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白く優しいモノ
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夜勤明けの昼。
サヤは、眠くてたまらなかった。
今日こそは早く眠るつもりだったのに……
夜勤を終え朝帰ってきたのだが、溜まった洗濯物や植物に水やりをして、朝ごはんをたべるつもりだったが眠気に耐えられず座ったまま居眠り。
気づいたら三十分は軽く過ぎていたのだ。
「またやってしまった……」
朝食兼、昼ごはんをぼんやりしながら1時間かけて食べる。
夜勤明けのルーティーンとなってしまっていた。早めに寝て、早く起きたら色々できるから変えたいと常々思いながら、今日もいつもどおりの昼下がりである。
自室のある二階に上がるのは結局14時前。
重い身体を引きづりながら二階に上がると、南側のベランダの戸を網戸にし、風が通るように東側の窓と海が見える少し小さめの北の窓を開け放つ。
網戸の向こう側から涼しい風が顔をくすぐる。
夏の終わり、残暑が残る昼間。
窓を開けただけでは少し暑い。扇風機を弱にし、首を振らせる。
少し悩んで、西側の大きな窓を開け放つ。西側の窓からは川が見える。川の流れる音と、西陽が眩しい。
東側に頭を向けて寝ると陽の光が顔に当たるので川の音が聴こえる西側に頭を向け、タオルケットをお腹付近に掛け眠りについた。
川のせせらぐ音と波の音を微かに聴きながら、すぐに寝息をたてて眠るサヤ。
寝返りをしようとした瞬間!!
(しまったな……)
金縛りだ。
何故なら、いつもは西側の窓を開けないようにしている。
不思議と西側の窓を開けると、必ずと言っていいほど悪夢や誰も居ないのに人の気配がしたり……安眠を妨害されるからである。
(はぁ~。だるいし、面倒くさいから無視して寝るかな。身体が動かないだけだし)
そのまま寝るつもりだったが、やはり“ナニ”かがやって来る気配がする。
ベットの端がキシリと沈むのを感じた。
(怖いやつは嫌だな。目は閉められるから無視していよう。見たくないし)
“ソレ”は足元から段々と上の方へ。
きしり、きしりとサヤの身体の上を跨(また)いで四つん這いの状態で上がってくる気配を感じながら我慢する。
が、やはり気になる。
そっと薄目を開ける。身体は動かない。
白いモヤの様な人?透き通った白いモヤモヤした手を肩の横に見たような気がしたが
(無視するに限る)
と、すぐに見ないふりをしてやり過ごそうとした次の瞬間
『大丈夫……大丈夫』
と、微かな声で耳元でささやかれる。
意味がわからなかったが、驚いて目を開けてしまった。薄ぼんやりした人型が白く透き通ってモヤッと見えるだけだった
『大丈夫…………だい……じょうぶ』
耳元でそう言いながら、白いモヤの人はサヤの上半身を触りはじめる。
(優しい声だなぁ…なんだ?大丈夫かぁ……痛くないし、大丈夫って言うなら大丈夫だろう。放っておこう。)
体重は感じないが、確実に“人”の気配の様な覆いかぶさられている重さの様なモノを感じながら様子をみていると、なんだかムラムラしてきたのだ。
(!!心臓がドキドキする。変な気分だ)
そう思っていると、また
『大丈夫…大丈夫』
と、優しく耳元で囁かれる。
(大丈夫?なのか……あっヤバいこの人気持ちいい。それに優しい…)
優しく優しく触れられている。
さわさわと柔柔(やわやわ)と、胸からお腹…
段々と下半身の方へと手と顔?が下がっていくのを感じる。
『大丈夫……大丈夫』
相変わらず、優しく、暗示のように柔らかな優しい声は続いている。
(だいじょ……あっやっ触られ……)
『大丈夫…大丈夫』
頭は下半身の所にある筈なのに、耳元で囁く優しく、優しく、諭すように。
(気持ちいッ…ソレ……)
人間じゃないのに……と、サヤは一瞬考えるが、囁き声に安心感があり、身体に与えられる快楽に考えるのを辞めざるを得なかった。
『も……ぉ……大……丈…ぶ』
耳元ではない所で微かに声が聴こえると、伸びたまま動かないはずの両足が、スルスルと曲げられる。
(はぁ~。ん?ちょっと)
赤面しながら脚を曲げられた感触に驚く。驚いて目を再度開ける。
『大丈夫、大丈夫……大丈夫』
耳元で囁かれる
(ん。あっ……大丈夫…なのね)
素直に聞き入れ、目を閉じてしまう。
次の瞬間、曲げられた両膝に手がかかり
『もう、良いね』
と呟かれたと思うと、膝にのせられた手に力が入り左右に大きく押し開かれる。
ハッとしたサヤは
(大丈夫じゃなーい!!人以外ムリー!)
と、目を見開き、動かない身体をよそに心の中で強く叫んだ!
すると、膝に手を掛けていたモノは何処かへ飛ばされていった。
ガバっと起き上がり、ドキドキする身体をギュッと抱きしめたあと、暫く体育座りの状態で放心するサヤ。
数分後、落ち着きを取り戻すと、西側の窓を勢いよく閉め鍵もかける。
(どっか遠くまで飛んでったな~私だけ気持ちよくさせるだけしてもらって、ちょっと申し訳なかったかなぁ……でもな~男性経験無いのに初めてが幽霊とか……無いわ~)
と、心の中で呟き再び眠りにつくのであった。
サヤは、眠くてたまらなかった。
今日こそは早く眠るつもりだったのに……
夜勤を終え朝帰ってきたのだが、溜まった洗濯物や植物に水やりをして、朝ごはんをたべるつもりだったが眠気に耐えられず座ったまま居眠り。
気づいたら三十分は軽く過ぎていたのだ。
「またやってしまった……」
朝食兼、昼ごはんをぼんやりしながら1時間かけて食べる。
夜勤明けのルーティーンとなってしまっていた。早めに寝て、早く起きたら色々できるから変えたいと常々思いながら、今日もいつもどおりの昼下がりである。
自室のある二階に上がるのは結局14時前。
重い身体を引きづりながら二階に上がると、南側のベランダの戸を網戸にし、風が通るように東側の窓と海が見える少し小さめの北の窓を開け放つ。
網戸の向こう側から涼しい風が顔をくすぐる。
夏の終わり、残暑が残る昼間。
窓を開けただけでは少し暑い。扇風機を弱にし、首を振らせる。
少し悩んで、西側の大きな窓を開け放つ。西側の窓からは川が見える。川の流れる音と、西陽が眩しい。
東側に頭を向けて寝ると陽の光が顔に当たるので川の音が聴こえる西側に頭を向け、タオルケットをお腹付近に掛け眠りについた。
川のせせらぐ音と波の音を微かに聴きながら、すぐに寝息をたてて眠るサヤ。
寝返りをしようとした瞬間!!
(しまったな……)
金縛りだ。
何故なら、いつもは西側の窓を開けないようにしている。
不思議と西側の窓を開けると、必ずと言っていいほど悪夢や誰も居ないのに人の気配がしたり……安眠を妨害されるからである。
(はぁ~。だるいし、面倒くさいから無視して寝るかな。身体が動かないだけだし)
そのまま寝るつもりだったが、やはり“ナニ”かがやって来る気配がする。
ベットの端がキシリと沈むのを感じた。
(怖いやつは嫌だな。目は閉められるから無視していよう。見たくないし)
“ソレ”は足元から段々と上の方へ。
きしり、きしりとサヤの身体の上を跨(また)いで四つん這いの状態で上がってくる気配を感じながら我慢する。
が、やはり気になる。
そっと薄目を開ける。身体は動かない。
白いモヤの様な人?透き通った白いモヤモヤした手を肩の横に見たような気がしたが
(無視するに限る)
と、すぐに見ないふりをしてやり過ごそうとした次の瞬間
『大丈夫……大丈夫』
と、微かな声で耳元でささやかれる。
意味がわからなかったが、驚いて目を開けてしまった。薄ぼんやりした人型が白く透き通ってモヤッと見えるだけだった
『大丈夫…………だい……じょうぶ』
耳元でそう言いながら、白いモヤの人はサヤの上半身を触りはじめる。
(優しい声だなぁ…なんだ?大丈夫かぁ……痛くないし、大丈夫って言うなら大丈夫だろう。放っておこう。)
体重は感じないが、確実に“人”の気配の様な覆いかぶさられている重さの様なモノを感じながら様子をみていると、なんだかムラムラしてきたのだ。
(!!心臓がドキドキする。変な気分だ)
そう思っていると、また
『大丈夫…大丈夫』
と、優しく耳元で囁かれる。
(大丈夫?なのか……あっヤバいこの人気持ちいい。それに優しい…)
優しく優しく触れられている。
さわさわと柔柔(やわやわ)と、胸からお腹…
段々と下半身の方へと手と顔?が下がっていくのを感じる。
『大丈夫……大丈夫』
相変わらず、優しく、暗示のように柔らかな優しい声は続いている。
(だいじょ……あっやっ触られ……)
『大丈夫…大丈夫』
頭は下半身の所にある筈なのに、耳元で囁く優しく、優しく、諭すように。
(気持ちいッ…ソレ……)
人間じゃないのに……と、サヤは一瞬考えるが、囁き声に安心感があり、身体に与えられる快楽に考えるのを辞めざるを得なかった。
『も……ぉ……大……丈…ぶ』
耳元ではない所で微かに声が聴こえると、伸びたまま動かないはずの両足が、スルスルと曲げられる。
(はぁ~。ん?ちょっと)
赤面しながら脚を曲げられた感触に驚く。驚いて目を再度開ける。
『大丈夫、大丈夫……大丈夫』
耳元で囁かれる
(ん。あっ……大丈夫…なのね)
素直に聞き入れ、目を閉じてしまう。
次の瞬間、曲げられた両膝に手がかかり
『もう、良いね』
と呟かれたと思うと、膝にのせられた手に力が入り左右に大きく押し開かれる。
ハッとしたサヤは
(大丈夫じゃなーい!!人以外ムリー!)
と、目を見開き、動かない身体をよそに心の中で強く叫んだ!
すると、膝に手を掛けていたモノは何処かへ飛ばされていった。
ガバっと起き上がり、ドキドキする身体をギュッと抱きしめたあと、暫く体育座りの状態で放心するサヤ。
数分後、落ち着きを取り戻すと、西側の窓を勢いよく閉め鍵もかける。
(どっか遠くまで飛んでったな~私だけ気持ちよくさせるだけしてもらって、ちょっと申し訳なかったかなぁ……でもな~男性経験無いのに初めてが幽霊とか……無いわ~)
と、心の中で呟き再び眠りにつくのであった。
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