忘らるる聖女は氷の騎士の〇〇でしか力を発動できません

桜雨ゆか

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儀式の始まり ✤

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「アリシア様。儀式の間に移動しましょうか?」
「…………」

 耳のすぐそばでレイアードが囁いた。
 アリシアは力のあまり入らない身体でゆっくりと首をもたげ、レイアードに顔を向けた。

「――歩けますか?」
「……はい」

 アリシアが小さく答えると、レイアードは逡巡するようにアリシアの全身を一瞥してから、「失礼」と言って背中と膝裏に腕を回してきた。
 そのまま横抱きに抱え上げられてしまい、アリシアは慌てたように声を上げる。

「えっ⁉ あの、レイアード様?」
「足元がおぼつかないご様子ですので、お運びいたします」

 レイアードはそう言うと、そのまま歩き出した。
 ばしゃばしゃと水音を立てて泉から出ると、そのまま奥へと進んで行く。
 しばらく進むと、通路の突き当たりに大きな扉が見えてきた。

「ここです」

 レイアードがそう言って扉を開ける。
 中へ入るとそこは、神殿と同じ赤い絨毯の敷かれた広い部屋だった。
 部屋の真ん中には大きな天蓋付きの寝台が置かれていて、その周りには香炉や燭台などが並べられている。
 レイアードはアリシアを寝台に横たわらせ、その上に覆いかぶさった。

「アリシア様……」

 レイアードの顔が唇が触れ合いそうな距離まで近付く。けれど、彼が口づけてくることはなかった。かわりに、そっと指先が頬を撫で、唇をなぞっていく。

「んっ……」

 アリシアが小さく声を上げると、レイアードは手を止めてじっとこちらを見つめてきた。
 その目はどこか熱っぽく潤んでおり、アリシアの胸はどきりと高鳴った。

(どうして……)

 どうしてこんなにも胸が騒ぐのだろうか?
 この人に触れられるたびに身体が熱くなるのはなぜなんだろう?
 そうこうしているうちに、レイアードの手が今度はアリシアの首筋に触れた。そのまま指先が鎖骨の方へと下りていく。そして胸元までくると、彼はそこで手を止めた。

「あっ……」

 レイアードの指先は乳房の丸みをなぞるように、ゆっくりと円を描き始める。

「んっ……、んんっ……」

 彼の手は乳房をなで回すのに、決してその頂には触れなかった。
 アリシアはむず痒いような、じれったいような気持ちになって身をよじるが、彼はその動きに合わせるようにして手の位置をずらしていく。

「はあっ……あ、んっ……」

 やがてアリシアの息は徐々に荒くなり始めていった。
 身体が熱い。もっと強い刺激が欲しいという気持ちが湧き上がってくる。
 だがそれを口にすることはできない。言葉にしてしまったら、自分がどうなってしまうのかわからないから。

「あ、あの……レイアード様……」

 アリシアは震える声で呼びかけるが、彼は何も答えなかった。ただじっとアリシアのことを見つめているだけだ。

「はぁ、はあっ……」

 触れられていないのに、胸の先端が熱い。熱を持って、じんじんと痺れている。

「あ、あっ、あぁ……」

 レイアードの指は変わらずに乳房をそっと撫でる。
 色づきの境目で、くるくるくる、と指先が踊る。

「んっ、ふっ、ふぅっ……」

 アリシアの口からは切なげな吐息がこぼれた。
 しかしそれでもレイアードはそれ以上何もしてこなかった。
 指先は乳輪の輪郭をただなぞるだけ。時折、ぴたりと止まるけれど、少ししてまた同じ動きを繰り返す。

「あ、あ……やぁっ……」

 もどかしさに腰が揺れ動いた。

「あなたのここは、とても可愛らしい」

 レイアードはアリシアの耳元に唇を寄せて囁いた。そのまま舌先で耳の穴をねっとりと舐め上げてくる。

「ひぁっ……やっ……」

 ぬるりとした感触に背筋がぞくりとする。
 レイアードはそのまま首筋へと移動していき、今度は鎖骨の上に口づけた。ちゅっと音を立てて吸い付かれるたびに、びくんと身体が跳ね上がる。

「やっ、あっ……」
「硬く尖って一生懸命だ」

 そう言ってレイアードはアリシアの乳房の先端をぴんっと指で弾いた。

「ひんっ!」

 さんざんにもったいつけられて、敏感になった部分への強い刺激に、アリシアは思わず仰け反った。
 レイアードはそのまま何度か指先で乳首をつつき、アリシアの顔を覗き込んでくる。

「どうされたいですか? あなたの望みに沿いたい……」
「――っ」

 アリシアは顔を真っ赤に染め、口をつぐみながらレイアードから視線をそらした。しかし彼はそれを許さず、両手で乳房をゆっくりと揉みしだいてきた。

「あっ……やぁっ……」
「教えてください。こうして全体を強く揉みこまれるのがいいですか? それとも――」
「――んあっ」
「先端を優しく撫でられたいですか?」
「あっ、ああっ、あんっ……」

 レイアードはアリシアの返事を待たずに、指の腹が乳首を撫でる。

「それともこうですか?」

 言いながら、レイアードは親指と人差し指を使って乳首をつまんでくる。そしてそのままくにくにと動かしたり、引っ張ったりして弄んだ。

「やぁっ……あっ……あ」

 レイアードの指が乳首をこねくり回し、先端のくぼみを押しつぶすようにして撫でてきた。

「ひっ、あっ……ああっ……」

 アリシアの口からは甘い悲鳴がひっきりなしに漏れた。しかしそれでもレイアードの指の動きが止まることはなかった。

「答えていただけないなら、色々と試してみましょう」

 親指と人差し指が乳首をきゅっと強くつまみあげる。そのまま軽くねじるようにして引っ張られた。

「あっ……やあぁっ……」

 アリシアは甲高い声を上げて悶えるが、レイアードの手はまだ止まらない。
 指先で乳首を押しつぶすようにしてぐりぐりと動かしてきたかと思うと、爪先でぴんっと弾くようにする。緩急をつけながら執拗に胸への愛撫が続き、時折思い出したように乳房全体を揉まれると身体の奥底からじんわりと熱がわき上がり始めたのを感じた。

「はぁ、はあっ、あぁんっ、レ、イアードさまぁっ……」

 アリシアは、乳房を包み込んでいるレイアードの手に自分の手を重ねて懇願するような眼差しを向けた。すると彼は口元をわずかにほころばせた。

「どうされたいのですか?」

 レイアードはアリシアの耳朶を食みながら囁いた。その吐息だけでも感じてしまい、小さく身体を震わせてしまう。そしてさらに耳の中へ舌を差し入れられて舐められたりしたらもうどうしようもない。

「あっ……やぁっ、もっ、と……」

 ほとんど無意識だった。
 アリシアはうわ言のようにつぶやき、レイアードにすがりついた。自分の身体で一番疼いているところをレイアードの脚に擦り付けるようにして腰を揺する。

「ああ、ここですね……」

 そう言ってレイアードは右手で乳房を揉みしだきながら左手で下腹に触れてきた。次に恥丘を撫で、さらにその下へと指を這わせていく。

「あっ……んんっ……」

 指先はぴたりと止まると、そこで円を描くように動き始めた。
 皮膚の上で指がぬるぬると動く。それだけで思考がとろけそうになった。

「あっ、やっ……そっ、そこは……」
「あなたがねだった場所ですよ?」
「ちがっ、ねだって、なんて……っ、ああっ……」

 アリシアは思わず腰を引いたが、すぐに引き戻されてしまう。
 レイアードはアリシアの耳元に唇を寄せると、低くかすれた声で告げた。

「もうこんなに濡れて……。わたしの指で気持ちよくなれていますか?」

 レイアードは割れ目の上にある小さな芽にそっと触れた。その瞬間、びくんと腰が跳ね上がる。

「ほら、ここも。こんなに大きくなって」
「あんっ、ひ、あっ、ああっ……」

 レイアードは指の腹を使って、尖った陰核を撫で上げた。下から上へと何度も繰り返す。

「あっ……やぁっ……ああぁっ」

 そのたびアリシアは背中をのけぞらせ、甘い声を上げて悶えた。
 しかしレイアードの手は止まらずにさらに激しく動く。指の腹で押し潰すようにしながら小刻みに揺すられたり、くるくると回転させたりされるうちに、アリシアの身体はどんどん熱くなっていく。

「やっ、レイアード、さ、まっ、だめ、やめて、やめてくださっ……んあっ……」
「どうしてです? こうするととても気持ちよさそうにしていらっしゃる」
「あっ、ああっ、やぁっ……、だめです、んあぁっ……」

 このままでは本当にどうにかなってしまう。そう思った瞬間だった。
 レイアードが胸元に顔を埋め、乳首に吸い付いてきた。

「やあぁっ…… あっ、んんっ……ああっ……」

 レイアードの舌先が乳輪に沿って円を描くようにして舐め上げてきたかと思うと、そのまま先端部分をつつかれるように刺激された。同時にもう片方の胸も揉みしだかれ、アリシアの口からはひっきりなしに嬌声が上がる。
 その間にも、陰核を擦る指の動きが止まることはない。くりくりとしつこく撫で回し、時々爪を立てて引っかかれるような動きも交えてくる。

「レイアードさまぁ、おねが、いっ、あっ、ああっ、ひっ、ひんっ……」
「……――ああ、可愛い人だ」

 乳首に舌を伸ばしながら、レイアードが熱っぽくささやいた。
 けれど、その言葉は快楽に蕩けたアリシアの耳には届かなかった。
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