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本編
1 世界滅亡と女神との邂逅
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世界が滅んだ。
直径10kmの巨大な彗星が2日後に衝突するとニュースで流れた。
各国の偉い人は混乱しないように、だが最後の時を有意義に過ごせるようにとそのタイミングで発表したらしい。
家族と最後の時を穏やかに過ごす人もいれば、変わらない日常を送る人もいたり、お金のある人は最後まで足掻いたりしていた。
私はというと、そういった人々の様子を女神様の隣で眺めていた。
水盤に浮かんだ光景をただぼんやりと見ていた私は、彗星が到来する2日前に死んだのだ。
誰かに殺されたわけじゃない。
私は全てに絶望していた。
食べ物と勉強できる環境を与えればいいと思ってるような、若干?ネグレクトな親だった。
愛されない心の穴を埋めるのに食べる事は役立ったから、私の体重は常に標準を大きく超えていた。
親から与えられるジャンクフードとお菓子という不摂生な食事を続けたせいで肌はボロボロで、元々の内気な性格もあったから、学校では常にいじめられていた。
親は無関心でいじめられている事も分かっているのに何もしてくれなかった。
褒めてもらった事もなくて、いつも親戚に「金食い虫」とか私の悪口を言っていた。
友達もできない、男子からも気持ち悪いと言われ続けた。
心はずっとぽっかり空いたまま、何もしたくなかった。
鬱だったと思う。
親に言ったところで病院に連れて行く事はないだろう、今までもそうだったから。
病院に行ったのは予防接種の時だけだし、「心の持ちようでしょう?勉強しなさい」と言われるだけ。
必死に勉強して大学に合格したけれど、鬱で起き上がることが出来なくなって、私は引きこもることにした。
ドラマみたいに、引きこもりの子供の部屋の前に、母親がご飯を置いていくっていう事は起こらなかった。
親はほとんど帰ってはこない。
帰ってきても私には無関心で、ご飯を食べていないのも分からないんじゃないかな。
そうやって引きこもったまま、彗星が落ちるというニュースが流れた日に、私は意識を失くした。
―――――――――――――――――――――――――
「ふぅ、終わりましたね~」
汗を拭うような仕草をした女神様が、星が爆炎の波に飲み込まれる光景を映し出している水盤に指先を差し入れると、その漣が先ほどまでの映像を消し去った。
「…」
私は何の感慨も浮かばないまま目の前の女神様に目を向ける。
美しく豊かなミルクティー色の毛先を弄る女神はとても美しい。
肌は滑らかで艶々としており、深緑を思わせる瞳は銀河を閉じ込めたように輝いていた。
私は神様の存在を信じてはいなかったが、自称女神様という目の前の存在に、確かに神様のような神々しさを感じた。
「本当に神様っていたんだ」
ポツリと思った事が口から出る。
「もちろんいますよ~」
私の一言が可笑しかったのか、女神様はクスッと笑った。
「どうして生きてる内にあなたを助けなかったかなんて、分かりきった事言わないでくださいね~」
「人間なんてちっぽけなんですから」
「それに知的生命体が生まれたら神はもう介入出来なくなるんですよ」
「彼らは朧げには神の事覚えてるみたいですけど」
「あなたの事だって知ってましたよ…知ってましたけどねぇ」
「でもしょうがないでしょう?手出しできないんだから」
「彗星に関しては星も汚れちゃってもう末期状態だったし、ここからの逆転劇は無さそうだったし、というか詰んでたし?」
「そういう星は私たちの取り決めでリセット推奨だったんですよ」
「無駄にその星の知的生命体を苦しませるだけですし…って聞いてます??」
美しい女神様は形の良い眉を八の字にして若干罰が悪そうに早口で捲し立てる。
だけど私は自分の事も、自分が住んでた星の事だってどうだって良かった。
ただぼんやりと目の前の美しい女神様に見惚れるだけ。
「ん?あれれ?なんだか反応が薄いですね?鬱で魂が不活化しているからしょうがないか」
そう呟いた女神様は白魚のような手で私の眼を徐に覆う。
何も見えなくなった視界に暖かな光が広がった。
その光は、傷跡だらけの凸凹とした心の表面を滑らかに耕し底なしの穴を埋めてくれるように、胸の内側を隈なく走った。
視界の光が収まり、柔らかく暖かい手の感触も無くなって、私は心地よさに酔いしれながらゆっくりと眼を開ける。
「どうですか?ちょっと魂を活性化してみました」
「そこまで嫌な感じじゃなかったと思うんですけど…むしろ心地いいかなぁ、って」
心配そうにチラチラとこちらを伺う女神様に、クスッと笑ってしまった。
「女神様、ありがとう、っ、、ござい…ます」
「…ほん、とに…ヒク…こんなに自分の気持ちが…穏やか、なのも、はっきり感じるのも、、、ぅ、、久しぶりだから…ふ、ぅ」
(…私、いつから泣いてなかったっけ)
そう自覚した瞬間に、突然身震いするような悲しみと怒りが全身を駆け巡った。
どうしてもっと上手く生きる事ができなかったのか。
どうしてもっと早くに親の愛を諦める事ができなかったのか。
私の内側で、まだ生きている時に感じていた沢山の『どうして』が、沢山の悲しみと怒りと共に湧き上がってきて涙が止まらない。
「大丈夫ですよ、もう怖い事はありませんからね」
「沢山泣いていいんですよ、とても辛かったでしょうねぇ」
「あなたの人生は側から見てもハードモードでしたよ」
「何でゲーム用語とか知ってるのかって?いつも自分の知的生命体の事は見てましたから」
「本当に惜しい事です、できれば滅ぼしたくなかったなぁ…」
私が泣き始めた時から女神様はずっと私の背中を撫でてくれていて、段々とその言葉や近くに感じる匂いや体温に、私は落ち着きを取り戻していった。
(神様ってこんなに優しいんだ)
生きていた頃何度も神様に助けてって願ったけれど助けなんてなかったし、神様がいても人間に興味ないよねとか、私なんかよりよほど大変な人優先だよねとか思っていたし。
神様はいないと思っていた。
(確かに皆んなの事助けてたら人間なんてすぐに駄目になるよね)
神様がちゃんと見ててくれて、受け止めてくれるだけで救われた気がする。
彗星を落とした事なんて別にどうでもいい。
だって世界の終わりをいつも願っていたから。
でも、
「親とか、私に酷い事をした人達の事は許せないけれど、私がもっと早く自分の事をちゃんとプロデュースできてたら、何か変わってたかもしれないんです」
「親はどうもできないけど、周りは変えられたと思います」
私は俯いていた顔を上げて、女神様をしっかりと見て言う。
「あぁ、やっぱり、貴女はいいね、選んだ甲斐がありました」
急に女神様が真面目な口調になったが、優しい目は変わらずに私を見ている。
「私はね、あなたたちに優しい世界を作ろうと思っているんですよ」
「彗星で死んだあなたたちの中から、辛い事を経験した100人を選んで、あなたたちが考えた100の世界を作る」
「どうですか?素敵ですよねぇ?」
女神様は私の両手を引いてクルクルと回り出す。
「これでノルマも達成できるし、想像力を酷使しなくて済むし」
「他人が作ったものってなんだかワクワクしますよね?ふふふ」
あまりにも突拍子もない話だ。
「いや、私彗星で死んでないですよね?」
女神様がクルクル回るのを止める。
「いえ、彗星で死にましたよ~」
「最後の方生きる屍になってたやつです」
「魂だけ抜けてたんですよぅ」
ふふっと女神様があらやだ奥さんみたいなノリで言う。
(いやちょっと待って)
「100人に100の世界を作るって、何がなんだか」
「そんな事して大丈夫なんですか?どんな世界になるかも分からないのに」
「大丈夫ですよ、あなたのいた星は私の初仕事だったんですけど、やり方が分かったから次は千でも万でも世界を作れるんです」
「ただ疲れちゃうので、100にしました♪」
「難しかったら『こんなのがいいなぁ』でもいいですよ、あとは私が補正しますので♡」
「細かな設定も受け付けますよ、要相談です♪」
「それと、転生する時期も決めてください♪」
「あまりに文化レベルが発展すると滅ぶ可能性もあるので、面白くておすすめは中世から近世辺りかなぁ」
『転生』は、世界の初めに私の種を蒔いておく事で神の介入には当たらずに可能らしい。
時が来るとその種が芽吹くようだ。
「あ、それと、実はあなたに頼みたい事があって…」
そう言って頬を染めてもじもじする女神様はとても可愛かった。
「なんですか?」
首を傾げて問うたところ、ガッと右手を両手で握ってきた女神様の圧に少し引いてしまう。
「あなたの世界を、エロくしてもいいですか?!」
「はい?」
「ていうかしますね!絶対しますね!」
「私に愛のあるエロを、めくるめく官能の日々を見せてほしいのです!」
「え、え?!」
可憐な女神様の口から、まさか『エロ』『官能』という言葉が出てきた事に驚きすぎて内容を理解できなかった。
落ち着いたところで話を聞いてみると、なんと女神様はむっつりスケベという事が判明。
だが何でもいいというわけではなく、愛のあるエロが好きという事だった。
ヤンデレもいけるらしい。
私も鬱になる前は思春期を迎えてからTL作品などもある程度、というかガッツリ嗜んでいたし、むっつりスケベな自覚はある。
それを誰かと共有する事も実践する事もなく終わってしまったけれど。
なんとなく女神様とシンパシー感じてしまった気がする。
おそらく女神様も私と同じ初心なのだろう。
神様同士の恋愛ってどうなってるのかは分からないけれど。
こう、拗らせてる感というか。
「私は思っていたのです、せめても辛く愛のなかった子たちが愛のある優しい世界で幸せになってほしいと…」
「あなたには幸せになる才能があるはずです」
「だから大丈夫、どうか私とともに世界を作り幸せになってください……そして私に萌えを」
最後の方が小さくて聞こえなかったが、美しい女神様が両手を組み祈るように話す姿は、神々しくて後光が見えた。
何よりも幸せになってと願う女神様に、シンパシーとか思っていた自分を殴りたくなるくらい感動していた。
私は女神様の両手を握り力強く宣言した。
「分かりました!女神様、私頑張ります!」
女神様と私は固く握手をし、エロく優しい世界について相談するのだった。
女神様の後光のせいで頭ぽやーとしていた私が、そのエロの対象に自分も含まれるという事に気付くのはまた後のお話し。
直径10kmの巨大な彗星が2日後に衝突するとニュースで流れた。
各国の偉い人は混乱しないように、だが最後の時を有意義に過ごせるようにとそのタイミングで発表したらしい。
家族と最後の時を穏やかに過ごす人もいれば、変わらない日常を送る人もいたり、お金のある人は最後まで足掻いたりしていた。
私はというと、そういった人々の様子を女神様の隣で眺めていた。
水盤に浮かんだ光景をただぼんやりと見ていた私は、彗星が到来する2日前に死んだのだ。
誰かに殺されたわけじゃない。
私は全てに絶望していた。
食べ物と勉強できる環境を与えればいいと思ってるような、若干?ネグレクトな親だった。
愛されない心の穴を埋めるのに食べる事は役立ったから、私の体重は常に標準を大きく超えていた。
親から与えられるジャンクフードとお菓子という不摂生な食事を続けたせいで肌はボロボロで、元々の内気な性格もあったから、学校では常にいじめられていた。
親は無関心でいじめられている事も分かっているのに何もしてくれなかった。
褒めてもらった事もなくて、いつも親戚に「金食い虫」とか私の悪口を言っていた。
友達もできない、男子からも気持ち悪いと言われ続けた。
心はずっとぽっかり空いたまま、何もしたくなかった。
鬱だったと思う。
親に言ったところで病院に連れて行く事はないだろう、今までもそうだったから。
病院に行ったのは予防接種の時だけだし、「心の持ちようでしょう?勉強しなさい」と言われるだけ。
必死に勉強して大学に合格したけれど、鬱で起き上がることが出来なくなって、私は引きこもることにした。
ドラマみたいに、引きこもりの子供の部屋の前に、母親がご飯を置いていくっていう事は起こらなかった。
親はほとんど帰ってはこない。
帰ってきても私には無関心で、ご飯を食べていないのも分からないんじゃないかな。
そうやって引きこもったまま、彗星が落ちるというニュースが流れた日に、私は意識を失くした。
―――――――――――――――――――――――――
「ふぅ、終わりましたね~」
汗を拭うような仕草をした女神様が、星が爆炎の波に飲み込まれる光景を映し出している水盤に指先を差し入れると、その漣が先ほどまでの映像を消し去った。
「…」
私は何の感慨も浮かばないまま目の前の女神様に目を向ける。
美しく豊かなミルクティー色の毛先を弄る女神はとても美しい。
肌は滑らかで艶々としており、深緑を思わせる瞳は銀河を閉じ込めたように輝いていた。
私は神様の存在を信じてはいなかったが、自称女神様という目の前の存在に、確かに神様のような神々しさを感じた。
「本当に神様っていたんだ」
ポツリと思った事が口から出る。
「もちろんいますよ~」
私の一言が可笑しかったのか、女神様はクスッと笑った。
「どうして生きてる内にあなたを助けなかったかなんて、分かりきった事言わないでくださいね~」
「人間なんてちっぽけなんですから」
「それに知的生命体が生まれたら神はもう介入出来なくなるんですよ」
「彼らは朧げには神の事覚えてるみたいですけど」
「あなたの事だって知ってましたよ…知ってましたけどねぇ」
「でもしょうがないでしょう?手出しできないんだから」
「彗星に関しては星も汚れちゃってもう末期状態だったし、ここからの逆転劇は無さそうだったし、というか詰んでたし?」
「そういう星は私たちの取り決めでリセット推奨だったんですよ」
「無駄にその星の知的生命体を苦しませるだけですし…って聞いてます??」
美しい女神様は形の良い眉を八の字にして若干罰が悪そうに早口で捲し立てる。
だけど私は自分の事も、自分が住んでた星の事だってどうだって良かった。
ただぼんやりと目の前の美しい女神様に見惚れるだけ。
「ん?あれれ?なんだか反応が薄いですね?鬱で魂が不活化しているからしょうがないか」
そう呟いた女神様は白魚のような手で私の眼を徐に覆う。
何も見えなくなった視界に暖かな光が広がった。
その光は、傷跡だらけの凸凹とした心の表面を滑らかに耕し底なしの穴を埋めてくれるように、胸の内側を隈なく走った。
視界の光が収まり、柔らかく暖かい手の感触も無くなって、私は心地よさに酔いしれながらゆっくりと眼を開ける。
「どうですか?ちょっと魂を活性化してみました」
「そこまで嫌な感じじゃなかったと思うんですけど…むしろ心地いいかなぁ、って」
心配そうにチラチラとこちらを伺う女神様に、クスッと笑ってしまった。
「女神様、ありがとう、っ、、ござい…ます」
「…ほん、とに…ヒク…こんなに自分の気持ちが…穏やか、なのも、はっきり感じるのも、、、ぅ、、久しぶりだから…ふ、ぅ」
(…私、いつから泣いてなかったっけ)
そう自覚した瞬間に、突然身震いするような悲しみと怒りが全身を駆け巡った。
どうしてもっと上手く生きる事ができなかったのか。
どうしてもっと早くに親の愛を諦める事ができなかったのか。
私の内側で、まだ生きている時に感じていた沢山の『どうして』が、沢山の悲しみと怒りと共に湧き上がってきて涙が止まらない。
「大丈夫ですよ、もう怖い事はありませんからね」
「沢山泣いていいんですよ、とても辛かったでしょうねぇ」
「あなたの人生は側から見てもハードモードでしたよ」
「何でゲーム用語とか知ってるのかって?いつも自分の知的生命体の事は見てましたから」
「本当に惜しい事です、できれば滅ぼしたくなかったなぁ…」
私が泣き始めた時から女神様はずっと私の背中を撫でてくれていて、段々とその言葉や近くに感じる匂いや体温に、私は落ち着きを取り戻していった。
(神様ってこんなに優しいんだ)
生きていた頃何度も神様に助けてって願ったけれど助けなんてなかったし、神様がいても人間に興味ないよねとか、私なんかよりよほど大変な人優先だよねとか思っていたし。
神様はいないと思っていた。
(確かに皆んなの事助けてたら人間なんてすぐに駄目になるよね)
神様がちゃんと見ててくれて、受け止めてくれるだけで救われた気がする。
彗星を落とした事なんて別にどうでもいい。
だって世界の終わりをいつも願っていたから。
でも、
「親とか、私に酷い事をした人達の事は許せないけれど、私がもっと早く自分の事をちゃんとプロデュースできてたら、何か変わってたかもしれないんです」
「親はどうもできないけど、周りは変えられたと思います」
私は俯いていた顔を上げて、女神様をしっかりと見て言う。
「あぁ、やっぱり、貴女はいいね、選んだ甲斐がありました」
急に女神様が真面目な口調になったが、優しい目は変わらずに私を見ている。
「私はね、あなたたちに優しい世界を作ろうと思っているんですよ」
「彗星で死んだあなたたちの中から、辛い事を経験した100人を選んで、あなたたちが考えた100の世界を作る」
「どうですか?素敵ですよねぇ?」
女神様は私の両手を引いてクルクルと回り出す。
「これでノルマも達成できるし、想像力を酷使しなくて済むし」
「他人が作ったものってなんだかワクワクしますよね?ふふふ」
あまりにも突拍子もない話だ。
「いや、私彗星で死んでないですよね?」
女神様がクルクル回るのを止める。
「いえ、彗星で死にましたよ~」
「最後の方生きる屍になってたやつです」
「魂だけ抜けてたんですよぅ」
ふふっと女神様があらやだ奥さんみたいなノリで言う。
(いやちょっと待って)
「100人に100の世界を作るって、何がなんだか」
「そんな事して大丈夫なんですか?どんな世界になるかも分からないのに」
「大丈夫ですよ、あなたのいた星は私の初仕事だったんですけど、やり方が分かったから次は千でも万でも世界を作れるんです」
「ただ疲れちゃうので、100にしました♪」
「難しかったら『こんなのがいいなぁ』でもいいですよ、あとは私が補正しますので♡」
「細かな設定も受け付けますよ、要相談です♪」
「それと、転生する時期も決めてください♪」
「あまりに文化レベルが発展すると滅ぶ可能性もあるので、面白くておすすめは中世から近世辺りかなぁ」
『転生』は、世界の初めに私の種を蒔いておく事で神の介入には当たらずに可能らしい。
時が来るとその種が芽吹くようだ。
「あ、それと、実はあなたに頼みたい事があって…」
そう言って頬を染めてもじもじする女神様はとても可愛かった。
「なんですか?」
首を傾げて問うたところ、ガッと右手を両手で握ってきた女神様の圧に少し引いてしまう。
「あなたの世界を、エロくしてもいいですか?!」
「はい?」
「ていうかしますね!絶対しますね!」
「私に愛のあるエロを、めくるめく官能の日々を見せてほしいのです!」
「え、え?!」
可憐な女神様の口から、まさか『エロ』『官能』という言葉が出てきた事に驚きすぎて内容を理解できなかった。
落ち着いたところで話を聞いてみると、なんと女神様はむっつりスケベという事が判明。
だが何でもいいというわけではなく、愛のあるエロが好きという事だった。
ヤンデレもいけるらしい。
私も鬱になる前は思春期を迎えてからTL作品などもある程度、というかガッツリ嗜んでいたし、むっつりスケベな自覚はある。
それを誰かと共有する事も実践する事もなく終わってしまったけれど。
なんとなく女神様とシンパシー感じてしまった気がする。
おそらく女神様も私と同じ初心なのだろう。
神様同士の恋愛ってどうなってるのかは分からないけれど。
こう、拗らせてる感というか。
「私は思っていたのです、せめても辛く愛のなかった子たちが愛のある優しい世界で幸せになってほしいと…」
「あなたには幸せになる才能があるはずです」
「だから大丈夫、どうか私とともに世界を作り幸せになってください……そして私に萌えを」
最後の方が小さくて聞こえなかったが、美しい女神様が両手を組み祈るように話す姿は、神々しくて後光が見えた。
何よりも幸せになってと願う女神様に、シンパシーとか思っていた自分を殴りたくなるくらい感動していた。
私は女神様の両手を握り力強く宣言した。
「分かりました!女神様、私頑張ります!」
女神様と私は固く握手をし、エロく優しい世界について相談するのだった。
女神様の後光のせいで頭ぽやーとしていた私が、そのエロの対象に自分も含まれるという事に気付くのはまた後のお話し。
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