”ミサキ”が、もっとも大きく、メインで写っていたのだ!!
トントントン トトントーン
ミサキが戻って来た。
「なんだぁー お腹痛いの嘘だー 何慌ててるのかと思えば。
俺。六人兄弟で上全部男だよ?
パンツとブラなんかで驚く訳ないじゃーん
アハハハ じゃー話し聞こうかね」
『え?! もしかして、まだ… あれに… 気づいてない?
あの写真って隠し撮りだ!…
ヤスヒロさんはミサキに恋してる!!
そー言えば、いつだったか、この方ボーッとして遠くから、
ミサキを見ていたこともありましたわ
すぐに、ミサキに言ったら…
吐いてたけど…!
この人たちのこと、考えるだけで、気分を害すミサキ!!
もし、あの写真を見たら~
この人本気で何するかワカラナァイ!!
これは叶わぬ恋です~! ヤスヒロさーーん!!
早く逃げてぇ~』
カナは恐れおののき、本当の恐怖はこれからだと知った!
「ダ、ダメよ~ミサキちゃーん! もう今日はかえろょ~ ね♪
お寿司なら、お土産にもらえるかもぉ~」
カナはいつになく甘えた声で説得した。
「うん♪」
ミサキは満面の笑みを浮かべた。
「ほ、ほんとっ? 良かっ~ぁー 」
よかったーと言おうとしたカナだったが、さえぎられた!
「あいつらの話し聞いたら♪」
っと、ミサキはズカズカ部屋に入って行き、
まず手前にいた、ヨッシーの胸ぐらを掴んだ!
「この~ 変態どもめぇ~~
気持ちわりぃーーんだよぉ~! さっさと起きろ~」
バンバシッ! ビシッ ドカドンドン バシーーーン!!
「キャーーー おとこ女が いるぅーー!」
そして、ヤスヒロに向かった。
「てめーも起きろ! ゴォラ~! 俺にさわらせんじゃねぇ~!」
バンバシッ! ビシッ ドカドンドン バシーーーン!!
「イタタタタタターーィ なにすんだー (ゲゲェ!女神様だ!!)」
「カナー 起きたよこいつら。 おいでぇ~」
ミサキが顔を見せて言った…。
いや。正確には一回目の往復ビンタで、二人とも目が覚めていたが、
怖くてきつくつむっていただけだった…。
『ウギャーー こいつって、メグミさまんっと同じくらいドSだぁ~!
オソロシヤァーーぁああ^~~
あ! もしや! まさか!!
そーか、そーだったのかぁああー
どーして、実姉と、
こんなにキャラ被りのミサキを好きになるんだ~?
って不思議に思ってたんだ!
癒しを求めてるなら、カナ様しかいない~!
うぅううううう… そうだったんだ…。
友よぉー!
正直スマンかったぁ~~!!!
お宝は超欲しいけど、
次回から自粛しますぅ~
痛い!
痛いよ~ 心も…』
ヨッシーは、また滝のような涙を流した。
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