263 / 304
258話、未熟でヒヨッコな、時を司る精霊
しおりを挟む
「そうだった! そっちの方が断然早い、じゃんっ!」
『光柱の管理人』と共に落下していったフローガンズが、わざわざ私の前に瞬間移動して来ては、新たに降ってきた『光柱の管理人』を真上へ蹴り飛ばした。
「だったらさ、アカシック! こうやって」
どこか嬉々と語り出したフローガンズが、再び瞬間移動し。私との距離を一気に詰めてきて、私の腹部に握った拳とトンっと付けた。
「アカシックを直接ぶん殴っちゃえばいいって、ことでしょ?」
「それも勝ち筋の一つだ。けどお前は、さっきまで私に消された氷の板や氷像を、元に戻す事しか考えてなかっただろ?」
「うん、そうだね」
「……やっぱりな」
フローガンズの主な戦法は、ほぼ近接格闘のみ。しかし、先の連戦を通して、精霊由来の力を少しずつ使うになってきた。
その成長速度は、著しく早い。一度使用すれば即座に要領を得て、すぐさま自分の物に出来ている。今は敵とはいえ、素晴らしい技能だ。
だからこそ、非常に勿体ない。近接格闘と、精霊由来の力を同時に学んでいたら、更に強くなれていたかもしれないというのに。
「フローガンズ。すまないが、一旦休戦しよう」
そう話を持ち出した私は、『天翔ける極光鳥』、『光柱の管理人』、『極光蟲』、二重に掛けていた魔法壁を全て消した。
「えっ? なんで?」
「なんだかお前を、無性に鍛えたくなってきたんだ」
「……え?」
突拍子もない提案に、フローガンズが呆けた表情になり、肩をストンと落とした。
もう我慢の限界だ。こいつが秘めた力を、存分に発揮させてやりたいというお節介な気持ちが、抑えられなくなってしまった。
ついさっきまで、こいつが私より強くなる事を面倒臭がり、アルビスの教授を遮ってしまったものの。今は、強烈な焦れったさの方が勝っている。
「……どうしたの? 急に」
「色々と勿体なさ過ぎるんだ、お前は。私はな? フローガンズ。ウンディーネやノームと一戦交えてるから、精霊の力について多少心得てる。もし私が、氷の精霊だったら、今のお前よりかは力を上手く使える自信があるぞ」
「氷の精霊だったらって。アカシック、時の精霊の血がちょびっと入ってんじゃん。だったらアカシックも、精霊みたいなもんでしょ?」
「あ、確かに」
フローガンズを論するべく、例えに出したのはいいが……。言われてみたら、そうだ。けど私は、精霊族みたいに司る物から魔法を放つ事なんて───。
「……いや。似たような事は、やってるな」
そう、やっている。私の『奥の手』で。『奥の手』、別名『語り』は、大地、空、海といった自然界に私の魔力を流し込み。時間を掛けて掌握すれば、そこから魔法を放てるようになれる。
要は、指定した場所を、私のみが使える魔法陣にしてしまうんだ。一度掌握してしまえば、私の魔力が尽きぬ限り、魔法を何度でも放つ事が可能。
しかも、指定した魔法の制限。もっと細かな指示を出せば、範囲内にある物体や人物の捜索など、私の技量によっては出来る事も増えていく。
語りは、私の心がまだ闇に堕ちており、ピースを生き返らせようと躍起になっていた頃。アルビスを楽に倒したくて、何も無い場所から魔法が放てないかと考えていた時。
適当に試行錯誤していたら、たまたま出来てしまい。なぜ出来たのか深く考えず、今日の今日まで『奥の手』として使ってきていた。もちろん、何の疑問も持たずにだ。
いや、疑問を持てなかったと言った方が正しい。幼少期からサニーと出会うまで、私は一人で魔法を学んでいた。
当然、身近に魔法使いや魔女など居らず。この『奥の手』なんかも、誰にだって出来る事なんだと勝手に決めつけていたんだ。
「……まさか」
そして今、フローガンズの一言により、ようやく『奥の手』に疑問や違和感を抱けた。自然界を掌握して、魔法を放つ事なんて、普通の人間に出来るのか?
答えは、たぶん出来ない。もし全員が手軽に出来ていたら、世界の均衡なぞ容易く崩れ、あらゆる文明が栄える前に滅びていただろう。
私は、大地、空、海という自然界の何を掌握していた? 自然界自身? いや、違う。ここだけは、なんとなく確信が持てる。なら一体、何を掌握していたんだ?
「もしかして……」
私は、時を司る精霊の血を持つ人間。ならば、そこから導き出せる答えは、ただ一つ。
この世を等しく満たしている“時”だ。自然界ではなく、自然界に流れていた“時”を掌握していたんだ。
“時”なんて、そこら中どこにでもある。人間に必要不可欠な空気よりも、各精霊が司っている物より、断然多い。無い場所なんて無い。世界を、この世を、隙間無く満たしている。
「お~い、アカシック? 急にぶつぶつ言い出して、どったの?」
もしかしたら私は、『語り』の使い方を間違っていたかもしれない。目に見える範囲の自然界を、全て掌握するには、それなりの時間が掛かる。
下手すれば、時の穢れに侵された『メリューゼ』さん然り、私の『語り』を対策したノーム然り、戦闘の間に掌握まで至らないという、危うさもあるんだ。
だったら、部分的に掌握するのはどうだろう? 例えば、フローガンズが乱雑に配置した、氷板や氷像のように。
「……なんか、分かった気がする」
「ん? 何が?」
掌握する形は、一m前後の正方形ぐらいでいい。その正方形が、あらゆる箇所にある想像をするんだ。そこへ、私の魔力を流し込んでみれば───。
早速実践してみる為に、武者震いが止まらない両手を広げ、虚空に想像した正方形へ、私の魔力を送ってみる。
すると、そこにある“時”がすぐさま応えてくれたらしく。総勢、約十はあろう正方形を成した白光の瞬きが現れ、すっと消えていった。
「でき、た……?」
「何? 今、なんか光ったよね? ちょっとアカシック? 何してんの? 黙ってないで言ってよ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。もう少しで掴めそうなんだ」
私の魂までも興奮し出し、呼吸が嬉々と乱れてきた中。確信を得たいので、右手に風の杖を持ち。先ほど白光が瞬いた箇所へ、震える杖先をかざした。
『風の、加護よ』
詠唱を省いた呪文を唱えると、私の予想通り、やや離れた場所に風の魔法壁が複数現れた。
……出来ている。出来てしまった。やはり、今の瞬いた光は、私がその箇所を掌握した合図で間違いない。
「……ふ、ふふふっ。ふっふっふっ……。あっはっはっはっはっ!」
私は本当に何気なく、精霊由来の力を使えていたんだ。こんなの、一人で居たら気付けるはずがないじゃないか。
けど、気付けた。理解出来た。シャドウが、私の家族構成について話してくれて。フローガンズが、私が時を精霊だと改めて教えてくれて、ようやく!
「ちょっと? さっきから、どうしたの? そろそろ怖くなってきたんだけど」
「……いや、すまない。それと、ありがとう。フローガンズ。お前のお陰で、私はもっともっと強くなれそうだよ」
笑い過ぎたせいで、目に溜まった涙を指で拭き取り、少し潤んだ視界にフローガンズを捉えた。
「ああ、そうなの? 別に、あたしは何もしてないけど……。まあ、よかったね」
「うん、本当によかった。お前には、感謝してもし切れないよ。それじゃあ、フローガンズ。早速だが、恩を返さないとな。お前と同じ舞台に立てた所で、習うより慣れろだ。戦闘を再開して、実戦でお前を鍛え上げてやる」
早く戦ってみたいと、疼き始めた右手に持っていた風の杖を離し、火の杖の持ち替える。
「この私、未熟でヒヨッコな、時を司る精霊アカシックがな」
『光柱の管理人』と共に落下していったフローガンズが、わざわざ私の前に瞬間移動して来ては、新たに降ってきた『光柱の管理人』を真上へ蹴り飛ばした。
「だったらさ、アカシック! こうやって」
どこか嬉々と語り出したフローガンズが、再び瞬間移動し。私との距離を一気に詰めてきて、私の腹部に握った拳とトンっと付けた。
「アカシックを直接ぶん殴っちゃえばいいって、ことでしょ?」
「それも勝ち筋の一つだ。けどお前は、さっきまで私に消された氷の板や氷像を、元に戻す事しか考えてなかっただろ?」
「うん、そうだね」
「……やっぱりな」
フローガンズの主な戦法は、ほぼ近接格闘のみ。しかし、先の連戦を通して、精霊由来の力を少しずつ使うになってきた。
その成長速度は、著しく早い。一度使用すれば即座に要領を得て、すぐさま自分の物に出来ている。今は敵とはいえ、素晴らしい技能だ。
だからこそ、非常に勿体ない。近接格闘と、精霊由来の力を同時に学んでいたら、更に強くなれていたかもしれないというのに。
「フローガンズ。すまないが、一旦休戦しよう」
そう話を持ち出した私は、『天翔ける極光鳥』、『光柱の管理人』、『極光蟲』、二重に掛けていた魔法壁を全て消した。
「えっ? なんで?」
「なんだかお前を、無性に鍛えたくなってきたんだ」
「……え?」
突拍子もない提案に、フローガンズが呆けた表情になり、肩をストンと落とした。
もう我慢の限界だ。こいつが秘めた力を、存分に発揮させてやりたいというお節介な気持ちが、抑えられなくなってしまった。
ついさっきまで、こいつが私より強くなる事を面倒臭がり、アルビスの教授を遮ってしまったものの。今は、強烈な焦れったさの方が勝っている。
「……どうしたの? 急に」
「色々と勿体なさ過ぎるんだ、お前は。私はな? フローガンズ。ウンディーネやノームと一戦交えてるから、精霊の力について多少心得てる。もし私が、氷の精霊だったら、今のお前よりかは力を上手く使える自信があるぞ」
「氷の精霊だったらって。アカシック、時の精霊の血がちょびっと入ってんじゃん。だったらアカシックも、精霊みたいなもんでしょ?」
「あ、確かに」
フローガンズを論するべく、例えに出したのはいいが……。言われてみたら、そうだ。けど私は、精霊族みたいに司る物から魔法を放つ事なんて───。
「……いや。似たような事は、やってるな」
そう、やっている。私の『奥の手』で。『奥の手』、別名『語り』は、大地、空、海といった自然界に私の魔力を流し込み。時間を掛けて掌握すれば、そこから魔法を放てるようになれる。
要は、指定した場所を、私のみが使える魔法陣にしてしまうんだ。一度掌握してしまえば、私の魔力が尽きぬ限り、魔法を何度でも放つ事が可能。
しかも、指定した魔法の制限。もっと細かな指示を出せば、範囲内にある物体や人物の捜索など、私の技量によっては出来る事も増えていく。
語りは、私の心がまだ闇に堕ちており、ピースを生き返らせようと躍起になっていた頃。アルビスを楽に倒したくて、何も無い場所から魔法が放てないかと考えていた時。
適当に試行錯誤していたら、たまたま出来てしまい。なぜ出来たのか深く考えず、今日の今日まで『奥の手』として使ってきていた。もちろん、何の疑問も持たずにだ。
いや、疑問を持てなかったと言った方が正しい。幼少期からサニーと出会うまで、私は一人で魔法を学んでいた。
当然、身近に魔法使いや魔女など居らず。この『奥の手』なんかも、誰にだって出来る事なんだと勝手に決めつけていたんだ。
「……まさか」
そして今、フローガンズの一言により、ようやく『奥の手』に疑問や違和感を抱けた。自然界を掌握して、魔法を放つ事なんて、普通の人間に出来るのか?
答えは、たぶん出来ない。もし全員が手軽に出来ていたら、世界の均衡なぞ容易く崩れ、あらゆる文明が栄える前に滅びていただろう。
私は、大地、空、海という自然界の何を掌握していた? 自然界自身? いや、違う。ここだけは、なんとなく確信が持てる。なら一体、何を掌握していたんだ?
「もしかして……」
私は、時を司る精霊の血を持つ人間。ならば、そこから導き出せる答えは、ただ一つ。
この世を等しく満たしている“時”だ。自然界ではなく、自然界に流れていた“時”を掌握していたんだ。
“時”なんて、そこら中どこにでもある。人間に必要不可欠な空気よりも、各精霊が司っている物より、断然多い。無い場所なんて無い。世界を、この世を、隙間無く満たしている。
「お~い、アカシック? 急にぶつぶつ言い出して、どったの?」
もしかしたら私は、『語り』の使い方を間違っていたかもしれない。目に見える範囲の自然界を、全て掌握するには、それなりの時間が掛かる。
下手すれば、時の穢れに侵された『メリューゼ』さん然り、私の『語り』を対策したノーム然り、戦闘の間に掌握まで至らないという、危うさもあるんだ。
だったら、部分的に掌握するのはどうだろう? 例えば、フローガンズが乱雑に配置した、氷板や氷像のように。
「……なんか、分かった気がする」
「ん? 何が?」
掌握する形は、一m前後の正方形ぐらいでいい。その正方形が、あらゆる箇所にある想像をするんだ。そこへ、私の魔力を流し込んでみれば───。
早速実践してみる為に、武者震いが止まらない両手を広げ、虚空に想像した正方形へ、私の魔力を送ってみる。
すると、そこにある“時”がすぐさま応えてくれたらしく。総勢、約十はあろう正方形を成した白光の瞬きが現れ、すっと消えていった。
「でき、た……?」
「何? 今、なんか光ったよね? ちょっとアカシック? 何してんの? 黙ってないで言ってよ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。もう少しで掴めそうなんだ」
私の魂までも興奮し出し、呼吸が嬉々と乱れてきた中。確信を得たいので、右手に風の杖を持ち。先ほど白光が瞬いた箇所へ、震える杖先をかざした。
『風の、加護よ』
詠唱を省いた呪文を唱えると、私の予想通り、やや離れた場所に風の魔法壁が複数現れた。
……出来ている。出来てしまった。やはり、今の瞬いた光は、私がその箇所を掌握した合図で間違いない。
「……ふ、ふふふっ。ふっふっふっ……。あっはっはっはっはっ!」
私は本当に何気なく、精霊由来の力を使えていたんだ。こんなの、一人で居たら気付けるはずがないじゃないか。
けど、気付けた。理解出来た。シャドウが、私の家族構成について話してくれて。フローガンズが、私が時を精霊だと改めて教えてくれて、ようやく!
「ちょっと? さっきから、どうしたの? そろそろ怖くなってきたんだけど」
「……いや、すまない。それと、ありがとう。フローガンズ。お前のお陰で、私はもっともっと強くなれそうだよ」
笑い過ぎたせいで、目に溜まった涙を指で拭き取り、少し潤んだ視界にフローガンズを捉えた。
「ああ、そうなの? 別に、あたしは何もしてないけど……。まあ、よかったね」
「うん、本当によかった。お前には、感謝してもし切れないよ。それじゃあ、フローガンズ。早速だが、恩を返さないとな。お前と同じ舞台に立てた所で、習うより慣れろだ。戦闘を再開して、実戦でお前を鍛え上げてやる」
早く戦ってみたいと、疼き始めた右手に持っていた風の杖を離し、火の杖の持ち替える。
「この私、未熟でヒヨッコな、時を司る精霊アカシックがな」
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説


冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシャリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!
つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。
他サイトにも公開中。

白い結婚をめぐる二年の攻防
藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」
「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」
「え、いやその」
父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。
だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。
妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。
※ なろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる