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第一話:召喚
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「竜也、、あのね?私はアイツと付き合ってるって、知ってるよね?」
「うぅぅぅ、、、うん、、、知ってる」
「だよね?じゃあさ、少しは空気読んでくれてもいいんじゃない?」
「いや、、でも、、、」
そのソウイチに待ってるように言われていたタツヤは歯切れが悪かった。
「美結っ悪い、待たせちまったっ!あれ?竜也なんでしょぼくれてるんだ?、、、また美結に小言でも言われたのか?」
「ちょっと、小言ってなによ?」
「いや、、そんな事ないんだよ、、」
「そうかぁ?とりあえず、華蘭軒でも寄って帰ろぜっ腹減って死にそうだわ」
「竜也?あんた太り過ぎなんだから遠慮した方が良いんじゃない?」
「え?、あ、、そ、、そうしようかな、、はは、、」
「何言ってんだよ?お前が例のヤツに挑戦しないと、割引券貰えないだろが?!ほら行くぞっ」
竜也と美結の2人を引っ張るようにして歩き始め、校門の外側に出た瞬間、、俺たちの目の前の世界が渦のように歪み、、暗い影の中に何かが居て、こちらを見てるような気がした
「な、なにこれ?」
俺の右手を掴む美結の手に力が入る、俺にだって意味が全く分からない、
動けない俺の左側に居たタツヤがのそのそと、突然前に進み始めた。
「い、、、いかない、、と」
「へ?お、おい竜也!止まれよ」
いつも俺の後ろに居る竜也が、突然俺の脇を通って、渦の方へと歩き始めた、こんな訳の分からない状況で、あの竜也が?
あり得ない状況だが、コイツは美結と同じで鼻の垂れたガキの頃からの友達だ、助けるのはいつも俺だった、、だから今も助けるのは俺だっ!
渦の方へと進む竜也の腕を掴み、静止しようとしたが、
「………………いかなくちゃ」
信じられなかった、顔が老けてなけりゃ、小学生にも間違えられてもおかしくない竜也が、掴んだ俺をものともせずに、渦に向かって進んでく。
「おいっ!竜也っ止まれってっ、何考えてんだよ!」
「ちょ、2人とも!」
すぐ後ろから、美結の声が聞こえ振り向こうとした時、身体が重力とは違うナニカに、引っ張られるような感覚になり、それが怖くてとっさに手を伸ばした
手に美結の感触を感じ、暗くなっていく視界の中で、俺を呼ぶ美結の声が確かに聞こえた気がしたんだ
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
執務室に1人佇む銀髪の貴族風の人物がいた
執事風の初老の男が迎えにやってくると、静かに頷き、執事の後ろをついて部屋を出て行った。
石畳のそこそこ広い部屋に入ると、魔術師風の女が待っており、静かに頭を下げ、
部屋の中心に向かって、何かを唱え始めると、
呪文が妙に響き、それに合わせて部屋の中が揺れ始めていく
同じ館にいる1人の女性が館が揺れるという異常に気がつき、部屋を慌てて出る、
姉の執務室に行くが誰もいない
館を歩き回わりながら、揺れの強い方へと歩いていく
石畳みの部屋の中では、魔術師風の女の声が徐々に鬼気迫り、
館の主人であるに一瞥をすると
準備が整った事を理解した貴族が掌に一振りのナイフで傷をつけ、
石畳みに描かれた魔法陣に自らの血を流し込んでいき
紋様に沿って血が伸び、鮮やかなブルーの石畳みに真っ赤な線で彩られた魔法陣が完成する
部屋が光に包まれ、真っ白な光の中に人影が現れ始め、
やがて光がその量を減らしていくと
部屋が開けられ、もう1人の住人である女性が、扉を開けるのと
召喚されし人影が吠えるのはほぼ同時だった
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
先程まで、学校の外に出たばかりの場所と明らかに違うその様子に、美結は呆気に取られていた、暗い渦の中に溶け込んでいくように見えた、自分の彼氏の手を思わず掴み、そのまま暗闇に覆われたと思ったら、いきなり視界が開けた場所は薄暗い石畳みの広い部屋、、
「ここどこ?、、え?双一は?」
「わわわわからない、、ぼぼぼくにもわからないよぅぅ」
暗い渦が出た時と違っていつもの様子の竜也
「分からないって、、、何言ってるの?貴方が勝手に歩きだしたから、、、、しっかりしなさいのっ!双一っ!そうぅぅいちぃぃっ!」
貴族が同様した2人に近づいて声をかける、その声は必死に興奮を抑えようとしているのか、優しそうに話しかけるが、少し強張っていた。
「、、、、まず落ち着いてくれ、異世界より召喚された召喚者よ、私の名前は、【ナツメ・ギンジョウ】君たちは私達の儀式によってここに呼ばれたのだ、まずは君たちの名前を教えて頂けないだろうか?」
竜也の首を両手掴みながらブンブンと揺さぶり叫ぶ2人に、館の主人であるナツメが声をかけた
「召喚?、、、あの!もう1人居たんですっ!私達のほかにもう1人!何処に居るんですか?!」
「私達が呼び出せたのは君たち2人だけだ、一緒に居ないというなら、、
召喚に失敗したとしか思えないな……」
「そんな、、、」
ガクリとその場でヘタリ込むミユ、その焦燥した様子を見下ろす竜也が食い下がる
「あ、あ、あのっしょ召喚に失敗した人はどうなるんですか?」
「分からない、私達に出来るのは君たちをこちらに呼び出すだけだ、失敗の例はある、だがそれがどうなるかまでは私たちには知る方法がないのだ」
キッパリと残酷な事実を伝えるナツメに、思わず息を呑む竜也
(こっこの人、、怖い、、双一、、助けてよぅぅ!)
「改めて、私の名前はナツメだ、君たちの名は何というんだ?」
「ぼ、、僕は当道竜也<トウドウタツヤ>こっちの子は僕の幼馴染で、灰原美結<ハイバラミユだよ」
正面からミユ、ソウイチ意外の人間を直視出来ない竜也は、ややうつむきがちにそう告げると
「ふむ、、伝承の通りだな?」
同じ部屋にいたもう1人の魔術師に目を向けると、魔術師の女が更に何かを唱えはじめ、、、二つの光の玉がミユとタツヤの身体に向かって飛んでいった
「きゃ、ちょっとっ」
「うひぃっ」
二つの玉がそれぞれの身体に入り込むと、タツヤの身体が白く耀くオーラのような物に包まれ、ミユの体にはエメラルドの光が包まれていった
「なにこれ、、私達になにをしたの?!」
「安心していい、害は無い、召喚された君たちにそれぞれの特性に合わせた紋章付与をして上げただけだ」
「紋章?」
「ひとまず、説明をするから場所を移そう、、アヤメ、お前も来い」
部屋の入り口近くで、ナツメよりやや背の高い女性が、館の主人であるナツメの言葉に頷くと、ナツメに従い部屋を出て行き、ミユやタツヤも一緒に部屋を移動する事にした。
(…………どうなってる?さっきの美結の様子、やっぱり俺は見えて無いのか?)
「うぅぅぅ、、、うん、、、知ってる」
「だよね?じゃあさ、少しは空気読んでくれてもいいんじゃない?」
「いや、、でも、、、」
そのソウイチに待ってるように言われていたタツヤは歯切れが悪かった。
「美結っ悪い、待たせちまったっ!あれ?竜也なんでしょぼくれてるんだ?、、、また美結に小言でも言われたのか?」
「ちょっと、小言ってなによ?」
「いや、、そんな事ないんだよ、、」
「そうかぁ?とりあえず、華蘭軒でも寄って帰ろぜっ腹減って死にそうだわ」
「竜也?あんた太り過ぎなんだから遠慮した方が良いんじゃない?」
「え?、あ、、そ、、そうしようかな、、はは、、」
「何言ってんだよ?お前が例のヤツに挑戦しないと、割引券貰えないだろが?!ほら行くぞっ」
竜也と美結の2人を引っ張るようにして歩き始め、校門の外側に出た瞬間、、俺たちの目の前の世界が渦のように歪み、、暗い影の中に何かが居て、こちらを見てるような気がした
「な、なにこれ?」
俺の右手を掴む美結の手に力が入る、俺にだって意味が全く分からない、
動けない俺の左側に居たタツヤがのそのそと、突然前に進み始めた。
「い、、、いかない、、と」
「へ?お、おい竜也!止まれよ」
いつも俺の後ろに居る竜也が、突然俺の脇を通って、渦の方へと歩き始めた、こんな訳の分からない状況で、あの竜也が?
あり得ない状況だが、コイツは美結と同じで鼻の垂れたガキの頃からの友達だ、助けるのはいつも俺だった、、だから今も助けるのは俺だっ!
渦の方へと進む竜也の腕を掴み、静止しようとしたが、
「………………いかなくちゃ」
信じられなかった、顔が老けてなけりゃ、小学生にも間違えられてもおかしくない竜也が、掴んだ俺をものともせずに、渦に向かって進んでく。
「おいっ!竜也っ止まれってっ、何考えてんだよ!」
「ちょ、2人とも!」
すぐ後ろから、美結の声が聞こえ振り向こうとした時、身体が重力とは違うナニカに、引っ張られるような感覚になり、それが怖くてとっさに手を伸ばした
手に美結の感触を感じ、暗くなっていく視界の中で、俺を呼ぶ美結の声が確かに聞こえた気がしたんだ
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
執務室に1人佇む銀髪の貴族風の人物がいた
執事風の初老の男が迎えにやってくると、静かに頷き、執事の後ろをついて部屋を出て行った。
石畳のそこそこ広い部屋に入ると、魔術師風の女が待っており、静かに頭を下げ、
部屋の中心に向かって、何かを唱え始めると、
呪文が妙に響き、それに合わせて部屋の中が揺れ始めていく
同じ館にいる1人の女性が館が揺れるという異常に気がつき、部屋を慌てて出る、
姉の執務室に行くが誰もいない
館を歩き回わりながら、揺れの強い方へと歩いていく
石畳みの部屋の中では、魔術師風の女の声が徐々に鬼気迫り、
館の主人であるに一瞥をすると
準備が整った事を理解した貴族が掌に一振りのナイフで傷をつけ、
石畳みに描かれた魔法陣に自らの血を流し込んでいき
紋様に沿って血が伸び、鮮やかなブルーの石畳みに真っ赤な線で彩られた魔法陣が完成する
部屋が光に包まれ、真っ白な光の中に人影が現れ始め、
やがて光がその量を減らしていくと
部屋が開けられ、もう1人の住人である女性が、扉を開けるのと
召喚されし人影が吠えるのはほぼ同時だった
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
先程まで、学校の外に出たばかりの場所と明らかに違うその様子に、美結は呆気に取られていた、暗い渦の中に溶け込んでいくように見えた、自分の彼氏の手を思わず掴み、そのまま暗闇に覆われたと思ったら、いきなり視界が開けた場所は薄暗い石畳みの広い部屋、、
「ここどこ?、、え?双一は?」
「わわわわからない、、ぼぼぼくにもわからないよぅぅ」
暗い渦が出た時と違っていつもの様子の竜也
「分からないって、、、何言ってるの?貴方が勝手に歩きだしたから、、、、しっかりしなさいのっ!双一っ!そうぅぅいちぃぃっ!」
貴族が同様した2人に近づいて声をかける、その声は必死に興奮を抑えようとしているのか、優しそうに話しかけるが、少し強張っていた。
「、、、、まず落ち着いてくれ、異世界より召喚された召喚者よ、私の名前は、【ナツメ・ギンジョウ】君たちは私達の儀式によってここに呼ばれたのだ、まずは君たちの名前を教えて頂けないだろうか?」
竜也の首を両手掴みながらブンブンと揺さぶり叫ぶ2人に、館の主人であるナツメが声をかけた
「召喚?、、、あの!もう1人居たんですっ!私達のほかにもう1人!何処に居るんですか?!」
「私達が呼び出せたのは君たち2人だけだ、一緒に居ないというなら、、
召喚に失敗したとしか思えないな……」
「そんな、、、」
ガクリとその場でヘタリ込むミユ、その焦燥した様子を見下ろす竜也が食い下がる
「あ、あ、あのっしょ召喚に失敗した人はどうなるんですか?」
「分からない、私達に出来るのは君たちをこちらに呼び出すだけだ、失敗の例はある、だがそれがどうなるかまでは私たちには知る方法がないのだ」
キッパリと残酷な事実を伝えるナツメに、思わず息を呑む竜也
(こっこの人、、怖い、、双一、、助けてよぅぅ!)
「改めて、私の名前はナツメだ、君たちの名は何というんだ?」
「ぼ、、僕は当道竜也<トウドウタツヤ>こっちの子は僕の幼馴染で、灰原美結<ハイバラミユだよ」
正面からミユ、ソウイチ意外の人間を直視出来ない竜也は、ややうつむきがちにそう告げると
「ふむ、、伝承の通りだな?」
同じ部屋にいたもう1人の魔術師に目を向けると、魔術師の女が更に何かを唱えはじめ、、、二つの光の玉がミユとタツヤの身体に向かって飛んでいった
「きゃ、ちょっとっ」
「うひぃっ」
二つの玉がそれぞれの身体に入り込むと、タツヤの身体が白く耀くオーラのような物に包まれ、ミユの体にはエメラルドの光が包まれていった
「なにこれ、、私達になにをしたの?!」
「安心していい、害は無い、召喚された君たちにそれぞれの特性に合わせた紋章付与をして上げただけだ」
「紋章?」
「ひとまず、説明をするから場所を移そう、、アヤメ、お前も来い」
部屋の入り口近くで、ナツメよりやや背の高い女性が、館の主人であるナツメの言葉に頷くと、ナツメに従い部屋を出て行き、ミユやタツヤも一緒に部屋を移動する事にした。
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