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師弟編
第31話 初めての任務開始!
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ティアドラを見送り、立ち尽くす。
正直気になるが・・・今はティアドラに言われたようにしっかり訓練することにしよう。
俺はそう頭を切り替え、改めて掲示板を確認する。
「旧都に潜伏している魔族の討伐・・・ビリジ山に潜む魔物の調査・・・盗賊に盗まれた宝石の奪取か・・・。」
明らかに難易度が高そうだ。
依頼を確認すると依頼ランクBと記載されている。
つまりこれは冒険者ランクB以上の者が受けることができるということだ。
報奨金の額の高さに驚くと共に興味はあるが・・・今の俺には全く縁がない。
「あ、シリウスさん。Gランクの依頼はこちらの掲示板になりますよ!」
先ほどの受付嬢が俺がいる場所と正反対の掲示板を指さす。
あれ?俺名乗ったっけ?
一瞬そう思ったがよく考えればギルドカードを作る際に名前を記載した紙を渡していたのだった。
俺は小さく礼を言うと彼女が指した掲示板を確認する。
「日用品の買い出し・・・ペットの散歩・・・家の草引き・・・。」
子供でもできそうな依頼ばかりだった。
あ、俺まだ子供でした。
これらは報奨金の額も少ない。
ティアドラは訓練とか言っていたが・・・これでは訓練にも・・・お小遣い稼ぎにもなりそうもない。
「・・・お!」
俺はとある依頼に目が止まる。
これならば訓練にもなるし・・・そこそこ報奨金も高い。
俺はその依頼が書かれた紙を剥がすと受付嬢のところへと持っていく。
このように冒険者ギルドでは、依頼の書かれた紙を受付に持っていくことで受注となる。
彼女は紙を受け取ると内容を確認し、少々困った顔になる。
「これ・・・Fランクの依頼ですけど・・・大丈夫ですか?」
え!?
「あれ!?ごめんなさい!・・・ランク確認するの忘れてました・・・そっか、これ俺受けれないのか。」
俺は慌てて紙を取ろうとする。
すると何故か受付嬢も慌てた。
「あ、いえ、受けれないということはないですよ?一応討伐依頼以外の依頼については冒険者ランクの一つ上まで受注することができますので。・・・ですが一番最初の依頼がFランクというのは中々に難しいかと・・・。」
あ、そういうことね。
受けれない訳ではないのか。俺はホッと胸をなでおろす。
「あ、それならたぶん・・・大丈夫、です。いつも・・・やってることですから。」
俺が手にした依頼・・・それは青ツユクサの採取依頼であった。
どうやら西国ウルストでも一般的な回復薬の材料は青ツユクサが主流らしい。
「そうですか・・・達成が無理となった場合には違約金も発生してしまいますが・・・それでもよろしいです?」
俺は頷いた。
こうして俺の冒険者としての最初の任務が始まる。
まずは・・・準備の為に宿に戻るか!
宿に戻るとナシュ含む従業員たちが食事処で給仕をしていた。
余り邪魔するのも悪いと思い、こっそり部屋へと戻る。
・・・嘘だ。本当は見つかって話しかけられたくないからだ。
部屋へと戻ると必要なものを確認する。
依頼内容を思い出す。
・・・依頼内容は青ツユクサ20本。
必要数から判断するにこれで回復薬は大体10本くらい作ることができる。
ウルストの物価は分からないが・・・大体銀貨10枚分くらいだろうか。
それに対して報奨金は銀貨2枚分。作る手間賃を考えるとまぁ妥当な気がする。
追加報酬として1本につき銅貨1枚でギルドで買い取ってくれる。
たくさん採取するに越したことはないので出来る限り軽量な荷物でいきたい。
俺は最低限必要と思われる採取用ナイフと採取箱を鞄の中に入れ、腰に曲刀を差す。
丸薬は・・・あるな。丸薬ケースに収納している薬の種類、個数を確認して俺は部屋を後にする。
1階に降りると大分仕事も落ち着いていたのか。
ナシュが食事処の机に座りサボリ・・・もとい休憩をしていた。
あ、これはバレそうだ。
そう思ったと同時にナシュがこちらを振り向く。
「お、シリウスじゃないかにゃん。こっちに来るにゃ。」
暇つぶし道具を見つけたように彼女の目がらんらんと輝いている。
無視しようと思ったが・・・一応この宿に無銭で泊まらせてもらっているこの身としては無碍には出来ない。
俺は観念して彼女が座っている机へと向かう。・・・ん?
どうやら彼女の座る向かいには誰かが座っているようだ。
「どうかしましたか、ナシュさん。」
俺は少し警戒して話しかける。
昨日今日とナシュと話す内に彼女とはコミュニケーションが取れるようになった。
そのおかげか・・・ナシュは俺になれなれしい。
まぁいいんだけど。
「あの・・・ナシュ?・・・この方は・・・?」
ナシュの向かいに座っていた者は緊張感を露わにしている。
あ、俺と同じ匂いがする。
この子も多分コミュ障だ。
ちらと見てみると頭に耳が生えており、獣人であることが伺える。
服装は赤を基調とした・・・なんと着物である。
この世界にもあるんだ。
「コイツはシリウス。ティアドラ・・・様の弟子をやってるにゃ。そいでこの子は・・・。」
「・・・トキハ・シノノメの娘で・・・ナキ・シノノメと申します。どうぞ、よろしく・・・。」
ナキと名乗った子は立ち上がると小さくお辞儀をする。
あ、どうもと言いながら俺もお辞儀を返した。
恐らく俺よりも年下なのだろう。
父であるトキハと同じように赤みがかった長髪の金髪だが父とは異なり丁寧に整えられている。
非常に整った顔つきだがトキハのように勇ましいわけではなく、やわらかく、温和な印象を受ける。
また、小さな背丈の割りには大きな耳とふさふさな大きな尻尾が特徴的である。
あれ?ライオンってこんな尻尾だったっけ?
ライオンというよりどちらかといえば・・・狐っぽい。
母親が狐の獣人なのだろうか。
俺が不思議そうな顔をしているとナシュが察する。
「あぁ、そういえばシリウスは獣人についてはあんまり詳しくないんだったにゃ。」
そういって説明してくれた。
どうやら獣人族というのは親の種族に左右されないらしい。
つまり猫と犬の獣人から兎の獣人が生まれたりするわけだ。
なるほど。
「それで・・・ナシュさんは何故俺をここに?」
たぶんこの人の性格上あまりよろしくないことなんだろうな。
するとナシュは嫌らしくニヤリと笑う。
「実はな・・・親分にナキの教育をお願いされたのにゃが・・・めんどくさくなっ・・・ゴホン!私も仕事で忙しい身。という訳で代わりにシリウスに相手をしてもらうのにゃ!」
おい。
ほとんど本音が漏れてましたよ。
俺は白い目で彼女を見つめるが彼女は知らんぷりだ。
「そんなこと言われましても・・・俺も先ほど冒険者の登録をしてきて、これから初めての依頼なんですよ。なのでそれほど時間は・・・。」
ナシュの目がギラリと輝くのが見えた。
あ、これはまずい。
「お、それならちょうどいい!ナキもその任務へ連れてくといいにゃ!低ランクの任務なら危険もないし、なにより暇つぶしになるにゃ!・・・私もサボれるし。」
もはや本音駄々洩れである。
「えー・・・。でも冒険者でもないのに同行とかって出来るんです?」
するとずっと黙ってたナキが小さく手を挙げ声を出す。
「あ、私・・・一応冒険者登録しております。」
なんですと!?
「そうにゃ。ナキは昨年の誕生日に冒険者登録したのにゃ。ちなみに登録は10歳からできるのにゃよ。」
ナシュが勝ち誇ったような笑顔を浮かべる。
ということはナキは今11歳ということになる。
俺と2個違いだ。
「でも・・・ナキ、さんだって初対面の俺と依頼に行くなんて嫌ですよね!?」
するとナキは少し困ったような笑みを浮かべて首を横に振った。
「実は・・・父が依頼を受けることを中々認めてくれなくて・・・登録したのは去年なのにまだ一度も依頼を受けたことがないんです。・・・お邪魔はしませんので連れて行ってくださいませんでしょうか・・・?」
以外にもナキは乗り気の様だ。
どんどんと外堀が埋められている気がする。
「トキハ親分には私から言っておくにゃ!だからナキの願いを叶えてやってくれなのにゃ!」
う・・・。
俺は押しに弱い・・・気がする。
二人のプレッシャーに思わず俺は首を縦に振ってしまうのだった。
大丈夫なのかな・・・。
正直気になるが・・・今はティアドラに言われたようにしっかり訓練することにしよう。
俺はそう頭を切り替え、改めて掲示板を確認する。
「旧都に潜伏している魔族の討伐・・・ビリジ山に潜む魔物の調査・・・盗賊に盗まれた宝石の奪取か・・・。」
明らかに難易度が高そうだ。
依頼を確認すると依頼ランクBと記載されている。
つまりこれは冒険者ランクB以上の者が受けることができるということだ。
報奨金の額の高さに驚くと共に興味はあるが・・・今の俺には全く縁がない。
「あ、シリウスさん。Gランクの依頼はこちらの掲示板になりますよ!」
先ほどの受付嬢が俺がいる場所と正反対の掲示板を指さす。
あれ?俺名乗ったっけ?
一瞬そう思ったがよく考えればギルドカードを作る際に名前を記載した紙を渡していたのだった。
俺は小さく礼を言うと彼女が指した掲示板を確認する。
「日用品の買い出し・・・ペットの散歩・・・家の草引き・・・。」
子供でもできそうな依頼ばかりだった。
あ、俺まだ子供でした。
これらは報奨金の額も少ない。
ティアドラは訓練とか言っていたが・・・これでは訓練にも・・・お小遣い稼ぎにもなりそうもない。
「・・・お!」
俺はとある依頼に目が止まる。
これならば訓練にもなるし・・・そこそこ報奨金も高い。
俺はその依頼が書かれた紙を剥がすと受付嬢のところへと持っていく。
このように冒険者ギルドでは、依頼の書かれた紙を受付に持っていくことで受注となる。
彼女は紙を受け取ると内容を確認し、少々困った顔になる。
「これ・・・Fランクの依頼ですけど・・・大丈夫ですか?」
え!?
「あれ!?ごめんなさい!・・・ランク確認するの忘れてました・・・そっか、これ俺受けれないのか。」
俺は慌てて紙を取ろうとする。
すると何故か受付嬢も慌てた。
「あ、いえ、受けれないということはないですよ?一応討伐依頼以外の依頼については冒険者ランクの一つ上まで受注することができますので。・・・ですが一番最初の依頼がFランクというのは中々に難しいかと・・・。」
あ、そういうことね。
受けれない訳ではないのか。俺はホッと胸をなでおろす。
「あ、それならたぶん・・・大丈夫、です。いつも・・・やってることですから。」
俺が手にした依頼・・・それは青ツユクサの採取依頼であった。
どうやら西国ウルストでも一般的な回復薬の材料は青ツユクサが主流らしい。
「そうですか・・・達成が無理となった場合には違約金も発生してしまいますが・・・それでもよろしいです?」
俺は頷いた。
こうして俺の冒険者としての最初の任務が始まる。
まずは・・・準備の為に宿に戻るか!
宿に戻るとナシュ含む従業員たちが食事処で給仕をしていた。
余り邪魔するのも悪いと思い、こっそり部屋へと戻る。
・・・嘘だ。本当は見つかって話しかけられたくないからだ。
部屋へと戻ると必要なものを確認する。
依頼内容を思い出す。
・・・依頼内容は青ツユクサ20本。
必要数から判断するにこれで回復薬は大体10本くらい作ることができる。
ウルストの物価は分からないが・・・大体銀貨10枚分くらいだろうか。
それに対して報奨金は銀貨2枚分。作る手間賃を考えるとまぁ妥当な気がする。
追加報酬として1本につき銅貨1枚でギルドで買い取ってくれる。
たくさん採取するに越したことはないので出来る限り軽量な荷物でいきたい。
俺は最低限必要と思われる採取用ナイフと採取箱を鞄の中に入れ、腰に曲刀を差す。
丸薬は・・・あるな。丸薬ケースに収納している薬の種類、個数を確認して俺は部屋を後にする。
1階に降りると大分仕事も落ち着いていたのか。
ナシュが食事処の机に座りサボリ・・・もとい休憩をしていた。
あ、これはバレそうだ。
そう思ったと同時にナシュがこちらを振り向く。
「お、シリウスじゃないかにゃん。こっちに来るにゃ。」
暇つぶし道具を見つけたように彼女の目がらんらんと輝いている。
無視しようと思ったが・・・一応この宿に無銭で泊まらせてもらっているこの身としては無碍には出来ない。
俺は観念して彼女が座っている机へと向かう。・・・ん?
どうやら彼女の座る向かいには誰かが座っているようだ。
「どうかしましたか、ナシュさん。」
俺は少し警戒して話しかける。
昨日今日とナシュと話す内に彼女とはコミュニケーションが取れるようになった。
そのおかげか・・・ナシュは俺になれなれしい。
まぁいいんだけど。
「あの・・・ナシュ?・・・この方は・・・?」
ナシュの向かいに座っていた者は緊張感を露わにしている。
あ、俺と同じ匂いがする。
この子も多分コミュ障だ。
ちらと見てみると頭に耳が生えており、獣人であることが伺える。
服装は赤を基調とした・・・なんと着物である。
この世界にもあるんだ。
「コイツはシリウス。ティアドラ・・・様の弟子をやってるにゃ。そいでこの子は・・・。」
「・・・トキハ・シノノメの娘で・・・ナキ・シノノメと申します。どうぞ、よろしく・・・。」
ナキと名乗った子は立ち上がると小さくお辞儀をする。
あ、どうもと言いながら俺もお辞儀を返した。
恐らく俺よりも年下なのだろう。
父であるトキハと同じように赤みがかった長髪の金髪だが父とは異なり丁寧に整えられている。
非常に整った顔つきだがトキハのように勇ましいわけではなく、やわらかく、温和な印象を受ける。
また、小さな背丈の割りには大きな耳とふさふさな大きな尻尾が特徴的である。
あれ?ライオンってこんな尻尾だったっけ?
ライオンというよりどちらかといえば・・・狐っぽい。
母親が狐の獣人なのだろうか。
俺が不思議そうな顔をしているとナシュが察する。
「あぁ、そういえばシリウスは獣人についてはあんまり詳しくないんだったにゃ。」
そういって説明してくれた。
どうやら獣人族というのは親の種族に左右されないらしい。
つまり猫と犬の獣人から兎の獣人が生まれたりするわけだ。
なるほど。
「それで・・・ナシュさんは何故俺をここに?」
たぶんこの人の性格上あまりよろしくないことなんだろうな。
するとナシュは嫌らしくニヤリと笑う。
「実はな・・・親分にナキの教育をお願いされたのにゃが・・・めんどくさくなっ・・・ゴホン!私も仕事で忙しい身。という訳で代わりにシリウスに相手をしてもらうのにゃ!」
おい。
ほとんど本音が漏れてましたよ。
俺は白い目で彼女を見つめるが彼女は知らんぷりだ。
「そんなこと言われましても・・・俺も先ほど冒険者の登録をしてきて、これから初めての依頼なんですよ。なのでそれほど時間は・・・。」
ナシュの目がギラリと輝くのが見えた。
あ、これはまずい。
「お、それならちょうどいい!ナキもその任務へ連れてくといいにゃ!低ランクの任務なら危険もないし、なにより暇つぶしになるにゃ!・・・私もサボれるし。」
もはや本音駄々洩れである。
「えー・・・。でも冒険者でもないのに同行とかって出来るんです?」
するとずっと黙ってたナキが小さく手を挙げ声を出す。
「あ、私・・・一応冒険者登録しております。」
なんですと!?
「そうにゃ。ナキは昨年の誕生日に冒険者登録したのにゃ。ちなみに登録は10歳からできるのにゃよ。」
ナシュが勝ち誇ったような笑顔を浮かべる。
ということはナキは今11歳ということになる。
俺と2個違いだ。
「でも・・・ナキ、さんだって初対面の俺と依頼に行くなんて嫌ですよね!?」
するとナキは少し困ったような笑みを浮かべて首を横に振った。
「実は・・・父が依頼を受けることを中々認めてくれなくて・・・登録したのは去年なのにまだ一度も依頼を受けたことがないんです。・・・お邪魔はしませんので連れて行ってくださいませんでしょうか・・・?」
以外にもナキは乗り気の様だ。
どんどんと外堀が埋められている気がする。
「トキハ親分には私から言っておくにゃ!だからナキの願いを叶えてやってくれなのにゃ!」
う・・・。
俺は押しに弱い・・・気がする。
二人のプレッシャーに思わず俺は首を縦に振ってしまうのだった。
大丈夫なのかな・・・。
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