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4章 ささやかな日常
44.今だけ同い年だね
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ーー2月17日。
いよいよティオの誕生日の日が近づいてきた。
リタは調理場にてティオの為にケーキ作りに挑んでいた。
そんなリタをティオは大変そうに感じており、彼女のお手伝いをしようと申し出るが…。
「大丈夫だよ!それに、これはティオの為のケーキだからティオは手伝わなくていいよ!誕生日まで楽しみにしててね!」
「は~い!」
と言って調理場を後にしたもののリタと料理が出来なかったのを不満に感じたティオであった。
今までなら言われても言われなくてもリタのお手伝いを何でもしていた彼にとってこの瞬間は退屈でしかなかった。
「つまんな~い…」
非常につまんなそうな表情をするティオ。
気が抜けたような感じになったティオであったが、そこにサイガが現れる。
「ティオ、どうしたんだい?」
「サイガ義兄さん…」
「……少し僕と話そうか」
そう言われてティオはサイガと歩いていった。
着いた場所は邸内のバルコニーだった。
バルコニーにはテーブルとイスが設置されてい折り、2人はそれに腰かけて休んだ。
ティオはサイガとチェスをする事になった。ルールはある程度教わっていたものの、サイガに今までかった事は無かった。
それでもティオはそんなサイガとのチェスの対戦の時間を楽しく感じており、負けてもなお笑顔でいた。
しばらく続けていると、いつの間にか5回戦目に突入していたが、ティオは勝てずじまいで終わっていた。
その頃、調理場でケーキ作りを続けていたリタ。
孤児院での誕生日パーティーの時とは比べ物にならな程大きなケーキを既に作り上げておりイチゴとチョコレートでトッピングをしている真っ最中であった。
「リタ様、さすがにそこまでは…」
「これ以上は私達がやりますから、リタ様はもう…」
「ダメ!これはティオにとって初めての誕生日なの!だから、私がやる!」
メイドの制止も聞かずにリタは作業を続けるのであった。
場所は変わって、バルコニー。
もうすぐティオが誕生日を迎える事を聞いていたサイガはとある思い出に耽っていた。
「思い出すよ…僕の小さい頃の誕生日を…」
「サイガ義兄さんの…?サイガ義兄さんの誕生日の時ってどんなだったんですか?」
ーー11年前、サイガの8歳の誕生日の事。
この時は両親やユーリ、サティ、使用人達、そしてリタが盛大に祝してくれていた。
サイガはリタから誕生日プレゼントとして、自分が描いた自分と彼女が描かれた絵を貰ったとの事。
「あの時貰った絵…リタはまだ2歳だったから…子供らしいと言えば子供らしい絵だった…」
つまりは、幼い故に絵はまだ上手くはなかったとの事。
「でも、リタは僕の為に一生懸命描いてくれたと思ったら嬉しくて…」
それでもなお、リタからのプレゼントに感激をしたサイガであった。
ーー8年前、ユーリの誕生日の事。
ユーリは10歳の誕生日を迎えていた時の事。
この時も家族からお祝いされており、そんな中でリタは彼に粘土で作ったユーリを模した人形をプレゼントとして渡していた。
「あの時のユーリ、泣いて喜んでたよ…」
この時のユーリもリタからのプレゼントに感激のあまり涙を流していたのだった。
ーー7年前、サティの誕生日の事。
8歳の誕生日を迎えたサティ。
勿論彼女もお祝いされた上に、リタからは自身が育てた花束をプレゼントしてもらっていた。
サティも例の如く感激のあまり涙を流していた。
「サティに関してはリタからのプレゼントは何でもよかったみたいだけどね…」
ーーそして現在
「とまあ、こんな感じで僕たちはそれぞれでお祝いされただけでなくリタから素敵なプレゼントをもらっていたってわけさ!」
「いいなあ、僕もお姉ちゃんから何かプレゼントもらえるかな?」
こうしてサイガからそれぞれの誕生日での話を聞いたティオは自分の誕生日を楽しみに待っている事にした…。
ーー一方でリタは…。
「出来た~!!!」
ようやく、ティオの誕生日用のケーキが完成した。
完成した達成感からリタはどっぷり気が抜けたかのように気持ちが沈んでいた。
(今回は結構力入れちゃったから大変だったけど…ティオの事だから絶対喜んでくれるわ!)
絶対的な自信を持っていたリタ。
そんな時にメイドがリタに話しかけてきた。
「リタ様、例の特注品がただいま届きました!」
「あ、は~い!私の部屋に置いておいて!」
リタは何かを注文したらしいが、その中身は後で明かされるのだった。
ーーそして・・・2月20日
ついにティオの誕生日を迎えた。
ティオはリタに手を引かれて、食堂まで歩いていく最中であった。
「お姉ちゃん、どこに行くの?」
「ティオのタ誕生日パーティーの会場だよ!会場と言っても家の中の食堂だけどね…」
そして食堂に着いた2人。
扉を開くと驚くべき展開が起こった。
「「ティオ様!おめでとうございま~す!!」」
なんと、使用人数名がクラッカーを鳴らしてティオに「おめでとう!!」と多数の声が聞こえた。
「わあ!」
「おめでとう!ティオ、さあ今日はたくさん食べて!」
サイガがそう言うと、ティオの目の前のテーブルにはたくさんの料理が並んでいた。
その料理を目の前にしてティオは目を光らせて大喜びだった。
「わあ!本当にこれ食べていいんですか!?」
「はい、今日はティオ様のお誕生日ですので、どうぞ気にせず食べてください!」
「わ~い!いただきま~す!!」
お言葉に甘えて、ティオは料理を食べ始めた。
カレーにハンバーグ、スパゲッティ、グラタン、ステーキと言った沢山の御馳走を次々と完食し終え、満足気になったティオであったが・・・
「さあティオ!次はいよいよお待ちかねの、ケーキだよ!!」
「ケーキ!!??」
さっきたくさん食べたはずではあったものの、「ケーキ」という言葉を聞いた途端、ティオはまた目を光らせていた。
そして、リタがケーキを持ってきた。
そのケーキは孤児院で見た時のケーキとはまるで比べ物にならない程大きく数人では食べきれない程の寮とも言える物であった。
「わあ!!これも食べていいの!?」
「うん!一緒に食べよ!」
そしてリタとティオ、サイガ達家族も揃ってリタの特製ケーキを食べるのだった。
「美味い!リタ、また一段と腕を上げたな!」
「あら、中にフルーツがたくさん入ってるわ!」
特製ケーキは外は生クリームを塗られてよく分からなかったが中にたくさんのフルーツが入っているものであったようで、両親からは高評価を受けていた。
「いいよな…こうしてリタの特製ケーキが食べられるのってさ…」
「これはリタの特製ケーキ、食べずに部屋に飾ります!」
「サティ、ちゃんと味わって食べようね…」
ユーリも好評しており、サティは度が過ぎた好評をしたがサイガに止められる始末であった。
そしてティオもおいしそいにケーキを食べていた。
「お姉ちゃん!これ美味しいよ!」
「ありがとう!お姉ちゃんも自分で言いたいくらい美味しい!」
ケーキを食べ終わり、パーティーはお開きの時間になった。
パーティーが終了し、ティオはリタと共にバルコニーに居た。
「ティオ、はいこれ!」
「ん?なにこれ?」
「お姉ちゃんからの誕生日プレゼント!」
リタから誕生日プレゼントをもらったティオ。
中身は竜の顔を模したペンダントだった。
「え、これを僕に?」
「うん!ティオは竜人だから、それにちなんでドラゴンのペンダント!」
ドラゴンのペンダントを貰ったティオはとても喜んでいた。
それをさっそく首に付けたティオ。
「うん、似合ってるよ!」
「ありがとうお姉ちゃん、僕これ大切にするね!」
その言葉を聞いてリタも喜んだ。
リタは思い返していた。
ティオがアスタルト家に来てから既に1年が経とうとしていた事を…。
「今日からティオは12歳だったよね…」
「うん…そうだけど・・・?」
「今だけ同い年だね!」
今だけ"同い年"。
その言葉にティオも微笑んでいたのだった。
優しい義姉のその笑みに、自身も癒されたからである。
「早いね・・・ティオが家に来てから1年ほど経ったし・・・ティオ、最初にあった時より変わったわね・・・?」
「本当に?」
「うん、ティオ、ちょっと背高くなってる」
最初は自分より少し背が低かったティオは自分にもう少しで追いつきそうなくらいに伸びている事を伝えたリタ。
それに対してティオも少し喜んでいた。
"成長"と言うのは、早い物であった。
いよいよティオの誕生日の日が近づいてきた。
リタは調理場にてティオの為にケーキ作りに挑んでいた。
そんなリタをティオは大変そうに感じており、彼女のお手伝いをしようと申し出るが…。
「大丈夫だよ!それに、これはティオの為のケーキだからティオは手伝わなくていいよ!誕生日まで楽しみにしててね!」
「は~い!」
と言って調理場を後にしたもののリタと料理が出来なかったのを不満に感じたティオであった。
今までなら言われても言われなくてもリタのお手伝いを何でもしていた彼にとってこの瞬間は退屈でしかなかった。
「つまんな~い…」
非常につまんなそうな表情をするティオ。
気が抜けたような感じになったティオであったが、そこにサイガが現れる。
「ティオ、どうしたんだい?」
「サイガ義兄さん…」
「……少し僕と話そうか」
そう言われてティオはサイガと歩いていった。
着いた場所は邸内のバルコニーだった。
バルコニーにはテーブルとイスが設置されてい折り、2人はそれに腰かけて休んだ。
ティオはサイガとチェスをする事になった。ルールはある程度教わっていたものの、サイガに今までかった事は無かった。
それでもティオはそんなサイガとのチェスの対戦の時間を楽しく感じており、負けてもなお笑顔でいた。
しばらく続けていると、いつの間にか5回戦目に突入していたが、ティオは勝てずじまいで終わっていた。
その頃、調理場でケーキ作りを続けていたリタ。
孤児院での誕生日パーティーの時とは比べ物にならな程大きなケーキを既に作り上げておりイチゴとチョコレートでトッピングをしている真っ最中であった。
「リタ様、さすがにそこまでは…」
「これ以上は私達がやりますから、リタ様はもう…」
「ダメ!これはティオにとって初めての誕生日なの!だから、私がやる!」
メイドの制止も聞かずにリタは作業を続けるのであった。
場所は変わって、バルコニー。
もうすぐティオが誕生日を迎える事を聞いていたサイガはとある思い出に耽っていた。
「思い出すよ…僕の小さい頃の誕生日を…」
「サイガ義兄さんの…?サイガ義兄さんの誕生日の時ってどんなだったんですか?」
ーー11年前、サイガの8歳の誕生日の事。
この時は両親やユーリ、サティ、使用人達、そしてリタが盛大に祝してくれていた。
サイガはリタから誕生日プレゼントとして、自分が描いた自分と彼女が描かれた絵を貰ったとの事。
「あの時貰った絵…リタはまだ2歳だったから…子供らしいと言えば子供らしい絵だった…」
つまりは、幼い故に絵はまだ上手くはなかったとの事。
「でも、リタは僕の為に一生懸命描いてくれたと思ったら嬉しくて…」
それでもなお、リタからのプレゼントに感激をしたサイガであった。
ーー8年前、ユーリの誕生日の事。
ユーリは10歳の誕生日を迎えていた時の事。
この時も家族からお祝いされており、そんな中でリタは彼に粘土で作ったユーリを模した人形をプレゼントとして渡していた。
「あの時のユーリ、泣いて喜んでたよ…」
この時のユーリもリタからのプレゼントに感激のあまり涙を流していたのだった。
ーー7年前、サティの誕生日の事。
8歳の誕生日を迎えたサティ。
勿論彼女もお祝いされた上に、リタからは自身が育てた花束をプレゼントしてもらっていた。
サティも例の如く感激のあまり涙を流していた。
「サティに関してはリタからのプレゼントは何でもよかったみたいだけどね…」
ーーそして現在
「とまあ、こんな感じで僕たちはそれぞれでお祝いされただけでなくリタから素敵なプレゼントをもらっていたってわけさ!」
「いいなあ、僕もお姉ちゃんから何かプレゼントもらえるかな?」
こうしてサイガからそれぞれの誕生日での話を聞いたティオは自分の誕生日を楽しみに待っている事にした…。
ーー一方でリタは…。
「出来た~!!!」
ようやく、ティオの誕生日用のケーキが完成した。
完成した達成感からリタはどっぷり気が抜けたかのように気持ちが沈んでいた。
(今回は結構力入れちゃったから大変だったけど…ティオの事だから絶対喜んでくれるわ!)
絶対的な自信を持っていたリタ。
そんな時にメイドがリタに話しかけてきた。
「リタ様、例の特注品がただいま届きました!」
「あ、は~い!私の部屋に置いておいて!」
リタは何かを注文したらしいが、その中身は後で明かされるのだった。
ーーそして・・・2月20日
ついにティオの誕生日を迎えた。
ティオはリタに手を引かれて、食堂まで歩いていく最中であった。
「お姉ちゃん、どこに行くの?」
「ティオのタ誕生日パーティーの会場だよ!会場と言っても家の中の食堂だけどね…」
そして食堂に着いた2人。
扉を開くと驚くべき展開が起こった。
「「ティオ様!おめでとうございま~す!!」」
なんと、使用人数名がクラッカーを鳴らしてティオに「おめでとう!!」と多数の声が聞こえた。
「わあ!」
「おめでとう!ティオ、さあ今日はたくさん食べて!」
サイガがそう言うと、ティオの目の前のテーブルにはたくさんの料理が並んでいた。
その料理を目の前にしてティオは目を光らせて大喜びだった。
「わあ!本当にこれ食べていいんですか!?」
「はい、今日はティオ様のお誕生日ですので、どうぞ気にせず食べてください!」
「わ~い!いただきま~す!!」
お言葉に甘えて、ティオは料理を食べ始めた。
カレーにハンバーグ、スパゲッティ、グラタン、ステーキと言った沢山の御馳走を次々と完食し終え、満足気になったティオであったが・・・
「さあティオ!次はいよいよお待ちかねの、ケーキだよ!!」
「ケーキ!!??」
さっきたくさん食べたはずではあったものの、「ケーキ」という言葉を聞いた途端、ティオはまた目を光らせていた。
そして、リタがケーキを持ってきた。
そのケーキは孤児院で見た時のケーキとはまるで比べ物にならない程大きく数人では食べきれない程の寮とも言える物であった。
「わあ!!これも食べていいの!?」
「うん!一緒に食べよ!」
そしてリタとティオ、サイガ達家族も揃ってリタの特製ケーキを食べるのだった。
「美味い!リタ、また一段と腕を上げたな!」
「あら、中にフルーツがたくさん入ってるわ!」
特製ケーキは外は生クリームを塗られてよく分からなかったが中にたくさんのフルーツが入っているものであったようで、両親からは高評価を受けていた。
「いいよな…こうしてリタの特製ケーキが食べられるのってさ…」
「これはリタの特製ケーキ、食べずに部屋に飾ります!」
「サティ、ちゃんと味わって食べようね…」
ユーリも好評しており、サティは度が過ぎた好評をしたがサイガに止められる始末であった。
そしてティオもおいしそいにケーキを食べていた。
「お姉ちゃん!これ美味しいよ!」
「ありがとう!お姉ちゃんも自分で言いたいくらい美味しい!」
ケーキを食べ終わり、パーティーはお開きの時間になった。
パーティーが終了し、ティオはリタと共にバルコニーに居た。
「ティオ、はいこれ!」
「ん?なにこれ?」
「お姉ちゃんからの誕生日プレゼント!」
リタから誕生日プレゼントをもらったティオ。
中身は竜の顔を模したペンダントだった。
「え、これを僕に?」
「うん!ティオは竜人だから、それにちなんでドラゴンのペンダント!」
ドラゴンのペンダントを貰ったティオはとても喜んでいた。
それをさっそく首に付けたティオ。
「うん、似合ってるよ!」
「ありがとうお姉ちゃん、僕これ大切にするね!」
その言葉を聞いてリタも喜んだ。
リタは思い返していた。
ティオがアスタルト家に来てから既に1年が経とうとしていた事を…。
「今日からティオは12歳だったよね…」
「うん…そうだけど・・・?」
「今だけ同い年だね!」
今だけ"同い年"。
その言葉にティオも微笑んでいたのだった。
優しい義姉のその笑みに、自身も癒されたからである。
「早いね・・・ティオが家に来てから1年ほど経ったし・・・ティオ、最初にあった時より変わったわね・・・?」
「本当に?」
「うん、ティオ、ちょっと背高くなってる」
最初は自分より少し背が低かったティオは自分にもう少しで追いつきそうなくらいに伸びている事を伝えたリタ。
それに対してティオも少し喜んでいた。
"成長"と言うのは、早い物であった。
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