世界が滅亡したので、獣人世界で幸せになります!〜番が三人いるんですが、女神様どういう事ですか!?〜

玉石 トマト

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良いダイエットがあると言われて聞いてみたらセ◯クスはスポーツと言われました。

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リビアはあのローズとか言う女を赦した。

頭ではあの女の処遇はリビアが決めるべきだと分かってはいるが、怒りは未だ煮えたぎっている。

彼女を自殺を考えるまで追い詰めて、それなのに都合よく罰して欲しいとのこのこ出てきて。

彼女を傷付けておきながら、彼女の優しさを甘んじて受けるなど赦せるはずがない。

リビアが知らない所であの女に彼女の痛みを与えようかと思った。 

女が破滅してしまっても構わない。

けれどいつかリビアはあの女に会いたいと言うかもしれない。

その時、俺は彼女の信頼を失ってしまう。

だから拳を握って修道院に引き渡した。

彼女が望む通りに何の咎も与えずに。



屋敷に転移し、二人の居室となった客室でエルバはリビアを膝の上に乗せて囲う。

予測していたとは言え、実際に一等大切な彼女を傷付けられた事は自分をとても動揺させた。

いつも以上に彼女にぴったりとくっ付いて、まるで幼子のようだと自分を分析する。

そう考えながらテーブルの上で寛ぎ始めた分身を見て、リビアに龍の姿を見られた事を思い出した。

膝に座らせ腕の中に収まっている彼女を見るが怯えてはいないようだ。

紅茶を飲みながら何かを考えてはいるが、その姿はいつも通りだった。

『番の契約』で、ある程度近付けばお互いの居場所が分かってしまうのを失念していた。



タイミング悪く城へと呼ばれ、さほど時間の掛からないだろう急用を終えたらすぐにリビアの元へと行くつもりだった。

そこへあの女が修道院からいなくなったと報告を受けた矢先、彼女に付けている分身から連絡が入った。

女から接触があったと。

何度も予測予想していた考えが浮かんだ。

あらゆる国や組織が聖女を狙っている。

その能力もそうだが聖域へ踏み入る許可を得られるためだ。


聖域は常春や世界樹、妖精が優良なだけではない。

聖域は神の威光を具現化した場所だ。

手に入れた者は実質世界を掌握する事を神に認められたとでも何とでも言える。

聖域の外周には決して破る事の出来ない結界が張り巡らされており、そこへ入る許可を出せるのは今は神の愛し子であるみのりと聖女であるリビアだけだ。

今までは俺がいたから何事も無かったが、起こってしまったら最悪な結果になる前に事を収めなければならない。

すぐさまリビアの元へと急いだが、転移魔法は行ったことのある場所にしか転移出来ない。

召喚魔法にはタイムラグがあり、もしあの女に阻害魔法を使える協力者がいた場合はこちらを認識されてしまうし、大幅なタイムロスになる。

だから近場まで転移してから龍の姿で飛ぶ方が確実で速かった。



余裕が無かったから仕方ないが、彼女が驚きもしなかったのを不思議に思う。

(怖がらないなら嬉しいけど…)
(…というか、お前がもっと早くに報告を寄越せば良かったんだけど)

ジト目で自分の生み出した分身……と言っても俺の性格を反映している使い魔と言う方がしっくりくる……を見るが、小さな龍をしたそれはこちらを見ないでテーブルのクッキーを摘んでいる。

自由気ままなそれは確かに俺の分身なのだろうが、あのイアンとか言う小僧に連れ出された時点で何故報告しなかったのか。

リビアと共にいる龍人達にも良く言い聞かせていたのに。

今回は驚く事にあの女一人での犯行だったのは偶然の幸いか。

それか神の意志というものか。

(困ったものだね……お前に何があったの?)

分身に尋ねるが返事は返ってこない。

(はぁ…)

心の中で溜息を吐く。

すると、我関せずとするこの分身がクッキーをたらふく食べてからバサッと飛び立った時、リビアがそれを目で追っていた。

「エルバ様……先程から…この小さな龍は何でしょうか?」

「……見えるの?」

彼女には分身を認識出来ないし、他人には見えないようにもしてあった筈だ。

「はい……彼の、催眠を解こうとした後から見えるようになって……」

「………そう」

少し驚いたけれど納得した。

魔王は全ての魔法を無効化していたのを思い出す。

だが、同時にあの男の事が彼女の口から出るだけで胸にドロドロとした物が込み上げた。

飛んでいた分身はいつの間にかリビアの膝の上で丸くなっている。

バレたのだからと開き直ったように、当たり前に昼寝を始めた。

「ふふ、可愛いですね」

「可愛い?」

「はい、それに…エルバ様と同じ色の鱗と瞳をしていますね」

「私の好きな色です」と腕の中で言う彼女に、湧き上がる醜い感情が綺麗さっぱり無くなるのに、心の中で笑う。

「リビアは龍が…俺が怖くないの?」

その問いに彼女はこちらを振り向き答える。

「あの洞窟で、初めは食べられるかと怖かったですよ」
「でもエルバ様の匂いや鱗や瞳が同じだったから、もしかしてそうなのかなと段々と思うようになりました」
「あの洞窟の時からダイエットを手伝ってくれたのかなって」

(…うん、ごめん…)

バレていない事にほっとしたのと同時に、いつかちゃんと閨教育受けさせるからと心の中で弁解する。

「私は龍になったエルバ様も格好良くて好きです」

続く言葉に、思わずリビアを抱き締めた。

「そっか、」

(好きかぁ、)

俺を彼女が受け入れてくれる事が嬉しい。

もしかしたら最初から正直に話したとしても、リビアなら受け入れてくれたのではとも思う。

番にも言えずに不安になるならば、最初から知っていてもらった方が良い。

その昔、その姿と力のために龍は恐れられ、沢山の誤解や悲劇があった。

開国の折に、同胞は龍の姿を他種族には秘匿するようにと決めたが、もう時代は変わった。

龍人と他種族は交わり、自由気ままで気が良く少しだけ好戦的な龍人への理解もある。

現龍人最強の俺が龍にも変じられると知れ渡れば、リビアを狙う輩への更なる抑止力にもなるだろう。

そんな事を考えて今後の算段を付けながら、抱き締めた彼女のふわふわの髪に顔を埋める。

「それに、今日は助けてくれてありがとうございました」
「私は……私も、もしエルバ様と逆の立場だったら、怒りを相手にぶつけていたかもしれません」

「…怒ったリビアは何をするの?」

「ええと……」

冗談っぽく尋ねた問いに、真剣に悩む彼女が可笑しくて笑ってしまう。

「俺は大丈夫だよ、強いからね」
「リビアの事ももう二度と誰にも傷付けさせない」

「…ありがとうございます…でも私はそんなに弱くないですよ」

ふんわりと笑った後、リビアは真剣に俺を見る。

最近、彼女は人を真っ直ぐに見るようになった。

初めはおどおどとしていたのが嘘のようだ。

「何度傷付けられても、あなたと一緒ならまた前を向けます」
「…私は臆病だから、きっと驚く事や怖がってしまう事もあります」
「時には喧嘩をしてしまったり、心配させてしまう事もあるかもしれません」
「それでも私は絶対にエルバ様の側を離れませんから……一緒に考えさせてくれませんか?」

最後一瞬瞳に切なげな色を宿した彼女に、まるで心の中を見透かされているようだと思う。

彼女に俺が用意した綺麗な世界を望んでいないと言われているようだ。

俺に守られるだけの自分を望んでいないと。

「…じゃあ色々、勉強しないとね」

「はい!」

ピンクブロンドの瞳を輝かせて嬉しそうに微笑む彼女に、心の中で両手を挙げた。

(ああ、分かった、降参するよ)

俺は既に彼女に負けているのだ。

彼女の意思に反する事なんて出来る訳がない。

彼女に望まれたらきっと俺は何でもしてしまう。

隷属関係のようなそれは、だけれど愉快とさえ思う。

(呪縛ってそういう物なのかな?)

彼女に縛られるというのは何と甘美なのか。

それに、その呪縛は一方的な物ではない。

彼女の肉体も心も縛り付けているのは俺だ。

「リビア、そう言えばさ、今日の分がまだだったよね?」

「え?」

「セックス」

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