奴隷ダンジョン

甘い肉

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1章

第十三話:プロローグ

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 1人の女性が腰の高さ程の移動棚に食事乗せて歩いていた、
誰もいない通路にカラカラと軽い音を響かせて、通路の奥の暗がりから現れた女性は

 濃紺のワンピースに白いエプロンで、頭には白いカチューシャを着けて歩くその姿は誰が見てもメイドだが、

 お城でも館でもない薄黒いの深部を無言で歩く姿に違和感無いと言うのは無理があった


 そのメイド姿の女性は、起きながら寝ているように静かで、その瞳には光が宿っておらず、暗い廊下をコツコツと音を立てて進み、一つの扉の前で止まると、ノックもせずに静かに立つ、それはまるでメイド姿の人形が、初めから其処に据え置かれていたように見える程、彼女は微動だにしないで主人の次の命令を待っていた。






 女性が待つ扉の向こう側には、40畳ほどもありそうな広い空間広がっており、それはひどく殺風景で、よく磨かれた黒い石の床は、気持ちが落ち着くのを通り越し、余計に沈んでいくような空間で、部屋の中にあるものを説明するのは片手で足りる程度しかない


 ・豪勢なホワイトのフルリクライニングの椅子が一席

 ・300インチはありそうな巨大なモニター

 ・古ぼけた両開きのクローゼット

 ・キングサイズのベット

 ・巨大な転送装置のような機械



 誰も居ない静かな空間、壁一面を利用した巨大なモニターが真っ暗な状態から

 ブーンと音をたて、やや薄暗い状態に変化すると、何かの文字が突然現れ

 白いリクライニングの後ろに設置された転送装置のような機械がガタガタと音を立て始める

 人間2人は入れそうな大きさの、円筒状で360°透明なガラスケースの内部に、白煙が徐々に充満していき、やがて白煙は完全に充満し、内部は全く見えなくなった…


 完全に充満した機械は稼働を止めると、円筒状のガラスケースの上につけらた排気用のダクトから
 白煙が吸引されていき煙りが晴れると、


 無人だった筈のガラスケースの機械の中に1人の男が立っていた


 ガコン、と音がして


筒状ガラスケースは男の正面から両開きで半分ずつ開き、男はゆっくりとガラスケースから降りていく



 誰も居ない無人の部屋で男は、リクライニングの隣に移動する
 
 無駄な贅肉が一切なく、引き締まった細身の体の感触を確かめるように動かし始めだす

 拳を作ったり、屈伸をしたりしながら身体を馴染ませるように動かし続け、やがて満足したのかソファーに向かって歩きながら誰もいない部屋で、誰かに話しかける

「……マリー、腹減ったよ、なんか出してくれ」

 男はそう言いながら部屋の中心にあったフルリクライニングの椅子にドサっと座ると、モニターに人の顔が合われた


 モニターに映し出されたのは、少女から大人に変わる途中…間違いなく数年も経てば美女になると思える容姿だが……


 金髪でフワフワなパーマの髪が、巨大なモニターを埋め尽くすような髪の量で、まるで金色に輝く豪華ごうしゃな細工の壁の中で、顔だけ出して眠っているように見えた



 少し茶色で細長い眉毛は眉間に向かって、ややシワを寄せられ、一目で分かる程、不機嫌な感情を露わにしている


 閉じられたまま、開かない目蓋の下で長いまつ毛を少しだけ揺らしながら、口を開くと大きな部屋全体に広がるようなよく通る声で、男に抗議を唱える


「突然帰って来られてもそんなに直ぐに用意出来ませんよ、マスター」


 モニターの中で金色の壁から顔をだした女性に文句を言われた男は悪びれもせずにモニターに向かって足を組み、両手を頭の上に乗せるといつもの事だと、相槌を返す

「そう言うなよ、もう用意してるんだろ?」

 既に何十、何百回と繰り返されたのかわからないやり取りに女性も飽きたのか、それとも諦めたのか……

「……当然です…ですがその前に服を来て下さいっ!」

 男はガラスケースから出てきたときから全裸だった、

(誰も居ない場所で服を着る意味がわからないよ)

「…なんだ、だから目を閉じてたのか?」

「分かってるなら、言われる前にお願いします」

「はいはい、服着りゃいいんだろっと」
(どうせ見えてるんだから、目を閉じてたって一緒じゃないか?」


 ソファーから立ち上がった男がベットの脇にある両開きのクローゼットを開けると、用意されてる服は1着しか無く

「マリー……最近テレビの見過ぎじゃないか?」

「マスターが具体的な要望言わないからです」

「何でもいいけどさ………やれやれだ……」



 文句を言いながら用意された服を着ていくマスターと呼ばれた男は何処かの貴族の執事のようになり

「似合ってますよ、「私、◯◯◯で執事ですから」って言ってみてください」

「言うか馬鹿…さっさと飯の用意をしてくれよ」

「もう到着しています、さん、入って良いですよ」



 するとドアの一つも見当たらない壁に隙間ができ、内開きで開かれた扉から1人のメイドが食事を乗せた移動棚を押して部屋に入り、男の姿を確認すると「………失礼します」静かに頭を下げる



「今日はモモちゃんか……もう少し元気にならないもんかね?」

「オリジナルに影響してるんでしょう、召喚前・・・の複製ではこれが限界です」

「そっか……じゃあ、次のレアはモモちゃんにしといてくれ、これ決定な?」


 良い事を思いついたと子供のように男はソファーに座ると移動棚に乗せられたバケットをスープにつけてから口に運んでいく


「またそんな簡単に……最近少しレアが出過ぎて設定変えようと思ってたのに」

「まぁまぁ…とりあえずモモちゃんまでは今まで通りでしといてくれって」

「分かりました……所で、今回は突然の帰還でしたが何かあったんですか?」

「おおぉっ!うまいな今日のパンは…腕を上げたなマリー」

「当然です……何もなかったんですね?」
 冷たい口調だが女性は満足そうな顔をしていた



「いや?有ったよ?…なんと俺と似たような能力を持つ奴が居たんだ……ビックリだよな?」

 パンを頬張りながら男は本当に楽しそうに話していたが、モニターの女性は驚きを隠せなかった

「……………マスターと似たような……ですか?」

「あぁ……激レアだろ?」

 男は驚くモニターの女性の顔をみて更に楽しそうに食事を続け

「アレはきっとプラチナまで届くだろ………ここまで来ちゃったりしてなぁ?」

「まさか……王国は攻略を禁止している筈です………ですがそんな事が出来る人が居たら………そっちの人に乗り換えても良いですね」


「怖い怖い……本気で言ってるよこの人……まっ俺は楽しけりゃそれで良いんだっハハハハハハハハ…………」

 
 堪えきれないように高笑いする男の後ろで食事を持ってきた百瀬レンと呼ばれたメイドは何も言わずにマスターと呼ばれる男の後ろで静かに佇んでいた
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