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249話、対ウィザレナ、レナ戦
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「さて、完了っと!」
分身体になり、全身の色が若干色褪せたフローガンズが、ウィザレナ達と戦うべく駆けて行く。
ヴェルイン、短期のファート戦を終えたばかりだが、疲れた様子は無さそうだ。
「フローガンズ殿。先の戦いだけでは、有益な情報が十分取れていない。なので私は、この戦いを長引かせるつもりでいるが。生憎、手加減がまったく出来ない。だからフローガンズ殿、短時間で葬られないよう努力してくれ」
「……ええ? 真顔で、とんでもない挑発してくるじゃん」
ウィザレナ流、悪意無き真っ直ぐ過ぎる忠告に、流石のフローガンズもドン引きしている。残念だが、フローガンズよ。ウィザレナは、あれを素で言っているぞ。
「まあ、負けるつもりは無いって事だね」
「当然だ。戦う前から、己の負けを想定してどうする? 集中力が欠けるし、何よりも時間の無駄だ」
「ははっ、確かに! ウィザレナの言う通りだ。んじゃ」
ウィザレナの言葉を肯定したフローガンズが、大きく息を吸い込み、吸った以上に吐き出す。その、ほぼ同時。ウィザレナ達の周りに、魔法壁が展開した。
サニーに上げた首飾り同様、ウィザレナとレナにも、腕飾りと髪留めを贈ったのだが。たぶん、フローガンズの殺気に反応したな。
そんな変化にはお構い無しにと、深呼吸をして精神統一したフローガンズが、構えを取った。
「よし、いつでもいいよ」
「私もだ」
「ウィザレナに同じく」
各自準備が整うや否や。辺りの凍てついた空気が、三人の気に当てられてもっと凍り付いた。
この息苦しささえ感じる緊張感、いい戦いが見られるかもしれない。
「うっし、なら行くぜ。よーい、始め!」
「行くぞッ! 『流星群』!」
ルシルが合図を出した瞬間。先手必勝と言わんばかりに、ウィザレナが膨大な量かつ、様々な流線を描く光線を放つ。無詠唱で手軽に出せる数の暴力よ。左右上と、広い範囲に展開していく。
フローガンズはと言うと、流星群の僅かな隙間を難なく掻い潜り、着実に前へ進んでいっている。広い隙間を選ばず、あえて細い隙間から突入するとは。
あの密度だと、正面に居るウィザレナは、流星群の中に紛れたフローガンズを視認出来ていないかもしれない。
『穿つは死兆星! 最速の輝きを放ち、黒き死を殲滅せん! 『四連『一番星』!』』
見えないなら根こそぎ潰すまでよと、ウィザレナは銀世界を更なる純白に塗り潰す、圧倒的な質量を持つ『一番星』を追加。
分散し始めていた『流星群』は、直径四十mはあろう四本の極太な光線に全て飲み込まれ。耳底を殴り付ける轟音と、塊と化した衝撃波が『水鏡』に波紋を立てながら撫でていく。
その、体が仰け反ってしまいそうな衝撃波の中。レナは逃走経路を確保しようとしているようで。
涼しい顔をしつつ、高速移動が可能な『流れ星』を近くに生成。うん、後先を見据えた抜かりない動きだ。
肝心のフローガンズは、左右に逃げても無駄だと踏んだのか。純白の一番星が流れる上空に居り、ウィザレナ達の姿をしっかり捉えていた。
『星閃・一文字!』
が、ウィザレナも、かつてノームが召喚した『双臥龍狂宴』本体の右目を、目にも留まらぬ速さで穿った、一筋の瞬く閃光で追い打つ。
しかし、フローガンズにとって、避けるには容易な速度だったらしく。空中で体を捻り、間一髪で避けたも束の間。
体が正面に戻ると、勢いの乗った右拳を前へかざし、圧縮した『古怪狼の凍咆』で対抗。
けど、爪斬撃を模した氷晶を含む暴風雪の先に、二人の姿は既にあらず。先ほど召喚した『流れ星』に乗り、いつの間にかフローガンズの背後へ回っていた。
『剛星!」
「なんの!」
剛星は、ノームが大戦鎚で大地をぶっ叩いた際に起こした土怒涛を、炸裂させる威力を誇っているが。
フローガンズは、空いた左手で裏拳をかまし、赤い光線の剛星を弾き返した。
今の場面は、剛星じゃなくて一番星だったら、決着がついていたかもしれないのに。ウィザレナめ、この戦いを本気で長引かせるつもりらしい。
『四連『浮遊星』!』』
弾かれた剛星に目もくれず、その場を高速で離脱したウィザレナが、私も初見の魔法を四つ射出。
見た目は人間大の眩い光球。大きさは違えど、光属性召喚魔法の『極光蟲』に似ている。
攻撃の仕方も、『極光蟲』と同じく光線を放つのかと思いきや。雪原に着地したフローガンズへ、一直線に向かって行った。
「おっと! ……あっつ!?」
真正面まで来た光球を難なく避けるも、焦りの声を上げたフローガンズが更に距離を取る。熱いという事は、光球自体が熱を発していそうだ。
当たらなかった光球は、全て地面に埋もれていったが。少し離れた所から出現し、再びフローガンズに目掛けて高速で迫っていく。
あの光球、自動で追尾するのか。攻撃方法は体当たりのみみたいだし、いつ消滅するのか分からないので、放っておくのは怖いな。
「こなくそっ!」
放置するのは厄介だと悟ったフローガンズが、ジグザグに走りながら氷柱状の氷を大量に繰り出して応戦。
一応、有効打にはなっているようで。氷柱が当たった光球の大きさが、僅かに縮まった。けれども、本当に僅かだ。消滅までには至っていない。
「フローガンズ殿、どんどん追加するぞ! 『四連『浮遊星』!』」
安全になった上空から宣言したウィザレナが、旋回しつつ次々に『浮遊星』を召喚。その数は瞬く間に三十二まで増え、あらゆる角度からフローガンズに襲い掛かっていく。
熱を持っているという事は、フローガンズは防御が出来ない。対戦相手のウィザレナを放置して、避けながら『浮遊星』に冷気を当てて消滅させる他無し。
対処が難しい数の暴力は、たぶん有効そうだな。けど、フローガンズは氷の上位精霊。『浮遊星』を纏めて黙らせる方法は、いくつか持っていそうだが。
「もうっ、埒が明かない!」『古の流動を封ずる基部にして、意思ある者に惨苦の試練を与える絶対零度! その流動を赦さぬ形無き者に告ぐ! “気まぐれな中立者”。二度と動かぬ流動を、今一度放棄せよ!』
出た、氷属性最上位召喚魔法『気まぐれな中立者』。効果は、触れれば瞬時に凍り付く氷煙を、一帯に解き放つのだが……。
その名の通り、攻撃範囲が召喚毎ごとに異なっている。一m範囲内に留まる時もあれば、数km先まで広がっていく事もしばしば。
けど今回は、露払い目的で召喚する為、足元に氷煙を発生させてしまえば、『浮遊星』は勝手に突っ込んで自滅するだろう。
もしくは、ウィザレナ達に雪が付着している事を想定し、その周りに直接召喚してしまえばいい。そうすれば、圧倒的優位に立てるし、最悪それで決着が付く。
そう考えると、対精霊戦は本当に厄介だ。まず、相手の属性を完璧に把握しなければならないし。私の周囲に精霊の属性と該当する物が無いか、確認の手間が増える。
氷の精霊だと、地面に降り積もった雪。あとは、空から降り注ぐ雪から魔法が放てる。今は止んでいるけど、もし降っていたらフローガンズの独擅場になっていたかもな。
「やらせん!」 『四連『流星群』!』
「やっば……!」
フローガンズを優位に立たせまいと、上空から流線を描いた大量の光線が、地上に向かい落ちていく。
もはや、流星の暴雨そのものだ。隙間らしき隙間なんて存在していない。
多数の『浮遊星』に囲まれたフローガンズは、当然避ける暇や余裕なんてあらず。『流星群』が巻き上げた白煙に飲まれていった。
「うわぁああーーーっ!! すっごーーーい!!」
ここで初めて、サニーが嬉々と弾けた声を上げた。地震が起きたのかと疑うほど、地面が揺れ動いているからな。夢中になって絵を描いていても、流石に気付くか。
「なんだ、あれ……? すっげぇ」
「あれがウィザレナの魔法か。なんとも凄まじい火力と密度だ。まともに食らうと、余も危ういな」
サニーの気が逸れて、アルビスとアイスも観戦し出したらしい。やはり『流星群』は、アルビスにも大打撃を与えると。じゃあ、私が食らったら致命傷は避けられないな。
「ウィザレナつっよ……。何あれぇ~? 避けようがないじゃ~ん……」
「っと、終わったか」
『四連『流星群』』が決定打になったようで。弱々しい声が聞こえた方へ顔を移してみれば、私のすぐ横で倒れているフローガンズ本体が居た。
「お疲れ、フローガンズ。どうだ? ウィザレナは強いだろう」
「めちゃんこ強いし、まったく近づけなかったよぉ……。最後は避け切れそうになかったから、魔法壁と吹雪を展開したんだけどさ? 『流星群』に魔法壁を破壊されて、残ってた『浮遊星』に体を溶かされちゃった……」
「お、おぉ……。そ、壮絶な最期を遂げたみたいだな」
「ふむ、上手く長引かせられなかったな」
戦闘が終わり、早期の凱旋を済ませたウィザレナ達が、私の前にしゃがみ込んだ。
「お疲れ、ウィザレナ、レナ。お前の魔法は、一撃一撃が強力で圧倒的だからな。『浮遊星』、あれも相当厄介そうだったぞ」
「『浮遊星』はアカシック殿の戦法をあやかり、沢山出してみたんだ! 一対一の戦いでは、かなり有効だぞ!」
「私の戦法? ああ、なるほど」
ノーム戦で、ウィザレナ達と共闘した時。有象無象には有象無象にと、私はとにかく『天翔ける極光鳥』を大量に召喚していたっけ。
だからウィザレナも、それを真似してみたという訳か。ならば、私も使わない手は無い。
問題は、安全に召喚魔法を使える場面まで、どうやって持っていけるかだ。この問題は課題として、フローガンズと戦っている最中に見極めていこう。
分身体になり、全身の色が若干色褪せたフローガンズが、ウィザレナ達と戦うべく駆けて行く。
ヴェルイン、短期のファート戦を終えたばかりだが、疲れた様子は無さそうだ。
「フローガンズ殿。先の戦いだけでは、有益な情報が十分取れていない。なので私は、この戦いを長引かせるつもりでいるが。生憎、手加減がまったく出来ない。だからフローガンズ殿、短時間で葬られないよう努力してくれ」
「……ええ? 真顔で、とんでもない挑発してくるじゃん」
ウィザレナ流、悪意無き真っ直ぐ過ぎる忠告に、流石のフローガンズもドン引きしている。残念だが、フローガンズよ。ウィザレナは、あれを素で言っているぞ。
「まあ、負けるつもりは無いって事だね」
「当然だ。戦う前から、己の負けを想定してどうする? 集中力が欠けるし、何よりも時間の無駄だ」
「ははっ、確かに! ウィザレナの言う通りだ。んじゃ」
ウィザレナの言葉を肯定したフローガンズが、大きく息を吸い込み、吸った以上に吐き出す。その、ほぼ同時。ウィザレナ達の周りに、魔法壁が展開した。
サニーに上げた首飾り同様、ウィザレナとレナにも、腕飾りと髪留めを贈ったのだが。たぶん、フローガンズの殺気に反応したな。
そんな変化にはお構い無しにと、深呼吸をして精神統一したフローガンズが、構えを取った。
「よし、いつでもいいよ」
「私もだ」
「ウィザレナに同じく」
各自準備が整うや否や。辺りの凍てついた空気が、三人の気に当てられてもっと凍り付いた。
この息苦しささえ感じる緊張感、いい戦いが見られるかもしれない。
「うっし、なら行くぜ。よーい、始め!」
「行くぞッ! 『流星群』!」
ルシルが合図を出した瞬間。先手必勝と言わんばかりに、ウィザレナが膨大な量かつ、様々な流線を描く光線を放つ。無詠唱で手軽に出せる数の暴力よ。左右上と、広い範囲に展開していく。
フローガンズはと言うと、流星群の僅かな隙間を難なく掻い潜り、着実に前へ進んでいっている。広い隙間を選ばず、あえて細い隙間から突入するとは。
あの密度だと、正面に居るウィザレナは、流星群の中に紛れたフローガンズを視認出来ていないかもしれない。
『穿つは死兆星! 最速の輝きを放ち、黒き死を殲滅せん! 『四連『一番星』!』』
見えないなら根こそぎ潰すまでよと、ウィザレナは銀世界を更なる純白に塗り潰す、圧倒的な質量を持つ『一番星』を追加。
分散し始めていた『流星群』は、直径四十mはあろう四本の極太な光線に全て飲み込まれ。耳底を殴り付ける轟音と、塊と化した衝撃波が『水鏡』に波紋を立てながら撫でていく。
その、体が仰け反ってしまいそうな衝撃波の中。レナは逃走経路を確保しようとしているようで。
涼しい顔をしつつ、高速移動が可能な『流れ星』を近くに生成。うん、後先を見据えた抜かりない動きだ。
肝心のフローガンズは、左右に逃げても無駄だと踏んだのか。純白の一番星が流れる上空に居り、ウィザレナ達の姿をしっかり捉えていた。
『星閃・一文字!』
が、ウィザレナも、かつてノームが召喚した『双臥龍狂宴』本体の右目を、目にも留まらぬ速さで穿った、一筋の瞬く閃光で追い打つ。
しかし、フローガンズにとって、避けるには容易な速度だったらしく。空中で体を捻り、間一髪で避けたも束の間。
体が正面に戻ると、勢いの乗った右拳を前へかざし、圧縮した『古怪狼の凍咆』で対抗。
けど、爪斬撃を模した氷晶を含む暴風雪の先に、二人の姿は既にあらず。先ほど召喚した『流れ星』に乗り、いつの間にかフローガンズの背後へ回っていた。
『剛星!」
「なんの!」
剛星は、ノームが大戦鎚で大地をぶっ叩いた際に起こした土怒涛を、炸裂させる威力を誇っているが。
フローガンズは、空いた左手で裏拳をかまし、赤い光線の剛星を弾き返した。
今の場面は、剛星じゃなくて一番星だったら、決着がついていたかもしれないのに。ウィザレナめ、この戦いを本気で長引かせるつもりらしい。
『四連『浮遊星』!』』
弾かれた剛星に目もくれず、その場を高速で離脱したウィザレナが、私も初見の魔法を四つ射出。
見た目は人間大の眩い光球。大きさは違えど、光属性召喚魔法の『極光蟲』に似ている。
攻撃の仕方も、『極光蟲』と同じく光線を放つのかと思いきや。雪原に着地したフローガンズへ、一直線に向かって行った。
「おっと! ……あっつ!?」
真正面まで来た光球を難なく避けるも、焦りの声を上げたフローガンズが更に距離を取る。熱いという事は、光球自体が熱を発していそうだ。
当たらなかった光球は、全て地面に埋もれていったが。少し離れた所から出現し、再びフローガンズに目掛けて高速で迫っていく。
あの光球、自動で追尾するのか。攻撃方法は体当たりのみみたいだし、いつ消滅するのか分からないので、放っておくのは怖いな。
「こなくそっ!」
放置するのは厄介だと悟ったフローガンズが、ジグザグに走りながら氷柱状の氷を大量に繰り出して応戦。
一応、有効打にはなっているようで。氷柱が当たった光球の大きさが、僅かに縮まった。けれども、本当に僅かだ。消滅までには至っていない。
「フローガンズ殿、どんどん追加するぞ! 『四連『浮遊星』!』」
安全になった上空から宣言したウィザレナが、旋回しつつ次々に『浮遊星』を召喚。その数は瞬く間に三十二まで増え、あらゆる角度からフローガンズに襲い掛かっていく。
熱を持っているという事は、フローガンズは防御が出来ない。対戦相手のウィザレナを放置して、避けながら『浮遊星』に冷気を当てて消滅させる他無し。
対処が難しい数の暴力は、たぶん有効そうだな。けど、フローガンズは氷の上位精霊。『浮遊星』を纏めて黙らせる方法は、いくつか持っていそうだが。
「もうっ、埒が明かない!」『古の流動を封ずる基部にして、意思ある者に惨苦の試練を与える絶対零度! その流動を赦さぬ形無き者に告ぐ! “気まぐれな中立者”。二度と動かぬ流動を、今一度放棄せよ!』
出た、氷属性最上位召喚魔法『気まぐれな中立者』。効果は、触れれば瞬時に凍り付く氷煙を、一帯に解き放つのだが……。
その名の通り、攻撃範囲が召喚毎ごとに異なっている。一m範囲内に留まる時もあれば、数km先まで広がっていく事もしばしば。
けど今回は、露払い目的で召喚する為、足元に氷煙を発生させてしまえば、『浮遊星』は勝手に突っ込んで自滅するだろう。
もしくは、ウィザレナ達に雪が付着している事を想定し、その周りに直接召喚してしまえばいい。そうすれば、圧倒的優位に立てるし、最悪それで決着が付く。
そう考えると、対精霊戦は本当に厄介だ。まず、相手の属性を完璧に把握しなければならないし。私の周囲に精霊の属性と該当する物が無いか、確認の手間が増える。
氷の精霊だと、地面に降り積もった雪。あとは、空から降り注ぐ雪から魔法が放てる。今は止んでいるけど、もし降っていたらフローガンズの独擅場になっていたかもな。
「やらせん!」 『四連『流星群』!』
「やっば……!」
フローガンズを優位に立たせまいと、上空から流線を描いた大量の光線が、地上に向かい落ちていく。
もはや、流星の暴雨そのものだ。隙間らしき隙間なんて存在していない。
多数の『浮遊星』に囲まれたフローガンズは、当然避ける暇や余裕なんてあらず。『流星群』が巻き上げた白煙に飲まれていった。
「うわぁああーーーっ!! すっごーーーい!!」
ここで初めて、サニーが嬉々と弾けた声を上げた。地震が起きたのかと疑うほど、地面が揺れ動いているからな。夢中になって絵を描いていても、流石に気付くか。
「なんだ、あれ……? すっげぇ」
「あれがウィザレナの魔法か。なんとも凄まじい火力と密度だ。まともに食らうと、余も危ういな」
サニーの気が逸れて、アルビスとアイスも観戦し出したらしい。やはり『流星群』は、アルビスにも大打撃を与えると。じゃあ、私が食らったら致命傷は避けられないな。
「ウィザレナつっよ……。何あれぇ~? 避けようがないじゃ~ん……」
「っと、終わったか」
『四連『流星群』』が決定打になったようで。弱々しい声が聞こえた方へ顔を移してみれば、私のすぐ横で倒れているフローガンズ本体が居た。
「お疲れ、フローガンズ。どうだ? ウィザレナは強いだろう」
「めちゃんこ強いし、まったく近づけなかったよぉ……。最後は避け切れそうになかったから、魔法壁と吹雪を展開したんだけどさ? 『流星群』に魔法壁を破壊されて、残ってた『浮遊星』に体を溶かされちゃった……」
「お、おぉ……。そ、壮絶な最期を遂げたみたいだな」
「ふむ、上手く長引かせられなかったな」
戦闘が終わり、早期の凱旋を済ませたウィザレナ達が、私の前にしゃがみ込んだ。
「お疲れ、ウィザレナ、レナ。お前の魔法は、一撃一撃が強力で圧倒的だからな。『浮遊星』、あれも相当厄介そうだったぞ」
「『浮遊星』はアカシック殿の戦法をあやかり、沢山出してみたんだ! 一対一の戦いでは、かなり有効だぞ!」
「私の戦法? ああ、なるほど」
ノーム戦で、ウィザレナ達と共闘した時。有象無象には有象無象にと、私はとにかく『天翔ける極光鳥』を大量に召喚していたっけ。
だからウィザレナも、それを真似してみたという訳か。ならば、私も使わない手は無い。
問題は、安全に召喚魔法を使える場面まで、どうやって持っていけるかだ。この問題は課題として、フローガンズと戦っている最中に見極めていこう。
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