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第2章 学舎と友
17 ーレオンsideー
しおりを挟む自分オーダーしたドレスに身を包み
手を握り返し、笑顔で踊るマリア
その耳と首にはレオンがプレゼントをした
ダイヤのピアスとレオンの瞳の色に似た
ネックレスが光っていた
音楽が止み、立食できるように並べられた料理がある
場所に移動してそれぞれに好きな物を取り
談笑しながら楽しんでいた
「マリア、楽しい?」
とレオンがマリアに聞いた
「はい」
マリアは本当に嬉しそうに笑った
「(この笑顔が見れるなら参加して良かった)」
レオンはそう思ってレイチェルとアイネと楽しく
笑い合う姿に愛おしく見つめた
すると会場が暗くなり、ざわざわし始めた
マイクの前に立つ上級生が話し始め
「本日はたくさんお集まり頂きありがとうございます
今宵の宴ももうすぐ終わろうとしてます
皆さまのご意見をたくさんお聞きした中で
選ばれた方に最後の締めのラストダンスを
こちらの真ん中で踊って頂こうと思います」
そんな催しがあるなど初めて聞いた
「聞いた事ないぞ、そんなのあるなんて」
アレンがそう言うと
「私も聞いた事ないわ‥」
とレイチェルもアイネも言った
するとライトが2つに分かれ
自分の周りだけ眩しい光が当たってた
隣にいたマリアの驚いた声がした
「え‥?」
その声がかき消され
「まずはこの国の王太子様である
レオン・D・フィシャール殿下」
そうアナウンスがなる
「レオン、知っていたのか‥?」
レオンは目を見開きながら
「いや‥聞いていない、そんなのがあるなんて」
レオンも驚いて、理解が追いついていなかった
「続いて、レオン殿下のお相手はこちら」
ライトが反対側の1人の生徒に当たる
「サエルシア公爵家御令嬢
ローズ・サエルシア様」
と自分の反対側の人だかりにいた同級生の
名前が呼ばれた
「レオン様‥?」
マリアの名前を呼ぶ声にレオンは無意識に
マリアの手を強く握る
「レオン、これは‥お前でも断れないぞ」
とナイルが言った
「‥なんで」
レオンが唇を噛み締めた
婚約者がいる王族に他の女性の相手をする話は
これまで聞いた事がない。
不文律っていうものがあるからだ
(※不文律…暗黙の掟)
「(王家の僕にそれを破らさせるのか‥?
マリアのいる前で‥!)」
「レオン様‥」
小さな声がしたと思ったらそっと自分の手から
温もりが消えた
「マリア‥?」
レオンはマリアを見下ろした
「私は大丈夫ですから‥行ってください」
と笑ったマリアがいた
「(違う‥そんな顔が見たかったんじゃない‥)」
手を再び握ろとした時
「さぁさぁ御二方前の方へ」
マイクから聞こえる声がレオン達を促す
そんな他人の言葉に従うつもりはなく
「マリア、僕は君以外とは‥」
君以外の人の手を取るつもりはないと言おうとした時
「レオン様!」
マリアの必死な声にビクッとなるレオン
「待ってますから‥」
と今にも泣きそうな、でも笑顔でいなければと
いうマリアがいた
もうマリアにはこれ以上何も言えなかった
そんな顔をさせた自分に腹が立つ
今は我慢だとマリアから離れ前に進んだ
「(誰がこんな‥他の貴族なら確実に断れた‥
でもサエルシア公爵家‥ローズ嬢は無理だ‥)」
レオンは握りしめた拳にさらに力が入った
ローズの前に立ったレオン
「レオン様、まさか一緒に踊れるとは思いませんでした」
と笑うローズを見たレオンは
「僕も驚いた」
音楽が鳴りゆっくりと動き出すレオンとローズ
レオンはマリアが気になって横目で見る
アレンに少し隠れながらこっちを見ていた
「(‥マリア、ごめん)」
そう心の中で呟き、ローズに目線を戻した
踊りも中盤になろうとした時
目の端に見覚えのあるドレスが映る
ホールの入り口から駆け足で出ていくマリアが見えた
「(マリア⁉︎)」
思わず声に出してしまいそうなのを堪えた
このまま手を振り払い、マリアを追いかけていきたい
気持ちと自分が王族の人間だと自覚しているから
王族と近しい公爵家の令嬢に乱暴な真似はできない
「(マリアにも‥ベルナール公爵にも
迷惑がかかるのだけは嫌だ)」
今は心の中で謝るしか出来なかった
ーーーーーーー
踊りが終わるとローズの手を離そうとした
「レオン様、今日はありがとうございました」
「‥いえ、こちらこそ」
レオンは早る気持ちを抑えた
「もしこのあとお時間があれば少しお話ししませんか」
ローズはそうレオンに言った
「友人達と婚約者を待たせているので
今日は申し訳ないですが‥」
「そうですか‥引き止めて申し訳ありませんでした」
ローズが諦めたようにレオンの手を離した
「またカレッジで会った時にでも、失礼します」
とレオンはローズに背を向け、アレン達がいる場所に
戻っていく
ーーーーーーーーー
「アレン!マリアが出て行くのが見えた
どこに行った⁉︎」
レイチェルとアイネと真剣な顔をして話をしていた
アレンにそう問いただした
「レオン!マリアが手洗いに行くと言ってまだ
戻ってこないんだ。もう少し待ってみるけど」
スーツの下ポケットに入れていた懐中時計を出した
「‥っ(まだ10分程度しか経っていない‥
本当に手洗いなら少し時間がかかるはず)」
レオンは時計を終い
「わかった。もう少しだけ待ってみよう」
宴が終わり会場から出て行く人たち
「マリアどうしたのかな‥」
レイチェルが祈るような形で手をぎゅっとしていた
「おかしい。アレン、僕はナイルと一緒に
マリアを探すからレイチェル嬢とアイネ嬢を
送ってやってくれ」
そう言ってレオンは帰る人の群れに消えて行く
「アレン様、私達もマリアが心配だから
一緒に探します!」
レイチェルがそう言ってアレンを見た
「ありがたい申し出だけど
伯爵達が心配するだろうから」
アレンは困った顔でそう言う
レイチェルは納得いかないのかアレンに
「帰りません!お父様達もわかってくださいます!」
と向かっていうとアレンはレイチェルの顔を
びっくりした顔で見た
あー‥と一瞬、天を見上げたアレン
「全く‥俺たちに臆さない御令嬢は初めてだよ」
と笑ったアレン
「わかった、じゃあお願いするけど
絶対に2人で離れないように探してよ?
俺が心配になるから」
ポンっとレイチェルの頭に手を置くアレン
ーーーーーーーー
「マリアー!」
レオンはナイルと分かれ人の流れに逆らいながら
広い庭やホール周辺を探したけど見つからない
「(僕がもっとしっかりしておけば‥‥っ)」
走り回り、額にも汗が滲み、タイを緩めたレオンは
上着を脱ぎ、それを片手に持ちながらもまた探した
しばらくして反対側を探していたナイルと合流した
「いたか」
「いない、外の警備の者も見かけていないと」
レオンは片手で髪を乱暴に掻きむしる
「マリアを悲しませたかもしれない‥」
レオンは掻きむしっていた手を止め、俯いたまま
ナイルに言った
「‥殿下、今は見つけるのが先です」
その言葉にレオンは顔を勢いよく上げ
「そんなのはわかっている!!
あんな意図しない事がなんで‥よりによって‥
マリアの目の前で‥っ‥」
ナイルはそれを静かに聞いていた
そのナイルの目を見たレオン
「すまない‥‥お前を責めてるんじゃない‥
自分に腹が立つ‥」
レオンはそのまま黙ってしまった
すると後ろから名前を呼ぶ声がした
「レオン!居たぞ!」
レオンはアレンのその声に目を開いた
「レイチェル嬢が今、一緒にいるらしい
アイネ嬢が教えにきてくれた」
アレンの後ろにいたアイネ
「マリアいたんですけど‥泣いてて‥」
泣いてる‥?
レオンはアイネに静かに
「マリアのとこに案内して」
言った
ーーーーーーーー
アイネについていくレオン達
レオンはここは自分も探した場所だと思って
前を走るアイネに声をかけようとした時
小さな通路に曲がるアイネ
「こんなとこに通路があったのか」
とアレンは驚いていた
自分が冷静でないあまり見落としていたと気付いた
レオンはその先にいたレイチェルが屈んでる姿が見えた
マリアは柱で見えないけど青のドレスが
目に入った
「マリア!!」
気づいたらマリアの名前を叫んでいた
その声にレイチェルが振り向き
そっとマリアがいる場所から離れた
レオンはすぐにレイチェルと変わるように
マリアのところに行きマリアの前でしゃがみ込んだ
レオンは見つけた安心感に包まれたが
俯くマリアのまつ毛は涙で濡れていた
「マリア‥泣いてたの‥?」
ううんと横に振るマリアだが顔を上げようとしない
「じゃあなんで僕の顔を見てくれないの?」
といつもの優しい声で声をかけた
「皆に迷惑かけてごめんなさい‥」
マリア、皆に心配かけた事に謝った
「マリア、僕は謝ってほしいわけじゃない」
レオンはマリアの顔に触れて少し上げた
「(目が赤い‥)やっぱり泣いていたんだね‥どうして?」
レオンの優しい言葉にマリアはまた涙を流す
それを見たレオンはアレン達に
「すまない、ちょっとだけマリアと2人にしてほしい」
そう言った
アレンとナイルはレイチェル達を連れてその場を去った
ーーーーーーー
マリアの座るソファの横に座るレオン
「マリア、僕がマリア以外の人と踊ったから
僕に怒ってる?」
違うと首を振るマリア
「‥じゃあどうして何も言わないの?」
そう言うとレオンの手に触れていた
マリアの手に力が入るのを感じた
「あまり力入れないで、マリアの手が傷ついてしまう」
レオンはマリアの指を優しく解き
自分の指を絡めた
そして空いていた右手をマリアの頬に触れ
「‥マリア、顔あげて」
「泣いてる君も可愛いけど
僕はマリアの笑ってる顔が好きだよ
(だから僕を見てほしい‥)」
マリアの目が揺れ、涙がまた瞳を覆う
するとマリアの小さな唇が少し動いた
「‥‥レオン‥さまぁ‥」
やっと聞けたマリアの声にレオンは優しく
「‥ん」
とマリアの次の言葉を待つ
白い肌に流れるマリアの涙をレオンは
握っていたもう片方の手で優しく拭う
マリアは目を細め
「わたし‥わたしはレオン様が、すきです‥っ」
レオンはその必死の声に驚き、目を開いたが
マリアから聞きたかった言葉に少し泣きそうになる
「知ってるよ(ずっと前から知ってたよ)」
レオンは自然と泣いて赤くなった
マリアの瞼にキスをした
堰を切ったように
「初めて会った時から‥レオン様しか好きじゃないの」
とマリアは次々と声を出した
その姿に愛おしさが増し
「僕もそうだよ(マリア以外はいらないよ)」
レオンはマリアを抱きしめた
「君が生まれた時から僕の好きな子はマリアだって
決まっていたんだよ、だからもう泣かないで」
(もっと甘えてもらえるように僕はマリアに
たくさんの愛を教えてあげてるから‥)
マリアのふわっとした髪に顔を埋めた時
レオンの背中に温もりを感じ
マリアが抱きしめ返してくれたそのことが
すごく嬉しかった
もう悲しませたりしない、離さないとレオンは
マリアを抱きしめる
そうしているうちにマリアから泣き声から
規則正しい呼吸に変わるのが聞こえ
「マリア‥?」
呼んでも反応がない
「寝ちゃったかな‥。疲れたよね、マリア」
自分の腕の中に愛しい女の子が安心して
寝ている事にレオンは嬉しかった
マリアを起こさないようにゆっくり立ち上がり
「本当はもう少し君と2人でいたいけど
待ってる人達がいるからね、またいつかの機会に‥」
と寝ているマリアの顔にキスをした
ーーーーーーー
マリアを抱えながらロビーに向かった
するとそれに気づいたアレンが
マリアの方をちらっと見て
「レオン、ベルナールの車を手配しておいた」
といい、その後ろにいたレイチェルとアイネが
心配そうにしていた
「わかった。僕はナイルと帰るよ
マリアのお友達はナイルの車で送ってあげてくれ」
「マリアは‥」
「マリアはちょっと泣き疲れたんだろうね
寝ちゃったよ」
レオンは自分の腕の中でスヤスヤと眠る
マリアに優しく顔を擦り寄せた
「車まで連れて行く」
ベルナール家の運転手がいる車まで行き
マリアを車に乗せる前に
「おやすみ、僕のマリア‥」
と優しく頬に唇を落とした
マリアとアレンを乗せた車を見届けたレオンは
隣にいたナイルに
「ちょっと頼まれてくれないか、ナイル」
そうマリアの前では絶対に出さない低い声で言った
「はい、王太子殿下」
「誰の差し金か調べてくれ、大体は検討がつくが
確証がほしい」
「承知しました」
誰もいない外でレオンとナイルの声だけが響く
(カレッジに関わる大体の大人達は王家に対する
不文律を知っているはずなのにあんな事を承諾する訳がない
だとすると‥ある程度の力がある人物‥)
レオンは険しい顔をした
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