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ヒーローがいきなりヒロインにち◯こ突っ込んでくるんですが、見守るべきですか?
8 ※ 自覚と右手
しおりを挟む査問会にフィーネは呼ばれていたが、『会』とは言ってもお互いに干渉し合わない神達は師弟の間での査問が主だ。
今度は師の家にフィーネが訪ねていた。
(相変わらず黒いですね…)
と呆れた。
師の家は全てが黒だった。
家具だけでは無く家そのもの、壁や床に至るまで全てが黒で統一されている。
一瞬家具がどこにあるのかも分からなくなるくらいに。
二人は前とは違い、ソファに腰を落ち着け対面していた。
「…………」
「…………」
重い沈黙がリビングを満たす。
「…何故禁を破った」
しばらくの後、師が口を開いた。
「………」
フィーネは、この時までずっとこう答えようと考えていた理由を口に出す段階で躊躇していた。
(言ってしまったら、異端と断罪される…?)
「理由次第ではお前の世界をこちらで管理する事になる」
「……」
それをされて仕舞えば、フィーネの力は殆ど無くなってしまう。
死なない程度に神力は残されるが、また一からやり直しだ。
今度は師の監視下で世界を管理する事にもなるだろう。
アルの世界はまだ存続して行くが、まだフィーネが用意した物語の途中にある世界が滅んでも、他の神達は気にも留めない。
(そんなの…嫌です)
「…あの!」
フィーネは意を決して声を上げた。
「理由次第と言う事は、このまま続けるのを許してくれる可能性もあるんですよね?」
「…理由次第だ」
師が静かにそう言うのに、フィーネは心を決めた。
「……どうして、他の数多の神達は神力の回収も出来て皆んなが幸せな『完璧な世界』を目指さないのか、ずっと疑問に思っていました」
目の前の師は変わらずに濃紺の瞳で見てくる。
「他の神達は自分が創造した知的生命体にどうしてそうも興味が無いのかと、自分が他の神達と違う事に悩んでいました…」
遮られる事の無いのに、ホッとしながら話し続ける。
「その無関心の理由は私には分かりません…」
「でも、人間の進化や文明の発展での神力回収は大切だと頭では理解しています…」
「それでも、私は苦しんだ人達に幸せになって欲しかった…」
「今も苦しむ人達に愛される世界をあげたかったんです」
師を見つめて言う。
どうか伝わる様に。
「そう思うのは悪い事ですか?」
「誰かに愛される事も無く消えていく苦しみは、私には想像しか出来ないけれど、せめても彼らに愛のある世界を創りたいんです」
いつも変わる事の無い師の瞳が、少し揺らいだ気がした。
直ぐにその揺らぎが消えてしまったので、見間違いかと思う。
『愛』と言葉にすると、フィーネの頭にアルの顔が浮かんだ。
「それを他の神達に押し付けるつもりはありません」
「私の世界の人々が神界に害を成さないようにも必ずします」
「だからお願いします、世界をこのまま管理させて下さい」
頭を下げてお願いしながらも、アルの顔が頭から消えてはくれなかった。
(なぜなの?)
(私を肉体に縛り付け、無理矢理繋いだ男なのに…)
(会いたくて仕方がないのは、どうして?)
自分がアルにあんな風にされてしまったのは、介入しすぎたからだと分かっているのに。
神を堕とせる彼は危険だと分かっているのに。
だけど、例えそれが神を危険に晒す事だとしても、
彼のおかげで世界の美しさを知った。
人々の逞しさを知った。
音楽や踊りの楽しさを知った。
そして、
(私は彼に愛されていた)
「っ」
胸が苦しくなり目頭が熱くなる。
気付いていたのに、今まで目を逸らしていた。
今すぐ彼に会いたいと心が求めている。
(私、は…彼を、愛してる?)
自覚した瞬間、カァッと体が熱くなった。
思念体でもこんな反応が出来るのかと戸惑う。
(ど、どうしよう)
赤くなった顔を隠すように俯いていた頭に声が降り掛かった。
その声はどこか優しい気がする。
「……お前は彼女に良く似ている」
「とても好奇心の強い優しい神だった」
「…好きにすると良い、お前の命も世界もお前の物なのだから」
勘違いかと思ったが、やはり師の雰囲気は優しい。
「だが、神界には二度と手出しはさせるな」
「今度はお前の男を消す」
「!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
自分の平屋に戻って来たフィーネは、ほっとしてソファにドサリと身を預けた。
「はぁ、」
だが、最後に師は地を這うような声で釘を刺してきた。
「べ、別に私の男では…」
フィーネは誰にともなく言うが、
(そう言えば『好き』とか『愛してる』とか言われてない…)
と段々と不安になってきた。
「え、好き、なんだよね?」
「だからあんなに、えっ、えっちしたんだよね?」
「それに番だし」
「…あれ、番って何?」
『番』とはTL作品で良く出てくる、魂から惹かれる運命の相手という設定なのだが、自分がした設定なのに良く分からなくなった。
「番…魂から惹かれる……?」
ぶつぶつと言いながらノートパソコンを開く。
すると、自分の右手が二重にブレた気がした。
「……ん?……」
ニュッと右手が幽体離脱のように二本に増えるのに、声を失うくらい驚く。
「!!!???」
だが、新しく生えてきた右手は若い男性の物だ。
全体に蛇のような模様が付いている。
ちょっと気持ち悪い。
呆然とそれを見ていると、バイバイというようにそれが手を振ってきた。
「何これ????」
と言った言葉を最後に、
パチン
フィーネの姿は神界から再び消えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふぃー、おかえり」
目を開けたと同時に、聞きたかった声と見たかった顔が降ってきた。
ちゅ、ちゅ、と顔中にキスを落とされる。
「ん、ちょ、ちょっと!」
彼がどうやったのか分からないが、また勝手に堕とされたのだろう。
久しぶりに会う彼に気恥ずかしくて、伸し掛かる体を押して離そうとするがその瞬間、下腹部から尋常じゃない疼きが体を突き上げてきた。
「はっ、っ?!?!」
彼に触れられている部分から電気が走る。
はっ、はっ、と息が上がり、彼のモノが欲しくて仕方がない。
膝を擦り合わせて耐えるが、何もしていないのに恥部が濡れていく。
「欠乏症だよ、時々薬は飲ませてたけど、今日は薬飲まずに二週間目になるね」
辛そうだね、と彼はニコリと微笑んで言うのが憎たらしい。
絶対に計画的な犯行だ。
手首を掴まれてベッドに縫い付けられる。
「はぁ、ん♡」
それだけで甘い声を上げる唇を分厚い舌が割って入ってきた。
「…ん♡……ふ、ぅ♡……ん♡…」
舌を擦られ吸われ、久しぶりの感覚なはずなのに体は今まで以上に快感を拾っていた。
頭がボーッとボヤけて、その気持ち良さに自分から彼の舌に絡めていく。
口端から唾液が垂れて首の後ろまで流れるのははしたなくて好きじゃなかったのに、それすらも今は気持ち良く感じた。
「…ちゅ♡ん♡……ん♡……」
いつの間にか手首を離されていてもフィーネは抵抗するのではなく、彼の首に腕を回してキスに夢中になった。
ちゅぷ、と唇が離れ、引き出された舌と舌との間に引いていた糸がふつりと切れる。
体を離した彼が上着を脱ぐ様子を見ながら自分が裸な事に気付いて、はふ♡はふ♡とキスで乱れた呼吸をしながらも、少しだけ残った理性で手で胸を、足を閉じて恥部を隠した。
彼を見ると股間の辺りのトラウザーズが濡れていて、キスの間自分が恥部を擦り付けていた事実に顔に熱が上る。
「隠すな」
シュルシュルと伸びた彼の髪が足に巻き付いてきた。
「ぁ♡」
抵抗する間も無く膝から伸ばせないように縛られて、足をM字に開かれてしまう。
ドロドロに濡れた隘路がスースーと冷たかった。
彼がそこを凝視しているのに、一段と体の熱が上がる。
「っふ、やだっ」
そこでやっとフィーネは抵抗を始めた。
足を再び閉じようとするが、縛られた足は揺れるだけだ。
片手で恥部を必死に隠すが、伸びてきた髪に両手とも頭上で縛られてしまった。
「はぁ…ふぃー、俺がどれだけ我慢したか分かる?」
それまで黙って見ていた彼が、熱い吐息を吐き出しながら言葉を発する。
その声は苛立っていた。
「……ご、……」
ごめんなさいと出掛かったが、勝手に堕とされたんだったとその言葉を飲み込んだ。
「まぁ、いいや」
「!?」
ぐるっと体を回転させられ、手と足を縛られたままうつ伏せにされて、髪が胴体にも巻き付いたかと思うと腰だけを浮いた状態にされた。
(ん、くるし)
膝が辛うじて着くが、不安定でさらに体が反って苦しい。
何とか肘で体を支えると苦しさが少し楽になった。
だが体を動かす度に、ふりふりとアルに見せつけるように尻も動いている事にフィーネは気付かない。
「ふふ、エロいなぁ、誘ってるの?」
くちゅ、と彼の張り出した亀頭が恥部に押し付けられるのを感じた。
「っ!♡」
(入っちゃう♡)
それが挿れられた時の快感をフィーネは既に知っていた。
欠乏症で疼いた体は、期待して膣口で彼の逞しい亀頭に吸い付く。
「ん♡っは……あー、たまんねぇ♡」
「とりあえずちんぽ入れさせてね?♡」
「っつ、つっ!!♡♡♡」
誰の許しを得るでも無く、アルはフィーネの中に禍々しい男根を一息に突き入れた。
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