忘らるる聖女は氷の騎士の〇〇でしか力を発動できません

桜雨ゆか

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夜のお清め 1 ✤

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 そうして日暮れを迎えた頃、レイアードがアリシアの部屋を訪れた。

「アリシア様、準備が整いました」
「……はい」

 重い気持ちのまま返事をすると、レイアードは不思議そうに小首をかしげたが、それ以上なにも言わず、アリシアの手を取ると部屋の外へと連れ出した。
 長い廊下を抜け、階段を上り下りし、神殿の奥へと進む。やがて一つの扉の前で立ち止まった。
 朝に行った泉の広間へと続く扉だ。

「こちらです」

 そう言ってレイアードは扉を開ける。中へ入るよう促されて足を踏み入れる。
 広間の中は朝きたときよりも薄暗く、天井から吊り下がった無数のランプだけが唯一の光源となっているためか、どこか淫靡な雰囲気を漂わせているように思えた。

(ああ……)

 アリシアは絶望にも似た思いを抱いたまま、レイアードに導かれるままに部屋の真ん中へと進み出たところで立ち止まった。

「それでは始めましょう」

 言外に衣服を脱ぐように言われているのはわかったけれど、アリシアの手は動かなかった。
 朝の時はなにをされるかもよく理解していなかったし、混乱していたけれど、今は違う。
 このあとなにをするのか、されるのか、男女の営みに疎いアリシアでもさすがにわかっていた。
 また、朝みたいに身体を弄られて、自分が自分じゃないような感覚に陥らされるのかと思うと恐怖心を抱いた。
 しかし、だからといって拒むことも逃げ出すこともできないのもわかっている。
 アリシアはぎゅっと拳を握り込んだまま立ち尽くしていた。
 そんな様子を見兼ねてか、レイアードが声をかけた。

「アリシア様」
「……はい」
「怖いですか?」
「……っ」
「大丈夫です。あなたが苦痛に思わぬよう努力いたします」

 レイアードはそう言ってアリシアの肩に手を置いた。

「さあ、まずは清めから始めましょう。朝と同じようにわたしは目を閉じていますから。――それともお手伝いいたしましょうか?」
「い、いえっ、大丈夫です! 自分でできます」

 アリシアが叫ぶように言うと、レイアードは頷いて目を閉じた。
 少しの間、躊躇ったアリシアだったが、やがて意を決したように服に手をかけた。そしてゆっくりと脱いでいく。下着姿になると、恥ずかしさでどうにかなりそうだったけれど、それでもなんとか耐えて全てを取り去った。

「ぬ、脱ぎました……」

 消え入りそうな声で告げると、レイアードは目を開けた。そしてゆっくりとアリシアに歩み寄る。
 恥ずかしさのあまり俯いていると、突然首筋を舐められた。

「ひぁっ!」

 驚いて顔を上げると、至近距離からじっと見つめられていることに気付いた。
 レイアードの瞳にはどこか熱っぽいものが見え隠れしており、その視線にさらされているだけで身体が熱くなるような気がした。

「あ……あの……?」

 戸惑うように声をかけると、彼はそっと顔を近づけてきた。
 唇と唇が触れ合いそうになったところで、アリシアはとっさにぎゅっと目を瞑ったが、レイアードは口づけてくるようなことはなかった。
 かわりにアリシアの耳元で囁いてくる。

「では、泉に……」
「……はい」

 アリシアは小さく返事をすると、レイアードに促されるまま泉のふちまで歩いて行った。そしてゆっくりと水の中へ入っていく。
 体温に近い水は心地よく、また素肌が外気にさらされる緊張を少しだけほぐしてくれた。

「…………」

 泉の中で硬直したアリシアの視界の中で、レイアードが衣服を脱いでいく。
 彼は一糸まとわぬ姿になると、そのまま水の中へと入ってきた。そしてゆっくりと近づいてくる。
 均整の取れた肉体美を目の当たりにして、アリシアは思わず息を飲んだ。

「失礼します」

 そう言ってレイアードはアリシアの身体を抱きしめた。
 素肌同士が触れ合う感覚に、アリシアは身体を強ばらせた。

「あ……あの……」

 戸惑いがちに口を開いたが、レイアードはそれを遮って続けた。

「どうかそのままで」

 そう言ったレイアードの手のひらが背中をゆっくりとさすり、そのまま下がっていった。
 背骨に沿って指が滑り降り、その大きな手はやがてお尻にたどり着いた。

「――っ⁉」

 レイアードは両手でアリシアの尻たぶをつかんだ。そしてそのまま揉み込むように動かしていく。

「あっ……」

 恥ずかしさと戸惑いで頭がいっぱいになり、うまく言葉にならない。
 そんなアリシアの様子などお構いなしに、彼はさらに強く揉んでくる。

「やっ……んぅ……」

 思わず身をよじるが、それでも彼は手を離そうとしない。それどころかより激しく動き始めたため、余計に恥ずかしくなった。
 レイアードの動きに合わせて水面は揺れ、時折、ぱしゃん、という音が耳に届く。
 その音を聞くたびに、アリシアは顔が熱くなっていく気がした。

「んっ、んっ……ん、ふっ……」

 お尻の形が変わってしまうのではないかと不安になるほど強く揉まれているうちに、次第に頭がぼーっとしてくる。

「あ……はぁ……」

 レイアードの指先がお尻の穴に触れたとき、びくんと身体が震えた。
 しかし、それでも彼は構わず穴の周りを撫で回すように触れてくる。

「ひ、あ……。やめ、やめて、くださっ……」

 アリシアは力の入らない声で懇願するが、レイアードはさらに激しく指を動かし始めた。
 後方の蕾の表面をあくまでも優しく、そっとさするように指が往復する。

「だ、め……、だめですっ……。そこはっ……、おねが、……だからぁ……ッ」
「ここはお嫌ですか?」

 レイアードは耳たぶを食みながらそう囁いた。
 その吐息混じりの声にぞくりと背筋が震えると同時に、身体の力が抜けていくような感覚に陥る。

「は、い……。や、です……っ」

 アリシアが震える声で答えると、レイアードは「わかりました」と言って指を離した。
 ほっとしたのもつかの間、今度は前から乳房が鷲掴みにされる。

「あ……っ!」

 手のひら全体で包み込まれるようにして揉まれ、指先が先端に触れた瞬間、びくんと肩が震えた。
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