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4章 ささやかな日常
46.わかったよ!ミラン!
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ーーメイルが考えたミランとティオの仲良し作戦。
それは、まさに実行に移そうとしていた。
「ミランさん、今日は僕1人で大丈夫ですけど?」
「いえ、私も実は用事があって・・・」
ティオは馬車に乗っていた。
今日は街へ行って買い物をする日であった。
ティオはリタについていく形で来ただけであったが、何故かミランも付いて来ていたのだった。
侍女としては当然ではありそうなものの、まだ2人の間に少しだけぎこちなさが残っていたからちょっと気まずかった。
「それじゃあ、私はメイルと市場に行ってくるから!」
「うん!また後でね!」
「それじゃあ行こ!メイル!」
「はい!」
こうしてリタはメイルと、ティオはミランとそれぞれで別行動をする事となった。
ティオが向かったのは屋台がたくさんある通りだった。
以前から気になっていた出店がたくさんあった事からそこへ足を運ぶことにした。
ティオが最初に向かったのは肉の串焼きの店だった。
香ばしい油の香りが漂う中でティオは既にお腹が鳴り、よだれが垂れていた。
「2本ください!」
ティオは串焼きを2本買った。
ミランはティオは食いしん坊だから2本食べたかったのだろうと思い気にも留めなかったが・・・。
「ミランさん、はい!あげる!」
「え?あの、ティオ様、私は・・・」
「美味しい物は1人で食べるのはもったいないから!!」
ティオはもう1本の串焼きをミランに渡して一緒に食べた。
香ばしい肉汁が漂っていた。
我慢できずにティオは串焼きにかぶりついた。
当然口は油まみれになっていた。
そして、メイルの提案である仲良し作戦の1つが始まった。
「ティオ様、お口の周りが汚れておりますよ」
「ありがとうございます!」
単純な口を拭くやり方ではあったが効果は薄かった。
ティオはまたもさん付けと敬語でミランに接してしまっていた。
次の作戦が実行された。
歩いて食べてを繰り返したティオは少々疲労が現れたことでベンチで休むことになった。
そのベンチはミランはティオが座る前に拭くもこれでも効果は薄かった。
2人はベンチで休んでいた。
「ミランさんありがとうございます!僕一人だと迷子になっちゃいそうで、いつもお姉ちゃんに着いていってたから・・・」
「いえいえ、それが侍女の仕事の一貫ですので、お気になさらないで下さい」
ぎこちなさはさらに増していた。
一方でリタとメイルの2人は後日行われるクエルトス家のホームパーティーの為の食材やお土産を買う為に市場に行っていた。
パーティーで使って貰おうとあらゆる肉や野菜を買ったり、お土産用に焼くお菓子の材料を買って準備を整えていた。
「このお肉、絶対ティオ喜ぶよね!」
「あの・・・リタ様・・・さすがに買い過ぎでは?」
リタはティオが食べたいと思った食材を手あたり次第に買っていた・・・。
場所は戻ってティオはミランと共にソフトクリームを食べていた。
ティオは美味しそうにソフトクリームをなめてじっくり味わっていた。
反面ミランは一向に仲良し作戦が上手くいかずにくじけていた。
そんなミランも美味しそうにソフトクリームを頬張るのだった。
そんな時に事件が起きた。
「おい、ぼっちゃん!良い服着てんじゃねえか!金持ってんだろ!」
「え!?な、なんですか!?」
柄の悪そうな男達がティオに対して当たり散らしてきた。
明らかにカツアゲをしようとしていた。
危機的状況なのを察したティオであったが、心が不安定になっていてうまく対処が出来ずに困っていた。
さらにそんな不安定な状況から手が震えだし、持っていたソフトクリームを落としてしまった。
「あ!僕のアイス・・・!?」
せっかくのソフトクリームを落としてしまったティオは涙目になった。
そんな時にミランが立ちはだかった。
「失礼ですが、やめていただけませんか?」
「あ、なんだよこの女?」
「このお方はアスタルト家の末っ子、ティオ・アスタルト様と知っての狼藉でしょうか?」
ミランは怒った表情で男達を睨みつけて男達を威圧で鎮まらせた。
「な、なんだよこの女?」
「おい、もう行こうぜ、これ以上絡んでいるとなんか面倒になりそうだぜ・・・」
そう言って男達は去っていた。
男達が去った後、ティオはミランに近づいた。
「ありがとうミランさん、あの人達怖かったし、ソフトクリームは台無しになっちゃったけど・・・かっこよかったです!」
「あの・・・ティオ様・・・」
「?」
ミランは先ほどの事から罪悪感が湧き出てメイルとの作戦を正直にティオに話してしまったのだった。
「え?そうなんですか?」
「はい、なのでティオ様、私の事は・・・」
「・・・うん!わかったよ!ミラン!」
正直に打ち明けたミランと彼女の想いと受け取ったティオ。
互いの想いは分かち合い、ぎこちなさはこの時を持ってなくなったのだった。
それは、まさに実行に移そうとしていた。
「ミランさん、今日は僕1人で大丈夫ですけど?」
「いえ、私も実は用事があって・・・」
ティオは馬車に乗っていた。
今日は街へ行って買い物をする日であった。
ティオはリタについていく形で来ただけであったが、何故かミランも付いて来ていたのだった。
侍女としては当然ではありそうなものの、まだ2人の間に少しだけぎこちなさが残っていたからちょっと気まずかった。
「それじゃあ、私はメイルと市場に行ってくるから!」
「うん!また後でね!」
「それじゃあ行こ!メイル!」
「はい!」
こうしてリタはメイルと、ティオはミランとそれぞれで別行動をする事となった。
ティオが向かったのは屋台がたくさんある通りだった。
以前から気になっていた出店がたくさんあった事からそこへ足を運ぶことにした。
ティオが最初に向かったのは肉の串焼きの店だった。
香ばしい油の香りが漂う中でティオは既にお腹が鳴り、よだれが垂れていた。
「2本ください!」
ティオは串焼きを2本買った。
ミランはティオは食いしん坊だから2本食べたかったのだろうと思い気にも留めなかったが・・・。
「ミランさん、はい!あげる!」
「え?あの、ティオ様、私は・・・」
「美味しい物は1人で食べるのはもったいないから!!」
ティオはもう1本の串焼きをミランに渡して一緒に食べた。
香ばしい肉汁が漂っていた。
我慢できずにティオは串焼きにかぶりついた。
当然口は油まみれになっていた。
そして、メイルの提案である仲良し作戦の1つが始まった。
「ティオ様、お口の周りが汚れておりますよ」
「ありがとうございます!」
単純な口を拭くやり方ではあったが効果は薄かった。
ティオはまたもさん付けと敬語でミランに接してしまっていた。
次の作戦が実行された。
歩いて食べてを繰り返したティオは少々疲労が現れたことでベンチで休むことになった。
そのベンチはミランはティオが座る前に拭くもこれでも効果は薄かった。
2人はベンチで休んでいた。
「ミランさんありがとうございます!僕一人だと迷子になっちゃいそうで、いつもお姉ちゃんに着いていってたから・・・」
「いえいえ、それが侍女の仕事の一貫ですので、お気になさらないで下さい」
ぎこちなさはさらに増していた。
一方でリタとメイルの2人は後日行われるクエルトス家のホームパーティーの為の食材やお土産を買う為に市場に行っていた。
パーティーで使って貰おうとあらゆる肉や野菜を買ったり、お土産用に焼くお菓子の材料を買って準備を整えていた。
「このお肉、絶対ティオ喜ぶよね!」
「あの・・・リタ様・・・さすがに買い過ぎでは?」
リタはティオが食べたいと思った食材を手あたり次第に買っていた・・・。
場所は戻ってティオはミランと共にソフトクリームを食べていた。
ティオは美味しそうにソフトクリームをなめてじっくり味わっていた。
反面ミランは一向に仲良し作戦が上手くいかずにくじけていた。
そんなミランも美味しそうにソフトクリームを頬張るのだった。
そんな時に事件が起きた。
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「え!?な、なんですか!?」
柄の悪そうな男達がティオに対して当たり散らしてきた。
明らかにカツアゲをしようとしていた。
危機的状況なのを察したティオであったが、心が不安定になっていてうまく対処が出来ずに困っていた。
さらにそんな不安定な状況から手が震えだし、持っていたソフトクリームを落としてしまった。
「あ!僕のアイス・・・!?」
せっかくのソフトクリームを落としてしまったティオは涙目になった。
そんな時にミランが立ちはだかった。
「失礼ですが、やめていただけませんか?」
「あ、なんだよこの女?」
「このお方はアスタルト家の末っ子、ティオ・アスタルト様と知っての狼藉でしょうか?」
ミランは怒った表情で男達を睨みつけて男達を威圧で鎮まらせた。
「な、なんだよこの女?」
「おい、もう行こうぜ、これ以上絡んでいるとなんか面倒になりそうだぜ・・・」
そう言って男達は去っていた。
男達が去った後、ティオはミランに近づいた。
「ありがとうミランさん、あの人達怖かったし、ソフトクリームは台無しになっちゃったけど・・・かっこよかったです!」
「あの・・・ティオ様・・・」
「?」
ミランは先ほどの事から罪悪感が湧き出てメイルとの作戦を正直にティオに話してしまったのだった。
「え?そうなんですか?」
「はい、なのでティオ様、私の事は・・・」
「・・・うん!わかったよ!ミラン!」
正直に打ち明けたミランと彼女の想いと受け取ったティオ。
互いの想いは分かち合い、ぎこちなさはこの時を持ってなくなったのだった。
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