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新たな聖女
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聖堂に到着すると、すでにそこには大勢の人間が集まっていた。
皆、ルヴェルナの聖女の出現を聞きつけてやってきたらしい。
彼らは口々に祈りを捧げながら跪き頭を垂れていた。
レイアードは馬車の中からその様子を見ると、アリシアにフードを深くかぶるよう促してきた。
そして馬車を聖堂の裏手へつけるよう、御者に指示をした。
「あの、レイアード様……」
不安になりつつもアリシアが問うと、レイアードは静かに「大丈夫です」と言うだけだった。
レイアードは馬車から降りると辺りを見回した後、アリシアに手を差し出してきた。
アリシアはその手を取ってゆっくりと降り、そのまま手を引かれるがままに歩いた。
「使いの者から話は聞きました。いったいどういうことでしょう⁉」
聖堂内にレイアードの声が響き渡る。
すると、その場にいた人々が一斉にこちらを振り返り、そしてまた一斉に跪いていった。
「ルヴェルナの聖女だと名乗る人物が現れたと?」
「はい」
司祭のうちの一人が前に出てきて深く頭を下げた。
「詳しく話を聞かせてください」
司祭は立ち上がると、言葉を慎重に選びながら話し始めた。
「はい。本日の早朝のことでございますが、ルヴェルナの聖女を名乗る女性が現れたとの報告がありました」
「……その方はどちらに?」
レイアードの問いに司祭は大きく頷く。
「はい。あちらでございます」
司祭が指し示した方向には、聖堂内に設けられた聖壇があり、その傍らに一人の少女が立っていた。
蜜色の柔らかそうな髪は長く、春の日の空のような青い瞳を持った少女だった。
年の頃はアリシアと同じくらいだろうか、清楚な雰囲気を持つ美しい少女である。
少女は両手を組み跪いて祈りを捧げるような仕草を見せている。
「あれが……」
少女を見たレイアードは眉根を寄せた。そして傍らに立つアリシアの方をちらりと見やる。
「ルヴェルナの聖女はアリシア様ただ一人のはずです」
「ですが、も、申し上げにくいのですが、昨日アリシア様が清められなかった聖杯を彼女はいとも容易く浄化いたしました」
「……」
レイアードが押し黙ると、司祭は慌てたように続けた。
「も、もちろん、アリシア様を疑うなど滅相もございません! ただ、その……彼女はルヴェルナの聖女である証となる聖紋もその身に宿しておりまして……」
「聖紋が……?」
レイアードの眉間の皺が深くなる。しかしすぐに表情を緩めて言った。
「わかりました。彼女と話すことは可能ですか?」
「……ええ、もちろんですとも」
司祭が少女に声をかけ、彼女は足早にこちらへとやってきた。
レイアードとアリシアの前に来ると、彼女はゆっくりと一礼した。
「お目にかかれて光栄です。レイアード様。わたくし、エルゼと申します」
少女は澄んだ声でそう言うと、にこりと微笑んだ。
その可憐な笑みに周囲が息を呑むのが分かる。
「――貴女がルヴェルナの聖女である証をお持ちだというのは本当ですか?」
「はい。ご覧になりますか?」
エルゼはそう言うと、おもむろに服の胸元を広げた。その白い胸元にはうっすらとだがなにかの紋章のような痣が浮かんでいた。
「これは……」
レイアードも驚いたのか目を見開いている。
「これで信じていただけましたか? わたくしは間違いなくルヴェルナの聖女です」
そんな彼女の答えを聞いた瞬間、聖堂内の空気が一気に変わったのが分かった。誰もが期待に満ちた眼差しで二人を見ているのだ。
しかしそんな中、レイアードだけが険しい表情をしていた。彼はしばらく考え込んだあと口を開くと、静かに言った。
「失礼ですが、その聖紋が本物かどうかの判別は難しいですね」
エルゼはきょとんとした後困ったように眉を下げた。
「そもそもルヴェルナの聖女は聖騎士がいなければ力の発揮は難しいはず。それなのに聖杯の浄化を一人で行ったというのは……」
レイアードはそこまで言うと、ちらりとエルゼの胸元に目をやった。そして再び彼女へと視線を戻す。
「わたくしはもともと聖なる力を持っておりましたゆえ、その程度の小さな聖杯の浄化など容易いこと。むしろ、そんな浄化すらできない方が聖女を名乗るなんて……」
エルゼはそこまで言って、ちらりとアリシアを見た。
まるで勝ち誇ったような表情に、アリシアはぎくりと身体を硬くする。
しかし、レイアードがそんなアリシアを庇うかのように、すぐさま反論した。
「アリシア様を侮辱するような言い方はやめていただきたい」
「侮辱などしておりません。ただ事実を申し上げてるだけです」
エルゼはそう言ってアリシアの方を見る。その眼差しは嘲るようなものだった。しかしすぐにレイアードへと向き直り、優雅に微笑んで見せた。
「どうしてレイアード様はわたくしよりもこのような方を評価されるのですか? 聖女は間違いなくこのわたくしです」
エルゼはレイアードに詰め寄りながら訴えかけるように言った。
「……わたくしと肌を重ねてくださればすぐにわかること。レイアード様は、このわたくしにこそその聖なる力を注いでくださるべきなのです」
「なにをっ……⁉」
エルゼはレイアードに身体を密着させながら言った。
アリシアは驚きのあまり言葉を失ったが、それ以上に動揺したのはレイアードの方だった。彼は一瞬目を瞠ったあと、エルゼの肩を掴んで引き離そうと試みる。
「さあ……早くわたくしの身体に触れてください」
「――っ!」
レイアードは苦々しい表情を浮かべながらエルゼの身体を引き離した。
しかし、エルゼは諦めずに再びレイアードに近づこうとする。
「やめろ!」
レイアードは語気を強めてエルゼを拒絶する。
「どうしてですか? わたくしはルヴェルナの聖女ですのよ?」
「申し訳ないが、わたしにとって、聖女はアリシア様だけです」
「そんな……」
エルゼは呆然とした表情でレイアードを見つめていた。しかしすぐに気を取り直すと、再び口を開く。
「でも……わたくしが聖女であることは変えられない事実。その娘がいつまでも力を発揮できなければ、レイアード様がなんと言おうと、いずれはわたくしに力を注がなければならなくなります」
エルゼはそう言って口元に笑みを浮かべた。
(……なんで、こんなことに……?)
アリシアは二人の会話を聞きながら呆然と立ち尽くしていた。しかし次の瞬間、レイアードが断言する。
「絶対に有り得ません。アリシア様、帰りましょう。ここに来たのは時間の無駄だったようです」
「……え、えっ?」
レイアードに背中を押され、アリシアは戸惑いつつも歩みを進めるしかなかった。
後ろではエルゼがなにか騒いでいたが、やがてその声は聞こえなくなった。
聖堂を出ると馬車が準備されていて、アリシアとレイアードは乗り込む。そしてレイアードは御者に出発を命じたのだった。
「……あの、レイアード様、よかったのですか?」
「構うことはありません」
レイアードの言葉はにべもないものだった。アリシアもそれ以上詮索する気になれず黙るしかない。
そのまま二人を乗せた馬車はレイアードの屋敷へと真っ直ぐに向かい、帰宅した頃には正午を回っていた。
帰宅してすぐにアリシアの部屋に向かったレイアードはそのまま彼女を押し倒すといきなりキスをしてきた。
「えっ⁉」
驚いて抵抗しようとしたものの、あっけなく押さえ込まれてしまう。しかも彼は巧みな動きで舌を絡めてくるものだから、身体から力が抜けていった。
(なんで急に……?)
そんなことを考えているうちに服の中に手が差し込まれる感覚があった。慌てて止めようとするが間に合わない。あっという間に胸元まで捲り上げられてしまった。そして、その隙にスカートをたくし上げられると下着に手をかけられたところでレイアードがぴたりと動きを止める。
「アリシア様……すみません……」
「え……?」
レイアードはそこで我に返ったように身体を起こし、バツの悪そうな表情を浮かべた。そしてそのまま俯いてしまう。その頬は少し赤らんでいて、まるで叱られた子供のような表情だった。
「あ、いえ……あの……」
どう反応したらいいのか分からず戸惑っていると、彼は小さく咳払いをして再び口を開いた。
「……彼女があんなことを言ったせいで少し動揺したのです」
レイアードはそう言ってアリシアから視線を逸らしたのだった。
皆、ルヴェルナの聖女の出現を聞きつけてやってきたらしい。
彼らは口々に祈りを捧げながら跪き頭を垂れていた。
レイアードは馬車の中からその様子を見ると、アリシアにフードを深くかぶるよう促してきた。
そして馬車を聖堂の裏手へつけるよう、御者に指示をした。
「あの、レイアード様……」
不安になりつつもアリシアが問うと、レイアードは静かに「大丈夫です」と言うだけだった。
レイアードは馬車から降りると辺りを見回した後、アリシアに手を差し出してきた。
アリシアはその手を取ってゆっくりと降り、そのまま手を引かれるがままに歩いた。
「使いの者から話は聞きました。いったいどういうことでしょう⁉」
聖堂内にレイアードの声が響き渡る。
すると、その場にいた人々が一斉にこちらを振り返り、そしてまた一斉に跪いていった。
「ルヴェルナの聖女だと名乗る人物が現れたと?」
「はい」
司祭のうちの一人が前に出てきて深く頭を下げた。
「詳しく話を聞かせてください」
司祭は立ち上がると、言葉を慎重に選びながら話し始めた。
「はい。本日の早朝のことでございますが、ルヴェルナの聖女を名乗る女性が現れたとの報告がありました」
「……その方はどちらに?」
レイアードの問いに司祭は大きく頷く。
「はい。あちらでございます」
司祭が指し示した方向には、聖堂内に設けられた聖壇があり、その傍らに一人の少女が立っていた。
蜜色の柔らかそうな髪は長く、春の日の空のような青い瞳を持った少女だった。
年の頃はアリシアと同じくらいだろうか、清楚な雰囲気を持つ美しい少女である。
少女は両手を組み跪いて祈りを捧げるような仕草を見せている。
「あれが……」
少女を見たレイアードは眉根を寄せた。そして傍らに立つアリシアの方をちらりと見やる。
「ルヴェルナの聖女はアリシア様ただ一人のはずです」
「ですが、も、申し上げにくいのですが、昨日アリシア様が清められなかった聖杯を彼女はいとも容易く浄化いたしました」
「……」
レイアードが押し黙ると、司祭は慌てたように続けた。
「も、もちろん、アリシア様を疑うなど滅相もございません! ただ、その……彼女はルヴェルナの聖女である証となる聖紋もその身に宿しておりまして……」
「聖紋が……?」
レイアードの眉間の皺が深くなる。しかしすぐに表情を緩めて言った。
「わかりました。彼女と話すことは可能ですか?」
「……ええ、もちろんですとも」
司祭が少女に声をかけ、彼女は足早にこちらへとやってきた。
レイアードとアリシアの前に来ると、彼女はゆっくりと一礼した。
「お目にかかれて光栄です。レイアード様。わたくし、エルゼと申します」
少女は澄んだ声でそう言うと、にこりと微笑んだ。
その可憐な笑みに周囲が息を呑むのが分かる。
「――貴女がルヴェルナの聖女である証をお持ちだというのは本当ですか?」
「はい。ご覧になりますか?」
エルゼはそう言うと、おもむろに服の胸元を広げた。その白い胸元にはうっすらとだがなにかの紋章のような痣が浮かんでいた。
「これは……」
レイアードも驚いたのか目を見開いている。
「これで信じていただけましたか? わたくしは間違いなくルヴェルナの聖女です」
そんな彼女の答えを聞いた瞬間、聖堂内の空気が一気に変わったのが分かった。誰もが期待に満ちた眼差しで二人を見ているのだ。
しかしそんな中、レイアードだけが険しい表情をしていた。彼はしばらく考え込んだあと口を開くと、静かに言った。
「失礼ですが、その聖紋が本物かどうかの判別は難しいですね」
エルゼはきょとんとした後困ったように眉を下げた。
「そもそもルヴェルナの聖女は聖騎士がいなければ力の発揮は難しいはず。それなのに聖杯の浄化を一人で行ったというのは……」
レイアードはそこまで言うと、ちらりとエルゼの胸元に目をやった。そして再び彼女へと視線を戻す。
「わたくしはもともと聖なる力を持っておりましたゆえ、その程度の小さな聖杯の浄化など容易いこと。むしろ、そんな浄化すらできない方が聖女を名乗るなんて……」
エルゼはそこまで言って、ちらりとアリシアを見た。
まるで勝ち誇ったような表情に、アリシアはぎくりと身体を硬くする。
しかし、レイアードがそんなアリシアを庇うかのように、すぐさま反論した。
「アリシア様を侮辱するような言い方はやめていただきたい」
「侮辱などしておりません。ただ事実を申し上げてるだけです」
エルゼはそう言ってアリシアの方を見る。その眼差しは嘲るようなものだった。しかしすぐにレイアードへと向き直り、優雅に微笑んで見せた。
「どうしてレイアード様はわたくしよりもこのような方を評価されるのですか? 聖女は間違いなくこのわたくしです」
エルゼはレイアードに詰め寄りながら訴えかけるように言った。
「……わたくしと肌を重ねてくださればすぐにわかること。レイアード様は、このわたくしにこそその聖なる力を注いでくださるべきなのです」
「なにをっ……⁉」
エルゼはレイアードに身体を密着させながら言った。
アリシアは驚きのあまり言葉を失ったが、それ以上に動揺したのはレイアードの方だった。彼は一瞬目を瞠ったあと、エルゼの肩を掴んで引き離そうと試みる。
「さあ……早くわたくしの身体に触れてください」
「――っ!」
レイアードは苦々しい表情を浮かべながらエルゼの身体を引き離した。
しかし、エルゼは諦めずに再びレイアードに近づこうとする。
「やめろ!」
レイアードは語気を強めてエルゼを拒絶する。
「どうしてですか? わたくしはルヴェルナの聖女ですのよ?」
「申し訳ないが、わたしにとって、聖女はアリシア様だけです」
「そんな……」
エルゼは呆然とした表情でレイアードを見つめていた。しかしすぐに気を取り直すと、再び口を開く。
「でも……わたくしが聖女であることは変えられない事実。その娘がいつまでも力を発揮できなければ、レイアード様がなんと言おうと、いずれはわたくしに力を注がなければならなくなります」
エルゼはそう言って口元に笑みを浮かべた。
(……なんで、こんなことに……?)
アリシアは二人の会話を聞きながら呆然と立ち尽くしていた。しかし次の瞬間、レイアードが断言する。
「絶対に有り得ません。アリシア様、帰りましょう。ここに来たのは時間の無駄だったようです」
「……え、えっ?」
レイアードに背中を押され、アリシアは戸惑いつつも歩みを進めるしかなかった。
後ろではエルゼがなにか騒いでいたが、やがてその声は聞こえなくなった。
聖堂を出ると馬車が準備されていて、アリシアとレイアードは乗り込む。そしてレイアードは御者に出発を命じたのだった。
「……あの、レイアード様、よかったのですか?」
「構うことはありません」
レイアードの言葉はにべもないものだった。アリシアもそれ以上詮索する気になれず黙るしかない。
そのまま二人を乗せた馬車はレイアードの屋敷へと真っ直ぐに向かい、帰宅した頃には正午を回っていた。
帰宅してすぐにアリシアの部屋に向かったレイアードはそのまま彼女を押し倒すといきなりキスをしてきた。
「えっ⁉」
驚いて抵抗しようとしたものの、あっけなく押さえ込まれてしまう。しかも彼は巧みな動きで舌を絡めてくるものだから、身体から力が抜けていった。
(なんで急に……?)
そんなことを考えているうちに服の中に手が差し込まれる感覚があった。慌てて止めようとするが間に合わない。あっという間に胸元まで捲り上げられてしまった。そして、その隙にスカートをたくし上げられると下着に手をかけられたところでレイアードがぴたりと動きを止める。
「アリシア様……すみません……」
「え……?」
レイアードはそこで我に返ったように身体を起こし、バツの悪そうな表情を浮かべた。そしてそのまま俯いてしまう。その頬は少し赤らんでいて、まるで叱られた子供のような表情だった。
「あ、いえ……あの……」
どう反応したらいいのか分からず戸惑っていると、彼は小さく咳払いをして再び口を開いた。
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