37 / 60
3章 魔法&剣術指導
36.今の幸せを続けたいから!
しおりを挟む
ヴィンツェルト学院の最終試験…。
それは、"面接"であった。
まずはリタの面接から始まった。
リタは暗い場所にいた。その場所こそが面接の場所であったから…。
リタの周りには6.7名の教員、学院関係者がいて緊張していた。
「ではこれより、面接を始めます」
教師陣の席の真ん中、リタの目の前にいたのはヴィンツェルト学院の校長であった。
見た感じ温厚で優しい雰囲気であるものの、その威圧さにリタは内心驚いていた。
校長はそんなリタを見るなり、彼女の今の気持ちを察していた。そんな状態だからこそ校長は無理にその緊張をほぐそうとはせずにゆっくりと話を進めていくのだった。
「リタ・アスタルト…君はなぜ我が校を選んだのですか?」
「え?」
校長は唐突にリタに質問をした。
「なぜ我が校を選んだのですか?」
同じ質問をまたしてきた。
無論聞いていなかったわけではなかったが、それ以外の質問を先にしていなかった事にリタはビックリしていたのだった。
「え?あの?」
「君の事なら既に分かっております」
校長はそう言うと、目の前でステータスのような物が浮かび上がってきた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
リタ・アスタルト
・12歳
・3月20日生
・領主アスタルト家次女
・治癒魔法が得意
・子供や動物が好き
・両親、兄2人、姉1人、義弟1人の7人家族
・家族との仲は良好
・義弟が好き
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あの?それは?」
「これは私の魔法です」
校長の魔法…それは『他者のステータスを見る事が出来る』と言うもの。
校長のステータスに関するこの魔法はその人物のあらゆるデータを覗く事が出来るという優れもの。
見方によっては他者のステータス=情報を見ると言うのはあまり良いものではないが、校長からしたらこの魔法は学院に入る人物を見極めるのには必要なものでもあった。
この魔法によってリタのステータスを確認した為に、唐突に「学院に入りたい理由」のみを聞いたのだった。
その事を理解したリタではあったが…正直に話し始めた。
「………友達が…私の大切な友達がこの学院に入ると聞いたので、私も一緒に入りたいと思いました!」
「…?」
「それだけではありません!」
「?」
「私は今まで、魔力が少ない事が原因で、家族に迷惑をかけ続けてきました…でも、それでも家族は私を愛してくれました!それに、私も家族を愛してます!新しく愛する家族が増えたので、今度は私が頑張りたいんです!」
(新しく愛する家族が増えた?そう言えば…)
校長はリタのステータスの家族の欄に『義弟』が入っていた事を思い出して察した。
そして…。
「なるほど…君の熱意は理解しました、面接は以上です」
「え?終わりですか!?」
面接は終わり、リタは気がつくと元の明るい場所にいた。
「あれ?私?」
「お姉ちゃん!」
「ティオ!」
元いた場所にはティオがいて自分の帰りを待っていたかのように明るい笑顔で抱きついて来た。
「では次、ティオ・アスタルトさん!どうぞ!」
「え?僕?」
次はティオが面接を受ける番だった。
そして今度はティオが暗い面接の部屋にいた。
暗い場所に送られてびっくりしたが、教師陣を見た途端に背筋が凍ってしまった。
「それでは、これより面接を始めます」
「はい」
校長は先ほどのリタの時と同じようにしてティオのステータスを確認した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ティオ・アスタルト
・11歳
・2月20日生
・竜人(亜獣人)
・領主アスタルト家3男(養子)
・炎魔法が得意
・食べる事が好き
・養父母、義兄2人、義姉2人の7人家族
・義姉が好き
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「なるほど、ティオ・アスタルト…君は何故我が校を選んだのですか?」
「え?」
リタの時と同じようにティオを唐突な質問に驚いていた。
いきなりすぎる質問ではあった者の、ティオは既に答えを見つけていた。
「今の幸せを続けたいからです!」
「今の幸せ?」
紅葉は何を言っているのか分からないかのような感じになっていた。
しかし、ティオの表情は真剣だった。
「僕はかつて、酷い想いをしておりました、家族の事も良く知らず、何処なのか分からない所で過ごして…」
「…」
「でも、今の家族が僕を拾ってくれて今僕はとっても幸せなんです!この学院を勧めてくれたのも今の家族で、勧めてくれた事を無駄にしたくないのです!」
校長は黙り込んでいた。
そして、面接は終わった。
リタの時と同じくティオも元いた場所にいつの間にか戻っていた。
そして試験の結果は後日。
後日明らかになるのだった。
それは、"面接"であった。
まずはリタの面接から始まった。
リタは暗い場所にいた。その場所こそが面接の場所であったから…。
リタの周りには6.7名の教員、学院関係者がいて緊張していた。
「ではこれより、面接を始めます」
教師陣の席の真ん中、リタの目の前にいたのはヴィンツェルト学院の校長であった。
見た感じ温厚で優しい雰囲気であるものの、その威圧さにリタは内心驚いていた。
校長はそんなリタを見るなり、彼女の今の気持ちを察していた。そんな状態だからこそ校長は無理にその緊張をほぐそうとはせずにゆっくりと話を進めていくのだった。
「リタ・アスタルト…君はなぜ我が校を選んだのですか?」
「え?」
校長は唐突にリタに質問をした。
「なぜ我が校を選んだのですか?」
同じ質問をまたしてきた。
無論聞いていなかったわけではなかったが、それ以外の質問を先にしていなかった事にリタはビックリしていたのだった。
「え?あの?」
「君の事なら既に分かっております」
校長はそう言うと、目の前でステータスのような物が浮かび上がってきた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
リタ・アスタルト
・12歳
・3月20日生
・領主アスタルト家次女
・治癒魔法が得意
・子供や動物が好き
・両親、兄2人、姉1人、義弟1人の7人家族
・家族との仲は良好
・義弟が好き
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あの?それは?」
「これは私の魔法です」
校長の魔法…それは『他者のステータスを見る事が出来る』と言うもの。
校長のステータスに関するこの魔法はその人物のあらゆるデータを覗く事が出来るという優れもの。
見方によっては他者のステータス=情報を見ると言うのはあまり良いものではないが、校長からしたらこの魔法は学院に入る人物を見極めるのには必要なものでもあった。
この魔法によってリタのステータスを確認した為に、唐突に「学院に入りたい理由」のみを聞いたのだった。
その事を理解したリタではあったが…正直に話し始めた。
「………友達が…私の大切な友達がこの学院に入ると聞いたので、私も一緒に入りたいと思いました!」
「…?」
「それだけではありません!」
「?」
「私は今まで、魔力が少ない事が原因で、家族に迷惑をかけ続けてきました…でも、それでも家族は私を愛してくれました!それに、私も家族を愛してます!新しく愛する家族が増えたので、今度は私が頑張りたいんです!」
(新しく愛する家族が増えた?そう言えば…)
校長はリタのステータスの家族の欄に『義弟』が入っていた事を思い出して察した。
そして…。
「なるほど…君の熱意は理解しました、面接は以上です」
「え?終わりですか!?」
面接は終わり、リタは気がつくと元の明るい場所にいた。
「あれ?私?」
「お姉ちゃん!」
「ティオ!」
元いた場所にはティオがいて自分の帰りを待っていたかのように明るい笑顔で抱きついて来た。
「では次、ティオ・アスタルトさん!どうぞ!」
「え?僕?」
次はティオが面接を受ける番だった。
そして今度はティオが暗い面接の部屋にいた。
暗い場所に送られてびっくりしたが、教師陣を見た途端に背筋が凍ってしまった。
「それでは、これより面接を始めます」
「はい」
校長は先ほどのリタの時と同じようにしてティオのステータスを確認した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ティオ・アスタルト
・11歳
・2月20日生
・竜人(亜獣人)
・領主アスタルト家3男(養子)
・炎魔法が得意
・食べる事が好き
・養父母、義兄2人、義姉2人の7人家族
・義姉が好き
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「なるほど、ティオ・アスタルト…君は何故我が校を選んだのですか?」
「え?」
リタの時と同じようにティオを唐突な質問に驚いていた。
いきなりすぎる質問ではあった者の、ティオは既に答えを見つけていた。
「今の幸せを続けたいからです!」
「今の幸せ?」
紅葉は何を言っているのか分からないかのような感じになっていた。
しかし、ティオの表情は真剣だった。
「僕はかつて、酷い想いをしておりました、家族の事も良く知らず、何処なのか分からない所で過ごして…」
「…」
「でも、今の家族が僕を拾ってくれて今僕はとっても幸せなんです!この学院を勧めてくれたのも今の家族で、勧めてくれた事を無駄にしたくないのです!」
校長は黙り込んでいた。
そして、面接は終わった。
リタの時と同じくティオも元いた場所にいつの間にか戻っていた。
そして試験の結果は後日。
後日明らかになるのだった。
33
お気に入りに追加
187
あなたにおすすめの小説
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。
riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。
召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。
しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。
別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。
そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ?
最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる)
※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる