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第1章 王家と公爵家
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しおりを挟むフィシャール家は代々何百年と受け継がれている王族
その王族と昔より支えてきたのが
ベルナールの家であり
遠い昔、王族の王女がベルナール公爵家に嫁ぎ
ベルナールに女の子が生まれると王家に嫁ぐという
決まりがあった。
マリアもその決まり通り教育を受けた
マリアが王子のレオンと初めて顔合わせをしたのが
マリアが11歳の時で、レオンが13歳の誕生日で
盛大に行われた2人のお披露目会
ーーーーーーー
「ねぇ、君、こんなところで1人なの?」
お城に仕事に来ていた父に連れられたマリアは
父の仕事が終わるまで噴水のある中庭のベンチに座り
家から持ってきていた本を読んでいたら
後ろから話しかけてきた声にビクッと体がはねる
恐る恐る振り返ると日差しに反射しキラキラと光る髪
大きなスカイブルーの瞳をした一瞬女の子と見間違える
程の綺麗な男の子が話しかけてきた
「あ、ごめんね。脅かすつもりはなかったんだけど」
ちょっと申し訳なさそうにする男の子
「え、ううん!大丈夫です!ちょっとだけ
びっくりしちゃっただけですから」
読んでいた本を閉じ、ベンチに置いた
「本読んでたんだね、邪魔しちゃった」
「気にしないでください。何回も読んでる本だから」
そういうと男の子は少し目を見開いたのは一瞬
「何の本なの?僕も読んだことあるやつかな」
そう言って近づいてきて隣に腰を下ろした
「あ、その本なら読んだよ!
王子様とお姫様のお話でしょ?」
「知ってるの?」
「知ってるよ!
優しいお姫様が王子様に見初められて結婚するお話」
「うん‥でも悪い人にお姫様は騙されて王子様と
離れ離れになっちゃうのが悲しいよ‥」
「でも最後は幸せになってたでしょ?」
「うん。」
「最後はあれでよかったかもしれないけど
王子様が優しいお姫様に甘えすぎてて
ちょっと腹が立っちゃったよ、僕」
男の子が作り話の本の内容に少し怒っている姿を
マリアは思わず笑ってしまった
「フフっ‥」
「え、なに」
「私も同じところで同じこと思ってたから
ちょっとおかしくて‥」
クスクスと笑うマリアを見て
一瞬固まる男の子だけどすぐに
一緒に笑い合った
「ねぇ‥名前はなんて言うの?僕はレオ」
そう聞いてきたレオと名乗る男の子
「レオ‥?」
「そうレオって呼んで!君はなんて名前?」
少しだけ自分の名前を言うのを躊躇ってしまった
けど男の子は自分の名前を教えてくれたからと
「マリア‥」
「マリアって言うんだね、とても似合ってる」
キラキラした笑顔でそう言われたマリアは
初めての高鳴りを覚えた
「あ、ありがとう‥嬉しい」
持っていた本をぎゅっと抱きしめた
「ねぇ、」
「うん‥?」
レオの方へ顔を向けた
「僕、君のこと、マリアって呼んでも良いかな?」
真っ直ぐな眼をしてそう言われた
「うん、いいよ」
そういうとまたキラキラした笑顔で
「ありがとう!」
と言われた
なんてキレイな男の子なんだろうと思わず
見惚れてしまったマリア
「あ、ごめん!僕、部屋に戻らなきゃ!
部屋から抜け出してきちゃったから
バレたら怒られる」
ベンチから慌てて立ち上がるレオ
「マリア、またね!!」
そう言って走って行ってしまった
「また‥ね?え?お部屋?」
少し考えていたらちょっと離れた通路から
「マリア!」
と呼ぶお父様の声がして振り返った
「あ、はい!今行きます!」
マリアとレオンのお披露目会をする3年前のお話。
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