無警戒人間

甘い肉

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第二十三話:コンビニは以外と危険だった

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 月曜日、朝から先週より一段密着度を上げてくっついてくるカスミちゃんに朝から股間を神経過敏にさせて辛い思いをしていたが保健の先生によって何とか調子を回復させることが出来たスグルは、

 お昼休みを僅かに残して教室に帰って行った





【教室】
 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 まだお昼休みの終わりを告げるチャイムも鳴る前で、クラスメイトの大半はどこかに遊びに行っていて数がまばらな中、自分の席に座るといつも豪華なお弁当を持参している目の前の席に座っていた桃園さんが、


「スグル君、なんか桜町さんが探してたよ?」

「あっそうなんだ、今日はちょっと色々忙しかったから」


 残り時間が少ないため、急いでお弁当をかき込むように食べ始めると


「ねぇ?………スグル君て、桜町さんと恋人同士なの?」

「ぐっぶふはぁっ!げほっ、げほげほっ!」


 ここの所カスミちゃんと一緒に居ることか凄く増えた、しかも今日は腕を組んで一緒に登校した、絶対にそう思われるんだろうなって思ってはいたけど、やっぱり聞いてきた


「だっ大丈夫?」

「大丈夫…恋人同士……って、やっぱりそう見えるの?」

「まぁ…あれだけくっついてるとね」

「まだ…よく分からないんだ……恋人同士ってどうやったらなれるのかな?」

「どうやったらって………その………おっ教えて欲しい?…」


 何故か急に顔を赤くした桃園さんはモゴモゴし始めると


「あっ!スグル君いたあっ!」


 学校中を走り回ったかのように汗だくになったカスミちゃんが教室に入るなり僕を見つけてすっ飛んで来た

 僕は、桃園さんが言う、恋人のなり方について教えて欲しかったんだけど、椅子に座ってお弁当をかき込んでる僕に突っ込んでくるカスミちゃんを避けられる筈もなく

 椅子ごと隣の席まで押されて、椅子ごと押し倒された僕にカスミちゃんは乗ってきた


「むふーーどこ行ってたの?ずっと探したんだよっ!」

「かっカスミちゃんくっ苦しいよっ………」


 椅子に座ったままの姿勢で倒れたお腹に乗られてしまい、ギブアップと同時にお昼休みが終了してしまった

 チャイムの音にカスミちゃんも問い詰めるのを諦め自分の席に戻り、自分も椅子を起こして席に戻って行くと

 ノートの切れ端が机の上にあって


 恋人のなり方知りたいなら家に来て(桃園)


 って書いて有り、
 思わず正面を見るが、桃園さんの背中しか見えず、


 学校が終わり、桃園さんは何も言わずにスタスタと教室を出て行ってしまい、カスミちゃんは直ぐにすっ飛んできて、僕たちは、そのまま下校した





【通学路】
 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
(うーーんっ気になるっ)


 カスミちゃんに手を握られて帰る途中、桃園さんの書き置きがずっと気になっていた


「今日もウチくる?来たいよね?ね?」


 そう言って距離をドンドン近づけてくるカスミちゃんは、会うたびに可愛くなっていくような気がする、正直恋人になれるんなら、カスミちゃんが良いと、本当に思うんだけど……どうしたら良いのかよく分からないんだ


「うっうん…あっそうだっ!買い物あるから一旦家に帰る事にするよっ!後で行くからカスミちゃんは家で待っててよ」

「お買い物?それなら私も一緒に行くよっ!」


 ……駄目だった

 カスミちゃんは家に着くなり、玄関の中に鞄を置いて
「お母さーん、ちょっとスグル君と買い物行ってくるけどすぐ帰るから鞄おいとくねーっ!」

 と言って玄関を閉めた、その間一度も手を離してさえ貰えなかった…


 ◆自宅◇


「ちょっと待っててね……直ぐに戻るから」


 玄関に待ってて貰うように言うと、急いで部屋に戻って財布を取り、お年玉を入れると急いで玄関に戻った

 まだ、さっちゃんもみっちゃんも帰って来てない筈だけど、ぐずぐずして鉢合わせしたらまた喧嘩しちゃうかも知れない


「あらっスグル帰ったのー?」


 リビングの方からお母さんの声が聞こえてきて


「ただいまっ!ちょっと友達の家に行ってくるよっ!」


 返事もそこそこで僕は急いで家を出て行った


「スグル君っ買い物って何買うの?」

「うん、こないだカスミちゃんに上げたのだと、僕にはちっちゃくって辛いから、新しいの買おうと思って」

「あっそういう事かぁ………えへへ…それ、私にまたくれるんだよね?」

「うっうん…そっそうだね…」


 本当は自分用にも持っておきたいと思ったんだけど、なんかそう答えないといけない気がした
(…今日は一つだけにしとこう)


 カスミちゃんと一緒にコンビニに入って行くと、
 さっちゃんの中学生の頃の同級生はまだいなかった

 今度あったらサイズが有るって教えて上げようと思ったんだけど……まだ学校終わってないのかな?



 カスミちゃんと一緒に、ゴムの売ってる棚に向かうと、
 6個入りと12個入りの二種類がサイズ別に分かれてて

 僕は6個入りLサイズを手に取ろうとするとカスミちゃんが、

「こっちの方が一杯入ってるよ?少しお得みたいだし、こっちにしようよっ!」


 ……それを買ったら僕のお年玉無くなっちゃうよ


「それにこれだと直ぐに無くなっちゃうよ?こっちにしよ?」


「いっいや…でもね?…おっお小遣いが…」


 …1800円は僕のお小遣いの3ヶ月分なんだよ?痛すぎるよっ


「じゃあ…家に帰ったら半分出して上げるから、こっちのが良いよ?ね?」


 カスミちゃんに上げるとはいえ、使うのは多分僕なのに………それは悪い気がして、悩んでいると


『金だせっ!こらあっ!』

「ひゃあっ!」


 商品棚で2人でしゃがんで悩んでたら、レジの近くにいたおじさんが凄い声で怒鳴って、カスミちゃんがビックリして尻もち着いた

 寒いのに長ズボンを何故か履かなくなったカスミちゃんは、パンダのプリントの綿パンだった


「カスミちゃんっ大丈夫?」

「うっうん…あのおじさん…なんか怖いよ」
「そっそうだね…少し離れてよ?」


 レジに向かって怒鳴り声を上げるオジサンの向こうでは、よく見かけるおばさんが震えてて、僕はとにかくカスミちゃんをあのオジサンから離した方が良いと、奥に連れて行こうとしたんだけど、腰を抜かしたカスミちゃんが棚にあった品物に手を引っ掛けてバラバラと落としてしまった


「ガキが居たのか?お前らも動くんじゃねえっ!」


 僕達が居る事に今気がついたのか、オジサンは振り返ると、手には包丁を持っていたんだ


「いっいやああああっ!」


 包丁を向けられたカスミちゃんが悲鳴を上げて僕にしがみ付いてくる


「おっオジサン…そんなのコッチ向けちゃダメだよっおっおかないじゃないかっ!」

「おっおお?悪りいな……おいっ早く金だせっつんだよっ!」


 包丁をもったオジサンは再び、レジの方に向きを変えて怒鳴り始めた


 …………あれ?


「すっスグル君……こっ怖いよ……」

「だっ大丈夫だよ……今のウチに奥に行こうっ」


 オジサンがアッサリと踵を返したのはきっと偶々じゃない……


「……カスミちゃん、怖いよね?僕が一緒に居るから目を閉じてて、開けて良いって言うまでずっとだけど、出来る?」

「うっうん……大丈夫」


 さっきよりギュッと手を握るカスミちゃんは、瞳を閉じてくれた


「ゆっくり動くから、カスミちゃんは、黙ってついて来れば良いから……行くよ?」


 一度、店の奥にまで移動した僕はオジサンの視界から外れて、店の外に向かってゆっくりと移動していき


 出口はもう直ぐそこだ、もう大丈夫だ、カスミちゃんを連れて逃げられる、僕には目の前のコンビニの自動ドアしか目に入らなかったんだけど


「早くしろっ!ぶっ殺すぞっ!!」
「ひっ」


 再びオジサンが怒鳴り声を上げてカスミちゃんが思わず悲鳴を上げ、オジサンはレジのおばさんに向かってお金を取り出すのを包丁を振り回しながら急がせてた


「おっオジサン……そんなに振り回したら危ないよっおばさん怖くて動けないじゃないか」

「何だとおっ?……おい、お前?こいつ《包丁》が怖いのか?」

「はっはいいぃっ!怖いですぅ!」

「ほらっ!そんなの持ってるからお金取り出せないんだよ……僕が預かっておくから…ちょっと貸してよ」

「おおっそうか、すまねえな坊主」


 おじさんは当然のように、包丁を僕に渡して来て、レジに戻った


「それじゃ僕はもう行くね…がっ頑張って…」

「おおっ!気ぃ付けて帰れよっ!」


 オジサンは手を振って僕の事を見送ってくれたので、
 何事も無かったよう店の外に出るとゴミ箱に包丁を捨て、外を歩いてる大人の人を見つけた僕は


「あそこのコンビニで変なオジサンが怒鳴ってるからおまわりさん呼んでよっ!」


 大人に助けを求めた、僕に出来ることはここまでだと思ったんだけど…


「すっスグル君…これどうしよ?」


 カスミちゃんは僕と手を繋いでいない方の手に12個入りのスキンを持ったままだった



「えっえーっと……おっかないオジサン居なくなるまで待とうか?」


「そうだよね?流石に怖くて入れないよ…」



 結局おまわりさんが来て、ただ暴れたオジサンは連れて行かれ、通報者の僕とカスミちゃんはそれぞれの親に連れて帰られ、無事に家に戻り、いつも通りの平和な食事を迎える事が出来たんだ









【スグルのベッド】
 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 ………何か忘れてる気がするけどきっと気のせいだよね?


 もう疲れて眠くて仕方ない僕は、桃園さんの事をすっかり忘れていて、次の日の朝思い出した僕は、朝早くに桃園さんの家に行って謝り倒す事になったんだ
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