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4章 ささやかな日常
58.今夜のお相手は既に決まっておりますので…
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城でのパーティーが始まって数分が経った。
アスタルト家の全員は他の招待客の貴族や豪商の人間と会話を交わしているものの、リタとティオは2人だけで食事を嗜んでいた。
「これもこれも美味しい!」
「ティオ、そんなに食べたら詰まらせちゃうよ!はい!」
リタはティオにグラスに注がれたオレンジジュースを渡しティオはそれを飲み干した。
食事を一通り終えた2人は他の招待客と他愛もない話をする中で、面識のある名家の人間にティオの事を紹介したりもしたが、ティオは恥ずかしがってなかなか話せなかった事態が続いていた。
一方で、1人の目つきの悪い少年が2人の取り巻きらしき少年を連れてリタに近づいて来た。
「これはこれは、リタ嬢・・・今日もお美しいですねえ・・・」
「あ・・・え~っと、どちら様?」
「・・・!?」
少年はガクッとしてしまった。
リタは彼の事を覚えていないようであったからである。
少年の名前は「ナハール・パオス」。
オルガリス国の端にある小さな領地を有する領主の息子で、勿論彼も貴族である。そして取り巻きの2人はその領主の側近の貴族の子共であった。
「所で、その子が今皆が噂になっている義弟でございますか?」
「女みてーな顔してんな!」
「弱そう!」
明らかにティオの事をバカにしている3人だが、リタはそれが聞き捨てならなかった。
「ティオを悪く言わないで!!」
「え!いや・・・そういうつもりじゃ・・・」
「ティオは優しい良い子なのよ!」
「お姉ちゃん・・・」
「ティオ、行きましょう!」
リタはティオの手を引いてその場を去った。
ナハールは悔しそうな顔をしていた。
それからもリタに話しかけてくる貴族の少年たちが多数いたものの、ティオが前に出てきて「シャーッ!!」とまるで猫のような威嚇をして立ち去らせてしまった。
リタも少し困ってしまうが、困った感情はすぐに吹き飛ぶのだった。
「リタ!ティオくん!」
なんと、2人は声をかけてきたのはテレシーであった。
安堵のリタ。
当然のごとくテレシーの隣にミーシアもいた。
「テレシーも来ていたんだね!」
「私だけじゃなくて、アギトくん、クエルトス家の人達もいたよ!」
辺りを見渡すと、アギトを見つけた。
リタはすぐに声をかけアギトが向かってきた。
アギトの隣にはガレオが付いていて、まさに幼馴染3人がそろったのであった。
「アギトくん、この前はごめんね、ホームパーティー行けなくて、お父様が別件で・・・」
「別に良いよ、また誘うから・・・所でさ・・・」
アギトはガレオと使い魔の契約を交わした事を伝えた。
同時にテレシーもミーシアtお使い魔の契約を交わした事を伝えた。
学院入学に向けて2人はそれぞれでもっとも信頼している専属の使用人を使い魔とする事を決めたらしく、それで契約を交わしたのだった。
「まあ、アギト様には私が付いていなければ・・・」
「少し黙ってろ・・・」
「わ、私はミーシアが良かったの!」
「どこまでもお供しますよ!」
全員笑いあっていると、テイズが話に入って来た。
「リタ嬢、ようこそおいでくださいました!」
「あ!テイズ王子!」
先ほどのオーラはが漂っているかのようにキラキラした感じにティオは押されそうになっていた。
「昨年のパーティーもお越しくださってありがとうございました、今宵もお楽しみを!」
「はい!」
だが、ティオもまた彼に向けて威嚇をしていた。
困ったリタはバルコニーに行って落ち着かせる事にした。
「ティオ、いくらなんでも王族の人にあんな事したら失礼よ!もうやっちゃダメだからね!」
「だってあの人、お姉ちゃんの事狙ってたっぽくて・・・」
「狙ってたって・・・」
何を言っているのか分からないリタであった。
「失礼します・・・」
「え!?」
「あなたは?」
2人の背後にメイドらしき黒髪のショートヘアの少女がいつの間にかのごとくいた。
「私はテイズ様の専属のメイドです、そろそろダンスのお時間になられます」
「そうですか?」
「リタ様、テイズ様があなたをダンスのパートナーにお誘いしておりますが、いかがですか?」
王子の誘いとあれば行かないわけにはいかないのが礼儀とも言えるが、リタの答えはすぐに出た。
「申し訳ございません、今夜のお相手は既に決まっておりますので…」
「・・・分かりました」
そう言ってメイドは去って行った。
そして会場に戻った2人。
既にダンスが始まっていた時だった。
「ねえお姉ちゃん、ダンスの相手って?」
「ティオ!行きましょ!」
「え!?」
リタはティオを連れてダンスに混ざった。
リーベルから教わった社交ダンスは2人は丁寧に踊れていた。
リタはティオとのダンスを楽しそうに踊っているが、ティオは手を繋いでいる事もあり、照れていた。
だが、ティオも楽しそうであった。
「ティオ、楽しい?」
「うん!楽しい!」
2人のダンスを微笑ましく見ていた、アスタルト家とテレシー、アギトはただ見守っていただけであった。
アスタルト家の全員は他の招待客の貴族や豪商の人間と会話を交わしているものの、リタとティオは2人だけで食事を嗜んでいた。
「これもこれも美味しい!」
「ティオ、そんなに食べたら詰まらせちゃうよ!はい!」
リタはティオにグラスに注がれたオレンジジュースを渡しティオはそれを飲み干した。
食事を一通り終えた2人は他の招待客と他愛もない話をする中で、面識のある名家の人間にティオの事を紹介したりもしたが、ティオは恥ずかしがってなかなか話せなかった事態が続いていた。
一方で、1人の目つきの悪い少年が2人の取り巻きらしき少年を連れてリタに近づいて来た。
「これはこれは、リタ嬢・・・今日もお美しいですねえ・・・」
「あ・・・え~っと、どちら様?」
「・・・!?」
少年はガクッとしてしまった。
リタは彼の事を覚えていないようであったからである。
少年の名前は「ナハール・パオス」。
オルガリス国の端にある小さな領地を有する領主の息子で、勿論彼も貴族である。そして取り巻きの2人はその領主の側近の貴族の子共であった。
「所で、その子が今皆が噂になっている義弟でございますか?」
「女みてーな顔してんな!」
「弱そう!」
明らかにティオの事をバカにしている3人だが、リタはそれが聞き捨てならなかった。
「ティオを悪く言わないで!!」
「え!いや・・・そういうつもりじゃ・・・」
「ティオは優しい良い子なのよ!」
「お姉ちゃん・・・」
「ティオ、行きましょう!」
リタはティオの手を引いてその場を去った。
ナハールは悔しそうな顔をしていた。
それからもリタに話しかけてくる貴族の少年たちが多数いたものの、ティオが前に出てきて「シャーッ!!」とまるで猫のような威嚇をして立ち去らせてしまった。
リタも少し困ってしまうが、困った感情はすぐに吹き飛ぶのだった。
「リタ!ティオくん!」
なんと、2人は声をかけてきたのはテレシーであった。
安堵のリタ。
当然のごとくテレシーの隣にミーシアもいた。
「テレシーも来ていたんだね!」
「私だけじゃなくて、アギトくん、クエルトス家の人達もいたよ!」
辺りを見渡すと、アギトを見つけた。
リタはすぐに声をかけアギトが向かってきた。
アギトの隣にはガレオが付いていて、まさに幼馴染3人がそろったのであった。
「アギトくん、この前はごめんね、ホームパーティー行けなくて、お父様が別件で・・・」
「別に良いよ、また誘うから・・・所でさ・・・」
アギトはガレオと使い魔の契約を交わした事を伝えた。
同時にテレシーもミーシアtお使い魔の契約を交わした事を伝えた。
学院入学に向けて2人はそれぞれでもっとも信頼している専属の使用人を使い魔とする事を決めたらしく、それで契約を交わしたのだった。
「まあ、アギト様には私が付いていなければ・・・」
「少し黙ってろ・・・」
「わ、私はミーシアが良かったの!」
「どこまでもお供しますよ!」
全員笑いあっていると、テイズが話に入って来た。
「リタ嬢、ようこそおいでくださいました!」
「あ!テイズ王子!」
先ほどのオーラはが漂っているかのようにキラキラした感じにティオは押されそうになっていた。
「昨年のパーティーもお越しくださってありがとうございました、今宵もお楽しみを!」
「はい!」
だが、ティオもまた彼に向けて威嚇をしていた。
困ったリタはバルコニーに行って落ち着かせる事にした。
「ティオ、いくらなんでも王族の人にあんな事したら失礼よ!もうやっちゃダメだからね!」
「だってあの人、お姉ちゃんの事狙ってたっぽくて・・・」
「狙ってたって・・・」
何を言っているのか分からないリタであった。
「失礼します・・・」
「え!?」
「あなたは?」
2人の背後にメイドらしき黒髪のショートヘアの少女がいつの間にかのごとくいた。
「私はテイズ様の専属のメイドです、そろそろダンスのお時間になられます」
「そうですか?」
「リタ様、テイズ様があなたをダンスのパートナーにお誘いしておりますが、いかがですか?」
王子の誘いとあれば行かないわけにはいかないのが礼儀とも言えるが、リタの答えはすぐに出た。
「申し訳ございません、今夜のお相手は既に決まっておりますので…」
「・・・分かりました」
そう言ってメイドは去って行った。
そして会場に戻った2人。
既にダンスが始まっていた時だった。
「ねえお姉ちゃん、ダンスの相手って?」
「ティオ!行きましょ!」
「え!?」
リタはティオを連れてダンスに混ざった。
リーベルから教わった社交ダンスは2人は丁寧に踊れていた。
リタはティオとのダンスを楽しそうに踊っているが、ティオは手を繋いでいる事もあり、照れていた。
だが、ティオも楽しそうであった。
「ティオ、楽しい?」
「うん!楽しい!」
2人のダンスを微笑ましく見ていた、アスタルト家とテレシー、アギトはただ見守っていただけであった。
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