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4章 ささやかな日常
38."あ~ん"は僕だけにして!!
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ヴィンツェルト学院の合格通知を受けたリタとティオ(ついでにサティも)。
それぞれは学院での生活に向けてちょっとずつ準備をしていた。
ーー時期は、1月の終盤。
束の間の休息に、リタはティオを連れてある場所へ向かった。
それは、領地の一角にある孤児院だった。
元々ティオもそこに入る予定であったが、アスタルト家の養子となった事でそれ自体は無かった事になっていたが、定期的にリタに連れてってもらっていた。
「みんな!来たよ!!」
「あ!リタ様!」
「わ~い!!」
沢山の子供達がリタによって来た。
リタは持ってきたお菓子やおもちゃと言ったプレゼントを子供達に次々と渡していった。
一方ティオはそんなたくさんあるお菓子、おもちゃを見てどれが誰に上げるか分からなくなって混乱しかけていた。
そして何とか無事に配り終えて一段落した頃だった…。
1人の8歳ぐらいの男の子がリタに近づいて来た。
「リタ様、なでなでして」
「あ、エルマ!いいよ!」
その少年…。名前は"エルマ"という。
3歳の時に両親を事故で亡くしてしまい、この孤児院に来たという過去を持つ。
3歳の時にリタに、出会ってからは彼女に懐いて今は両親を亡くした悲しみは癒えたが、ティオはエルマを目の敵にしていてさらには嫉妬までしていた。
前に一度エルマに会った時にリタと仲良くしているのを見て以来の嫉妬であった。
孤児院に来て1時間経過した。
リタは子供達におやつを作る事にした。
今日作るおやつは、もちもちのドーナツだった。
リタを手伝おうとしてティオが隣に立っていた。
生地をこねてから真ん中に穴を空けた円状を整えていよいよ油で揚げる工程へと入った。
油による泡立ちは熱かったが、おいしそうなにおいが室内を漂っていて子供達、そしてティオも食べるのを楽しみにしていた。
そしてこんがり揚げたドーナツに、チョコを塗ったり、上下に切って生クリームをかけて挟んだりと色んなバリエーションのドーナツが出来上がった。
「みんな~!ドーナツできたよ~!」
「わ~い!」と待ちに待ったと言わんばかりに子供達は大喜びした。
そして楽しみにしていたおやつの時間となり、子供達、そしてリタとティオはテーブルについてドーナツを食べ始めた。
「リタ様、ドーナツおいしい!」
「うふふ、よかった!ティオも手伝ってくれてありがとう!」
「うん!これ、僕が作ったドーナツ!美味しい!」
リタは子供達が美味しそうにドーナツを食べてくれたことに大満足の笑みを浮かべていた。
一方でティオは、ドーナツを食べられて大満足の笑みを浮かべていた。
「リタ様!僕もドーナツ!」
「んもう、エルマったら…」
エルマがリタに"あ~ん"としてほしそうな顔をしていた。
そしてそれを見たティオはついに我慢できなくなり…
「あ~ん!おいしい!」
まるでエルマから横取りしたかの如くリタの手にあったドーナツの一部を口にした。
「ティオ?」
「お姉ちゃんのドーナツは美味しいけど…"あ~ん"は僕だけにして!!」
エルマに対する嫉妬心からついにティオは本音を行ってしまった。
だが、言ったは言ったでティオはものすごく恥ずかしい想いをしていたが、リタは気に留めることなくティオを宥めるのだった。
「うふふ…ティオ、そんな事しなくてもティオにも"あ~ん"してあげるから…」
「え?」
ティオはこの時理解した。
リタはエルマに対して特別に接している訳ではなく、他の子供達も平等に可愛がっていたという事を…。
結局ティオはまたしても恥ずかしい想いをする羽目になってしまったのだった…。
それぞれは学院での生活に向けてちょっとずつ準備をしていた。
ーー時期は、1月の終盤。
束の間の休息に、リタはティオを連れてある場所へ向かった。
それは、領地の一角にある孤児院だった。
元々ティオもそこに入る予定であったが、アスタルト家の養子となった事でそれ自体は無かった事になっていたが、定期的にリタに連れてってもらっていた。
「みんな!来たよ!!」
「あ!リタ様!」
「わ~い!!」
沢山の子供達がリタによって来た。
リタは持ってきたお菓子やおもちゃと言ったプレゼントを子供達に次々と渡していった。
一方ティオはそんなたくさんあるお菓子、おもちゃを見てどれが誰に上げるか分からなくなって混乱しかけていた。
そして何とか無事に配り終えて一段落した頃だった…。
1人の8歳ぐらいの男の子がリタに近づいて来た。
「リタ様、なでなでして」
「あ、エルマ!いいよ!」
その少年…。名前は"エルマ"という。
3歳の時に両親を事故で亡くしてしまい、この孤児院に来たという過去を持つ。
3歳の時にリタに、出会ってからは彼女に懐いて今は両親を亡くした悲しみは癒えたが、ティオはエルマを目の敵にしていてさらには嫉妬までしていた。
前に一度エルマに会った時にリタと仲良くしているのを見て以来の嫉妬であった。
孤児院に来て1時間経過した。
リタは子供達におやつを作る事にした。
今日作るおやつは、もちもちのドーナツだった。
リタを手伝おうとしてティオが隣に立っていた。
生地をこねてから真ん中に穴を空けた円状を整えていよいよ油で揚げる工程へと入った。
油による泡立ちは熱かったが、おいしそうなにおいが室内を漂っていて子供達、そしてティオも食べるのを楽しみにしていた。
そしてこんがり揚げたドーナツに、チョコを塗ったり、上下に切って生クリームをかけて挟んだりと色んなバリエーションのドーナツが出来上がった。
「みんな~!ドーナツできたよ~!」
「わ~い!」と待ちに待ったと言わんばかりに子供達は大喜びした。
そして楽しみにしていたおやつの時間となり、子供達、そしてリタとティオはテーブルについてドーナツを食べ始めた。
「リタ様、ドーナツおいしい!」
「うふふ、よかった!ティオも手伝ってくれてありがとう!」
「うん!これ、僕が作ったドーナツ!美味しい!」
リタは子供達が美味しそうにドーナツを食べてくれたことに大満足の笑みを浮かべていた。
一方でティオは、ドーナツを食べられて大満足の笑みを浮かべていた。
「リタ様!僕もドーナツ!」
「んもう、エルマったら…」
エルマがリタに"あ~ん"としてほしそうな顔をしていた。
そしてそれを見たティオはついに我慢できなくなり…
「あ~ん!おいしい!」
まるでエルマから横取りしたかの如くリタの手にあったドーナツの一部を口にした。
「ティオ?」
「お姉ちゃんのドーナツは美味しいけど…"あ~ん"は僕だけにして!!」
エルマに対する嫉妬心からついにティオは本音を行ってしまった。
だが、言ったは言ったでティオはものすごく恥ずかしい想いをしていたが、リタは気に留めることなくティオを宥めるのだった。
「うふふ…ティオ、そんな事しなくてもティオにも"あ~ん"してあげるから…」
「え?」
ティオはこの時理解した。
リタはエルマに対して特別に接している訳ではなく、他の子供達も平等に可愛がっていたという事を…。
結局ティオはまたしても恥ずかしい想いをする羽目になってしまったのだった…。
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