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265話、私は、お前よりお前の未来を見据えている
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「で、次行くぞ! 次は、教会に住んでた時のお前だ」
「は、はい」
豪快に話を進めたベルラザさんが、私の両肩にそっと手を添えた。
「シルフ様が一番熱弁してたのは、お前が自分を魔女だと自覚した頃の話だ。なんでもお前、すげえ決心をしたらしいじゃねえか」
「ああ、それですか」
私が魔女だと自覚した後、ピースの前で明かした決心。その話は、私達が『メリューゼさん』と一戦交えた次の日。
渓谷地帯へ行き、ピピラダと会話をしている最中。いきなり『風の瞑想場』に連れて行かれ、そこで初めてシルフと出会った時にも、あいつは熱く語っていた。
俺は感動しただとか。だから、俺も決めたんだ。もし、こいつと契約を交わせる日が来たとしたら、喜んで交わしてやろうとかな。
「自分が作った薬や魔法で、皆を幸せにするだったか? お前らだって、恵まれねえ環境下に居たってのによお。よくもまあ、物心がついたばかりの時に、女神様みたいな決心が出来たもんだぜ」
お前らって事は、ピースやレムさんについても話していそうだな。恵まれない環境下、か。確かに、当時はお金が無くて、腹が満ちる日は無かった。
けど私は、恵まれていないなんて思った事は、一度も無い。だって、いつも私の傍には、笑顔のピースやレムさんが居てくれていたのだから。
「今もそうですが。私は、人の笑顔を見るのが大好きなんです。だから、こんな私にも出来る事があるんだと知れて喜び、私と同じ立場に居る人達を少しでも幸せにしてあげたいと強く思い、そう決心したんです。ですが」
決心した経緯を軽く告げて、一言付け加えた後。ベルラザさんの顔を、改めて視界の中央へ入れた。
「私は恵まれていなかったなんて、一度も思った事はありません」
「ピースとレムが居たからってか?」
「むっ……」
言おうとした内容を、ニヤニヤし出したベルラザさんに先読みされてしまい、私の視界が軽く広がった。この人、アルビスと同等かそれ以上に、予想立てや読みが鋭い。
だとすると、表情から心境を読み取る事にも長けていそうだし。ベルラザさんの前でも、下手な嘘はつけないな。
「そ、その通りです」
「はっはっはっ。やっぱりな、そう思ったぜ。聞いた話じゃ、飯すらロクに食えてなかったんだろ?」
「そう、ですね。水だけで凌いだ日も多くありました」
「だよな。だったら今ぐらい、たらふく食ったらどうだ? お前、一人で『タート』に行くと、やっすい菓子しか食わねえだろ?」
まさか、そこまで見られていたとは。私の唯一の贅沢。それは、菓子屋で銅貨三枚分までの菓子を買って食べる事。
もちろん、みんなにも食べさせてあげたいので、エルフのウィザレナ達も食べられる菓子を探しては、買って帰っている。
「なるほど。よく菓子を買って来てたのは、そういう事だったのか」
「アルビス。感心してねえで、こいつをもっと甘やかせ。今の内に贅沢を覚えさせねえと、せっかく生き返ったピースも質素な生活を送る羽目になんぞ?」
「む。貴様、ピース殿まで知ってるのか」
「さっき言っただろ? アカシックの一生涯を聞かされたって。たぶん、お前より私の方がこいつを詳しく知ってんぞ」
「そ、そうだったな……」
アルビにだって、過去の私について、少しぐらい話しているけれども。今日初めて対面したベルラザさんは、ピースはおろか、レムさんも細かく知っていそうだ。
知っているのであれば、大いに語って欲しい。当時の記憶は、色褪せずしっかり残っている。けど、より鮮明に色付けば、また夢の中で、ピースやレムさんと逢えるかもしれない。
「なら、ベルラザ。余らについて話すのはいいが、余が知らないアカシックの事も教えてくれないか?」
「私も、是非語って欲しいです」
「おう、この要件が済んで落ち着いたらな。っと、そうだ。アカシック」
更に話を切り替えたベルラザさんが、私の肩に手を回し、体をグイッと寄せてきた。
「は、はい。なんでしょう?」
「少ししたら、全員で『タート』に行こうぜ」
「え? タートに、ですか?」
「そうだ! 流石に、私を知ってる奴は大体死んだだろ? いい加減、身を隠して過ごすのに飽き飽きしてたんだ。これからは、あったけえ空の下を伸び伸び歩きてえ。んで、美味いもんも沢山食いてえから、私に教えてくれよ」
「いいな、それ。余も大賛成だ」
ベルラザさんのワガママに乗り気なアルビスが、凛とほくそ笑んだ。みんなでタートにか。正直、私も悪く無いと思っている。
サニーも、ここ最近タートへ行っていないし、そろそろ頃合いな時期だろう。それに、今日か明日までに、ベルラザさんとイフリート様を、サニーに紹介するんだ。
間違いなく大はしゃぎして、ベルラザさんのワガママに賛成するはずだ。しかし、たった一つだけ、大きな不安要素がある。それは───。
「私も構いませんけど……。ウィザレナとレナは、反対するだろうな」
「ああ、確かに。二人の人間に対する恨みは、余でも計り知れんほど根深いからな。下手すれば、街中で暴れるかもしれん」
「だったら、私が説得してやるよ」
「ベルラザさんが、ですか?」
「そうだ! 私も最初は、あいつらと似た境遇に置かれてたからな。その期間だって、私の方が断然長え。元人間嫌いだった大先輩として、後輩どもに分からせてやんよ」
そう豪語したベルラザさんが、雄々しい笑みを浮かべた。そうだ。不死鳥のベルラザさんも、アルビスと同じく、体の部位を欲する欲深い人間達に、日々追われていた身だ。
アルビスの話によると、ベルラザさんは変身魔法を駆使し、森や山脈の奥地で暮らしていたらしい。けど、隠れて暮らすのは性に合わないと怒り、いつか人間を見下せる存在になってやろうと誓い。
各地を転々として、自らの羽や尾羽などを高値で売りさばき続け、資金調達を繰り返し行い。『アルシェライ領』に屋敷を建てて、現在の地位を手に入れたとか。
アルビスは、約四百年。ウィザレナ達は、約九百年前後、人間や他種族から襲われていた。が、ベルラザさんは、更にその上を行くと。境遇は違えど、私の心が闇に堕ちていた九十年前後が、かなり霞んで見えてしまうな。
「でだ、アカシック。お前も、美味いもんがある店を、しっかり頭に叩き込んでおけよ?」
「私が、ですか?」
「そうだ! じゃねえと、ピースが退屈しちまうだろ?」
「んっ……」
なんとも優しい眼差しを向けたベルラザさんが、私の肩に垂らしていた手を頭に移し、そっと撫で始めた。
「私はな? アカシック。お前が思ってる未来よりも、先の未来を見据えて言ってんだ。フォスグリアなんざ、私が軽く捻り潰してやる。だから、お前は安心して、夢を叶えた未来の事を考えてればいい」
「ベルラザ、さん……」
「アルビスの妹は、私の可愛い孫だ。気になんざしねえで、私を頼れ。な?」
無垢に笑うベルラザさんの顔が、だんだんぼやけてきた。この人の一言一言には、甘えてしまってもいいかなという、とても安心出来る暖かな物が宿っている。
まだ出会ってから、三十分ぐらいしか経っていないというのに。私の中で、頼って縋りたいという気持ちが、どんどん膨れ上がっていく。
これが、ベルラザさんという人物。豪胆なのに慈悲深く、破天荒なのに面倒見が良くて、荒々しいのに母性に溢れ、心身を抱擁して掴んでいく。
だからアルビスも、この人に心を許してしまったんだろうな。今なら、その気持ちが強く分かる。
「……はい、分かりました。ありがとうございます」
「よーし! 良い子だ。んじゃ、次で最後だな! 最後は、大人になった後のお前だ」
私の頭をポンポンと叩いたベルラザさんが、ゆっくり私の前に立ち、笑顔を保ちながら腕を組んだ。
「アカシック。今すぐ正座しろ」
「……え?」
「は、はい」
豪快に話を進めたベルラザさんが、私の両肩にそっと手を添えた。
「シルフ様が一番熱弁してたのは、お前が自分を魔女だと自覚した頃の話だ。なんでもお前、すげえ決心をしたらしいじゃねえか」
「ああ、それですか」
私が魔女だと自覚した後、ピースの前で明かした決心。その話は、私達が『メリューゼさん』と一戦交えた次の日。
渓谷地帯へ行き、ピピラダと会話をしている最中。いきなり『風の瞑想場』に連れて行かれ、そこで初めてシルフと出会った時にも、あいつは熱く語っていた。
俺は感動しただとか。だから、俺も決めたんだ。もし、こいつと契約を交わせる日が来たとしたら、喜んで交わしてやろうとかな。
「自分が作った薬や魔法で、皆を幸せにするだったか? お前らだって、恵まれねえ環境下に居たってのによお。よくもまあ、物心がついたばかりの時に、女神様みたいな決心が出来たもんだぜ」
お前らって事は、ピースやレムさんについても話していそうだな。恵まれない環境下、か。確かに、当時はお金が無くて、腹が満ちる日は無かった。
けど私は、恵まれていないなんて思った事は、一度も無い。だって、いつも私の傍には、笑顔のピースやレムさんが居てくれていたのだから。
「今もそうですが。私は、人の笑顔を見るのが大好きなんです。だから、こんな私にも出来る事があるんだと知れて喜び、私と同じ立場に居る人達を少しでも幸せにしてあげたいと強く思い、そう決心したんです。ですが」
決心した経緯を軽く告げて、一言付け加えた後。ベルラザさんの顔を、改めて視界の中央へ入れた。
「私は恵まれていなかったなんて、一度も思った事はありません」
「ピースとレムが居たからってか?」
「むっ……」
言おうとした内容を、ニヤニヤし出したベルラザさんに先読みされてしまい、私の視界が軽く広がった。この人、アルビスと同等かそれ以上に、予想立てや読みが鋭い。
だとすると、表情から心境を読み取る事にも長けていそうだし。ベルラザさんの前でも、下手な嘘はつけないな。
「そ、その通りです」
「はっはっはっ。やっぱりな、そう思ったぜ。聞いた話じゃ、飯すらロクに食えてなかったんだろ?」
「そう、ですね。水だけで凌いだ日も多くありました」
「だよな。だったら今ぐらい、たらふく食ったらどうだ? お前、一人で『タート』に行くと、やっすい菓子しか食わねえだろ?」
まさか、そこまで見られていたとは。私の唯一の贅沢。それは、菓子屋で銅貨三枚分までの菓子を買って食べる事。
もちろん、みんなにも食べさせてあげたいので、エルフのウィザレナ達も食べられる菓子を探しては、買って帰っている。
「なるほど。よく菓子を買って来てたのは、そういう事だったのか」
「アルビス。感心してねえで、こいつをもっと甘やかせ。今の内に贅沢を覚えさせねえと、せっかく生き返ったピースも質素な生活を送る羽目になんぞ?」
「む。貴様、ピース殿まで知ってるのか」
「さっき言っただろ? アカシックの一生涯を聞かされたって。たぶん、お前より私の方がこいつを詳しく知ってんぞ」
「そ、そうだったな……」
アルビにだって、過去の私について、少しぐらい話しているけれども。今日初めて対面したベルラザさんは、ピースはおろか、レムさんも細かく知っていそうだ。
知っているのであれば、大いに語って欲しい。当時の記憶は、色褪せずしっかり残っている。けど、より鮮明に色付けば、また夢の中で、ピースやレムさんと逢えるかもしれない。
「なら、ベルラザ。余らについて話すのはいいが、余が知らないアカシックの事も教えてくれないか?」
「私も、是非語って欲しいです」
「おう、この要件が済んで落ち着いたらな。っと、そうだ。アカシック」
更に話を切り替えたベルラザさんが、私の肩に手を回し、体をグイッと寄せてきた。
「は、はい。なんでしょう?」
「少ししたら、全員で『タート』に行こうぜ」
「え? タートに、ですか?」
「そうだ! 流石に、私を知ってる奴は大体死んだだろ? いい加減、身を隠して過ごすのに飽き飽きしてたんだ。これからは、あったけえ空の下を伸び伸び歩きてえ。んで、美味いもんも沢山食いてえから、私に教えてくれよ」
「いいな、それ。余も大賛成だ」
ベルラザさんのワガママに乗り気なアルビスが、凛とほくそ笑んだ。みんなでタートにか。正直、私も悪く無いと思っている。
サニーも、ここ最近タートへ行っていないし、そろそろ頃合いな時期だろう。それに、今日か明日までに、ベルラザさんとイフリート様を、サニーに紹介するんだ。
間違いなく大はしゃぎして、ベルラザさんのワガママに賛成するはずだ。しかし、たった一つだけ、大きな不安要素がある。それは───。
「私も構いませんけど……。ウィザレナとレナは、反対するだろうな」
「ああ、確かに。二人の人間に対する恨みは、余でも計り知れんほど根深いからな。下手すれば、街中で暴れるかもしれん」
「だったら、私が説得してやるよ」
「ベルラザさんが、ですか?」
「そうだ! 私も最初は、あいつらと似た境遇に置かれてたからな。その期間だって、私の方が断然長え。元人間嫌いだった大先輩として、後輩どもに分からせてやんよ」
そう豪語したベルラザさんが、雄々しい笑みを浮かべた。そうだ。不死鳥のベルラザさんも、アルビスと同じく、体の部位を欲する欲深い人間達に、日々追われていた身だ。
アルビスの話によると、ベルラザさんは変身魔法を駆使し、森や山脈の奥地で暮らしていたらしい。けど、隠れて暮らすのは性に合わないと怒り、いつか人間を見下せる存在になってやろうと誓い。
各地を転々として、自らの羽や尾羽などを高値で売りさばき続け、資金調達を繰り返し行い。『アルシェライ領』に屋敷を建てて、現在の地位を手に入れたとか。
アルビスは、約四百年。ウィザレナ達は、約九百年前後、人間や他種族から襲われていた。が、ベルラザさんは、更にその上を行くと。境遇は違えど、私の心が闇に堕ちていた九十年前後が、かなり霞んで見えてしまうな。
「でだ、アカシック。お前も、美味いもんがある店を、しっかり頭に叩き込んでおけよ?」
「私が、ですか?」
「そうだ! じゃねえと、ピースが退屈しちまうだろ?」
「んっ……」
なんとも優しい眼差しを向けたベルラザさんが、私の肩に垂らしていた手を頭に移し、そっと撫で始めた。
「私はな? アカシック。お前が思ってる未来よりも、先の未来を見据えて言ってんだ。フォスグリアなんざ、私が軽く捻り潰してやる。だから、お前は安心して、夢を叶えた未来の事を考えてればいい」
「ベルラザ、さん……」
「アルビスの妹は、私の可愛い孫だ。気になんざしねえで、私を頼れ。な?」
無垢に笑うベルラザさんの顔が、だんだんぼやけてきた。この人の一言一言には、甘えてしまってもいいかなという、とても安心出来る暖かな物が宿っている。
まだ出会ってから、三十分ぐらいしか経っていないというのに。私の中で、頼って縋りたいという気持ちが、どんどん膨れ上がっていく。
これが、ベルラザさんという人物。豪胆なのに慈悲深く、破天荒なのに面倒見が良くて、荒々しいのに母性に溢れ、心身を抱擁して掴んでいく。
だからアルビスも、この人に心を許してしまったんだろうな。今なら、その気持ちが強く分かる。
「……はい、分かりました。ありがとうございます」
「よーし! 良い子だ。んじゃ、次で最後だな! 最後は、大人になった後のお前だ」
私の頭をポンポンと叩いたベルラザさんが、ゆっくり私の前に立ち、笑顔を保ちながら腕を組んだ。
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