34 / 60
3章 魔法&剣術指導
33."今の家族"が一番好きだから!
しおりを挟む
ーーそして、さらに月日は流れた…
ヴィストとピノンが家庭教師として来てから半年が過ぎ、季節は冬…年末を迎えていた。
その夜、ティオはバルコニーの外に出て降っている雪を眺めていた。
「わあ…綺麗…」
ティオは降り注ぐ雪を見て黄昏ていた。
気がつけばティオがアスタルト邸に養子として迎えられてから既に8ヶ月の月日が経過していたからであった。
随分と時間が経った事にティオは驚いていた。
「ティオ~」
「あ、お姉ちゃん…」
「寒いからもう中に入りましょう」
「は~い!」
外は星が見えないほど曇っていた。
それをティオは不思議に思っていた。
今まで実験施設で育ってきた彼にとって雪は始めた見るものであったからであった。
見た事が無いものを見れたその好奇心はまさに年相応の子供そのものにも見えていた。
そんな中…。
リタとティオは、ココアを飲んでのんびりしていた。
「ティオ、ココア美味しいね!」
「うん、とっても甘~い!」
ゆるゆるとした、表情でココアを飲んでいた2人は今まさに小さい幸せを感じていた。
そんな微かな幸せを感じる一方でティオは思い悩んでいた。
今までの貴族としての暮らし、そして授業を受けていて、「自分はアスタルト家の家族として、そしてリタの、使い魔として上手くやっていけていたのか」という事を…。
しかし、それでもティオは"今のままでいたい"と感じていた。
自分を、家族として迎え入れてくれたアスタルト一家とそして、主人にして義姉であるリタに弟として迎え入れてくれた事を心から感謝しており、今の幸せな時をこのまま続けたいという思いがあった。
「ねえティオ」
「なに?」
「もしもだけど、ティオが『本当の家族に会える』って事になったら、ティオは会いたいと思う?」
「え?」
リタの質問にティオは少し驚きを見せていた。
先ほど「今の幸せな時を過ごしていたい」と思っていた彼にとっては唐突な質問であったからである。
だが、それでもティオは答えを出すのだった。
「会いたい…って、思わない」
「え?どうして?」
「もし、本当の家族が見つかったとして、その人達がどんな人達なのかちょっと不安だし…なにより、今僕はアスタルト家の一員だから…何処にいるか分からない"本当の家族"より、僕を受け入れてくれた"今の家族"が一番好きだから!」
その答えにリタは安堵の表情を見せていた。
もしティオの本当の家族が現れたら、『お別れしなきゃいけないのかな?』という不安がリタの心の中にあったからであった。
「そうなのね…」
リタは思った。
このままずっとティオといたいから、本当の家族が来ても抵抗する。
その思いは固かった。
やがて寝る時間となり、2人はそれぞれの部屋に戻った。
そして今日も眠りにつくのだった。
ヴィストとピノンが家庭教師として来てから半年が過ぎ、季節は冬…年末を迎えていた。
その夜、ティオはバルコニーの外に出て降っている雪を眺めていた。
「わあ…綺麗…」
ティオは降り注ぐ雪を見て黄昏ていた。
気がつけばティオがアスタルト邸に養子として迎えられてから既に8ヶ月の月日が経過していたからであった。
随分と時間が経った事にティオは驚いていた。
「ティオ~」
「あ、お姉ちゃん…」
「寒いからもう中に入りましょう」
「は~い!」
外は星が見えないほど曇っていた。
それをティオは不思議に思っていた。
今まで実験施設で育ってきた彼にとって雪は始めた見るものであったからであった。
見た事が無いものを見れたその好奇心はまさに年相応の子供そのものにも見えていた。
そんな中…。
リタとティオは、ココアを飲んでのんびりしていた。
「ティオ、ココア美味しいね!」
「うん、とっても甘~い!」
ゆるゆるとした、表情でココアを飲んでいた2人は今まさに小さい幸せを感じていた。
そんな微かな幸せを感じる一方でティオは思い悩んでいた。
今までの貴族としての暮らし、そして授業を受けていて、「自分はアスタルト家の家族として、そしてリタの、使い魔として上手くやっていけていたのか」という事を…。
しかし、それでもティオは"今のままでいたい"と感じていた。
自分を、家族として迎え入れてくれたアスタルト一家とそして、主人にして義姉であるリタに弟として迎え入れてくれた事を心から感謝しており、今の幸せな時をこのまま続けたいという思いがあった。
「ねえティオ」
「なに?」
「もしもだけど、ティオが『本当の家族に会える』って事になったら、ティオは会いたいと思う?」
「え?」
リタの質問にティオは少し驚きを見せていた。
先ほど「今の幸せな時を過ごしていたい」と思っていた彼にとっては唐突な質問であったからである。
だが、それでもティオは答えを出すのだった。
「会いたい…って、思わない」
「え?どうして?」
「もし、本当の家族が見つかったとして、その人達がどんな人達なのかちょっと不安だし…なにより、今僕はアスタルト家の一員だから…何処にいるか分からない"本当の家族"より、僕を受け入れてくれた"今の家族"が一番好きだから!」
その答えにリタは安堵の表情を見せていた。
もしティオの本当の家族が現れたら、『お別れしなきゃいけないのかな?』という不安がリタの心の中にあったからであった。
「そうなのね…」
リタは思った。
このままずっとティオといたいから、本当の家族が来ても抵抗する。
その思いは固かった。
やがて寝る時間となり、2人はそれぞれの部屋に戻った。
そして今日も眠りにつくのだった。
24
お気に入りに追加
188
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
断罪されているのは私の妻なんですが?
すずまる
恋愛
仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。
「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」
ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?
そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯?
*-=-*-=-*-=-*-=-*
本編は1話完結です(꒪ㅂ꒪)
…が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン
白い結婚はそちらが言い出したことですわ
来住野つかさ
恋愛
サリーは怒っていた。今日は幼馴染で喧嘩ばかりのスコットとの結婚式だったが、あろうことかバーティでスコットの友人たちが「白い結婚にするって言ってたよな?」「奥さんのこと色気ないとかさ」と騒ぎながら話している。スコットがその気なら喧嘩買うわよ! 白い結婚上等よ! 許せん! これから舌戦だ!!
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
捨てられた転生幼女は無自重無双する
紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。
アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。
ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。
アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。
去ろうとしている人物は父と母だった。
ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。
朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。
クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。
しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。
アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。
王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。
アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。
※諸事情によりしばらく連載休止致します。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる