15禁 ラブコメ「猫がこっち見てる」

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10-2:誰にキスしたい?

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10-2:誰にキスしたい?


 四人は保健室の横にある水虫専用の教員室に来ていた。
「フンガモガムグァ~~(水虫~ゴラ~)!」
バンッ!
 カナはやっと片手で水虫の机を叩いたが、それ以上何もできなくなってしまった。
「はいはーぃ ミサキ君 なんか怒ってます?」
「あ。いえいえ、ミサキさんは何も問題無いって言ってます。ええ、そうですとも」
 アヤンはミサキを後ろ手に押さえながら話した。
『モガモガムガガガモグァアア~~~(ふざけんなこのやろ~)!!』
 カナは羽交い絞めで先へ歩かせないよう踏ん張り、イリは口を塞ぎ胸を押さえ、怒り心頭の彼女が暴走しないよう、三人はがっちりガードしていた。
「そう。それは良かった。ホホッ。で、ご両親たちには既に連絡しましたし、話はそれぞれの家でしてると思いますが、守備は上々です。あとは、あなたたちの頑張り次第っと。特に風祭さん方には、ほんっとご理解いただけたみたいで感謝感激です♪ ホホッ」
「いえいえ、礼には及びません。うちの父も何を考えているんだか、あんなマンションを私に管理させようなんて言い出すものですから。正直困ってて、願っても無い申し出にありがたいく思ってますわ♪」
『お前ら、なんか波長あっとるなぁ~ 水虫って腹黒い政治家みたいな話し方すんだよな~悪代官とかの末裔なんじゃ…いつか俺が成敗してやる~!』と、身動きできないミサキは思った。
「あ。それと、こっちの弱みは内密に…なのは承知してると思いますが、幽霊部員になろうとしても無理!無駄!問答無用!になりますから…これ理解できないとぉ。あなた方に甚大な被害が出る仕組みになってます。ホホッ」
「ジンダイナヒガイ…こわいよぉ~」アヤンが青くなった。
「皆さんお耳を…」
 水虫がこっちへ寄れと手招きし、三人は仕方なくミサキ一番下にお押さえ込み、先生の机で折り重なるよう話を聞いた。
ぼそぼそぼそそヒソヒソ話す水虫。
「え~~内申書にすごい響くシステムになってるって~! こいつーーマジで悪代官だ!」声を荒げ皆の手を振り解いてしったが、
「おっと、もう暴れない~暴れないって」両手で皆を押しとどめた。
「私じゃありません。学校の方針ですから オホッ」
「でも、それって、まじめにやればプラスってことですよね~」
 イリが当たり前のことを言うと、
「そのとーり! そっちのほうが重要です。でしょう? ホホッ」水虫はポンッと、手を叩いた
「なりゅほどぉーって当たり前かぁー」
「だなぁ~むふふふ」
「では、あなたたちはこれから正式な”青少年屋外奉仕活動クラブ”の一部員として活動して下さい。お芝居はとても度胸がつきます。ステージに立つ楽しさを存分に味わって下さいね。オホッ♪」
 四人は納得し、次々に顔がほころんでいった。
「やったー これで、カナんちにすめりゅ~」
「これで、本当にカナのマンションに住めるんだ!」
「ウホホホホホー ウホウッホウホだな!」
「楽しそうですわ~~♪」
 四人とも手を取り合って喜んだ♪ 
「ごほん! でも、いいですか? 浮かれてばかりはダメです。これはあくまで学校教育の一環で、青少年屋外奉仕活動クラブの、強化合宿ですから、言うなればあなたたちは完全管理された籠の鳥! 理解しないと”お仕置き”も待ってます。 ホホホッ」
「は、はーぃ」
 四人はお仕置きという言葉に”ギクッ”としつつ返事を返した。
「あ、そだ。水むぅ~~、じゃなくて不知火先生~がうちのパパと知り合いなんて。ほんっとびっくりしちゃいました。とっても、ご機嫌に了承してくれたからとっても良かった~でっす」
 にこやかにイリが喋った。
「そうですね~ あの頃は若かった。私もとーっても懐かしかったですよ。フフッ♪ そうそう、私あなたのオムツ変えたことあるんですよ~ ホホ」
 そして、水虫はおもむろに立ち上がりイリの肩に手を置き、
「大きくなりましたね」ブルブル振るえだしたかと思うと、
「アイリ! やっと逢えた。やっと今、本当のことが言える!」大粒の涙を流し号泣してしまった!
『! まさか、うそ!』
 イリの頭に、家族の思い出が走馬灯のように巡りはじめ、
『?!?!?!』ゴクリっと、固唾を飲み込んだ!
「わ、私があなたの本当のおとうさん!」
 水虫はイリを強く抱きしめた!
『!!!!!!!!!!』
 イリは唖然とし、あとの三人の目は点で、口をあんぐり開け固まってしまった。
その時ガラガラとドアが開き、
「はい! 小芝居終わり」っと、保険室の、三橋ミヤビ先生。通称”ミミー”が現れた。
「不知火先生! 生徒からかって何してるんですかー! 悪趣味なんだから…たくぅ~」
 そう言うと、水虫の胸を帳簿で叩き、イリから離れろと指図した。
「ホホッ そう、こんな具合にお芝居を覚えると、今後生きるための”女子力”が身に付くこともありますからね~ オホッ♪」
「うわぁああ 先生! 冗談はやめてください! すぐ嘘ってわかっちゃったけど! あはははは」
 イリは鼻を摘みしかめっ面で、手でパタパタしながら笑った。
「…今の凄かった。迫真の演技ってやつだったな~女子力か、なるほどぅ」
 ミサキは妙に感心していた。
「教育者が、横道にずれるようなこと教えちゃダメでしょーー! 頭痛い ハァ~ ところで、あなたたちが、今度演劇部に入った四人ね。私は副顧問兼、保険医として今度の合宿に参加するから。よろしくね~♪」
「はいぃ!
 じゃあ私たちはこれで失礼させていただきます~」っと、イリとカナは帰ろうとしたが、
「先生! しつもーん。そんなに簡単に涙って出るのか?」
「あ。あたちも女子力アップを教えて~」
 ミサキとアヤンはその方法を知りたがり、水虫は満面の笑みでやり方を伝授した。
「…ビェーーーーン」
「…うわ! うわぁ~~~ん」
 すると、二人は顔を覆いジタバタしはじめ、いきなり泣いてしまった。
「ばかねー♪ あははははは
 メンタム塗られてやんの~♪ キャハハハ♪」
 イリは、さっき助けてくれなかった罰よとばかりに指さし、お腹を押さえて笑い。その様子に、カナとミミーは呆れていた。
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