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第1章    王家と公爵家

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「マリア、今日はありがとう。疲れてない‥?」


「こちらこそありがとうございました
 レオン様は私以上にお疲れではないですか?」


婚約式も祝いの席も無事終えて
お城にある客室に向かっている


レオンとマリアの少し後ろを歩く
レオンの家臣とマリアの侍女







「僕は騎士団長に鍛えられてるから
 多少の疲れは大丈夫だよ
 でも君は女の子だよ、無理はしないで」



本当に心配してくれているのが伝わる



「無理はしてはないですが、
 よい眠りになりそうではありますかね‥フフ‥」



小さく笑いかけた



「僕はその笑い声だけで元気になれるよ」



そう言われ頬が少し熱くなる感じがした





そんな他わいもない会話をしているといつの間にか
マリアが泊まる予定の客室に着いた



「もう着いてしまったね、じゃあマリア
 メイド達が湯浴みの用意と軽い食事を用意して
 くれているはずだからゆっくり休んで」



「お気遣いありがとうございます。
 レオン様もゆっくりしてくださいね」



「ベルナール公爵と陛下に少し呼ばれて
 いるからそれからゆっくりするよ


 マリア、明日の昼食後に帰るんだろ?」



「はい、その予定です。」



レオンは少し考え事をしながら口を開いた




「明日は僕とテラスで昼食をとらない?」


「え、レオン様とですか?」


「嫌だ?」


「そんな嫌だなんて!」


慌てて否定した


「よかった。じゃあ明日時間が近くなったら
 メイドに案内させるから、待ってるね
 
 もう遅いからまた明日‥」



そう言ってマリアのふわっとした髪を優しく
手に取り口付けをした



「おやすみ、マリア」




あまりにも自然な事に体が動かなかった




「おやすみなさい‥」



かろうじて最後の挨拶はできたけど
去りゆくレオンの後ろ姿に頬を赤く染めた





















お城のメイド達はテキパキと色々としてくれ
あとは寝るだけになってしまった





「メアリー?」


「はい、マリア様」



寝付くまでいつもそばにいてくれる私の専属の侍女




「レオン様って本当に13歳なのかな‥って」



マリア様がおかしな事を言っている



「マリア様と私がお聞きになっている
 レオン様の情報は一緒だと思いますよ」



「13歳ってあんなに大人に見えるの‥?」




「‥レオン様は他の方よりは
 大人に近いかもしれませんね
 ご身長もおありになりますから」



マリア様も他の御学友に比べたら大人びている




「王族の方ですから、色んな学びをして
 たくさんの大人たちと関わっていますから
 成長がお早いんだと思いますよ」



「そうなのかな‥」


体に掛かるシーツをぎゅっと握り
顔を半分隠したマリア



「先程、こちらのメイドからいい事を
 教えて頂きましたよ、お聞きになりますか?」



メアリーはそう微笑んだ



「いい事?それは楽しいこと?」



「楽しいか楽しくないかはマリア様のご判断です
 どうされますか?」


「‥メアリー‥教えて」



「ではお耳をかしてくださいね」




メアリーはマリアの耳元でこそっと話をした























"メアリー様、明日マリア様をレオン様の
 剣術をお見せになられたらどうです?"


マリア様が湯浴みをしている間
一緒にお食事のセッティングをしているメイドに
そう言われた


"剣術ですか?そんな機会が明日あるんです?"


"正確には剣術の訓練です。レオン様は毎日
 どんなに忙しい日でも同じ時間にお城の者と
 訓練をしてるんです"



流石にこんな日の翌日までしないだろうと
思ったけど、あの皇太子様なら‥と思うところも



"10時頃にマリア様と騎士団の練習場がある
 東館の広いテラスからご覧になってください"







マリア様もしばらくは勉学と妃教育で
こちらにはあまり顔を出されないだろう‥
ならレオン様の頑張ってるお姿を見せて
かてにして頂ければ‥






















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