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244話、全員との和解
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私達全員が『土の瞑想場』へ行った後。ウンディーネ、シルフ、ノームの各大精霊達は、魔法を披露するという名目で羽目を外したくなったのか。
そこから、日常からあまりにもかけ離れた規格外な光景が、連続で続いていった。
まず先鋒。誰よりも落ち着いているように見えて、誰よりも昂っていたウンディーネ。おしとやかな声量で詠唱を唱え、使用した魔法は、水属性禁断の召喚魔法『ポセイドン』。
なんでも、この『ポセイドン』なる召喚魔法。私が『水の瞑想場』でウンディーネと対峙した時、私に追い詰められたウンディーネが、起死回生の逆転をするべく使用しかけた召喚魔法らしい。
当時、もし『ポセイドン』を召喚出来ていたら、私は成す術なく敗北していたとのこと。
ポセイドンが召喚されると、まず初めに辺りは荒れ狂う大海原と化し。対象者は天を劈く怒涛、何十、何百本もある海上竜巻に襲われ。
かつ、海中から出現した巨大なポセイドンが、対象者に向けて神の斬撃、海底まで容易に割る三叉の矛で攻撃され続けるという、逃げ場の無い一方的な虐殺が始まる。
あの時は、水の瞑想場に『奥の手』を使い、寸前で水属性の魔法を制限したから、よかったものの。もし召喚を許していたら、私はそこで確実に殺されていたな。
次に、次鋒。とにかくノリノリなノーム。そのノームが使用した魔法は、私やウィザレナ達を苦しめた、土属性禁断の召喚魔法『大地の覇者』。
『ポセイドン』然り、『大地の覇者』然り、両方とも禁断の召喚魔法だというのに。ここが、現実世界に干渉しない異空間だからって、易々と召喚し過ぎじゃないか?
まあ、サニーが『わぁーーーっ!! すっごく大きいーーーっ!!』と、とんでもなくはしゃいでいたから、よしとしておこう。
で、最後にシルフ。シルフだったら、控えめな魔法を使ってくれるかと思いきや。繰り出したのは、『風壊砲』の昇華条件を満たすと習得出来る、風属性禁断の召喚魔法『風壊神』。
私が召喚した後に被せてくるとは、やってくれたな? シルフ。しかし、規格外な魔法は発さず。まるで、シルフの弟分みたいな見た目をした『風壊神』は、陽気な笑みを浮かべ、サニーと対談を開始。
興奮しっぱなしだったサニーは、途端にしどろもどろになり、可愛く緊張しながらも『風壊神』と会話をして、最後は握手を交わして姿を消していった。
そこで、大精霊達の魔法披露宴は終わったのだが。やや不燃焼気味だった私は、大精霊達に対抗すべく、光属性禁断の召喚魔法『天照らす極楽鳥』を召喚。
が、特に攻撃指示を出さず。『風壊神』と同じく、サニーとお喋りをしてもらった。『天照らす極楽鳥』も、日頃の感謝をサニーに言いたかったようで。
『天翔ける極光鳥』の正体は自分だと明かすと、これからも変わりなく接して欲しいと約束を交わし、サニーに心ゆくまで体を触らせ、どこか機嫌を良さそうにして消えていった。
ついでに私も、『天照らす極楽鳥』の体を触らせてもらったのだが。全身がふわふわな羽毛で、触り心地は最高に良かった。また触れる機会があったら、今度は埋もれてみたい。
そして、我慢出来なくなったウィザレナが『星雲瀑布』を。魔法が使えないヴェルインも、サニーを喜ばせる為に、大暴れをした次の日。
昨日、約束した通り、サニーはプネラと和解し。自身へ『一日抱きつきの刑』を処し、笑顔でプネラに抱きついた。
その後。この世の終わりを見たかのように、表情が絶望色に染まったアルビスが『水の揺りかご』から出てきた矢先。
待っていたサニーが、『アルビスさん、昨日はごめんなさい!』と頭をペコリと下げて、精一杯の謝罪をした。
当然、アルビスも理解していたようで。しおらしい顔をしながらも、気にしていない旨のサニーに伝えたまではよかった。
しかし、一時の怒りで一日限定の絶縁をした自分を許せておらず、サニーはアルビスにも『一日抱きつきの刑』を執行。
その執行に、アルビスは一旦狼狽えたのだが。やはり、可愛い姪の命令ともならば、従うしかないと諦め、プネラに抱きついているサニーを、まとめて抱きしめた。
けど、やはりアルビスも、サニーに嫌われたんじゃないかと、不安でしょうがなかったんだろうな。サニーに謝罪され、刑を執行されたアルビスの表情は、とろとろのほっこり顔に変わっていた。
あそこまで幸せそうにしていて、凛々しさと警戒心を失ったアルビスのほっこり顔は、たぶん初めて見たかもしれない。
そんな、ニコニコ顔が絶えないプネラを抱きしめ、桃源郷を彷徨っていそうなアルビスに抱きしめられているサニーは、目の前で胡坐をかいて座ったフローガンズへ、頭を軽く下げた。
「フローガンズさん、昨日はすみませんでした!」
「さにぃちゃんも、色々溜まってたもんがあったんでしょ? あたしは全然気にしてないから、大丈夫だよー」
昨夜。今までの経緯をある程度説明し、理解してくれたフローガンズが、柔らかな姉御肌を見せつつサニーを許した。
けど、私がプネラに治療されている間、アルビスがフローガンズの修業場にいきなり現れて、修業をつけると言いながら干し肉を焼いていたとは。
「ごめんなさい、ありがとうございます! じゃあ、改めて! サニーです、よろしくお願いしますっ!」
「氷の上位精霊、フローガンズだよー。よろしくー」
ハキハキと元気に満ちたサニーの自己紹介に、手をヒラヒラとさせて緩く返すフローガンズ。
この、なんとも平和的なやり取りよ。一時的にだけど、日常が戻って来たって感じがするな。
「フローガンズさんって、氷の精霊さんなんですね! 初めて見ました!」
「精霊が人間の前に姿を現すこと自体、そうそうないからね。けどこれから、毎日会えるようになれるよー」
「わあっ、そうなんですね! ちなみにちなみに、お母さんとはどんな関係なんですか!?」
初めて出会った氷の上位精霊に、興味津々なのだろう。もう、サニーの青い瞳がギンギンに眩く輝いている。
「うーん、そうだな~。戦ってる内に友情が芽生えた、戦友って感じ?」
「戦友っ! なんだかすごくて、かっこよさそう!」
「ふっふーん、そうでしょそうでしょ?」
私とフローガンズが、戦友ねぇ。そんな大それた関係なのだろうか? あいつと出会ったのは、本当にたまたまだ。
雪原地帯に訪れた私が、魔物や獣の部位を採取している中。偶然あいつと鉢合わせ、強引に戦いを挑まれて、十日間以上戦っただけに過ぎない。
しかし、フローガンズにとっては有意義で、友情が芽生えるには十分な理由だったのだろう。戦友か。今になって思うと、悪くないかもしれないな。
「毎日って事は、もう雪原地帯には戻らないのか?」
話の腰を折らないよう、隙を伺って質問を割り込ませる私。
「いんや、毎日帰るよ。あそこに居ないと、師匠に怒られるからね」
「ああ、なるほど」
「せつげんちたい? ねえ、お母さん。そこってどこにあるの?」
サニーの不思議にしていそうな質問に、私の視界が大きく広がった。……このタイミングで、サニーから質問だと!? 完全に不意を突く形で来たから、一瞬驚いてしまった。
確かに。海を越えた先にある、雪原、雪山、火山地帯に、サニーは行った事が無い。だから、知らなくて当然なのだ! よかった。私はまだ、サニーに教えられる事があるんだな!
「三、四年ぐらい前に、海へ行った事があるだろ? そこを超えた先に、万年雪に覆われた地帯があるんだ」
「そんな場所があるんだ! ねえ、お母さん! そこにはいつ行くの!?」
「へっ? 行く?」
「うんっ! まだ行ったことがないから、行ってみたいっ!」
……これは、少々まずい流れになってきたぞ。海を越えた先にある地帯に、安全を確保出来る場所なんて存在しない。“迫害の地”本来の牙が跋扈している。
どこへ行けども魔物が居て、小規模の戦闘は絶対に避けられない。変わり映えしない銀世界の景観を、落ち着いて眺める暇は無いだろう。
「さにぃちゃん、雪原地帯に行ってみたいの?」
「はいっ、行ってみたいです!」
私が何かを言う前に、体を左右に揺らしていたフローガンズが問う。
「そっかそっかー。だって、アカシック。いつ行く?」
「いや……。急にそんな事を、言われても……」
「だいじょうぶだぁ、あかっしくぅ」
行かないという選択肢が無く、私へ催促してくる者が増えた最中。なんとも腑抜け切っていて、とろけたアルビスの声が割って入ってきた。
「な、なにが、大丈夫なんだ?」
「雪原地帯にちょっとした縁があり、頼りになる奴が居る。そいつと同行してれば、ここと同等の安全が確保出来るだろう」
「頼りになる奴? 雪原地帯に、そんな奴が居るのか?」
「アルビス師匠? そいつって、まさか……」
どこかばつが悪そうなフローガンズの声が、私の疑問と重なる。
「アイスドラゴンだ」
「げっ、やっぱり……」
「アイスドラゴン!? アイスドラゴンさんに会えるんですか!?」
興味の対象がどんどん移り変わり、まるで興奮が止まぬサニーへ、アルビスが頷き返す。
「ああ、会えるぞ。余が紹介やろう」
「本当ですか? やったーっ! ありがとうございますっ!」
「しかし、雪原地帯は常に極寒だ。行くなら、まず色々と準備をしなければならない。必要な物は、今日か明日にでもタートで購入しよう」
「分かりましたっ!」
アルビスめ。サニーに良い所を見せたいからって、話をグイグイ進めていくじゃないか。というか、もう雪原地帯へ行く事が決定してしまった。
雪原地帯までの移動手段は、たぶんプネラやらに頼むのだろうけど。正直、不安要素があまりにも多過ぎて、心配が尽きない。
が、反対する空気でもないし……。仕方ない。シルフ達に迷惑を掛けてしまうけど、サニーの護衛を頼むとしよう。
そこから、日常からあまりにもかけ離れた規格外な光景が、連続で続いていった。
まず先鋒。誰よりも落ち着いているように見えて、誰よりも昂っていたウンディーネ。おしとやかな声量で詠唱を唱え、使用した魔法は、水属性禁断の召喚魔法『ポセイドン』。
なんでも、この『ポセイドン』なる召喚魔法。私が『水の瞑想場』でウンディーネと対峙した時、私に追い詰められたウンディーネが、起死回生の逆転をするべく使用しかけた召喚魔法らしい。
当時、もし『ポセイドン』を召喚出来ていたら、私は成す術なく敗北していたとのこと。
ポセイドンが召喚されると、まず初めに辺りは荒れ狂う大海原と化し。対象者は天を劈く怒涛、何十、何百本もある海上竜巻に襲われ。
かつ、海中から出現した巨大なポセイドンが、対象者に向けて神の斬撃、海底まで容易に割る三叉の矛で攻撃され続けるという、逃げ場の無い一方的な虐殺が始まる。
あの時は、水の瞑想場に『奥の手』を使い、寸前で水属性の魔法を制限したから、よかったものの。もし召喚を許していたら、私はそこで確実に殺されていたな。
次に、次鋒。とにかくノリノリなノーム。そのノームが使用した魔法は、私やウィザレナ達を苦しめた、土属性禁断の召喚魔法『大地の覇者』。
『ポセイドン』然り、『大地の覇者』然り、両方とも禁断の召喚魔法だというのに。ここが、現実世界に干渉しない異空間だからって、易々と召喚し過ぎじゃないか?
まあ、サニーが『わぁーーーっ!! すっごく大きいーーーっ!!』と、とんでもなくはしゃいでいたから、よしとしておこう。
で、最後にシルフ。シルフだったら、控えめな魔法を使ってくれるかと思いきや。繰り出したのは、『風壊砲』の昇華条件を満たすと習得出来る、風属性禁断の召喚魔法『風壊神』。
私が召喚した後に被せてくるとは、やってくれたな? シルフ。しかし、規格外な魔法は発さず。まるで、シルフの弟分みたいな見た目をした『風壊神』は、陽気な笑みを浮かべ、サニーと対談を開始。
興奮しっぱなしだったサニーは、途端にしどろもどろになり、可愛く緊張しながらも『風壊神』と会話をして、最後は握手を交わして姿を消していった。
そこで、大精霊達の魔法披露宴は終わったのだが。やや不燃焼気味だった私は、大精霊達に対抗すべく、光属性禁断の召喚魔法『天照らす極楽鳥』を召喚。
が、特に攻撃指示を出さず。『風壊神』と同じく、サニーとお喋りをしてもらった。『天照らす極楽鳥』も、日頃の感謝をサニーに言いたかったようで。
『天翔ける極光鳥』の正体は自分だと明かすと、これからも変わりなく接して欲しいと約束を交わし、サニーに心ゆくまで体を触らせ、どこか機嫌を良さそうにして消えていった。
ついでに私も、『天照らす極楽鳥』の体を触らせてもらったのだが。全身がふわふわな羽毛で、触り心地は最高に良かった。また触れる機会があったら、今度は埋もれてみたい。
そして、我慢出来なくなったウィザレナが『星雲瀑布』を。魔法が使えないヴェルインも、サニーを喜ばせる為に、大暴れをした次の日。
昨日、約束した通り、サニーはプネラと和解し。自身へ『一日抱きつきの刑』を処し、笑顔でプネラに抱きついた。
その後。この世の終わりを見たかのように、表情が絶望色に染まったアルビスが『水の揺りかご』から出てきた矢先。
待っていたサニーが、『アルビスさん、昨日はごめんなさい!』と頭をペコリと下げて、精一杯の謝罪をした。
当然、アルビスも理解していたようで。しおらしい顔をしながらも、気にしていない旨のサニーに伝えたまではよかった。
しかし、一時の怒りで一日限定の絶縁をした自分を許せておらず、サニーはアルビスにも『一日抱きつきの刑』を執行。
その執行に、アルビスは一旦狼狽えたのだが。やはり、可愛い姪の命令ともならば、従うしかないと諦め、プネラに抱きついているサニーを、まとめて抱きしめた。
けど、やはりアルビスも、サニーに嫌われたんじゃないかと、不安でしょうがなかったんだろうな。サニーに謝罪され、刑を執行されたアルビスの表情は、とろとろのほっこり顔に変わっていた。
あそこまで幸せそうにしていて、凛々しさと警戒心を失ったアルビスのほっこり顔は、たぶん初めて見たかもしれない。
そんな、ニコニコ顔が絶えないプネラを抱きしめ、桃源郷を彷徨っていそうなアルビスに抱きしめられているサニーは、目の前で胡坐をかいて座ったフローガンズへ、頭を軽く下げた。
「フローガンズさん、昨日はすみませんでした!」
「さにぃちゃんも、色々溜まってたもんがあったんでしょ? あたしは全然気にしてないから、大丈夫だよー」
昨夜。今までの経緯をある程度説明し、理解してくれたフローガンズが、柔らかな姉御肌を見せつつサニーを許した。
けど、私がプネラに治療されている間、アルビスがフローガンズの修業場にいきなり現れて、修業をつけると言いながら干し肉を焼いていたとは。
「ごめんなさい、ありがとうございます! じゃあ、改めて! サニーです、よろしくお願いしますっ!」
「氷の上位精霊、フローガンズだよー。よろしくー」
ハキハキと元気に満ちたサニーの自己紹介に、手をヒラヒラとさせて緩く返すフローガンズ。
この、なんとも平和的なやり取りよ。一時的にだけど、日常が戻って来たって感じがするな。
「フローガンズさんって、氷の精霊さんなんですね! 初めて見ました!」
「精霊が人間の前に姿を現すこと自体、そうそうないからね。けどこれから、毎日会えるようになれるよー」
「わあっ、そうなんですね! ちなみにちなみに、お母さんとはどんな関係なんですか!?」
初めて出会った氷の上位精霊に、興味津々なのだろう。もう、サニーの青い瞳がギンギンに眩く輝いている。
「うーん、そうだな~。戦ってる内に友情が芽生えた、戦友って感じ?」
「戦友っ! なんだかすごくて、かっこよさそう!」
「ふっふーん、そうでしょそうでしょ?」
私とフローガンズが、戦友ねぇ。そんな大それた関係なのだろうか? あいつと出会ったのは、本当にたまたまだ。
雪原地帯に訪れた私が、魔物や獣の部位を採取している中。偶然あいつと鉢合わせ、強引に戦いを挑まれて、十日間以上戦っただけに過ぎない。
しかし、フローガンズにとっては有意義で、友情が芽生えるには十分な理由だったのだろう。戦友か。今になって思うと、悪くないかもしれないな。
「毎日って事は、もう雪原地帯には戻らないのか?」
話の腰を折らないよう、隙を伺って質問を割り込ませる私。
「いんや、毎日帰るよ。あそこに居ないと、師匠に怒られるからね」
「ああ、なるほど」
「せつげんちたい? ねえ、お母さん。そこってどこにあるの?」
サニーの不思議にしていそうな質問に、私の視界が大きく広がった。……このタイミングで、サニーから質問だと!? 完全に不意を突く形で来たから、一瞬驚いてしまった。
確かに。海を越えた先にある、雪原、雪山、火山地帯に、サニーは行った事が無い。だから、知らなくて当然なのだ! よかった。私はまだ、サニーに教えられる事があるんだな!
「三、四年ぐらい前に、海へ行った事があるだろ? そこを超えた先に、万年雪に覆われた地帯があるんだ」
「そんな場所があるんだ! ねえ、お母さん! そこにはいつ行くの!?」
「へっ? 行く?」
「うんっ! まだ行ったことがないから、行ってみたいっ!」
……これは、少々まずい流れになってきたぞ。海を越えた先にある地帯に、安全を確保出来る場所なんて存在しない。“迫害の地”本来の牙が跋扈している。
どこへ行けども魔物が居て、小規模の戦闘は絶対に避けられない。変わり映えしない銀世界の景観を、落ち着いて眺める暇は無いだろう。
「さにぃちゃん、雪原地帯に行ってみたいの?」
「はいっ、行ってみたいです!」
私が何かを言う前に、体を左右に揺らしていたフローガンズが問う。
「そっかそっかー。だって、アカシック。いつ行く?」
「いや……。急にそんな事を、言われても……」
「だいじょうぶだぁ、あかっしくぅ」
行かないという選択肢が無く、私へ催促してくる者が増えた最中。なんとも腑抜け切っていて、とろけたアルビスの声が割って入ってきた。
「な、なにが、大丈夫なんだ?」
「雪原地帯にちょっとした縁があり、頼りになる奴が居る。そいつと同行してれば、ここと同等の安全が確保出来るだろう」
「頼りになる奴? 雪原地帯に、そんな奴が居るのか?」
「アルビス師匠? そいつって、まさか……」
どこかばつが悪そうなフローガンズの声が、私の疑問と重なる。
「アイスドラゴンだ」
「げっ、やっぱり……」
「アイスドラゴン!? アイスドラゴンさんに会えるんですか!?」
興味の対象がどんどん移り変わり、まるで興奮が止まぬサニーへ、アルビスが頷き返す。
「ああ、会えるぞ。余が紹介やろう」
「本当ですか? やったーっ! ありがとうございますっ!」
「しかし、雪原地帯は常に極寒だ。行くなら、まず色々と準備をしなければならない。必要な物は、今日か明日にでもタートで購入しよう」
「分かりましたっ!」
アルビスめ。サニーに良い所を見せたいからって、話をグイグイ進めていくじゃないか。というか、もう雪原地帯へ行く事が決定してしまった。
雪原地帯までの移動手段は、たぶんプネラやらに頼むのだろうけど。正直、不安要素があまりにも多過ぎて、心配が尽きない。
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