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第1章 王家と公爵家
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しおりを挟む「マリア、今日は大切な日ですからね」
部屋のドレッサーのそばにある大きな姿見の前に
淡いピンク色と水色をあしらったドレスを身に纏い
後ろ毛を少し残してまとめた髪には真珠と蝶々の髪飾り
首には小さいながらも煌めく宝石が付いたネックレス
「はい、お母様」
「マリア‥貴女は美しい子よ。きっと王太子様も
気に入ってくださるはずだから自信を持って」
母に両頬を軽く両手で触れられ
そう言われても心の中ではずっと忘れられない
レオの顔が今でも思い出す
あれから何度かお城に訪れたけど
レオには一度も会えなかった。
あの時、初めて会ったベンチで座って
待っていたけど現れなかった
お城に住んでいると思っていたけど勘違いだったのか
レオの存在は夢だったのかと思うほど会えずにいて
とうとうお城で行われる名前も姿もわからない
王族の王太子とのお披露目、そして婚約が決まる
もう決められた事だから変えられない
でももう一度だけお友達として会いたかったよ、レオ
ーーーーーーーー
「マリア様、音楽が鳴りましたらこちらの者達が
扉をお開け致しますのでドレスの裾に足をお掛けに
ならない様に階段をお降り下さい」
お城の家臣とメイド達から
お披露目の際の注意などを受ける
「わかりました。」
「反対側の階段からは王太子様が降りてこられます
先に向こうから降りますのでそれ以外は
リハーサル通りです」
初の顔合わせのため事前のリハーサルも
代わりの者が務めていて本番まで
お互いの顔も知らない
「マリア様、大丈夫ですよ。王太子様は大変優秀で
我々メイド達にも良くしてくださる
お優しい方ですからご安心くださいませ。」
「え‥」
顔に不安なのが出てたのか
後ろに控えていたメイドが優しい声で
そう話しかけてきた
家臣やメイド達の顔が皆、優しく背中を押して
くれているような感じがした。
「ありがとうございます‥少し緊張が解れました」
もう迷わない
私は王太子様のお妃になるべくこのお城に
来たんだもの。
そう覚悟を決めた時
音楽が扉の向こうから聞こえた
王家専属のオーケストラの奏でる曲と
わぁと歓声が上がるのは王太子が姿を現した合図
「マリア様、ご婚約おめでとうございます。
そして‥いってらっしゃいませ‥」
後ろに控えた家臣とメイドが深くお辞儀をして
大きな扉が開いて眩いくらいの光と音がした
「ありがとうございます。」
マリアはお礼を言ってドレスを
少し持ち上げて歩き出した
まだ眩しさに目が慣れていない
またわぁと歓声が上がる中
階段を一段、また一段と降りていく
下のホールに近づいくにつれ
招待客と配給をするメイド達
少し俯き加減で降りたからか
まだ王太子の姿は目に捉えていない
1番下の階段を降り終え、一礼をして王太子様の
居るであろう場所に目を向けた
「‥レオ‥?」
思わず小さな声で呟いてしまった
周りには音楽が流れているから聞こえてはいないと
思いつつも目の前にいる彼の姿に驚いた
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