勇者パーティーの仲間に裏切られたので、信頼できる仲間達と共に復讐したいと思います〜相反する2つの固有スキル【借用】と【奪取】が最凶だった件〜

赤星怜

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第一章 裏切りと『力の試練』

第5話 〜方針〜

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『さて、じゃあ、今後の展開について話していこう!』

 俺の様子を満足気に眺めた後、サラが口を開いた。

「ああ、そうだな。俺はとりあえず闇の女神が言っていたようにこの森の最深部に向かおうと思う」

『うんそうだね、とりあえずこの森の深層に行った方がいいかな?……ねぇ、シルフ、ここがどこの森か分かる?』

 サラがシルフに尋ねる。
 シルフは風の大精霊だから、自然環境についてはこの中の誰よりも知っているのだ。

『ここは、よく分からないですけど、相当高難度の森なのですよ。魔物の気配も大きくて、強いのが多いと思うですよ』

『ありがとう。だってさ、ライムくん。とりあえずここの魔物で新しい固有スキルを試してみたら?』

「たしかに、それもいいな。じゃあ、もう少し休憩したら、外に出て魔物と戦ってみるか」

『うんうん!それがいいと思うよ!相性的にはボクがちょうどいいと思うから、ボクはこのまま残るね』

「そうだな、多分ここの魔物には炎属性の魔法が有効っぽいからな」

 この世界には属性相性がある。
 例えば、森林などの自然にいるモンスターや氷のモンスターは炎に弱いが、逆に海のモンスターや湖のモンスターは炎に強いなどだ。

『それに……もし強い敵が出てきても、ライムくんには切り札があるしね』

「そうだな。あれはあんまり使いたくないけど……」

『そう?ボクはあれ結構好きだけど……ライムくんと合体しているって感じがするし』

「そ、そうか?」

『うん!』

 それから、俺達は少し休憩をして、洞窟を出た。
 流石に、魔力量が多い俺でも、大精霊全員をずっと顕現しておくと魔力がなくなってしまうため、洞窟から出る際に、サラを除いた精霊のみんなには精霊界に帰ってもらった。

 精霊界とは、一般的に精霊が住んでいるところで、今、俺の住んでいる世界とは別次元の世界のことだ。

 急に暗いところから明かりのあるところに出たからか、外をより一層眩しく感じ、目を細める。

『ライムくん、さっきからずっとこっちの様子を伺っている魔物が一匹いるよ』

 出て早々、サラが小声で俺に耳打ちしてきた。

 体の怪我は回復してるし、ある程度戦えると思うけど、ここの魔物のレベルがどれぐらいか分からないから、気をつけないとな。

 改めて気合を入れ直し、戦闘態勢に入る。

『来るよ!』

 サラの言葉と同時に身長が3メートルぐらいありそうな緑色の肌の魔物が持っている石斧を振り下ろしてきた。

 多分オークだな……

 俺は余裕を持ってその攻撃をかわす。
 魔物は続けて追撃を仕掛けてくるが、それも冷静に対処し、攻撃をよけた。

 それにしても、こいつ強いな。
 オークはギルドでは、基本的にはC級魔物に設定されていて、そこまで強くない。
 だが、今俺が戦っているオークは明らかにB級魔物ぐらいの力を持っていた。

 なるほど、これならテネブラが深層に向かえって言っていたのも分かるような気がするな。
 そう思いながら、呪文を唱える。

「炎精霊魔法”炎槍えんそう”」

 俺が放った炎の槍はそのまま一直線にオークに向かい、そしてそのまま腹を貫いた。

 以前までの俺であればここからオークの死体の解体、魔石の回収をするのだが、今の俺は他にやるべきことがあった。
 オークの死体の前に立ち、テネブラから与えられた固有スキルを発動する。

「“奪取ロブ”」

 固有スキルを発動させると、オークの死体から黒色のモヤが出て、俺の体の中に入ってきた。

 すると次の瞬間、俺の頭の中に自分が奪ったオークの固有スキルの名称と詳細が浮かび上がった。

 ~~~~~~~

 奪ったスキルロブスキル:鑑定(この世界のありとあらゆるものについて知ることができる。ただし知る度合いは使用者の魔力量によって決まる)

 ~~~~~~~

『ライムくん、何のスキルをゲットしたの?』

「”鑑定”っていうスキルだよ」

『えっ!?それめっちゃレアスキルじゃん。試しにこのオークの魔石で使ってみなよ』

 そう言ってサラは俺にオークの魔石を差し出してきた。

 俺がそれに”鑑定”を使うと、頭の中にオークの魔石に関する情報が浮かび上がってくる。

「”鑑定”」

 ~~~~~~~

 ハイオークの魔石

 オークが特殊個体として進化したものの魔石。
 価値が高く売ると、通常のオークの魔石の値段の約8倍の値段で売れる。
 魔石自体は主に、魔道具に使われる。

 ~~~~~~~

 思っていたよりも得られる情報が多いことに驚きつつ、改めて、テネブラにもらった固有スキルの恐ろしさを実感した。

『ライムくん、どうだった?』

「この”鑑定”っていうスキル、思っていたよりもやばいな。ほとんど全部の情報が入ってきてる気がするし」

『そりゃあね、ライムくんの魔力量に比例して、鑑定できる情報量も増えるからね。もうほとんど全ての情報は分かるはずだよ。それにこのスキルの何が強いって、敵の情報もわかるところだよね』

「敵に対してもこのスキル、使えるのか?」

『うん。というか、そっちがメインだと思うよ。基本的に【鑑定書】のスキルバージョンっていう認識でいいと思う』

「なるほどな」

 そりゃ、強いわけだ。
 そして、俺とサラは次なる敵にスキルを試すため、より森の深層部に潜っていった。
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