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4章 ささやかな日常
48.早くお母様に起きていただきたいのです!!
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クエルトス家の畑を歩き回る一行。
トマト、ナス、キャベツ、キュウリと色んな野菜が並んでおりティオは眼を輝かせていた。
「これ、全部アギトさんが育てたんですか?」
「ああ、ほとんどは俺だけど・・・」
「あれ、このキュウリ美味しそう!」
「おいおい、まだ収穫しねえんだから勝手に食べるなよ」
ティオはよだれを垂らした状態で野菜を眺め、リタはそれに釣られるかのように彼と共に野菜を見つめていた。
「お前らなぁ・・・」
呆れた様子になったアギト。
観念したのか、かなり水が滴っているキュウリを2人に渡した。
「ほら、これならもう食えるから・・・」
「わあ~い!」
「ありがとうアギト!」
2人は美味しそうにキュウリを食べた。
シャリシャリの食感が完全に2人を虜にしてしまったのだった。
そんな時、近くにあるトマト畑にてを出していた人物がいた。
アギトの妹のセリアであった。
「こらセリア!お前また勝手に!!仕入れが合わなくなるから止めろっていつも言ってるだろ!!」
「ご、ごめんなさい…」
セリアは今にも泣きそうになっていた。
アギトに叱られたからなのは確かだが…。
「アギト!言い過ぎよ!こんなにあるんだからいいじゃん!」
「そ、そうですよ!こんなに美味しいんですから…」
「良いんです、私が悪いので…でも、お兄様…セリアは…」
泣きそうな表情をこらえているようにも見えたセリアの顔。
だが、セリアは本心をぶつけた。
「セリアは早くお母様に起きていただきたいのです!!」
「え?お母様?」
「みんなで、一緒に育てた野菜を持っていけば…きっと…」
「セリア・・・、あのな…前にも言っただろ…母様はまだ…」
「絶対起きますもん!!」
「あ!おい、セリア!!」
セリアは怒ってそのまま走っていった。
「あ!セリアちゃん!!」
心配したのか、ティオはセリアを追いかけて行った。そしてセリアを追うティオをさらにリタが追いかけて行った。
屋敷内を探していると、ある部屋に入っていくセリアを2人は目撃した。
「何、ここ?」
「あ、ティオ・・・その部屋は・・・」
気になって入ってみると、そこには野菜を持ったセリアとベッドで寝ている大人の女性がいた。
「セリアちゃん・・・この人は・・・?」
「・・・・・・お母さん・・・です・・・」
「え?」
ティオは驚いていた。
セリア、つまりはアギト、ギルの母親であるその女性がなぜ寝込んだ状態なのかが気になっていた。
だが、その答えはすぐに分かった。
「俺の、俺の所為なんだ・・・」
部屋にはアギトも入って来た。
そしてアギトから母親に関するある真実を語り始めた。
トマト、ナス、キャベツ、キュウリと色んな野菜が並んでおりティオは眼を輝かせていた。
「これ、全部アギトさんが育てたんですか?」
「ああ、ほとんどは俺だけど・・・」
「あれ、このキュウリ美味しそう!」
「おいおい、まだ収穫しねえんだから勝手に食べるなよ」
ティオはよだれを垂らした状態で野菜を眺め、リタはそれに釣られるかのように彼と共に野菜を見つめていた。
「お前らなぁ・・・」
呆れた様子になったアギト。
観念したのか、かなり水が滴っているキュウリを2人に渡した。
「ほら、これならもう食えるから・・・」
「わあ~い!」
「ありがとうアギト!」
2人は美味しそうにキュウリを食べた。
シャリシャリの食感が完全に2人を虜にしてしまったのだった。
そんな時、近くにあるトマト畑にてを出していた人物がいた。
アギトの妹のセリアであった。
「こらセリア!お前また勝手に!!仕入れが合わなくなるから止めろっていつも言ってるだろ!!」
「ご、ごめんなさい…」
セリアは今にも泣きそうになっていた。
アギトに叱られたからなのは確かだが…。
「アギト!言い過ぎよ!こんなにあるんだからいいじゃん!」
「そ、そうですよ!こんなに美味しいんですから…」
「良いんです、私が悪いので…でも、お兄様…セリアは…」
泣きそうな表情をこらえているようにも見えたセリアの顔。
だが、セリアは本心をぶつけた。
「セリアは早くお母様に起きていただきたいのです!!」
「え?お母様?」
「みんなで、一緒に育てた野菜を持っていけば…きっと…」
「セリア・・・、あのな…前にも言っただろ…母様はまだ…」
「絶対起きますもん!!」
「あ!おい、セリア!!」
セリアは怒ってそのまま走っていった。
「あ!セリアちゃん!!」
心配したのか、ティオはセリアを追いかけて行った。そしてセリアを追うティオをさらにリタが追いかけて行った。
屋敷内を探していると、ある部屋に入っていくセリアを2人は目撃した。
「何、ここ?」
「あ、ティオ・・・その部屋は・・・」
気になって入ってみると、そこには野菜を持ったセリアとベッドで寝ている大人の女性がいた。
「セリアちゃん・・・この人は・・・?」
「・・・・・・お母さん・・・です・・・」
「え?」
ティオは驚いていた。
セリア、つまりはアギト、ギルの母親であるその女性がなぜ寝込んだ状態なのかが気になっていた。
だが、その答えはすぐに分かった。
「俺の、俺の所為なんだ・・・」
部屋にはアギトも入って来た。
そしてアギトから母親に関するある真実を語り始めた。
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