2 / 14
序章
1話:ゲーム
しおりを挟む
第一話:ゲーム
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
木度流(きわたり ながれ)はオンラインゲームが大好きな、
所謂ゲームオタクだった、生活の殆どは
バイト→ゲーム→寝る→バイト→ゲーム→寝る
それを単調に繰り返し続ける毎日だが、バイトの時間も頭の中ではゲームの事ばかり考え、
寝ても覚めても、繰り返されるイベントをどう効率よく攻略すれば良いのか?
ライバル達を出し抜くには何が必要か、バイトの休憩時間は攻略サイトをひたすら漁る
そんな平凡なただのゲームオタクだった
普段滅多にしない残業をどうしても断れず、
何時ものログイン時間に遅れた木渡は急いで自宅に帰り玄関のドアを開けると
部屋の奥に有る付けっぱなしのPCには、今ハマってるオンラインゲームのログインウィンドウが開いたままだった
一人暮らしの誰も居ない部屋に灯りを付ける
いつもと同じ光景、いつもと同じように冷蔵庫から缶ビールのプルトップを開けて
シュワシュワと喉を通る刺激楽しみ、いつもと同じセリフを吐く
「あ”ぁぁっ!うんめえぇっ!!……って、ヤバイヤバイ時間ギリギリだっ!」
毎日決まった時間に発生する定期的なイベント
これに必ず参加する事
いつもと同じメンバーが自分を待っていてくれる事
木渡に取っては何より大事なルーチンだった
急いで、PCの前に座りログインウィンドウをクリックすると
自動ログインのポップをクリックする
画面に読み込みを示すNow loadingの表示が切り替わり
急いでイベントに参加する為の専用ゾーンへと移動すると
フィールドで到着を待っていたメンバーの名前がある事に気がつき
挨拶のチャットを書き込む前にパーティの誘いが飛んでくる
『ゲーム内チャットウィンドウ』
…キッド…おはよー✌︎('ω'✌︎ )✌︎('ω')✌︎( ✌︎'ω')✌︎
↩︎
…ビリケン…ちーす( ・∇・)
…モモレン…きた!きた!きたー♪───O(≧∇≦)O────♪
…ミーコ…遅せーーぞ( ´△`)
「やっぱり待たせちまったかー!」
…キッド…悪い悪いバイトが残業だった(T ^ T)
↩︎
…モモレン…バイトおつかれー_:(´ཀ`」 ∠):
…ビリケン…( ´△`)
…ミーコ…はやくVC繋げーやψ(`∇´)ψ
何時も通りの仲間のテンションに癒されながら、慌ててヘッドセットを装着して
Voice chatのアプリをスマートフォンから起動し、
何時ものルームへログインする
ミーコ「遅ーい!時間ギリギリじゃん!」
モモレン「まぁまぁ、お仕事お疲れ様ですー」
ビリケン「お疲れーキッド」
キッドというのは木渡が使っているハンドルネームだ
オンラインゲームを始めたばかりの頃、安直に考えた名前がそのまま定着してしまった
本人は後悔も反省もしている
「いやあーごめん!どうしても残業断れなくてギリギリになっちまった!」
ミーコ「タンクが居ないと効率悪いんだから!もう直ぐスタートよ?準備出来てるの?」
気の強い声で話す女の子は、ミーコというハンドルネームで
パーティの近接系火力を重視したキャラクターを扱っている
元気いっぱいで五月蝿いJKだ、会ったことは無い
モモレン「まぁまぁ、時間には間に合ってますよ?準備は大丈夫ですか?キッドさん?」
少し間延びした口調で話す女の子は、モモレンというハンドルネームで
回復、補助系を重視したキャラクターを扱っている
今年大学を卒業して新社会人になったらしい、
大人の女性だ、会った事は無い
ビリケン「よーし!今日も俺達がダメトップで間違い無しやな!」
エセ関西弁で話す男は、ビリケンというハンドルネームで
遠距離系火力を重視したキャラクターを扱っている
自営業してるらしい、会いたくは無い
キッド「準備は昨日の内に済んでるよっ!今日も俺たちが鯖トップだ!」
モニターにフィールドボスの出現時間を表すカウントがデカイ文字で表示され
周辺のプレイヤーのキャラクター達がワラワラと動き始める
良くある接続バグに対応する為だ
インフレ過多な人気ゲームで人が集まり過ぎてカウントゼロと同時に動かすと
動けなくなったり、下手したらゲームがシャットダウンする事がある
それを防ぐ為に事前に動き始めると何故かバグが起こりにくいのだ
ミーコ「来た来た来た!いくよー!皆んな動いてー!」
モニターのカウンターが数字を減らしていく
5…4…3…2…
ビリケン「行くぞー!!」
カウンターがゼロになる前にそれぞれのキャラクター達がスキルを実行する
モニターの中にプレイヤー達のスキルエフェクトが光始め
大量のボス達が出現と同時にHPゲージを一気に減らしていく
第一陣のボスが登場後、20秒と持たずに電子音の雄叫びを上げて撃沈
モニターにSystem Messageが流れる
ミーコさんのパーティが龍渓のフィールドボス『エンハンスドドラゴン』の討伐に成功しました
本来なら出現と同時に四方八方に散開を開始するボスが
数百を超えるのプレイヤー達に囲まれ動きを封じられ
アーも、スーも、無く瞬く間にやられる
ミーコ「やったー!今日もウチらのカッチいー♪」
モモレン「あっビリケン君落ちた」
キッド「相変わらず、回線よっわいなあー」
ビリケン「ぎゃあー!!褒賞!俺の褒賞!………無い……そんなぁ……」
ビリケンの悲痛な叫び声がVC越しに聴こえて来たが、
良くある事なので皆あまり気にしない
ミーコ「明日もあるでしょ?てかアンタ何回目よ?」
モモレン「ビリケンさん、どんまい」
ビリケン「はぁ…やっぱりPC買い直すしか無いか……」
キッド「とりあえず、ここは重いしホームに戻んないか?」
「「「賛成」」」
ホームとは一般的にはギルドホーム等を示すが、
俺たちのホームはゲーム内のフリースペースになっていてそれぞれのプレイヤー達が
露店を開いているここで4人でそれぞれにお店を開いてプレイヤー達を放置しながらVCで話しているのが俺たちの休憩時間だ
ミーコ「ねぇ…キッドはあの噂知ってる?」
モモレン「噂って例のダンジョンの事?…あっ売れたー♪」
ビリケン「おまえ…なんで隣にいる俺の方が安いのに売れねーんだよ!!」
キッド「ビリケンはキャラクターが怖すぎるんだよ……例のダンジョンてなんの事だ?」
ミーコ「なんか解放前のフィールドに裏口があって、実装前だから何にも無い筈なのに、隠しダンジョンが有るらしくてね、そこのモンスターは素材もアイテムも超一級らしいんだって?」
モモレン「キッドさんが知らないなんて珍しいね?」
キッド「…最近は時間が無かったからな、それで、その噂のダンジョンがどうしたんだ?」
ミーコ「実はさ…探して見たら、それらしい入り口見つけちゃったんだよね?」
ビリケン「ホンマかそれ!」
ミーコ「ちょっと声デカいって!」
モモレン「グワングワンする~」
キッド「それが本当なら運営に報告するべきだな」
ミーコ「ええええええ!!!何言ってんの?アンタ馬鹿なの?普通行くでしょう!!」
「「「お前の声が一番でかい」」」
ミーコ「うっゴッゴメン……とにかく中も確かめないで報告なんて阿保でしょ?せめて見に行くだけでも行こうよ?」
モモレン「そうだねえ、見ないとどんなバグかも分かんないしねぇ」
ビリケン「ワシも見に行くのが賛成やで~」
キッド「お前らなぁ、バグって知ってて利用するのは下手したらBAN食らうんだぞ?」
ミーコ「利用じゃ無いし!確かめに行くだけだし!!良いじゃん!!!」
モモレン「まぁミーコちゃんだけで行かせるのは、危ないし…皆んなで行こうよ?ね?キッドさん?」
ビリケン「そうや!いつも4人で動いているんだし、お前が止めんで、本当にアカバン食ろうたらどうしてくれんねん!」
エセ関西弁が調子づいてきた
キッド「ビリケンが年長者だろ……分かったよ、但し出来る限り戦闘は避ける、ボス戦なんて絶対にしないからな?」
ビリケン「よっしゃー!」
モモレン「やったー」
ミーコ「ほんと?じゃあいこっ!すぐ行こう!」
未公開フィールドへの裏口はネットで既に知っていた。
3人は知らない見たいだが、入ったプレイヤーがその後ログインしなくなったとか
実際にBANされたんじゃないか?
そういう噂もあった、本当は止めるべきだと分かっていた筈なのに……
盛り上がってる3人を見て水を差すような真似をしたく無かった。
ミーコがブーたれながらも強引に誘ってくる態度につい頷いてしまった
この時は誰も想像さえしなかった……これまでの日常が、なんの前触れも無く、唐突に変わるなんて……
俺たち4人は……フィールドを走り回り、2人の女子が乗るペットの後ろをビリケンと並んで追い掛けていた
ビリケンがテキストチャットで囁いてくる
…ビリケン…いやぁ美少女がペットに跨る後ろ姿は堪らんなぁキッド?
(何言ってんだ?この変態オヤジ、ブロックしたろ)
ビリケン「ちょっキッド!ブロックする事ないやろ!」
キッド「なんだ?変態オヤジ?」
モモレン「どうかしたんですかぁ?」
ミーコ「アンタら2人で何コソコソしてんの?」
キッド「いや、変態オヤジがな?」
ビリケン「わーーーーーーーー!!!」
ミーコ「もうーーーうるさーーーーーい!!」
馬鹿な会話を続けて気兼ね無く話せるこの時間が何より大切で、
ずっと続けば良い、ずっと続く筈だと、今日まで何年も続いた時間は、これからもずっと続くと何の疑いもなく思っていた
【未公開ダンジョン】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ミーコ「本当にあったね、未公開フィールドと」
モモレン「未公開ダンジョンも!」
ビリケン「おぉぉっぉぉ…これは何か……燃えるなぁ」
キッド「お前ら…絶対に戦闘はするなよ?」
ミーコ「分かってるって~……雑魚なら平気平気」
キッド「…お前、本当に置いて帰るぞ?」
ミーコ「ん?何か言った?」
モモレン「キッドさん、ミーコちゃん既に戦闘してる」
ビリケン「俺もまっけーーん!!」
キッド「ビリケンまで…」
モモレン「もう仕方ないです、せめてボス部屋には行かないようにフォローしましょう?」
キッド「仕方ないか……フォローに廻ろう」
久々に闘いがいがあるモンスターにどんどん熱くなっていく仲間達、
俺も未だ公開前のモンスター達との狩りを楽しんでいた。
ミーコ「あれ?誰か居るみたいよ?……あれって…」
ミーコが奥に誰かが「ナニ」かと戦っている事に気が付いた。
モモレン「あれは…ロロシックスさんじゃない?」
ビリケン「ホンマや?アイツもここに来てたんやな……ヤバそうやぞ?」
キッド「あぁ、回復のペースが悪い、何でソロでやってんだ?」
ミーコ「…助けよう!」
ミーコが走り出し、それに釣られる様に2人も走り出して行く
キッド「おっおい待てよ!こんな所に1人でボスと戦うって、おかしいだろっ!」
ミーコ「モモっ補助お願い!」
ビリケン「ロロシックス、この借りはデカイで!」
モモレン「キッド君も手伝って下さい!」
3人とも熱くなりすぎて全然VCやってる意味が無い
公開前の新ボスに舞い上がり過ぎていた
キッド「くっそっ…どうなっても知らねえぞ!」
3人の後を追い、開かれたボス部屋に入っていくと
そのボスはミノタウロスのように黒くて巨大な体躯に白い6枚の翼を背負い
奇妙な阿修羅のような存在だった
ゴリラの様な顔と
クマの様な顔と
牛のような顔を
それぞれが真っ赤な目で瞳孔が開いてる
ロロシックスが駆けつけようとする俺たちに気がつくが
チャットを打つ余裕は無いらしい、登録されたスタンプが何度も連打される
その意味は
逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!
スタンプを繰り返しながらボスの攻撃エフェクトを必死に回避し、タゲを取り続ける
その姿に、そのスタンプは、、俺たちに全くの逆効果だった………
ミーコ「何言ってんの!助けるよ!」
ビリケン「攻撃補助くれ!」
モモレン「行きます!」
キッド「ストップ!注意を引くから3秒待て!ロロシックスの回復を優先してくれ!」
俺の言葉に一瞬で全員の足が止まる
敵のタゲを大幅に取るタンクのスキルを打ちかます
これで普通ならボスだろうが注意を引きつける
……筈だった
こちらのスキルは完全にヒットした筈なのに
三つの動物の顔を持つボスは全く意に介さず、
ロロシックスの足に状態異常をクリーンヒット
動けなくなったロロシックスがチャットウィンドウを表示させるが
ボスの何かのスキルが発動し三つの顔から吐き出された分厚い光が発生し、ロロシックスを包み込んでゆく。
巨大なレーザーに焼かれて倒れ落ち…まるでログアウトでもしたかの様に消えていく
チャットウィンドウには何が書かれているのか、俺たちには何も判断できなかった
……くっそ…
VCの向こうから本気で切れた時に聞こえるミーコの低い声
モモレンがミーコに攻撃強化を付与する
エンハンスされたミーコの両手の二刀が淡い虹色に輝いてミーコの最大火力のスキルが阿修羅のボスにクリーンヒット
これまでのボスなら一撃でダメ半分を削るが…10分の1程度しか減らない
キッド「ビリケン!火力を連続させてタゲを固定させるな!」
特殊スキルでタゲが取れないならダメージ上位者が狙われる
そう考えて、次に狙われるミーコをフォローする為の指示を出す
タンクの俺は狙われない可能性が高いので、
攻撃力のデパフ
移動力のデパフ
防御力のデパフ
を連続して叩き込む
ボス戦で最前線で戦うタンクの必須スキルだ
阿修羅が雄叫びを上げて1人の仲間が状態異常にかかった
1番離れていたモモレンだ
三つの顔の口に光が集まる、
モモレン以外の全員が最大火力で注意を引くが、
ボスのHPゲージは半分程度しか減らない
ボスの顔の前に巨大な光の玉が集まり、モモレンの方に向けられる
モモレン「え?ちょっと……嘘……」
光の柱がモモレンを貫き、倒れると同時に消えていく
ミーコ「ちょっとモモっ!ログアウトしなくても良いでしょ!ちょっと!聞いてんの?!」
モモレン「・・・・」
モモレンはVCからはログアウトして無かったが、ずっと無言だ
ビリケン「今はコッチに集中せえ!」
ミーコ「くそ…分かってるわよ!…」
キッド「あと半分!今はとにかくコイツを倒そう!」
阿修羅のボスにビリケンが連続で火力魔法を叩き込み
残り3割を切った時、
ボスの身体の周りに魔法陣の様な物が現れて赤黒いオーラに包まれ、身体が赤く発光し始め
突然の急加速で一瞬、姿を見逃す程早く動き、ビリケンの前に現れると攻撃がクリティカルヒット
一瞬で体力ゲージが無くなり…倒れ…光の粒子が砕けるように消えていく
ビリケン「なっなんやこれ!…………」
ビリケンのキャラクターが消えると同時に声も途絶える
キッド「ビッビリケン!くっそ…どうなってんだ?」
ミーコ「なっ何なの?……何なのよこれ!……わっ私のせいなの?」
VCの向こう側で泣き声になるミーコに
キッド『泣くな!まだ何にも分かんねえだろ!……あと少しなんだ、最後までやり通せ!』
デカイ声で叱咤した…
もう夜も遅い、近所迷惑で明日はきっと睨まれる
……知るかそんなもん!
キッド『何となくモーション分かった!離れろって言ったら一旦引け、スキルもキャンセルだ!ヤレって言ったら叩き込め!!』
デパフを1番近い所で打ち続けるタンクの役割は、攻撃を良く見る事も必要だ
画面の外にまで届くようなボスの攻撃は近くで見ないと判断つかないんだ
ミーコ「……分かった!」
離れ過ぎず、近づき過ぎず、最大火力のリキャストタイムを図りながら無難な位置を守るミーコ
阿修羅のボスが後方300度の範囲攻撃を展開する
キッド『ボス正面がセーフだ!いけっ!」
ミーコ「うっそでしょ…」
背中の翼が大きく広げて範囲内の全てをカバーする様に巨大な壁となって両脇から迫り
セーフゾーン以外の全てを破壊する
キッド『ヤレええええっっ!』
有りったけのデパフを叩き込み、俺の後ろに移動したミーコが飛び、
俺を飛び越えると二刀で連続火力を叩き込む
キッドもそれに合わせて攻撃を2人で叩き続ける
ミーコの連撃が続く間、時間は短いがスタンが付与されるからだ
ザシュッ!ザシュっ!ザシュッ!と切れ味の効果音が響き続けて
ボスのHPゲージが見る見る減っていき
20は有ったHPゲージが残り1本の半分を切った所でミーコの連撃が止まる
ミーコ「もう駄目……火力が足りない」
連撃中に与える短いスタン付与が切れ…阿修羅が動き出した
WHOOOO~~~~~~~~!!!!!!
PCのスピーカーの限界を遥かに超える大音量がキッドとミーコを突き抜けた
動けなくなったのはキャラクターなのか、モニターの前に居る俺たちなのか、
とにかく俺たちは文字通りに動けなくなった。
阿修羅の白い羽根がミーコを抱擁する様に包み…羽根が背中に戻るとミーコの姿も声も消えていた。
キッド「嘘だ……こんなの……あり得ないだろ」
ゲーミングマウスを動かしてもキャラクターが動かない
キャラクターにはデパフを示す数値が20を超えていた
ドン!ドン!「さっきからうるせーんだよ!静かにしろやボケえ!!」
玄関の扉が激しく叩かれるが目の前のモニターの阿修羅から目が離せない
まるで直ぐ目の前に現れたような圧倒的な恐怖に何も言えなくなった
目の前で巨大な光の玉が大きくなり……動けないまま光に包まれ
◇
光の中に居た木渡の意識は闇に包まれ…
木渡の座って居た椅子から持ち主は消え、
ヘッドセットが床に落ち、部屋には誰も居なくなる
PCのモニターに映っていたゲームはシャットダウンする
この日を境にゲームのボス攻略においてトップ君臨し続けた4人のプレイヤーは姿を消した
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
木度流(きわたり ながれ)はオンラインゲームが大好きな、
所謂ゲームオタクだった、生活の殆どは
バイト→ゲーム→寝る→バイト→ゲーム→寝る
それを単調に繰り返し続ける毎日だが、バイトの時間も頭の中ではゲームの事ばかり考え、
寝ても覚めても、繰り返されるイベントをどう効率よく攻略すれば良いのか?
ライバル達を出し抜くには何が必要か、バイトの休憩時間は攻略サイトをひたすら漁る
そんな平凡なただのゲームオタクだった
普段滅多にしない残業をどうしても断れず、
何時ものログイン時間に遅れた木渡は急いで自宅に帰り玄関のドアを開けると
部屋の奥に有る付けっぱなしのPCには、今ハマってるオンラインゲームのログインウィンドウが開いたままだった
一人暮らしの誰も居ない部屋に灯りを付ける
いつもと同じ光景、いつもと同じように冷蔵庫から缶ビールのプルトップを開けて
シュワシュワと喉を通る刺激楽しみ、いつもと同じセリフを吐く
「あ”ぁぁっ!うんめえぇっ!!……って、ヤバイヤバイ時間ギリギリだっ!」
毎日決まった時間に発生する定期的なイベント
これに必ず参加する事
いつもと同じメンバーが自分を待っていてくれる事
木渡に取っては何より大事なルーチンだった
急いで、PCの前に座りログインウィンドウをクリックすると
自動ログインのポップをクリックする
画面に読み込みを示すNow loadingの表示が切り替わり
急いでイベントに参加する為の専用ゾーンへと移動すると
フィールドで到着を待っていたメンバーの名前がある事に気がつき
挨拶のチャットを書き込む前にパーティの誘いが飛んでくる
『ゲーム内チャットウィンドウ』
…キッド…おはよー✌︎('ω'✌︎ )✌︎('ω')✌︎( ✌︎'ω')✌︎
↩︎
…ビリケン…ちーす( ・∇・)
…モモレン…きた!きた!きたー♪───O(≧∇≦)O────♪
…ミーコ…遅せーーぞ( ´△`)
「やっぱり待たせちまったかー!」
…キッド…悪い悪いバイトが残業だった(T ^ T)
↩︎
…モモレン…バイトおつかれー_:(´ཀ`」 ∠):
…ビリケン…( ´△`)
…ミーコ…はやくVC繋げーやψ(`∇´)ψ
何時も通りの仲間のテンションに癒されながら、慌ててヘッドセットを装着して
Voice chatのアプリをスマートフォンから起動し、
何時ものルームへログインする
ミーコ「遅ーい!時間ギリギリじゃん!」
モモレン「まぁまぁ、お仕事お疲れ様ですー」
ビリケン「お疲れーキッド」
キッドというのは木渡が使っているハンドルネームだ
オンラインゲームを始めたばかりの頃、安直に考えた名前がそのまま定着してしまった
本人は後悔も反省もしている
「いやあーごめん!どうしても残業断れなくてギリギリになっちまった!」
ミーコ「タンクが居ないと効率悪いんだから!もう直ぐスタートよ?準備出来てるの?」
気の強い声で話す女の子は、ミーコというハンドルネームで
パーティの近接系火力を重視したキャラクターを扱っている
元気いっぱいで五月蝿いJKだ、会ったことは無い
モモレン「まぁまぁ、時間には間に合ってますよ?準備は大丈夫ですか?キッドさん?」
少し間延びした口調で話す女の子は、モモレンというハンドルネームで
回復、補助系を重視したキャラクターを扱っている
今年大学を卒業して新社会人になったらしい、
大人の女性だ、会った事は無い
ビリケン「よーし!今日も俺達がダメトップで間違い無しやな!」
エセ関西弁で話す男は、ビリケンというハンドルネームで
遠距離系火力を重視したキャラクターを扱っている
自営業してるらしい、会いたくは無い
キッド「準備は昨日の内に済んでるよっ!今日も俺たちが鯖トップだ!」
モニターにフィールドボスの出現時間を表すカウントがデカイ文字で表示され
周辺のプレイヤーのキャラクター達がワラワラと動き始める
良くある接続バグに対応する為だ
インフレ過多な人気ゲームで人が集まり過ぎてカウントゼロと同時に動かすと
動けなくなったり、下手したらゲームがシャットダウンする事がある
それを防ぐ為に事前に動き始めると何故かバグが起こりにくいのだ
ミーコ「来た来た来た!いくよー!皆んな動いてー!」
モニターのカウンターが数字を減らしていく
5…4…3…2…
ビリケン「行くぞー!!」
カウンターがゼロになる前にそれぞれのキャラクター達がスキルを実行する
モニターの中にプレイヤー達のスキルエフェクトが光始め
大量のボス達が出現と同時にHPゲージを一気に減らしていく
第一陣のボスが登場後、20秒と持たずに電子音の雄叫びを上げて撃沈
モニターにSystem Messageが流れる
ミーコさんのパーティが龍渓のフィールドボス『エンハンスドドラゴン』の討伐に成功しました
本来なら出現と同時に四方八方に散開を開始するボスが
数百を超えるのプレイヤー達に囲まれ動きを封じられ
アーも、スーも、無く瞬く間にやられる
ミーコ「やったー!今日もウチらのカッチいー♪」
モモレン「あっビリケン君落ちた」
キッド「相変わらず、回線よっわいなあー」
ビリケン「ぎゃあー!!褒賞!俺の褒賞!………無い……そんなぁ……」
ビリケンの悲痛な叫び声がVC越しに聴こえて来たが、
良くある事なので皆あまり気にしない
ミーコ「明日もあるでしょ?てかアンタ何回目よ?」
モモレン「ビリケンさん、どんまい」
ビリケン「はぁ…やっぱりPC買い直すしか無いか……」
キッド「とりあえず、ここは重いしホームに戻んないか?」
「「「賛成」」」
ホームとは一般的にはギルドホーム等を示すが、
俺たちのホームはゲーム内のフリースペースになっていてそれぞれのプレイヤー達が
露店を開いているここで4人でそれぞれにお店を開いてプレイヤー達を放置しながらVCで話しているのが俺たちの休憩時間だ
ミーコ「ねぇ…キッドはあの噂知ってる?」
モモレン「噂って例のダンジョンの事?…あっ売れたー♪」
ビリケン「おまえ…なんで隣にいる俺の方が安いのに売れねーんだよ!!」
キッド「ビリケンはキャラクターが怖すぎるんだよ……例のダンジョンてなんの事だ?」
ミーコ「なんか解放前のフィールドに裏口があって、実装前だから何にも無い筈なのに、隠しダンジョンが有るらしくてね、そこのモンスターは素材もアイテムも超一級らしいんだって?」
モモレン「キッドさんが知らないなんて珍しいね?」
キッド「…最近は時間が無かったからな、それで、その噂のダンジョンがどうしたんだ?」
ミーコ「実はさ…探して見たら、それらしい入り口見つけちゃったんだよね?」
ビリケン「ホンマかそれ!」
ミーコ「ちょっと声デカいって!」
モモレン「グワングワンする~」
キッド「それが本当なら運営に報告するべきだな」
ミーコ「ええええええ!!!何言ってんの?アンタ馬鹿なの?普通行くでしょう!!」
「「「お前の声が一番でかい」」」
ミーコ「うっゴッゴメン……とにかく中も確かめないで報告なんて阿保でしょ?せめて見に行くだけでも行こうよ?」
モモレン「そうだねえ、見ないとどんなバグかも分かんないしねぇ」
ビリケン「ワシも見に行くのが賛成やで~」
キッド「お前らなぁ、バグって知ってて利用するのは下手したらBAN食らうんだぞ?」
ミーコ「利用じゃ無いし!確かめに行くだけだし!!良いじゃん!!!」
モモレン「まぁミーコちゃんだけで行かせるのは、危ないし…皆んなで行こうよ?ね?キッドさん?」
ビリケン「そうや!いつも4人で動いているんだし、お前が止めんで、本当にアカバン食ろうたらどうしてくれんねん!」
エセ関西弁が調子づいてきた
キッド「ビリケンが年長者だろ……分かったよ、但し出来る限り戦闘は避ける、ボス戦なんて絶対にしないからな?」
ビリケン「よっしゃー!」
モモレン「やったー」
ミーコ「ほんと?じゃあいこっ!すぐ行こう!」
未公開フィールドへの裏口はネットで既に知っていた。
3人は知らない見たいだが、入ったプレイヤーがその後ログインしなくなったとか
実際にBANされたんじゃないか?
そういう噂もあった、本当は止めるべきだと分かっていた筈なのに……
盛り上がってる3人を見て水を差すような真似をしたく無かった。
ミーコがブーたれながらも強引に誘ってくる態度につい頷いてしまった
この時は誰も想像さえしなかった……これまでの日常が、なんの前触れも無く、唐突に変わるなんて……
俺たち4人は……フィールドを走り回り、2人の女子が乗るペットの後ろをビリケンと並んで追い掛けていた
ビリケンがテキストチャットで囁いてくる
…ビリケン…いやぁ美少女がペットに跨る後ろ姿は堪らんなぁキッド?
(何言ってんだ?この変態オヤジ、ブロックしたろ)
ビリケン「ちょっキッド!ブロックする事ないやろ!」
キッド「なんだ?変態オヤジ?」
モモレン「どうかしたんですかぁ?」
ミーコ「アンタら2人で何コソコソしてんの?」
キッド「いや、変態オヤジがな?」
ビリケン「わーーーーーーーー!!!」
ミーコ「もうーーーうるさーーーーーい!!」
馬鹿な会話を続けて気兼ね無く話せるこの時間が何より大切で、
ずっと続けば良い、ずっと続く筈だと、今日まで何年も続いた時間は、これからもずっと続くと何の疑いもなく思っていた
【未公開ダンジョン】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ミーコ「本当にあったね、未公開フィールドと」
モモレン「未公開ダンジョンも!」
ビリケン「おぉぉっぉぉ…これは何か……燃えるなぁ」
キッド「お前ら…絶対に戦闘はするなよ?」
ミーコ「分かってるって~……雑魚なら平気平気」
キッド「…お前、本当に置いて帰るぞ?」
ミーコ「ん?何か言った?」
モモレン「キッドさん、ミーコちゃん既に戦闘してる」
ビリケン「俺もまっけーーん!!」
キッド「ビリケンまで…」
モモレン「もう仕方ないです、せめてボス部屋には行かないようにフォローしましょう?」
キッド「仕方ないか……フォローに廻ろう」
久々に闘いがいがあるモンスターにどんどん熱くなっていく仲間達、
俺も未だ公開前のモンスター達との狩りを楽しんでいた。
ミーコ「あれ?誰か居るみたいよ?……あれって…」
ミーコが奥に誰かが「ナニ」かと戦っている事に気が付いた。
モモレン「あれは…ロロシックスさんじゃない?」
ビリケン「ホンマや?アイツもここに来てたんやな……ヤバそうやぞ?」
キッド「あぁ、回復のペースが悪い、何でソロでやってんだ?」
ミーコ「…助けよう!」
ミーコが走り出し、それに釣られる様に2人も走り出して行く
キッド「おっおい待てよ!こんな所に1人でボスと戦うって、おかしいだろっ!」
ミーコ「モモっ補助お願い!」
ビリケン「ロロシックス、この借りはデカイで!」
モモレン「キッド君も手伝って下さい!」
3人とも熱くなりすぎて全然VCやってる意味が無い
公開前の新ボスに舞い上がり過ぎていた
キッド「くっそっ…どうなっても知らねえぞ!」
3人の後を追い、開かれたボス部屋に入っていくと
そのボスはミノタウロスのように黒くて巨大な体躯に白い6枚の翼を背負い
奇妙な阿修羅のような存在だった
ゴリラの様な顔と
クマの様な顔と
牛のような顔を
それぞれが真っ赤な目で瞳孔が開いてる
ロロシックスが駆けつけようとする俺たちに気がつくが
チャットを打つ余裕は無いらしい、登録されたスタンプが何度も連打される
その意味は
逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!
スタンプを繰り返しながらボスの攻撃エフェクトを必死に回避し、タゲを取り続ける
その姿に、そのスタンプは、、俺たちに全くの逆効果だった………
ミーコ「何言ってんの!助けるよ!」
ビリケン「攻撃補助くれ!」
モモレン「行きます!」
キッド「ストップ!注意を引くから3秒待て!ロロシックスの回復を優先してくれ!」
俺の言葉に一瞬で全員の足が止まる
敵のタゲを大幅に取るタンクのスキルを打ちかます
これで普通ならボスだろうが注意を引きつける
……筈だった
こちらのスキルは完全にヒットした筈なのに
三つの動物の顔を持つボスは全く意に介さず、
ロロシックスの足に状態異常をクリーンヒット
動けなくなったロロシックスがチャットウィンドウを表示させるが
ボスの何かのスキルが発動し三つの顔から吐き出された分厚い光が発生し、ロロシックスを包み込んでゆく。
巨大なレーザーに焼かれて倒れ落ち…まるでログアウトでもしたかの様に消えていく
チャットウィンドウには何が書かれているのか、俺たちには何も判断できなかった
……くっそ…
VCの向こうから本気で切れた時に聞こえるミーコの低い声
モモレンがミーコに攻撃強化を付与する
エンハンスされたミーコの両手の二刀が淡い虹色に輝いてミーコの最大火力のスキルが阿修羅のボスにクリーンヒット
これまでのボスなら一撃でダメ半分を削るが…10分の1程度しか減らない
キッド「ビリケン!火力を連続させてタゲを固定させるな!」
特殊スキルでタゲが取れないならダメージ上位者が狙われる
そう考えて、次に狙われるミーコをフォローする為の指示を出す
タンクの俺は狙われない可能性が高いので、
攻撃力のデパフ
移動力のデパフ
防御力のデパフ
を連続して叩き込む
ボス戦で最前線で戦うタンクの必須スキルだ
阿修羅が雄叫びを上げて1人の仲間が状態異常にかかった
1番離れていたモモレンだ
三つの顔の口に光が集まる、
モモレン以外の全員が最大火力で注意を引くが、
ボスのHPゲージは半分程度しか減らない
ボスの顔の前に巨大な光の玉が集まり、モモレンの方に向けられる
モモレン「え?ちょっと……嘘……」
光の柱がモモレンを貫き、倒れると同時に消えていく
ミーコ「ちょっとモモっ!ログアウトしなくても良いでしょ!ちょっと!聞いてんの?!」
モモレン「・・・・」
モモレンはVCからはログアウトして無かったが、ずっと無言だ
ビリケン「今はコッチに集中せえ!」
ミーコ「くそ…分かってるわよ!…」
キッド「あと半分!今はとにかくコイツを倒そう!」
阿修羅のボスにビリケンが連続で火力魔法を叩き込み
残り3割を切った時、
ボスの身体の周りに魔法陣の様な物が現れて赤黒いオーラに包まれ、身体が赤く発光し始め
突然の急加速で一瞬、姿を見逃す程早く動き、ビリケンの前に現れると攻撃がクリティカルヒット
一瞬で体力ゲージが無くなり…倒れ…光の粒子が砕けるように消えていく
ビリケン「なっなんやこれ!…………」
ビリケンのキャラクターが消えると同時に声も途絶える
キッド「ビッビリケン!くっそ…どうなってんだ?」
ミーコ「なっ何なの?……何なのよこれ!……わっ私のせいなの?」
VCの向こう側で泣き声になるミーコに
キッド『泣くな!まだ何にも分かんねえだろ!……あと少しなんだ、最後までやり通せ!』
デカイ声で叱咤した…
もう夜も遅い、近所迷惑で明日はきっと睨まれる
……知るかそんなもん!
キッド『何となくモーション分かった!離れろって言ったら一旦引け、スキルもキャンセルだ!ヤレって言ったら叩き込め!!』
デパフを1番近い所で打ち続けるタンクの役割は、攻撃を良く見る事も必要だ
画面の外にまで届くようなボスの攻撃は近くで見ないと判断つかないんだ
ミーコ「……分かった!」
離れ過ぎず、近づき過ぎず、最大火力のリキャストタイムを図りながら無難な位置を守るミーコ
阿修羅のボスが後方300度の範囲攻撃を展開する
キッド『ボス正面がセーフだ!いけっ!」
ミーコ「うっそでしょ…」
背中の翼が大きく広げて範囲内の全てをカバーする様に巨大な壁となって両脇から迫り
セーフゾーン以外の全てを破壊する
キッド『ヤレええええっっ!』
有りったけのデパフを叩き込み、俺の後ろに移動したミーコが飛び、
俺を飛び越えると二刀で連続火力を叩き込む
キッドもそれに合わせて攻撃を2人で叩き続ける
ミーコの連撃が続く間、時間は短いがスタンが付与されるからだ
ザシュッ!ザシュっ!ザシュッ!と切れ味の効果音が響き続けて
ボスのHPゲージが見る見る減っていき
20は有ったHPゲージが残り1本の半分を切った所でミーコの連撃が止まる
ミーコ「もう駄目……火力が足りない」
連撃中に与える短いスタン付与が切れ…阿修羅が動き出した
WHOOOO~~~~~~~~!!!!!!
PCのスピーカーの限界を遥かに超える大音量がキッドとミーコを突き抜けた
動けなくなったのはキャラクターなのか、モニターの前に居る俺たちなのか、
とにかく俺たちは文字通りに動けなくなった。
阿修羅の白い羽根がミーコを抱擁する様に包み…羽根が背中に戻るとミーコの姿も声も消えていた。
キッド「嘘だ……こんなの……あり得ないだろ」
ゲーミングマウスを動かしてもキャラクターが動かない
キャラクターにはデパフを示す数値が20を超えていた
ドン!ドン!「さっきからうるせーんだよ!静かにしろやボケえ!!」
玄関の扉が激しく叩かれるが目の前のモニターの阿修羅から目が離せない
まるで直ぐ目の前に現れたような圧倒的な恐怖に何も言えなくなった
目の前で巨大な光の玉が大きくなり……動けないまま光に包まれ
◇
光の中に居た木渡の意識は闇に包まれ…
木渡の座って居た椅子から持ち主は消え、
ヘッドセットが床に落ち、部屋には誰も居なくなる
PCのモニターに映っていたゲームはシャットダウンする
この日を境にゲームのボス攻略においてトップ君臨し続けた4人のプレイヤーは姿を消した
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――
金斬 児狐
ファンタジー
ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。
しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。
しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。
◆ ◆ ◆
今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。
あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。
不定期更新、更新遅進です。
話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。
※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。

ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~
にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。
その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。
そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。
『悠々自適にぶらり旅』
を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる